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スタジオライフ『LILIES』開幕 2013年11月

(2013年11月26日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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スタジオライフ『LILIES』
開幕しました

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公演について(公演資料より)

全員男性の劇団「スタジオライフ」の珠玉の名作4回目となる再演、開幕 脚本と演出を手掛ける倉田淳を除き男性だけで構成され、「耽美派」の劇団として女性ファンを中心に絶大な 支持を集める劇団スタジオライフは、代表作である「LILIES」(原作:ミシェル・マルク・ブシャール) を4 年ぶりに再演しています。 1996 年にカナダで映画化もされ、世界各国で数々の映画賞を受賞した愛の名作「LILIES」を倉田淳が類ま れな脚色力でアレンジ。2002 年の初演以来、少年同士の純愛と人間ドラマを描いたストーリーの奥深さはもち ろん、女性役も全員男性が演じるという同劇団独自の表現手法と美しく耽美な世界観が話題を呼び、前回紀伊国 屋ホールで公演を行った際は当日券を購入するために100 名以上のお客様が行列を作るなど大きな話題となり ました。カトリックの戒律の厳しさと純粋な愛との葛藤を描いたカナダ戯曲の名作を、今回新たに起用した同劇 団の若手俳優たちがエネルギッシュに演じます。また、2011 年に文学座アトリエ60 周年記念三作品連続上演 企画(『トロイアの女たち』『カラムとセフィーの物語』『ダーウィンの城』)で第18 回読売演劇大賞優秀スタッ フ賞、第38 回伊藤熹朔賞新人賞を受賞するなど各界から高い評価を得ている美術監督の乘峯雅寛氏を新た に迎え、舞台美術デザインを一新。同劇団ならではの耽美な世界観とともに新しい「LILIES」をお届けします。


『LILIES』 STORY・CAST

1952 年、カナダ郊外の刑務所。囚人たちの告解を聞くために訪れたビロドー老司教は 突然、看守や囚人たちに監禁される。そして、彼の目の前で囚人シモンの計画による囚 人達の手の込んだ芝居が始まる。そこには40 年前の自分の姿があった。奔放な少年シ モンと惹かれ合うヴァリエ。そんなふたりに嫉妬心を抱くビロドー。修道院で出会った少年 達に何があったのか―。封印された過去の悲劇がよみがえる。

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スタジオライフとは

1985 年結成。1987 年から、男優が女性役をも演じるという手法をとり、現在は男優40名、女性演出家・倉田淳1 名のみで構成されている演劇集団。その耽美な世界観と、演出家 倉田淳の独創的な脚色力と美しく繊細な舞台演出が話題を呼び、20 代~40 代の女性を中心に圧倒的な支持を得ている。1996 年2 月の「トーマの心臓」(原作萩尾望都)初舞台化の成功を機に、萩尾望都作品や「ヴェニスに死す」(原作 トーマス・マン)、「死の泉」(原作 皆川博子)等の文芸耽美作品を始めとし、人の心の機微を深く追求する作品を精力的に上演している。劇団創立20 周年を迎えた2005 年には直木賞作家・東野圭吾の「白夜行」を2 部構成で初舞台化し大好評を得た。2006 年には長年の念願だったシェイクスピア作品「夏の夜の夢」を上演し大成功を収め、以後「ロミオとジュリエット」、オリジナルの楽曲を使ったわかりやすいシェイクスピア作品を目指した音楽劇「十二夜」や「じゃじゃ馬ならし」を上演。2014 年には結成30 周年を迎える。

脚本家・演出家 倉田淳について

倉田淳より、「LILIES」再演に際してのコメント
「今、恋をしたい人達に贈る愛の試練――
愛に飢えた人達は純愛の価値に気付き、それを求める。この物語に登場する三人の男達はみな孤独であり、愛を求めている。彼等は想う相手にそれぞれの優しさを与える。その優しさはクリスタルライズされた愛の優しさだ。どこまでも清々しく透明さに満ちている。しかし返ってくるのは毒々しい残酷さに満ちた嫉妬の影。あなたなら、どんな嫉妬を返しますか?」

【略歴】
東京都出身。スタジオライフの脚本家兼演出家。
1976 年 演劇集団「円」研究所の第一期生として入所、芥川比呂志に師事、80 年まで演出助手を務める。1985 年河内喜一朗と共にスタジオライフを結成。1996 年の萩尾望都原作『トーマの心臓』を上演するまで殆どのスタジオライフの作・演出を手掛ける。近年はロンドン最新演出『レ・ミゼラブル』の映像・美術を担当したマット・キンリー、デザイナーの宇野亞喜良、BUCK-TICK の今井寿や作曲家の村井邦彦などの一流アーティストをスタッフに迎えて重厚な舞台作りを行っている。 又、英国の演劇事情にも通じており、’97 年よりロンドン、ニューヨーク、日本で日本人俳優のためのアクターズ・スタジオ正会員講師によるワークショップも企画、開催している。

ゲネプロレポート(文:大原 薫 写真:スタジオライフ提供)

男性だけの劇団スタジオライフが4年ぶり4度目の公演となる『LILIES』を開幕。緊張感ある舞台は一瞬たりとも目を離すことができない。繰り広げられる人間ドラマを繊細に描きながら骨太にテーマを伝えて、スタジオライフの代表作というべき傑作となった。

