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朗読活劇レチタ・カルダ『天と地と』~上杉謙信の生涯~ ご出演
石丸幹二さんにインタビューしました
レチタ・カルダを直訳するとイタリア語で「情熱的な朗読」という意味。
朗読・芝居・音楽が織り交ぜられて進行する新たなジャンルの舞台、それが朗読活劇です。
今までに、大沢たかお、要 潤、早乙女太一、坂本真綾、別所哲也、新妻聖子の出演で公演が行われました。
今回は、戦国武将「上杉謙信」を題材にした作品が、池上本門寺本殿特設ステージで上演されます。
時代に愛され、翻弄された男。
時代を疾風のように駆け抜け、そして散った男。
己の信念のまま時代の流れにあらがいながら、儚くも砕け散った男。
「天と地と」という作品を通して、
「日本とは?」「日本人とは?」「男とは?」という普遍的なテーマを追求します。
<出演者>
◆語 り:石丸幹二
◆演 奏:スパニッシュ・コネクション
愛媛県出身。幼少の頃より様々な楽器に触れ、東京音楽大学音楽学部器楽科でサックスを、東京藝術大学音楽学部で声楽を学ぶ。90年『オペラ座の怪人』(劇団四季)で舞台デビュー。その後、数々の作品に主演し、07年退団。09年の復帰後は、舞台、映像、音楽と、活動の幅を広げている。10年には初のソロアルバム発売、ソロコンサート開催と、音楽活動も本格的にスタートした。 12年、『G・G・R グレンリャリー・グレン・ロス』のリチャード・ローマ役、『GOLD~カミーユとロダン』のオーギュスト・ロダン役、『ジキル&ハイド』のヘンリー・ジキル役とエドワード・ハイド役の演技に対して、第三十七回菊田一夫演劇賞を受賞。NHK「石丸幹二のシアターへようこそ」ナビゲーション(毎月曜日 ラジオ第1:21:05~21:55、FM:23:00~24:00)も担当している。
―――今回、「天と地と」を題材にした朗読活劇にご出演なさるそうですね。
今の段階でどのようなイメージをなさっていますか。
具体的な役作りは台本が届いてからになりますので、今は上杉謙信がどのような人物なのかを調べながら、想像しているところです。資料を読んでみて、謙信がどれほど優れた存在であったかということに驚いています。たくさんの戦にも参加していたようですが、ほぼ勝ち戦をしている。現代の日本で、上杉謙信が身近にいたらどうなるんだろう?ということを考え、舞台上でどんなふうに存在したら彼らしいかと探っているところです。
―――今日、会場となる池上本門寺を訪れ、感じることはございますか。
今日改めてこの場所を訪れて感じたのは、あわただしい東京都内にありながら緑豊かで心が静まる素敵な所だということです。
前回、別所哲也さんが演じられたレチタ・カルダ『義経』をここで拝見しましたが、こういう場所で朗読活劇をやるというところにすごく大きな意味が出てくるんじゃないかと思います。屋外ですから、おそらく自然と音楽と観客を感じながら演じることになるでしょう。まだぼんやりとではありますが、少しずつイメージが沸き始めています。僕自身、こういう環境での朗読に楽しみがつのっています。
―――背景に本堂を感じながら演じるというのはなかなか無い経験になりますね。
そうですね。ましてや、上杉謙信という人は仏門に入っていらした方ですから、本堂の前で演じるということが、生かされていくんじゃないかと思っています。
―――別所哲也さんのレチタ・カルダ『義経』をご覧になった時の感想はいかがですか?
レチタ・カルダ(朗読活劇)を目の当たりにしたのはその時が初めてでした。別所くんは演じているのだけど、義経が目の前にいるような表現をしていました。
―――上野で行われた、新妻聖子さんのレチタ・カルダ『ジャンヌ・ダルク』もご覧になりましたよね。
拝見しました。池上本門寺も上野水上野外音楽堂も屋外ではあったのですが、(新妻)聖子ちゃんはセリフをほとんど暗記していたので一人芝居をしているような形でしたし、歌も何曲かあったので、同じレチタ・カルダ(朗読活劇)でも、別所くんとは全然違う印象を受けました。
―――今回のチラシをご覧になったイメージはいかがですか?背景にあるのは鎧兜だそうですね。
躍動感がありますね。彼が生きるベースにしていた人生観のイメージに繋がるんじゃないかと思いました。それと同時に、実はすごく物静かな人だったんじゃないか・・・とも感じました。演じる上で、動と静が感じられるものができたらいいなと思います。
―――先日の『GOLD』もそうですけど、実在した歴史上の人物を演じることについてはいかがですか?
