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歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』 中村吉右衛門さんが思いを語りました 2016年08月

(2016年08月18日記載)

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歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』 
中村吉右衛門さんが思いを語りました

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歌舞伎座九月恒例の『秀山祭九月大歌舞伎』(公演資料より)

初代中村吉右衛門生誕130年
二代目吉右衛門襲名50年
記念すべき2016年の秀山祭が今年も歌舞伎座で上演!!

「秀山祭」(しゅうざんさい)とは、中村吉右衛門(なかむらきちえもん)の養父である初代 中村吉右衛門の芝居に対する姿勢と演出をたたえ、ゆかりの芸の研鑽と伝承を中心に据えた公演で、初代吉右衛門の生誕120年であった平成18年から、祥月の九月に行われている公演です。

初代吉右衛門は、時代物、世話物を中心として現在でも上演される多くの演目の型を作り上げました。特に役の心情を表現する迫真の演技、台詞の巧みさ、調子の良さは特筆されるものがあり、明治末期から大正、昭和と近代の歌舞伎を代表する名優として多くの業績を残しています。また、初代吉右衛門は高浜虚子が称賛したほどの俳人でその俳名(俳句を詠む際の名)が『秀山』であり、それが『秀山祭』の興行名の由来となっています。

上演にあたっては、初代ゆかりの演目が並び、当代 吉右衛門をはじめ播磨屋にゆかりある俳優が揃い、ほか豪華俳優たちが華を添えます。

特に今年は、初代中村吉右衛門生誕130年、また当代(二代目)中村吉右衛門が吉右衛門の名前を襲名してから50年の記念すべき「秀山祭」となります。

昼の部は初代吉右衛門が得意とし、当代も何度も演じている『一條大蔵譚』の一條大蔵卿長成、夜の部は初代も演じ、自身も度々演じた『吉野川』の大判事清澄を勤めます。
夜の部の『吉野川』の歌舞伎座での上演は9年ぶりで、通常の花道に加え、この演目は、上手にもう1本の仮花道を設置して上演します。舞台中央から客席を川に見立て、川を挟んでの恋と義に殉じる若者と、互い子を思いながらも、逃れることのできない悲劇へと行き着く親たちを重厚に描き出す時代物の名作です。吉右衛門の大判事、その息子に市川染五郎の久我之助、太宰家の後室定高に坂東玉三郎、その娘の雛鳥に尾上菊之助という大顔合わせでの上演となります。

中村吉右衛門が歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』にかける思いを語りました(2016年8月5日)

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―――今回の秀山祭のみどころをお願いします。

『碁盤忠信(ごばんただのぶ)』は、初代とゆかりのないように思われますが、
明治時代に初代が手掛けています。初代はものすごい数のものを手掛けておりまして、
私はまだその中の3分の1もやっていないぐらいです。今回は染五郎くんがやってくれます。

『太刀盗人(たちぬすびと)』についてですが、初代は踊りのものがあまりないのです。
六代目菊五郎や坂東三津五郎という踊りの名手がいましたので、遠慮していたようです。
今回は播磨屋である中村又五郎くんにあてた狂言として、初代に捧げるという意味合いです。

『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』の播磨屋の型は初代が作り上げたものです。
違うやり方のものもございますが、『ハムレット』のような心境を取り入れた大蔵譚は初代の型であり演出です。
中村勘三郎のおじさまに伝わり、私に伝わりやっております。私も10何回も演じさせていただきました。
やればやるほど面白み、工夫など初代のことを考えさせられます。
役者が楽しんでやらないといけないような芝居だなと、この頃切に思っております。
秀山祭では初めてやることになります。

『吉野川(よしのがわ)』は両花道を使った大変な狂言です。
歌舞伎座がこの狂言に打ち込む気迫がお分かりいただけると思いますし、こちらもそれに応えなければなりません。
何回かやらせていただきました。一番最初に六世歌右衛門のおじさまの太宰後室定高で大判事清澄を勤めさせて
いただいた時には、幸四郎の兄と中日(なかび)で交代し、月の後半を私が勤めました。
兄は実父から教わり初代の型でやると思いましたので、私は尾上松緑のおじから教えていただきました。
その時はその型でやりましたが、今回は秀山祭でございますから、実父の松本白鸚の型、
つまり初代吉右衛門の演出、型でやらせていただこうと思います。
今までやってきたものを変えてやるのは不安もございますが、秀山祭でございますから初代の型をお見せするのも
一つの目的かと思います。美しい川が流れ、桜が爛漫と咲いた若い人たちの悲劇。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』のようだ、とも言えるんじゃないかなと思います。

『らくだ』は落語にもある喜劇です。こんなばかばかしいお話もありませんが(笑)
そこをどう演じるか。紙屑買久六という気の弱い人が酒を飲んでやくざより気が強くなる、
そういう変わり目を、染五郎くんがどのように表現するかが楽しみでございます。
駱駝の馬吉はただただ死んでいる役でございます。今回は亀寿さんがやられます。
昔いた荒次郎さんというは、いい味の役者というのはこの人のことかなと思うような方でした。
荒次郎さんが駱駝の馬吉を演じた時には、酔った久六が死体を踊らせるところがあり、そこがとてもおかしいやら、
なさけないやらで、荒次郎さんが演じた姿が今でも目に焼き付いています。今回は亀寿くんが
どういう風にやってくれるか楽しみです。

『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』は、玉三郎さんにお任せして
若い人たちを引っ張ってもらい、美しさでお客様をうっとりさせていただけたらと思っております。

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―――初代が生まれて130年、初代中村吉右衛門への思いは?

秀山祭をなぜやるかというと、検証しその価値を見直して称賛するという意味もございます。
初代にまつわるものをやればやるほど、偉大さを感じます。とてもかなわないものという面もありますが、
なんとか足元にすがりつきたい、辿りつきたいという気持ちがございます。
私自身、秀山祭も回を重ねるたびに為になっているなと感じます。
(役者は)まだ足りないまだ足りないという気持ちがなくなるとおしまいだと思います。
秀山祭のたびに、まだ足りないまだ足りないと思えるというのは、
本当にありがたいことをやらせていただいているんだなと思います。

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―――二代目中村吉右衛門襲名から今年で50年、半世紀を振り返って今の思いを。

この50年は早かったですね。国立劇場さんと同期なんです(笑)。
正直なところ半世紀、そんなになるのかというのが実感でございます。
もう追われて追われて追われて、たたかい続けて50年という感じでございまして、振り返る時間はなかったですね。
これでひと段落して、振り返る時間があるかもしれませんが、これからも前を見てやっていこうと思います。

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▲お弟子さんの中村吉之助さんが名を改め中村吉之丞となります。

 

歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』

 

公演日:2016年9月1日(木)~9月25日(日)

会場:歌舞伎座

 

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/493

 

 

 
 

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