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ala Collectionシリーズvol.6 『秋の螢』製作発表 2013年09月

(2013年09月15日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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ala Collectionシリーズvol.6
『秋の螢』製作発表&可児市文化創造センター視察レポート

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▲写真左より、渡辺 哲、松本祐子(演出)、小林綾子、細見大輔、福本伸一、粟野史浩

公演について(公演資料より抜粋)

『人魚伝説』、『焼肉ドラゴン』などをはじめ、家族と人間の可笑しさや哀しさを書いて定評のある鄭義信。彼の幻の名作『秋の螢』が12年ぶりによみがえります。

都会の片隅にある忘れ去られたようなボート乗り場。そこに吹き寄せられたようにやってくる女と男たち。どうしようもない孤独を抱えているがゆえに優しく、可笑しく、そして切ない疑似家族ドラマ。家族の絆が薄れつつある現代にあって、本作はあらためて「家族とは」「絆とは」と問いかけます。演出は、初演に引き続き松本祐子。現代劇からミュージカルまで幅広い作品を手掛ける彼女が12年の時を経てどのような新しい『秋の螢』をみせるのか。

主演は、本シリーズvol.5『高き彼物』に出演し、キレのある演技で観客を魅了した細見大輔。数々のCMや映画、人情ドラマで活躍の渡辺哲、NHK連続テレビ小説「おしん」でおなじみ小林綾子、さらに福本伸一、粟野史浩が円熟した演技で脇を固めます。

<<<ala collectionシリーズとは・・・>>>

かつて評判となり、高い評価を得たのに、何らかの事情で再演されていない舞台を、岐阜県可児市でアーティスト・イン・レジデンスにてリメイクし、東京をはじめ全国に発信するプロジェクトです。演出家と俳優、スタッフが可児市に滞在し、舞台製作することで、地域の文化水準の向上や活性化にも資することが期待されます。今回、その第6弾として鄭義信さんの幻の名作『秋の螢』公演を初演と同様、文学座の松本祐子さん演出により再び生命を吹き込みます。

ala Collectionシリーズ詳細はこちら
http://www.kpac.or.jp/project/alacollection.html


STORY

タモツ(細見大輔)の父・文平(粟野史浩)は21年前に若い女性と駆け落ちし、以来タモツは伯父の修平(渡辺哲)に育てられた。二人は場末の貸しボート屋を細々と経営し、慎ましく幸せに暮らしていたが、ある夏の終わりの昼下がり、親子のように暮らす二人の下に、失業中のサトシ(福本伸一)が転がりこむ。それがあざなう波のたち始め。今度はお腹の大きなワケ有りのマスミ(小林綾子)が訪ねてくる。 都会の片隅に寄り合う、ごくごく普通で、ちょっぴりさびしがりやの女と男たち。 そんな4人が季節はずれのホタルに見たものは……。


製作発表が行われました(2013年9月5日/可児市文化創造センター演劇ロフト)

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▲可児市文化創造センター館長兼劇場総監督:衛 紀生
ala Collectionシリーズも6回目を迎えました。私がこの場所に来た年からしっかりしたものをやらなきゃということで始めました。今は新作主義ですので、いいものがたくさんあるのに眠ってしまっています。ala Collectionでは古い作品を再評価して命を吹き込もうと言うことで企画したシリーズです。自主製作事業の柱の他に、「ala まち元気プロジェクト」として、高齢者や乳幼児とお母さんたちのワークショップをやっております。この2本の柱でalaの経営が進んでおります。今回上演する『秋の螢』は、2001年に松本祐子さんが文学座で上演なさいました。良い作品でしたがそのまま再演されていませんでした。震災も経験したこの時代に、「家族」「絆」ということが言われておりますが、私がalaに来た時に絶対に事業の、そして会館のテーマにし、親近感をもっていただきたいと考えておりました。この『秋の螢』はそれにマッチした作品だと思います。芸術祭にも参加します。良い作品だなと皆様に思っていただけたらいいなと考えております。

