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レチタ・カルダ『義経』別所哲也さんインタビュー 2012年05月

(2012年05月08日記載)

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朗読活劇レチタ・カルダ『義経』ご出演
別所哲也さんにインタビューしました



朗読活劇レチタ・カルダ『義経』公演について(公演資料より)

レチタ・カルダ・・・それはイタリア語で「熱い朗読」という意味。
朗読・芝居・音楽が織り交ぜられて進行する新たなジャンルの舞台、それが朗読活劇です。
今までに、大沢たかお、要 潤、早乙女太一や坂本真綾などの出演で公演が行われました。

今回は司馬遼太郎原作の「義経」を題材にした作品を、池上本門寺本殿特設ステージで上演します。

源義経。その名はつねに悲劇的な響きで語られる。源氏の棟梁の子に生まれながら、鞍馬山に預けられ、
関東奥羽を転々とした暗い少年時代・・・幾多の輝かしい武功をたて、突如英雄の座に駆け上りはしたものの、
兄の頼朝に追われて非業の最期を迎えてしまう。
突然歴史上に現れ、稀有の英雄に成りながらも、自らの業により非業の死を遂げる義経の生涯を別所哲也が演じます。

<出演者>
◆語り手:別所哲也
◆演 奏:スパニッシュ・コネクション
◆舞 :浅野瑞穂


別所哲也さんプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。90年、日米合作映画『クライシス2050』でハリウッドデビュー。
米国映画俳優組合(SAG)会員となる。2010年『レ・ミゼラブル』等の出演により、第1回岩谷時子奨励賞授賞。
米国アカデミー賞公認で、日本発の国際短篇映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を99年より主宰。
これまでの映画祭への取り組みから、観光庁「VISIT JAPAN 大使」に任命され、文化庁からは文化発信部門の長官表彰を受賞。
2010年より内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会委員に就任。横浜みなとみらいに開設した、
国内初のショートフィルム専門映画館「ブリリア ショートショート シアター」は2012年2月に4周年を迎えた。


別所哲也さんインタビュー
(取材日2012年5月2日/写真・インタビュアー 住川絵理)



―――今回、別所さんにとって朗読活劇レチタ・カルダ『義経』は、初めてづくしの公演となるそうですね。

こうして年齢を重ねて、お芝居をやっていると初めての挑戦というのは少なくなってきます。しかし考えてみると、今まで、ひとり芝居もなかったですし、今回のようにジャンルを超えたような朗読劇は、やったことがありませんでした。日本物の時代劇も初めてです。しかも、日本の歴史上の人物の中でも特に有名で、みんなに愛されている悲劇のヒーローである義経を題材にした作品ですので、緊張もしていますがすごく楽しみです。

朗読劇なので、語り部でありながら、時に義経になったり、またある時は頼朝や北条政子になったりします。たった一人で語りながら色々なキャラクターを出していかなくてはいけません。今までやった朗読劇は一人のキャラクターを演じるものだったので、その辺りが今回は全く違いますね。

朗読劇だから簡単でしょ!と言われることもあるのですが(笑)、僕はむしろ難しいと思っています。まず、本を抱えながら語るという決まりごとがありますので、文字を目で追いかけながら感情表現もしなければいけません。複数の人物の感情を感じながら、それが音楽や舞とも繋がっていかなくてはいけないので、実際にどうなるのか計り知れない部分も多いのですが、今まで体験したことが無いような演劇空間になると思います。どのような舞台になるのか自分としても楽しみです。演奏の方や舞の方もいらっしゃるので、一人だけの芝居という感じではありませんが、自分が言葉を発していくことにより、この物語が駆動するという醍醐味はありますね。


―――お一人でいくつもの役を伝えていくという点では、
気持ちの切り替えなど、難しいところもあるのでは。


おっしゃる通りです。シーンが切り替わった時に、体の整理をどのようにつけるのかというところはこれから色々試したいと思います。ただ、稽古場で練習していても、本番の屋外の空気の中で感じる声や聞こえてくる音は恐らく違うと思うので、その辺りがどうなるか・・・というのはありますね。


―――今まで別所さんの中で義経の人物像はどのようなイメージでしたか。
また、今回この作品に取り組んでみて、義経の印象に変化はありましたか?


今まで持っていたイメージは、どちらかというと、牛若丸としての印象が強いですね。小さい頃から知っている義経は、陰がなくて世に言う美男子で、みんなが憧れるようなヒーローです。しかし、今回の作品は読み進めるほどに、彼は家族愛に飢えた人間だったということを強く感じましたし、そういうところがドラマチックだなと感じました。


―――先日ツイッターで、「ああああああああああああああ善悪とは、なんだあああああああああああ。義経の生き様、、、
頼朝という兄の存在!この朗読劇、、、に燃える!」と表現なさっていましたね。
心を揺さぶられながら役作りに取り組んでいらっしゃるのかなと思いましたが、その辺りはいかがでしょうか。


歴史上で語られている史実や人物像について色々と考えますね。歴史上は美しく、あるいは事実をあるアングルから捉えていることが多いと思うのですが、本当はもっと多面的なものではないかと。

兄の頼朝の立場に立ったら、本当にそんなに非道なことをしていたのかとか、それが悪だったのか?と、思うわけです。あるいは義経を、源平の合戦をこれだけ才覚を発してやって戦ってきた男として捉えた時に、それは善なのか?悪なのか?・・・と。

