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市川月乃助が初代喜多村緑郎の墓をお参りし、襲名を報告しました 2016年08月

(2016年08月13日記載)

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市川月乃助が初代喜多村緑郎の墓をお参りし
襲名を報告しました

公演について(資料より)

市川月乃助改め 二代目喜多村緑郎 襲名披露
「九月新派特別公演」


【昼の部】

川口松太郎 作/成瀬芳一 補綴・演出

一、振袖纒(ふりそでまとい)

芳次郎:尾上松也
お喜久:瀬戸摩純
彦兵衛:立松昭二
おつね:伊藤みどり
番頭竹蔵:田口 守
鳶国松:市村新吾
お徳:市川春猿
藤右衛門:市川猿弥


  二代目喜多村緑郎襲名披露

二、口上

月乃助改め 喜多村緑郎
幹部俳優出演


北條秀司 作/大場正昭 演出

三、深川年増(ふかがわどしま)

三十助:月乃助改め 喜多村緑郎
およし:英 太郎
仙兵衛:佐堂克実
お国:尾上徳松
おちよ:山吹恭子
貴婦人:英 ゆかり
小間使:鴫原 桂
伊之助:市川猿弥
おきん:水谷八重子


【夜の部】

  二代目喜多村緑郎襲名披露

一、口上

月乃助改め 喜多村緑郎
幹部俳優出演

泉鏡花 作/成瀬芳一 補綴・演出/大場正昭 演出

二、婦系図(おんなけいず)

―初代喜多村緑郎本に依る―

早瀬主税:月乃助改め 喜多村緑郎
お蔦:波乃久里子
掏摸万吉:尾上松也
めの惣:田口 守
おます:伊藤みどり
芸者綱次:石原舞子
河野とみ子:高橋よしこ
河野英臣:市川猿弥
河野英吉:猿琉改め 喜多村一郎
河野菅子:市川春猿
酒井妙子:春本由香
酒井俊蔵:柳田 豊
柏屋小芳:水谷八重子


墓前報告・囲み取材(2016年8月10日)

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蝉が鳴く中、雑司ヶ谷霊園にて市川月乃助が初代喜多村緑郎の墓をお参りし、襲名を報告しました。

―――どのような気持ちでお参りなさったのでしょうか。

去年の5月14日に松竹株式会社様の方から喜多村先生のお名前を継ぐと言っていただきまして、
2日後の5月16日が先生の御命日だったので、その時に初めて先生のお墓をお参りしました。
その後もお盆や新派入団会見の前日、月乃助最後の舞台の稽古初日など、そのたびにお参りして今日で5回目になります。
これから稽古が始りますので、次に来るのは襲名が終わった後になると思います。
今はとにかく2代目として先生のお名前を継がせていただく身といたしましては、
「どうかこの後もお見守りください。天からお導きください」とお願いいたしました。

―――今日のネクタイは、やはり緑郎先生のお名前から。

そうですね。今まで一枚も持っていなかったのですけど、今回の襲名を機にネクタイ、ポケットチーフ、
数珠入れと、緑色で揃えました。屋号も緑屋になるので、緑色のカラーを大事にしていこうかなと。

―――サインの練習はしましたか?

まだなんですよ。月乃助のサインも書家から習ってやっと書き慣れてきた頃に名前が変わるので、
また練習しないといけないですね。これまで襲名の準備に時間がかかりお芝居の稽古もなかなか出来なかったのですが、
これで一区切りついたのでお芝居に全力投球したいなと思います。

―――2011年に劇団新派に初参加なさった時に「新派のお芝居好きだな」と思ったと、
襲名会見でおっしゃっていましたが、新派の魅力をどのように感じていますか?

2011年に初めて参加したのをひとつのきっかけに、実際に新派に入ろうと思ったのは2013年の『婦系図』早瀬主税を
演じた時です。新派は僕の中では歌舞伎とはなんら変わりなく、そう言う中で最初に共演した時、
波乃久里子さんから毎日のように(新派に)誘っていただいたことや、毎年新派の作品に参加する中で
新派に情が移ってきたという気持ちがあります。(新派は)いい作品がたくさんあるのにやる場所がないということに
新派のみなさんと危機感を共有出来たこと、これが一番新派に入ろうと思った理由です。
新派の魅力は必ずご覧になったら2回3回とご覧いただけると思いますので、
とにかく観ていただくためにどうしたらいいかを考えていきたいです。

―――これから喜多村緑郎の二代目像をどのように創り上げていきたいですか?