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▲演出:松本祐子
2001年に文学座で上演した作品です。都会の片隅の忘れ去られたような寂れたボート小屋に訳ありな人たちが集ってきて疑似家族を形成していくようなお話です。鄭義信さんの作品は痛みを持った人に優しいんです。痛みや傷を時にはぶつかったりごまかしたり、癒やしたり癒やされたり、新たな傷も作りながら生きていくという作品で、人の営みの普遍的な部分を捉えているものが多いと思います。『秋の螢』もそういう作品の流れだと思います。笑ってちょっとほろっとして、普段は恥ずかしくて人前に出せない心のモヤモヤを登場人物が出して、他者によって癒やされていく様子をご覧になり、見て下さる皆様の負担が軽くなったり、癒やされたりしたらいいなと思います。今回、粟野史浩君は同じ文学座の人間ですので何度かご一緒していますが、それ以外の方は初めてです。個性的で熱心なキャストが集まってくださったので、楽しい稽古場です。見終わった後に家族に電話しようかなとか、ちょっと忘れていた繋がりを大事にしたいなと思っていただけるような作品にしたいと思います。

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▲細見大輔 井上タモツ役
僕は昨年に続いて可児にお世話になっております。前回も可児のあちらこちらを散策致しまして、自然が多くて人が温かく、生活していくのに素晴らしい環境だなと思っております。ala Collectionシリーズは役者にとってとても意義があり、稽古や芝居に集中できるこのような環境は東京ではなかなか実現できないなと思い、それをやり続けて下さっているalaの方々に感謝致します。今年もこの場所で1ヶ月半を過ごすわけですが、芝居の素晴らしさを伝えていくこともそうですが、可児でこういうことをやっているんだということを地方各地に伝えて、可児の風を吹かせていけたらと思います。この芝居を見終わった後、自分に繋がりがある誰かのことを思い、考えていただけるような温かい芝居にしていきたいと思います。

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▲小林綾子 小林マスミ役
今回初めてのことがたくさんあります。一つ目は、可児市に来たのが初めてです。緑豊かで人も温かく、こんなに素晴らしいところなんだと感動致しました。これからまだ時間があるので色々なところを訪れて楽しみたいと思います。2つめは、このような役柄が初めてです。マスミという役は一見がらっぱちなのですが、深い傷を負っているけれども、元気さや明るさで逆に表現しているという役柄です。どちらかというと今までは誠実でとか、清楚でとか、辛抱強くてという役が多かったので、今回は全然辛抱していないですね(笑)。どちらかというとさらけ出しているので、こういう役柄に挑戦できることの喜びを感じています。キャスティングしていただいたことに感謝しています。可児市で1ヶ月半過ごすということも初めてです。今まで商業の舞台ですと、じっくり芝居の稽古にこれほど長い期間取り組むと言うことをやったことがなかったのです。昔からこういう物作りに参加したいと思っておりましたので、このような機会をいただき感謝しております。その成果が出せるよう、皆様と協力して作って行きたいと思っております。皆さん、観に来て下さい。

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▲渡辺 哲 井上修平役
最初にこのお話を聞いて、6週間この場所に居るのは嫌だなと正直言って思いました。僕、愛知県出身ですから。それで台本を読んだ時に、やばいと思いました。自分の置かれている状況、考え方、生き方を考えて、俺は何をやっているんだろうとひしひしと感じるセリフが多くて、参ってしまいました。これは絶対にやらなければいけないと思いました。こちらの可児市に来たら、alaの方が皆さん親切で、自然もあるし、稽古も非常にいい環境で出来ているので、本当に嬉しいです。こういう経験は初めてですが、いいプロジェクトに参加させていただいているなと思います。芝居は今作っていますが、人生を考えさせられるセリフが多いのでかなり戸惑っています。ご覧になったお客様が何か心に留まるようなセリフや生き方を、感じていただけたらいいなと思います。この作品で自分を思い出すようなことが出来るんじゃないかと思っております。是非ご覧になっていただきたいです。

