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中村勘九郎 襲名記念『赤坂大歌舞伎』制作発表 2013年02月

(2013年02月02日記載)

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中村勘九郎 襲名記念『赤坂大歌舞伎』
制作発表が行われました




▲写真左より、中村七之助 中村勘九郎 中村獅童

中村勘九郎 襲名記念『赤坂大歌舞伎』公演について(公演資料より)

◆怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)

絵師菱川重信には、美貌の妻お関と生まれたばかりの真与太郎がいます。偶然にお関と知り合い、一目惚れした浪人の磯貝浪江は、重信に弟子入りします。

重信がかねてから頼まれていた高田南蔵院の天井画の完成が間近となったある日、浪江は下男正助を脅し、重信殺害を手伝わせます。

悪業を隠してお関と夫婦になった浪江でしたが、今度は正助に四谷角筈十二社の滝壺へ真与太郎を棄てにいかせます。その正助も殺害しようと、悪に加担する三次に後を追わせますが…。

うわばみ三次/下男正助/菱川重信/三遊亭円朝  中村勘九郎
菱川重信妻 お関  中村七之助
磯貝浪江  中村獅童


制作発表が行われました(2013年1月21日)




◆八木康雄(TBSテレビ)

『赤坂大歌舞伎』は今回で3回目となります。まだ3回目ではありますが赤坂の地に定着したのではないかと思います。これもひとえに過去2回、中村勘三郎さんが実績を作ってくださったたまものだと思います。5年前『赤坂大歌舞伎』をお願いしたときに、勘三郎さんが「やっぱり歌舞伎座や新橋演舞場とは違ったものをやりたい。まだ歌舞伎をご覧になったことが無い方にも歌舞伎のおもしろさを伝えたい」というところで演目を選んでいただき、過去2回大盛況となりました。本来は今回も勘三郎さんのご予定だったのですが、残念ながらお亡くなりになりました。 今回は『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』です。素晴らしいザッツエンタテインメントというべき、外連味たっぷりの出し物です。経緯としては、4年前に歌舞伎座で勘三郎さんが演じられた際に私は大変感動し、楽屋で「赤坂で出来ませんか?」と勘三郎さんにお願いしました。これは回り舞台や、舞台一面の滝、花道を使った早替りがあるので、赤坂では難しいだろうなと思いながらもお願いしたら「いつかやろうよ」とおっしゃってくださいました。今回、最初は違う演目で予定しておりましたが、松竹と勘九郎さんと相談させていただきこの演目になりました。現役の歌舞伎役者の中では、この演目が出来るのは中村屋だけです。中村獅堂さんは大河ドラマ撮影中のお忙しい中、ご出演いただくことになりました。どうもありがとうございます。『赤坂大歌舞伎』の新しいスタートだと思っております。お力添えをお願いいたします。



◆我孫子正 (松竹株式会社)

『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』は勘三郎さんにとっても、歌舞伎にとっても思い入れのある作品です。歌舞伎は今、大勢のお客様に見ていただけるようになりましたけど、長い間なかなか大勢のお客様に来ていただくのが難しい時期がございました。歌舞伎座も20年ぐらい前は歌舞伎を毎月上演することができませんでした。平成2年の8月に、勘三郎さん(当時は勘九郎さん)を中心にして、若い俳優さんで納涼歌舞伎を行いました。それ以来ずっと歌舞伎が毎月上演できるようになりました。大きな節目となった作品です。その時に、どういう芝居をやったらいいかと勘三郎さん(当時は勘九郎さん)と話して、この『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』が選ばれました。そのこともあり、本当に大事な作品です。歌舞伎を初めてご覧になる方にも楽しんでいただける芝居です。勘三郎さんが亡くなった後、『赤坂大歌舞伎』で何をやるかと話し合った中で、色々な意味でこの時期に『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』を上演することがいいのではないかなと思ったしだいです。勘九郎さん、七之助さん、獅童さんによって、中村屋がこの作品を作り上げた時の思いを受け継いで、いい芝居を作っていただきたいと思います。



