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水 夏希さんインタビュー後篇 『SHOW Beyond the Door』構成・演出・出演 2013年08月

(2013年08月28日記載)

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『SHOW Beyond the Door』で初めて構成・演出を手掛ける
水 夏希さんロングインタビュー 後篇

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▲写真:吉原朱美、取材協力:東京會舘 
前篇はこちら

水 夏希プロフィール

844_02 千葉県出身。1993年 宝塚歌劇団に入団。入団3年目に「ME AND MY GIRL」で早くも新人公演の主役に抜擢され注目を浴びる。1999年 宝塚バウホールでの初主演「ロミオとジュリエット‘99」ではロミオの深みのある演技力と新鮮さを評価される。 2007年「星影の人」沖田総司役で雪組トップスターに就任。同年「エリザベート」トート役、「カラマーゾフの兄弟」ドミートリー役などでクールでスタイリッシュな魅力のあるトップスターとして不動の人気を確立。シャープなダンス、独特の個性を持つ歌声、そして、人間味溢れる深みのある演技力には定評があり、常にチャレンジ精神を持ち走り続け、もっと広く、もっと沢山の方々に宝塚を知っていただきたいと雪組男役スター5人による「AQUA5」を結成。世界陸上大阪大会開会式にてデビュー曲を披露したのを皮切りにCM出演やTV出演、コンサート、CD発売など、これまでの宝塚歌劇の枠を超えた外部活動で新しい宝塚ファンの開拓にも力を注いだ。宝塚の代表作「ベルサイユのばら」ではオスカル・アンドレ等主要人物4役を演じ、宝塚初の天覧公演の主役も務めた。 2010年 宝塚退団後は、ドラマ・舞台・原作本出版連動プロジェクト「SUMIRE LABO-スミレ刑事の花咲く事件簿」主演の他、舞台「7DOORS~青ひげ公の城~」(鈴木勝秀演出)、「SHOW-ismVI TATTOO 14」(小林香演出)、海外ダンサーとのダンスショー「BADGIRLS meets BADBOYS~DANCE LEGEND~Vol.1」、TSミュージカル「客家~千古光芒の民~」(謝珠栄演出)、東宝ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」(寺﨑秀臣演出)など様々なジャンルの舞台で活躍中。

<今後の予定>
TAKARAZUKA WAY TO 100TH ANNIVERSARY FINAL『DREAM, A DREAM』
ドリームゲストとして出演(出演日は公演HPにてご確認下さい)
http://www.umegei.com/dream_a_dream/



『SHOW Beyond the Door』

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構成・演出:水 夏希

音楽監督:岩崎 廉
振付:平澤 智
振付:原田 薫
照明:柏倉淳一
音響:田辺裕一
特効:南 義明
衣裳:屋島裕樹
ヘアメイク:山下由花
音楽監督助手:野上貴久
舞台監督:原田譲二

制作:㈱Baby Egg
   西脇健太

協力:サンライズプロモーション東京

宣伝デザイン:小口翔平
宣伝写真:村尾昌美
宣伝ヘアメイク:三上宏幸

主催:㈱AQUA

出演:水 夏希
上口 耕平/三井 聡/ Ichi /田中 志乃 

<ゲスト> 
9月14日(土)18:30公演 藤岡正明
9月15日(日)13:00公演/17:00公演 平澤智


水 夏希さんインタビュー
取材日:2013年7月30日
写真:吉原朱美、インタビュアー:住川絵理、取材協力:東京會舘

前篇はこちらです。

―――『SHOW Beyond the Door』が9月に開催されるということですが、
どのようなショーになりそうですか?


タイトルの通り、“扉の向こうに新しい世界が広がっている”というようなイメージで作っています。
扉を開ける前の一歩飛び出す勇気や葛藤、チャレンジしてみたい場面、
その扉を開けた先に次に繋がるエネルギーが湧く場面という感じで、
大きく分けると3つのシーンから成っています。

―――3部構成なのですね。もう少しその場面毎について伺いたいと思います。
第1部は“扉を開ける前の一歩飛び出す勇気や葛藤 ”を描くということですが、
それをダンスシーンで表現するのでしょうか。


そうですね。色々考えたのですが、結果的に全編通してダンスが中心になりそうです。
メンバーもダンスが得意な方たちなので、今から楽しみにしています。

―――その扉を開けると別の世界があって、また次の扉を開けると違う世界があって、
という形なのですね。第2部は宝塚の曲もあるということでしたね。


宝塚を表現するということではなく、色々なミュージカルなどのショーナンバーも盛り込みたいと思っています。
その中に宝塚で使った曲もある、という感じです。

―――そして3部は?

扉を開けた先に未来に繋がるシーンがあって、その後ゲストを交えたトーク&LIVEにしようと思っています。
今回はコンサートではなくショーなので、 3部までトークシーンがないんですよ。
だから、そこでおしゃべりも入れて楽しく過ごしたいなと。
3部構成にはなっていますが、休憩ははさまずにノンストップで、今のところ
80分位のものにしたいなと、現段階では思っています。

―――今回、構成・演出に初挑戦ということですが、
やってみようと思ったのは、何かきっかけがあったのですか?