今回のレチタ・カルダの『義経』は、ある部分に光を当てているけど、この時代にしかなかった儚(はかな)さや切なさがあったと思うし、特に武将は “死”というものがいつも隣り合わせで生きていたのだと思います。現代の僕らは、刀や鎧を着けているわけではいないので想像でしかありませんが、当時はそういう状況の中で、生きること、そして誰かを慕うことというのが混在していたのだと思います。

だから精神構造も達観した大人な部分と、逆に本能的に母親に抱きつきたいとか、ただ甘えたいという感情の起伏があったのかなとも考えます。義経は意外と感情の起伏があったのではないかと思うんですよね。愛されたいという渇望感は強かったのかなと。その気持ちが、ひっくり返った時に、怒りや悲しみに直情的に出る感じなのかなと。


―――源義経は、判官贔屓という言葉があるぐらい、有名な歴史上の人物であり、お好きな方も多いでしょうね。

最近は、歴女という言葉も出てくるぐらい、歴史を愛する方や仏像やお寺を見て回っている方も多いですよね。その中で義経というヒーローを愛している方もたくさんいらっしゃると思いますし、それぞれの中で義経像をお持ちだと思います。

今回は朗読活劇ですから、全部が表現されている訳ではありません。そういう意味では、耳に飛んでくる言葉から作り上げる想像力もお楽しみいただけるのではないかと思います。今回僕は義経の物語を伝えますが、義経そのものになるわけではないのです。皆さんが5月19日に池上本門寺で義経という人に思いをはせて、それぞれに想像していただけると、僕らとお客様が繋がるのだろうなと。そういうところが楽しみです。

朗読劇には演劇の本質があると思います。昔から琵琶法師、落語、文楽、弁士が語る紙芝居、親が子に絵本を読み聞かせるなど、色々な形で伝えられてきました。日本人は、“物語る”ということが好きな民族だと思います。だから義経もこれまで色々な形で語り継がれてきたのでしょうし、活字で追うのとはまた違い、耳から語られる義経がどんな風にみんなに伝わるのか興味深いです。本当は僕も客席から観てみたい位です(笑)。


―――どこか義経の縁(ゆかり)の地を訪れたことは?

義経を感じながら縁の地を回ったことはないので、今回の作品への出会いをきっかけにあらためて平泉や京都など、義経の存在を求めて回ってみたいですね。究極の旅人であり、放浪者、ボヘミアンでもあったと思うんですよ。どこにも帰属できないで、自分のアイデンティティーを探し続けたのかな、と。


―――今回は池上本門寺の本堂特設ステージでの上演ですね。

池上本門寺という本物のお寺で、長い間歴史を刻んできた場所で演じることに、緊張しています。神社やお寺は時代を超えてたくさんの方の気持ちが詰まっている所なので、清らかな思いがたくさんあるような気がします。そこの空気を大事に、深呼吸をしてから始めたいと思います。5月19日の翌々日が金環日食ということですので、屋外劇で空や空気、木々のざわめきなど、五感を研ぎ澄まして一緒に感じられる劇空間になったらいいなと思います。


―――別所さんは映画やテレビでも活躍なさっていますが、舞台の魅力についてはどう思われますか。
特に今回は究極の一期一会の空間で、お客様と一緒に作り上げる舞台になりそうな予感がしております。


その瞬間一緒にいた、というのが一番の醍醐味でしょう。映画、テレビ、インターネットなど何でも体感できる機会が増えて、それはそれで素晴らしいことなのですけど、よりリアルに自分の心臓の音を感じたり、全く知らない人と一緒に同じ体感をしたりすることができるというのは、演劇の魅力だと思います。一緒に共有して体感するというのは、今だからこそ贅沢なことであって欲しいなと思っています。


―――今後、別所さんが新たにやってみたいことは?

ミュージカル、演劇、映画、みんなそうなのですが今まで先輩方が作り上げて下さったものの再構築することが多いので、今回のレチタ・カルダのように型を破って新たなジャンルに挑戦し、切り開いていくような映画や演劇への取り組みというのを僕自身もやっていきたいなと思います。


―――別所さんの活動のひとつに「ショートショート フィルムフェスティバル」の開催や
横浜の映画館「ブリリア ショートショート シアター」の運営もありますね。


ショートフィルムは映画の可能性をグーンと広げて僕に見せ付けてくれました。映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」は6月にあります。横浜にある映画館「ブリリア ショートショート シアター」でも色々な作品を紹介しています。みんなにもショートフィルムを通じた世界旅行をして欲しいなと思います。

『義経』もそうですけど、劇的空間を旅するのはとても面白いことです。空想したり、自分の人生とは別のところで物語を作って楽しんだりすることってあると思うんですよ。極端にいえば、家族や同僚の前で、誰もが演じる要素を持っていると思うんです。そういうことの疑似体験を、映画やお芝居でも感じて欲しいなと思います。

 

朗読活劇レチタ・カルダ『義経』

 

日程:2012年5月19日(土)18:00開演

会場:池上本門寺 本殿特設ステージ

料金:7500円

 

主  催:キョードー東京

企画制作:フリーダム

後  援:J-WAVE 81.3FM

 

お問い合わせ

キョードー東京 0570-064-708

【オペレータ受付時間 平日12:00〜18:00/土日祝10:00〜18:00】

 

*未就学児童のご入場はできません。

*雨天決行・荒天中止

*雨天の場合、会場内での傘のご使用はご遠慮ください。
雨合羽のご使用をお願い致します。

 

 

 
 

情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。

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