特に『GOLD』のオーギュスト・ロダンの場合は、時代も近いので、実際に生きている方を表現するのと同じぐらいの難しさがありました。でも、上杉謙信の場合は、写真も残っていませんしね、想像を広げる楽しさがあります。実在の人物ということをあまり意識しすぎないようにしたいと思っています。
―――劇団を退団後、最初の舞台で『イノック・アーデン』など言葉と音楽をテーマにした朗読形式の舞台もなさっていますね。いろいろ活動なさっている中で、一人で演じることの楽しさ、難しさは?
独り語りという手法では、色々なキャラクターを演じ分けることができるところが魅力だと思います。僕は、『イノック・アーデン』という作品を通して朗読の魅力に取り付かれ、ライフワークにしたいと思ったんです。2作目にやった『兵士の物語』は、より朗読活劇に近い部分があると思います。その時に掴んだ手ごたえがあったので、今回のレチタ・カルダ(朗読活劇)でも生かせるのではないかと思います。もちろん一人で作品を表現するという難しさはありますが、それを大変なこととして捉えるのではなく、たくさんのことに挑戦出来る!と、捉えています。
―――今回、スパニッシュ・コネクションの音楽も重要な要素となりそうですね。歴史上の人物と、音楽が合わさった時の雰囲気がどうなるのか、楽しみですね。
スパニッシュ・コネクションの皆さんが表現される世界にどこまで近づいていけるか。ミュージカルとはまた違った形での音楽とのセッション、これも楽しみにしていることのひとつです。
―――今回、上杉謙信を演じるということですが、尊敬している歴史上の偉人などはいらっしゃいますか?
誰しも、時代や環境にあわせて意義ある生き方をしていたと思うので、この人を尊敬しています!というのはあまりないですね。
今回、上杉謙信を演じるにあたり、彼の生き方や考え方をこれからどんどん吸収するにつれて、尊敬する部分も多く出てくると思います。そこを自分自身に取り込んでいきたいです。
―――現在上演中のミュージカル『エリザベート』でトートを演じていますが、再演ということで気持ちの変化はございましたか?
劇団時代によく経験していたことなのですが、再演までの時間、作品や役を自分の中で寝かせて熟成させることができます。まさしく『エリザベート』のトートも一年半寝かせて、自分なりにブラッシュアップさせて演じた結果、前回演じた時には感じなかったような思いが生まれました。特に『ジキル&ハイド』でジキルとハイドを演じたことが、いい意味で影響していると思います。その経験が出来たことが、自分にとって大きな収穫だと思っています。今回の『エリザベート』公演は長期間ですので、同じものをなぞらないでやるようにしようと常日頃から心がけている僕としては、新たなエリザベート役に春野寿美礼さんが加わりましたので、とても刺激になっています。前回から引き続きエリザベートを演じていらっしゃる瀬奈じゅんさんも、今回また新たなエリザベート像作り出していらっしゃいますので、エリザベートに対するアプローチを新鮮な気持ちを持って楽しむことができ、とても充実しています。
―――石丸さんの演じるトートは、手の動きも印象に残りました。
色々なことを操っているかのような雰囲気を手の動きで演じています。なぜこういう動きをしようと思ったかと言いますと、自分の分身ともいうべきトートダンサーたちが、手の動きで操るようなダンスをしているので、トートも同じものを出していってもいいのではないかと考え、取り入れてみました。これが一つの特徴になっているのかなと思います。
―――日常の生活で黄泉の帝王のトートが見えたらちょっとまずいですが(笑)何かに後押しされたり、助けられたりするような感覚を、舞台上で感じたことはありますか?
黄泉の帝王トートは見ないですけどね(笑)。役者たちは「あるものが降りてきたような舞台ができた」と、よく言いますし、僕自身もそういう事は体験したことがあります。でも、僕の役者人生の中で数回程度です。その時は「芸術の神様が来た」と思ったりします。そんなときは不思議とみんなにも「今日の舞台よかったよ」と言われたりしてね。
―――どういうときにそういう演技ができるのだと思いますか?