毎年開催させていただいている夏のイベントが 3年目なので、ちょっと新しいことが出来たらなと思いまして。
コンサートという形は今までにも、ディナーショー等でもさせていただいていたので、
今回はショーを作りたい!と思って挑戦することにしました。
やってみたら、もう大変!!!(笑)

―――コンサートではなく、ショーというところがポイントですよね。

色んな懐かしい曲を繋げるということではなく、一つの世界観を描き出し、
ショー作品としてのエンターテインメントを作りたいと思っています。
あとは、コンサートなどでは、自分のキャラクターありきで行うのでなかなか新たな
チャレンジをするまでには至らなかったりするのですが、
今回はショーとしての世界観の中で表現するのであればそういうことにもチャレンジ出来るかなって。
何に挑戦するかは、まだ内緒ですが。

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―――それは楽しみですね。宝塚時代は雪組トップスターとして、
またAQUA5のリーダーとしてみんなをまとめる立場でした。
今回はまた違った形ではありますが、構成・演出をしながら全てをまとめていかなければいけない
立場ですね。水さんは子どもの頃から委員長などをやるタイプでした?


そうですね。小学校の頃は学級委員でした。
「みなさん静かにしてくださ~い」とかやっていましたよ。
でも好きな男の子がいて、その子に「お前うるせーよ」と言われ、シューンとなって。(笑)
そのせいか、中学生時代はおとなしい女子を演じていました。(笑)
ハイネの詩集とか読んじゃったりしてね。本読んでいるようなおとなしいタイプの子と
仲良くして「楽しいね~」と言ってはいましたが、だいぶムリしていたので。(笑)
その反動で高校生になってミュージカル部の活動を見て、「私の生きる場所はここだ!」と。

―――子どもの頃からまとめ役だったのですね。
それとも知らない間にみんなが付いてきているような?


つい言いたくなっちゃうタイプなんですよ。
しょうがないからみんなが付いてくるという感じじゃないですか。(笑)

―――今回「ショーを作ろう!」と思ってどのようなことから始めたのでしょう。

タイトルですね。すぐに『SHOW Beyond the Door』と浮かんだので、パッと決まりました。
宝塚を退団してちょうど丸3年です。2年が節目かなと思っていたのですが、やはり3年かかったなと。
やっと今までやってきたことに対して整理がついて、
これからどんどん新しい扉を開けていけばいいんだということにたどり着きました。

―――整理がついたというのは、宝塚を卒業して新たな道を歩き出すということを
再認識したというか、改めて自覚したということでしょうか。


そうですね。今回のショーを自分で作っているということもそうですが、
これからは自分の道を自分で切り開いていくという覚悟ができたという感じがします。
どの道が自分に向いているのかを考えて迷っているところがありましたし、
色んな物にチャレンジしてみたいという思いもありました。
宝塚時代は「次、これはどうですか?」と与えてくださる形であり、
今までの3年間もそういう時間だったのですが、これからはもっと自分で
扉を開ける勇気が必要だと思いますし、扉を開けていくからには自分がしなければいけないことも
増えていくという覚悟も生まれました。

―――タイトルが決まり、その次はどのようなことを?

こんなダンスを踊りたいというのをいくつか挙げてそれを繋ぐためにどうしようかなと考えました。
今まで出演したミュージカルや好きな曲を書き出して、こういう感じにしていこうかなと想像していきました。

―――初めて構成・演出を手掛け、何から始めたらいいのだろう?
と思いませんでしたか?


もう最初は、「分からないことが分からない!」という感じでしたね。(笑)
「何から始めてどのように進めたらいいのでしょう?」と音楽監督に相談したら、
「まず四角をいくつか書いてその中にどんな感じだということを書いていけばいいんだよ」と。

―――その四角の中にも小さな四角があるでしょうし、四角の周りにも書き足したくなって
どんどん大きな四角になっていくようなこともありそうですよね。(笑)


そうなんですよ。(笑)
四角の中を書いていって、四角の数を増やしたり減らしたりしながらやっています。
一度繋げてみて、やっぱりこうした方がいいとか、ああした方がいいとか考えてね。
台本も今、自分で作っています。

―――台本もご自身で書かれるとなると、やることが膨大ですね。

選曲もしなければいけないのですが、元々自分の中に曲のストックがあるわけではないので、
もう一日中、YOUTUBEやiTunesで検索しました。もう何万曲も聞きましたよ。

―――すごい曲数ですね。検索する時にはどうやって絞り込んでいったのですか?