◆中村勘九郎

今回この『赤坂大歌舞伎』が3回目ということで、第1回、2回と父がやらせていただき、先ほど八木さんが定着したと言ってくださった。それがとても嬉しいです。父もその土地に定着して芝居を行うことを望んでいましたし、それで面白いものが今後も作れるなと話しておりました。だから、定着したという言葉は私たちも嬉しいです。その父は逝ってしまいましたが、息子の私たちにやらせていただけるということで、お見捨てくださらなくてありがとうございます。嬉しいです。初めて歌舞伎を見る方にも見やすい物を上演し、裾野を広げるというか、それをコンセプトに赤坂で初めて、本当に多くの方が来てくださいました。第1回目で「棒しばり」をやりました。いろんな場所でやっていますし、東京でやってもそんなに反応はないのですが、赤坂でやったときにはものすごい反応をいただき拍手がなりやまなかったので、やはり初めてご覧くださる方が多いんだなと思いました。今回は、『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』を選びました。一番の理由は分かりやすさ、おもしろさ、エンターテインメント色が強い作品だということです。予備知識なく楽しんでいただけると思います。父が平成2年の初演時に三世實川延若さんから教わり6回やっています。子供の頃から僕も憧れのの役で、おととしの8月に初めてやらせていただきました。その時、憧れていて裏などでも見ていましたが、やってみないと分からない事があるんだなと思いました。早替りのことや、役のことなどを教えてもらって、それが遺志という形になってしまいましたが、父が切り開いた赤坂の地で、この演目、役をやらせていただくことを本当に幸せに思っております。『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』で2回公演は初めての経験です。父もやっておりませんからどうなるか分かりません。けれどもまだ31歳。動ける限り動いていい芝居をして、少しでもお客様に笑顔になっていただいて、劇場を後にしていただくというのが私の夢でございます。ここ2~3回父がやったのとは違う演出も出て参ります。その辺りもお楽しみいただけたらと思います。一生懸命勤めますのでどうぞよろしくお願いいたします。(司会者に向かって)TBSの方もアナウンサーの綺麗どころを集めてきてくださいね(笑)。皆様どうぞお力を貸してください。



◆中村七之助

うちの父が好きな演目というのは見た後、楽屋に私たちが行くと「やりたいかい?やりたいだろう!大きくなったらやってよ」って絶対に言うんですよ。この演目はずっと、「やりたいだろう!」って言っていました。これは映像にも残っています。小さい僕たちに何度も言っていましたから。命がけで教わって作り上げたものなので、本当に愛していた演目です。子供の頃は兄と二人でシャワーを滝にして写真を撮ったりしていました。2月にうちの兄の襲名が終わり、3月は「勘太郎改め勘九郎」というのがなくなる。その一歩目として赤坂で『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』が出来るというのは、素晴らしいことです。松竹の我孫子さんはもちろん、TBSの八木さんも毎月のように見に来てくださいます。そんな愛すべき赤坂ACTシアターで父が愛した演目をやるというのは素晴らしいことだと思います。ぜひぜひ見に来てください。



◆中村獅童

このたび急遽出演させていただくことになりました。二人ともいっぱい話してくれたので言うことなくなっちゃいました。しかも、「綺麗どころを連れてきてくださいというのは僕のセリフですからね(笑)」。マスコミのみなさん、もう平成のプレイボーイは勘九郎さんに譲ろうと思います(笑)。この3人は色々なところで昔から一緒にやっていたので、先ほど三人の名前を呼んでいただいて何とも言えない気持ちになりました。勘三郎のお兄さんが愛した演目に再び出演させていただけることは大きいです。昨年、初めて任されたコクーン歌舞伎も乗り越えることができました。その時も三人で同じ方向を向いて突っ走ることができたので、今回も心強いですし楽しみです。コクーン歌舞伎もそうですが、この赤坂大歌舞伎も勘三郎兄さんが作ってくださった道です。お客様に楽しんでいただけるお芝居を作る精神を受け継ぎつつ、新しいことにも挑戦し、いい芝居を作りたいと思います。



<質疑応答>

ーーー今回、中村勘三郎さんの魂を受け継いでの赤坂大歌舞伎『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』の上演となりますが、この演目での勘三郎さんの思い出と、改めてご自身たちがどのように取り組みたいと思っていらっしゃるかをお聞かせください。また、演出が変わる部分があるというお話が出ましたが、どのようなところが変わるのでしょうか。

◆中村勘九郎

『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』の思い出は相当あります。先ほど七之助が言っていた通りシャワールームで子供の頃まねごとをしていました。平成2年、實川延若のおじさまが長い間演じてこられた演目を16~17年ぶりぐらいに父がやるということになり、父がご自宅に習いに行きました。その帰りの車の中に僕がいましてね。車に乗り込んでくるなり父は「いやーおもしろいこと聞いた。いや、よかったよかった。やっぱりこれは聞かないと分からないね」と言っていた記憶があります。その時の上演時には表からも裏からも見ていました。七之助は真与太郎で出演していましたが、その頃は病弱だったのでひと月休まず出演したことがなく、だいたい僕が代役で出ていました。その時も休演したので僕が代役で出たのですが、僕が8歳、彼は6歳ですからその当時身長差がありました。コマを回すシーンで七之助がやるとわーっと拍手がくるのに、僕がやると全然来ない。もうこれは本当にね。一生懸命コマの練習をしてやったけど、全然拍手が来ないともう何だよ!と思いましたよ。ずっと中座でやったときも歌舞伎座でも父がやっている姿を見ていました。父もこの演目が好きでもっと良くなるのではないかということで、色々と演出をしていました。最近は大滝の場面が終わった後に円朝として出る演出でしたが、今回は大詰の「乳房榎の場」を出そうと思っています。なぜかというと、今までやっていた納涼歌舞伎や花形歌舞伎だとその前に踊りなどがあるから、みどり狂言なんですよね。今回は1本でやるのにその場がないというのはあまりにも不親切だなと思いまして。でもね、父が円朝にしたということは、やはり大詰めにしてはちょっとそれまでのストーリーに比べるとダイナミックさに欠けるんですよね。今回も歌舞伎のアナログの面白さ。あれだけ大仕掛けをやっておいて、最終的の仇討ちには、父が復活して最初の頃にしか出てこなかった松井三郎という役を復活させて、ダブル仇討ちをお見せします。それは新しい演出になると思いますので、そういう方法で話し合って作ってたらと思っています。