おそらく、自分の欲が無くなったときでしょうね。なんか、こう、ここに自分が存在して、いつのまにか終わっていたというときに、そんなことが起こるのではないでしょうか。面白いですよね。だからこそ、お客様も何回も観たいと思われるのでしょうし、そういうところに到達すると言いますか、何回も味わいたいと思うからこの仕事を続けているのかもしれません。
―――そのために心掛けているようなことは?
特にミュージカルやお芝居というのは3時間ぐらいの濃い時間をギュッとお見せします。そうしますと、演じている自分たちにものすごく影響を及ぼすんです。体力面でも精神面にも。だから毎公演新鮮さを保つためにリセットするようにしています。気持ちをどう切り替えるかが命ですね。
―――最近は特に色々な事に挑戦なさっていますね。そういうことが、菊田一夫賞受賞に繋がったのかなという感じがいたします。
自分の中にないもの、今まで演じたことがないものに挑戦する気持ちを自分に課すことによって、結果的に役者としての幅が広がったと思います。短い期間に色んな役をやっていくのは大変でしたけど、やった甲斐があったと思いますし、色々な経験は決してマイナスにはなっていないと思いました。それから色々な方と出会えたことが自分にとっては大きな収穫でしたし、(ハイド調の声色で)「自分の中に無いものが芽生えました」(笑)。そしてそれが受賞という形で評価していただけたことは、幸せなことだと思います。
―――自分の中に無いものが芽生えた、とはどのような?(笑)
そうですね、今まで自分が向き合ってきたものとは違ったタイプの台本と出会ったりすると、あまり固定観念を持たずに、台本と向き合えば良いんだと感じるようになりましたね。意外なことをしてお客様が喜んでいただこうとか、今までかなりやりつくした感じもあるので、そういう意味では今度挑戦する朗読活劇では、スマートなスタイルにまた戻ってくるのもいいのかなとも思います。
―――前回、石丸さんにインタビューさせて頂いた時は退団して再スタートをなさった頃でした。「色々なジャンルのものに挑戦することによって、自分の新たな道が見えてくるかもしれない」とおっしゃっていましたが、何か見えてきましたか?
見えてきましたね。僕は好奇心旺盛だなと改めて感じています。色々な経験を経て、これからまた自分がどうなっていくのか、ちょっと楽しみでもあります。音楽活動とラジオ番組のナビゲーターなどは、全く知らないものをどんどん吸収できる場なので、ジャンルを超えて挑戦していきたいですね。
―――本当にお忙しいんじゃないかと思いますが、気分転換はどのように?
幸いなことに日本各地に行ってパフォーマンスをやる機会がありますので、環境が変わると、心の部分ですごく解放されていきますよね。見たことの無い景色。会ったことのない人。あと、開演時間が違うだけでもずいぶん違うんですよ。朝早く起きたりすると、意外と朝っていいんだな(笑)、と。思ったりして。
―――石丸さんがご自身の性格を分析するとどういうタイプですか?
自分では良く分かっていないのですが、刺激を求めるのが好きですね。だから興味のあるところにはフラフラ出向いていく、そんなタイプです。
―――最後に、レチタ・カルダの意気込みも踏まえて、ひとことを。
ライフワークにしていきたいと思っている朗読劇・朗読活劇にふたたび出会え、上杉謙信を演じさせていただくことになりました。今までお見せした事のない石丸幹二を出せるのではないかと思っております。たった一日の舞台。皆さんの目に焼き付けていただけるようなパフォーマンスをしますので、ぜひお越しください。
朗読活劇レチタ・カルダ『天と地と』~上杉謙信の生涯~
日程:2012年11月3日(土・祝)18:00開演
会場:池上本門寺 本殿特設ステージ
料金:7500円 8月25日(土) 10時00分 チケット発売開始
主 催:キョードー東京
企画・制作:フリーダム
お問い合わせ
キョードー東京 0570-064-708
【オペレータ受付時間 平日12:00~18:00/土日祝10:00~18:00】
*未就学児童のご入場はできません。
*屋外ステージになります。雨天決行・荒天中止
*雨天の場合、会場内での傘のご使用はご遠慮ください。
雨合羽のご使用をお願い致します。
キョードー東京 http://kyodotokyo.com/recitacalda1103
石丸幹二さんHP http://ishimaru-kanji.com/
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