『LILIES』はカナダの戯曲家ミシェル・マルク・ブシャールの作品で、『百合の伝説 シモンとヴァリエ』という題名で映画化され、世界各地で上演されている名作。1952年、カナダ郊外の刑務所を訪れたビロドー老司教は突然、看守や囚人たちに監禁される。そして囚人シモンの指示によって、ビロドーの目の前で囚人たちの芝居が繰り広げられる。その内容は40年前のシモン、ビロドー、そしてシモンを愛するヴァリエをめぐる事実を再現するものだった。40年前彼らに何が起きたのか、そしてシモンはなぜ40年も収監され続けたのか……。隠された過去が明らかになる。

上演台本・演出を担当する倉田淳の、作品世界の奥底まで追い求める姿勢は初演時から変わらない。だが今回は美術デザイナーの乗峯雅寛氏を迎えて新たな美術デザインに変更し、主役のシモンとヴァリエに若手キャストを抜擢するなど、演出を一新した。閉ざされた監獄を思わせる、黒を基調とする舞台空間。舞台右手側の桟からはわずかな光が透かし見える。空間上方に見える木枠は天窓を象徴するものだろうか。息詰まる状況の中でもはるか彼方には「希望」や「愛」が存在するのを感じさせる、イメージ豊かな舞台美術が『LILIES』の世界観を確かに映し出す。

作品の構造は1952年の囚人たちが40年前の出来事を演じるという劇中劇の形を取る。囚人たちが「真実を知りたい」という老シモン(1952年のシモン)の熱意に打たれて、彼が演出する一世一代の「芝居」に出演するという形だ。この構造を舞台で体現できるのはプロデュース公演でなく、劇団として演劇活動をしているスタジオライフならではだろう。老シモン役をベテラン役者が演じて若手をリードしていくことで、「老シモンの元に結束する」という劇中構造が現実のものとなった。出演者が小道具などを手作りし、舞台転換も行っているのは、劇中の囚人たちと同様だ。出演者たちがまさに一丸となって取り組むことで、力強くメッセージを伝える舞台となった。

作品の根幹を担うのは、シモンとヴァリエの純愛だ。当時のカナダはカトリックの戒律が厳しく、同性愛は教義に反するものとして固く禁じられていた。様々な障害や偏見に押しつぶされそうになりながらも、二人は魂と魂が求めるようにして激しく結びつく。そして、彼らに嫉妬する少年ビロドー。トリプルキャストのうち、筆者が観劇したSebastiani チームではシモン役を仲原裕之、ヴァリエ役を松村泰一郎、ビロドー役を鈴木智久が演じている。今までの上演時とは違って同年代の役者を揃えることで、3人が織りなすトライアングルがより明確になった。4年前の上演時に4回だけ演じたシモン役に再び取り組む仲原は確かな成長の跡を見せて、閉塞された土地から抜け出したいという思いやヴァリエへの揺れ動く心情を細やかに表現した。前作『カリオストロ伯爵夫人』でアルセーヌ・ルパン役に抜擢された松村が再び大役に挑む。まっすぐな愛情を見せるヴァリエを瑞々しく演じた。鈴木のビロドーは複雑な心理描写を見せる。ポケットに手を入れる姿に本心を人に見せまいとする彼の心理が浮かび上がる。

シモンとヴァリエの純愛を中心に描きながらも、彼らを取り巻く人間たちのドラマをより深く描き出しているのが今回の上演のポイントだ。老シモンをSebastiani チームで演じるのは笠原浩夫。『DRACULA』『PHANTOM』など様々な作品で主演する笠原は輪郭のはっきりした芝居で、シモンの越し方を映し出す。老ビロドー司教を演じるのは3度目となる船戸慎士。ビロドーの口には出さない心情がつぶさに伝わる演技が作品に奥行きを与えた。そして、女性役の二人。シモンに恋する年配女性、リディアンヌの曽世海司とヴァリエの母、ティリー伯爵夫人の青木隆敏。男性でありながらここまで赤裸々に女性の心理を描写できるのは、女性である倉田の演出のたまものだろうか。曽世は自分を愛さないシモンを愛してしまった苦しみからほとばしる暗い情念を、青木は現実を直視できず、嘘をつかないと生きていけない女性の哀しみを、それぞれ浮き彫りにする。特に、最後の覚悟を決めたティリー伯爵夫人とヴァリエが「狐狩り」に行く場面は親と子という人間の根源の関係を深く、そして衝撃的に描いて、激しく心揺さぶられるシーンである。曽世、青木の二人がこれまで演じてきた女性役の経験が生きて、近年流行の「オール・メール」(男性キャストのみ)の舞台とは一線を画する「男性が演じる女性役」の新たなメルクマール(指標)となった。

今回の『LILIES』上演はトリプルキャストでの上演となる。上記のSebastianiチームの他に、2012年入団の鈴木翔音と藤森陽太がシモンとヴァリエを演じるMarcellienチーム、そして仲原がシモンを演じ、ヴァリエ役が公演当日のキャスト発表となるErigoneチームがある。稽古もチームごとに別々に行い、異なる演出が見られるなど、それぞれのチームの特色が明確に出るトリプルキャストになっている。緊密に作り上げられた舞台からは、マイノリティとして虐げられた者に優しく寄り添う倉田の視線が感じられる。愛とは何か、そして、自分たちが持つ常識や規範が本当に正しいものなのかどうか……見終わった後に深い余韻を残す舞台だ。

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製作発表記事  http://enterminal.jp/2013/10/studiolife-lilies/

 

スタジオライフ

『LILIES』

 

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原作:ミシェル・マルク・ブシャール

上演台本・演出:倉田 淳

 

期間: 2013 年11 月20 日(水)~12 月8 日(日)

会場: シアターサンモール

 

http://www.studio-life.com/stage/lilies2013/index.html

 

 

 
 

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