8月4日5日に大阪でキャンペーンで行いました。その前日の2日の大安の日に
師匠(市川猿翁)の所に襲名の挨拶に参りました。
その数日前にはNHKで喜多村先生のVTRをいくつか流していただきましたが、
うちの師匠は喜多村緑郎先生の芝居を生で見たことがあるらしく、その画像を見て思い出して、
改めて先代の喜多村緑郎先生はこういう方だったんだというのをそのNHKの番組を見て思い出したと
おっしゃっていました。「でも、あなたは先代像を追わなくていい。あなたは市川段治郎、市川月乃助の延長線上に、
新しい喜多村緑郎像を作っていきなさい」と言っていただきました。
僕は女方の経験はほぼありませんが、先代は女方ですし、その点は僕も師匠と同じ考えでいたのですが
師匠にもそう言っていただいて、全くの曇りなく襲名に臨めるなと思いました。
喜多村緑郎というお名前を継がせていただくお話を松竹さんからをいただいた時から
その意味を自分なりに考えて参りました。現存する新派の古典である
『日本橋』『婦系図』『不如帰』『滝の白糸』など他にもたくさんの芝居がありますが、
有名な狂言のほとんどが喜多村緑郎先生が演出なさったということで、新派にとって喜多村緑郎という名前が
象徴と言う位置づけにあると思います。僕も新派の精神を喜多村緑郎先生を通して僕が継がせていただくという気持ちです。
その中で2代目の像を作っていかなければいけないし、出来ていくんだろうなと思います。

―――先代の喜多村緑郎先生の素晴らしいところと、もし生きていたらどんなことを聞きたいですか?

僕が生まれる8年前に亡くなっていますので、国立劇場に残っているような映像でしか先生の姿を見たことはありません。
いろんな方のお話を聞いたり文献を読んだりして想いを馳せるんですが、喜多村緑郎先生は女方でも発声法も男の声ですし
変に女をつくらないのに、そこに役として存在しているんです。これまで玉三郎さんや他の方からご注意を受けた時、
ああこのことだったんだなと、喜多村緑郎先生の映像を見て思いました。喜多村緑郎としてではなく、
超越した何かを発しているのが映像からも伝わってきました。雑念なくそこに存在するというのは
役者を志しているものはみんな究極の目標なので、そこにどれほど近付けるかは分かりませんが、
一歩でもそこに近付くために精進していきたいです。
もし喜多村緑郎先生が生きていらしたらお名前を継ぐ位ですから、24時間一緒にいてご指導を仰ぎたいですよね。
僕が師匠(猿翁)を追いかけて来たように、同じことをするでしょうね。

―――襲名に際して奥様(元宝塚歌劇団 貴城けい)さんはどのようにおっしゃっていますか?

一番最初に相談したのは妻でした。歌舞伎から新派に行くということで最初は反対されるかなと思いましたが、
(普段は芝居のことはあまり話さないのですが)怪我のことや僕のことを見ていて「とってもいいことなのではないか」と。
ちょっとめんくらった部分もあったのですが、妻も後押しをしてくれたのがすごく嬉しかったです。
師匠にも同じことが言え、さみしい顔をなさるんじゃないかと思い、もろ手を挙げて喜んでくださるとは
思っていなかったのですが、「ブラボーブラボー」と最初にOKサインを出してくださいましたので、
非常に意外でした。師匠は「あなたは新派の2枚目に向いている、新国劇に向いている」と
20数年前からおっしゃってくださっていました。「これからも猿翁の弟子であることに違いないし、
この後もその絆は途切れることはないのだから、僕はいつまでもあなたの応援をしていますよ」と、
新派に移籍をする決意を申し上げた時も、今月ご挨拶に伺った時も、同じことを言っていただきました。
妻も師匠も背中を押してくれたので、僕としては心強い限りです。

―――リオ五輪開催中ですが。

襲名の準備をひとりでやっていたので、ここのところ休むことなくその準備を進めて参りました。
オリンピックも高校野球も大好きなのですが、今年はいつの間にか開会式が終わっていました。
想い出に残る夏になるんだろうなと思います。

―――金メダル候補の方もいますが期待しているのは。

体操もちらっと見ましたが、金メダルが取れるというのは余計緊張しますよね。
みなさん、日の丸を背負って重責を担っていらっしゃるので、国を背負っている皆さんとは違うかもしれませんが、
喜多村緑郎先生のお名前を継ぐ僕も今回、人ごとに感じられないです。
金メダルを取るというのは鬼気迫る感じでいらっしゃるでしょうし・・・
あまりプレッシャーかけないで欲しいなという思いがあります(笑)。



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▲市川猿琉も喜多村一郎に名を改めます。

 

市川月乃助改め 二代目喜多村緑郎 襲名披露

『九月新派特別公演』 

 

【東京公演】

2016年9月1日(木)~11日(日)新橋演舞場

 

【大阪公演】

2016年9月17日(土)~25日(日)大阪松竹座

 

http://www.kabuki-bito.jp/news/3217

 

 

 
 

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あらかじめご了承下さい。

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