◆中村七之助

私が演じるお関という役は、今の場だけを見るととんでもない女なんですね。夫が死んだからすぐに磯貝浪江に付いていく、みたいなね。今兄が言った、松井三郎という人が出ることによって少し複雑な女性像になるのではないかと思います。父が最近やっていたものを見て、これが『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』だわと思っていた方は、こういうことがあるんだというところが分かりやすく感じ取れる赤坂大歌舞伎になると思います。早替わりがミソだと思いますが、早替わりということに重きをおかず、人物たちを演じ分けるところが見所だと思います。



◆中村獅童

まだ10代の頃『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』を客席から見て、勉強で見ているつもりがいつのまにか観客になっちゃうんですよね。勘三郎のお兄さんはそういう魅力がある方。子供の頃から(こういう言い方がふさわしいか分かりませんが)ファンだったので、「どうだい、おもしろいだろう」と子供の僕にもすごくよく声をかけてくださっていたので、見ていてワクワクしていました。まさしくこの芝居もそう。アドリブでやっているのではないかと思うようなところもある芝居で、立ち回りもあってエンターテインメント性にすぐれているので、お子様でも楽しめるような作品です。でも、見るとのやるのでは大違いです。磯貝浪江役は橋之助のお兄さんに教えていただいたんですけど、一番大事なのは「自分が世界一いい男だと思って出ていきなさい」ということだと。今回、一番大変なのはもちろん勘九郎さんですが、裏方も含めてチームプレイが必要な芝居です。磯貝浪江はいい男でクールで、色悪と呼ばれるような男なのですが、(勘九郎の)早替わりの段取りにどきどきしちゃっていつの間にかいい男どころか、中村獅童に戻っちゃうんですよね、仰いでいる扇子もすごく早くなっていたりして。あとは、早替わりで(勘九郎さんが)目の前に出てくるので名前を間違えちゃうんですよね。勘三郎のお兄さんに「まあ何でもいいけど、名前だけは(間違えないように)頼むよ」と楽屋で言われました(笑)。僕がいっぱいいっぱいになっているのも分かってくださっているのですが。それが一番の思い出ですね。今回は二度目なので世界一いい男という気持ちで出て行けるように、一生懸命勤めたいと思います。

ーーー赤坂ACTシアターの劇場の印象を。

◆中村勘九郎

歌舞伎にとても向いている小屋だと思います。それは「棒しばり」のときに思いました。新しい劇場で芝居はできるんですけど、踊りやすい劇場ってなかなか少ないんですよね。お客様が入って「棒しばり」を踊ったら歌舞伎座の小さいバージョンという感じで、とてもやりやすいなと。シアターコクーンなどはあの劇場にあわせた演目を作っていって、もっとファンキーなものやファンタジーなものを作ったらいいなという劇場ですが、赤坂ACTシアターは歌舞伎座の演出のままできるので、使いやすいですし、もしまたこれからもやらせていただくのであれば夢が広がりますね。『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』で回り舞台も付けるのでさらに選択肢が増えますね。あとは、私は舞台『おくりびと』でも出演しましたが、すごくお客様に伝わりやすいなと感じました。

◆中村七之助

僕は歌舞伎でしか舞台には立っていませんが、『RENT』を客席から見て、2階の後ろでしたが響きますよね。とても重宝だと思いますしこれから歌舞伎をやらせていただくことになりますと、みどり狂言でやることもできますし、夢が広がる劇場です。これからもやっていきたいなと思う場所です。

◆中村獅童

赤坂ACTシアターはとても思い出があります。まず開場時に宮本亜門さんの『祝祭音楽劇トゥーランドット』で出演しました。2年前は『淋しいのはお前だけじゃない』にも出演し、歌舞伎以外の作品に挑戦する機会をいただきました。『祝祭音楽劇トゥーランドット』では悪役でしたが初日に勘三郎さんにご覧くださり、僕が初めて舞台上で歌っている姿を見て「相当笑った」とおっしゃっていました(笑)その作品でも最後に大失敗しちゃいまして、カーテンコールで出番より早く出ちゃって、そのままそーっと引っ込んでいった思い出が(笑)。堂々と引っ込めばよかったんでしょうが意外と気が小さいので(笑)。「あそこが一番面白かった」と言われました(笑)。今度は初めて赤坂の歌舞伎公演に出演出来るということでうれしく思います。

赤坂芸妓のみなさんより、出演者に花束が渡されました。





 

中村勘九郎襲名記念

『赤坂大歌舞伎』

 

公演期間:2013年3月8日(金)~24日(日)

 

会場:赤坂ACTシアター

お問い合わせ サンライズプロモーション東京

0570-00-3337 (10:00~19:00)

 

http://www.tbs.co.jp/act/event/kabuki2013/

 

 

 
 

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