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▲福本伸一 吉田サトシ役
可児市は初めてでこの町に対するイメージはなかったのですが、本当に素晴らしいところでありがたいことに自転車を借りてあらゆるところをまわっております。木曽川が大好きになってしまいました。稽古はものすごい密度でやっております。僕も半世紀生きてきて、人としても役者としても考える時期ですが、可児に来て少人数で稽古していることが自分にとっての癒やしであり、次へのステップに繋がるものだなと思います。明らかに来たときと東京に帰るときでは、ちょっと違っているだろうなと言うのが既に見えております。この芝居自体も観に来てくださる方に、ちょっとでも癒やしになればいいなと思っております。

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▲粟野史浩 井上文平役
可児市には5月に公演で来ましたが3日位しかいませんでした。今回は8月24日からこの町に根付いて芝居を作っております。非常に良い町です。先日お店に行きTシャツを買おうかなと思った時に地元の方と話しました。今回この芝居はうちの文学座で2001年に上演し、その時僕は見ていました。見ているものを自分が演じる時は、なぞるのは嫌なので新しい物を作って行こうという心がけでやっていこうと思っております。キャストも個性的です。稽古が終わる頃になると、帰って自炊するのか飲みに行くのかを探り合っております(笑)。そんなメンバーとやっております。こうご期待です。宜しくお願いします。

この後の質疑応答では、可児市の魅力や市民サポーターの存在のありがたさ、脚本の魅力などについて語られました。

可児市文化創造センターを視察しました



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▲可児市文化創造センターの外観。芝生が広がり、自然光をたくさん取り込めるよう工夫された建物です。
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▲市民サポーターのみなさんによる、手作りの公演告知看板。
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▲主劇場〈宇宙のホール〉は座席が赤で華やか。客席総数:1019席
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▲小劇場〈虹のホール〉は多彩に変化できる魅力的なホール。客席総数:311席(前舞台使用時:221席)
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▲隣接した場所に大道具などを創作できる部屋があるので、
寸法や手直しなどもすぐに行えます。劇場のすぐ脇にこのような専門部屋があるのは珍しいそうです。
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▲一般の方が使用できる木工作業室には大きな機材もたくさん。
工具も揃っているので日曜大工をしに毎週訪れる方もいるんだとか。
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▲楽器の練習を使用できる部屋や、映像シアター、音楽ロフト、演劇ロフト、
美術ロフトなど様々な催しに対応できる作りになっています。
写真は演劇練習室。鏡もあって使いやすそう。何と稼働率100パーセント!!

視察をして感じたのは、建物を作る段階で色々と人が集う工夫がなされていたこと、
そしてそのハード面だけでなくソフト面にも力を入れ、
「地域に根ざした可児市文化創造センターならではのおもてなしの心」で
利用者を迎え入れていることが施設が活性化しているカギだと思いました。。
まさに「東京五輪」がテーマのひとつに掲げた「おもてなし」の精神を
随分前から実践なさっているのですね。その結果、多くの人が集う拠点に
なっているところが素敵だなと思いました。

 

ala Collectionシリーズvol.6

『秋の螢』

 

作:鄭義信

演出:松本祐子

出演:細見大輔、渡辺 哲、小林綾子、福本伸一、粟野史浩

 

可児公演

2013年9月28日(土)~10月6日(日)

可児市文化創造センター・小劇場

 

東京公演

2013年10月10日(木)~10月16日(水)

吉祥寺シアター

 

地方公演

【徳島】10月23日 【盛岡】10月26日 【栃木】10月29日 【長岡】10月30日

 

http://www.kpac.or.jp/collection6/

 

 

 
 

情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。

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