ジャンルごとに責めたり、歌手名で調べたり。
そうやってたどっていくと、「他の人はこんな曲も聞いています」というのが出るので、
そこからまたどんどん広がっていって。
デスクワークってこんなに疲れるのね!!!!!と。(笑)
目も身体もガチガチになってきますよね。

―――なかなかそこまで根を詰めて探すことってないですものね。

そうなんです。やっと見付けても、曲が長かったり、短かったり、イメージが途中で違っちゃったり。
曲が決まったら英語の曲の場合、日本語の歌詞に書き換えないといけないですし。

―――歌詞も水さんが手掛けるのですか。スゴイ!

歌詞は出てくる時はすぐに沸いてきますが、
出てこない時は「この曲から私は何を書きたいの?」と自問自答です。(笑)

―――その歌詞はどういう発想で書いているのですか?

英語の曲を聞きながら、この場面は流れからいくとこんな感じだけど、
どんな言葉にしていけばいいんだろうと。
英語は何となく分かるという感じなので、内容と合った歌詞にする時もあれば、
曲のイメージだけで場面に合った歌詞にすることもあります。

―――その曲を紹介すると言うよりは、ショーの流れの中で魅せていくという形ですものね。

そうなんです。あとは、装置、衣裳、この場面は何人位が出演するということを考えて、
この装置は今ここにあるから、こっちの方からライトを当てたらいいのかな、と。
・・・やることが鬼のようにある。(笑)

―――同時に色んなことを考えないといけないところが大変ですよね。

こんなにやらなければいけないことがあるとは、知らなかったですね。
やってもやっても終わらないという。(笑)
ある程度やってみて、頭から聞き直したら、「ここ、これじゃ変じゃん!」というところが
出てくるから、またその部分を考える。

―――やってみて、大変さに気が付いちゃいました?

もう、偉いことに手を出したなという感じはありますよね(笑)。

―――でもこのショーは、水さんならではのものが出来上がりそうですね。

懐かしい曲を紡いだものでやって欲しいなと想像している方もいらっしゃると思いますが、
今回はほとんどが新たにやる曲なので、エンターテインメントとして楽しんでいただけるように
どこまで作り込めるかなと。

―――このショーが終わる頃には、その大変さもクセになり、
また新たなショーに向けて創作意欲が沸いてくるんじゃないですか?


どうでしょうね。(笑)
でも確かに、選曲していて今回のイメージには合わないけど、すごく好きな曲だなというのはあるんですよね。
そういう時に「これは次の機会に使おうかな」と頭をよぎって、
「あ、私今、次のことまで考えちゃった!」と思ったりしてね。

―――次のことを考えている自分が怖い!・・・と?

そうそう、あれはちょっと怖かった。(笑)

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―――今回初めて構成・演出をやってみて一番大変なことは?

全部自分で決めて行かなければいけないことですね。
最初は音楽監督や振付の方に、「こんな感じでどうですかね?」と相談していたのですが、
ある時「それは演出家が決めることだから」と言われて「私が決めるんだ!!」と気が付きました。
自分がGOサインを出した物が形になっていくということですよね。
宝塚時代も色々決めてきたつもりでしたが、仲間の意見を聞いてやっていたので、
今まで意外とそういう経験はなかったなと。

―――今回はみんなの意見をまとめるというより、
まずは一人で舟をこぎ始める感じでしょうか。


そうなんです。本当に一人でこぎ始めたけど、考えているうちに「これでいいの?」というのが
分からなくなってしまって、また知り合いの演出家に相談してみたら
「なかなかマニアックな曲を揃えましたね」と言われてそこで初めて
「私、マニアックな曲を揃えたんだ」と知ったのです。(笑)
そうなるともう少しポピュラーな曲も入れてみようかなと、また考え始める。
でも結局自分のやりたい世界はマニアックなところもあるので、それをどこまで残すかですよね。
自分の欲を半分にしてお客様が求める物を半分入れるのか、
今回は自分がやりたいことだけにした方がいいかもしれないし。
そういうのが分からないので、悶々と一人で考える訳です。(笑)

―――最終的にどこにたどり着くか、自分で決めなければいけないですものね。

この前、ある朗読劇を見て自分が好きな物が分かってきたなと思いました。
男役ではなくなり、色々な女性を演じることにより自分の好きな物は変わってきているんじゃないかなと
思っていたのです。例えば髪型だったり、選ぶ服装だったり。
でも、今回ショーを作っている過程で、「自分の好きな世界って男役の時と意外と変わっていないんだ」
ということに気付きました。

―――水さんの中で、再確認というか、自分を見つめ直す作品にもなっているのですね。

答えは自分の中にしかないから。助言はしてくれても決めるのは自分。人生も一緒だなと思いました。

前篇はこちら

 

構成・演出・出演 水 夏希

『SHOW Beyond the Door』

 

2013年9月14日(土)18:30

2013年9月15日(日)13:00/17:00

 

品川ステラボール

東京都港区高輪4-10-30

 

チケット:8500円(税込・全席指定)*未就学児入場不可

サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

 

お問い合わせ:AQUA 03-6228-4547

(平日11:00~18:00)

 

 

 

 
 

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