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世田谷パブリックシアター2013年主催公演ラインアップ会見 2013年04月

(2013年04月25日記載)

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世田谷パブリックシアター
2013年主催公演ラインアップが発表されました



2013年主催公演ラインアップ

◆世田谷パブリックシアター フリーステージ2013
◆『ヴォイツェック』
◆ MANSAI◎解体新書 その弐拾弐 『息~言霊・音霊のリプレゼンテーション~』
◆ 『世田谷区名誉区民 仲代達矢さんを迎えて』
◆ 『オセロ』
◆ 戯曲リーディング
◆ 子どもとおとなのための●読み聞かせ 「お話の森」
◆ 『春琴』 ―谷崎潤一郎「春琴抄」「陰翳礼讃」より―
◆ 日野皓正 presents “Jazz for Kids”
◆ プロのアーティストと一緒につくるパフォーマンス YOUTH-PERFORMANCE 2013
◆ 『ジャンヌ』 ―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―
◆ 世田谷アートタウン2013 『三茶de 大道芸』
◆ 『DUEL~チェロとピアノのゆかいな決闘~』
◆ 『クリプトグラム(暗号)』(仮題)
◆ 爆笑寄席 てやん亭
◆ 『トライブス』
◆ 現代能楽集VII
◆ ピーピング・トム 『A Louer/フォー・レント』
◆ シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.6 tamago PURiN 『さいあい~シェイクスピア・レシピ~』
◆『神なき国の騎士』(仮題) ―「ドン・キホーテ」より―
◆ <高齢者施設 訪問公演>@あっとホーム公演


ラインアップ発表会が行われました(2013年4月8日)



世田谷パブリックシアターの2013年度の劇場プログラムラインアップ発表会が4月8日に行われ、
芸術監督の野村萬斎と、主催公演を担当する白井晃、鵜山仁、倉持裕が顔を揃えました。

本年度は6つの新たな作品を作るということ、地域のコミュニティプログラムの充実、開館から5年が経ちコンピューター周りを中心に大規模な改修が行われるという発表がありました。改修の際もどちらかの劇場を開ける方法で賑わいを絶やさないように運営するそうです。




◆野村萬斎(世田谷パブリックシアター芸術監督)


ーーーまずは野村萬斎構成・演出・主演『マクベス』海外公演の感想を。

韓国・ソウル公演は世田谷パブリックシアターと同等の中劇場でさせていただきました。ニューヨークは300人弱の小さな劇場だったので大仕掛けの幕を使う演出も苦労はいたしましたが、言葉が通じないので字幕を出しウソがつけない状態の中で演じるということが、この作品を更に豊にしたなと思いました。伝統芸能的な様式美と共にリアリティーな演技を心がけた成果が表れたのではないかと思います。特にシェイクスピアは英語でやれば非常に細かいイントネーションを要求される訳ですが、今回日本語の音、声の質を感じたという感想をいただきました。シェイクスピアを上演する中でそれはとても重要なことだと思いますし、私の古典芸能の狂言の中でも抑揚というものはとても重要なので、シェイクスピアの言い回しがうまく合致したのかなと思います。その興味を引き出せたのが収穫があったなと思います。

私、世田谷パブリックシアター芸術監督として10年がたち11年目に入っておりますが、ひとつ日本の文化、思想、古典芸能を基にしながら海外発信をするということが結実してきたという思いがございます。

ーーー今年度の劇場プログラムについて。

第三期として続けさせて頂きますが、私の基本的な芸術監督の方針としては、そう変わることもなく、世田谷を中心とした同心円状の文化発信を考えていきたいと思っております。みなさまの税金も使っていますのであえて失敗するかもしれないというリスクをおかしながらではありますが、民間とはちょっと違ったものが出来るよう実験的なとがったことをやっていくのが世田谷らしさだと思います。今日もお三人の演出家がいらしていますので、とがった作品を作っていただきたいなと思います。それが日本各地に周り、それが世界に出て行くようなことがあれば尚嬉しいなと思う次第です。

今年のラインアップでは「世界に通じるような普遍の英雄像」を題材にした作品をご紹介します。まず、シェイクスピアの『オセロ』。大きな木ですが刈り込んでどのように現代に移し替えるかが楽しみです。鵜山さんの『ジャンヌ』は英雄といいますか英女でございます。私の演じる『神なき国の騎士』ドン・キホーテも英雄で、英・仏・スペインという感じでしょうか。時代や地域を越えて語り継がれる人を取り上げて、再創造できる瞬間をみなさまと分かち合いたいなと思います。劇場という場で、演出・役者・技術者・観客によってたち上がり、もう一度創造されることがライブパフォーミングアーツの1つの使命だと思っています。

あとは、『クリプトグラム(暗号)』『トライブス』という新進気鋭の方による翻訳劇を2つ。私が企画しているシリーズ現代能楽集VIIでは倉持さんに新作をお願いしております。そして今回また『春琴』 という金字塔的作品がニューヨークのリンカーンフェスティバルに行きますので、単なる再演ではなく新たな息吹を持って作品作りをできたらと思います。韓国からは『ヴォイツェック』という作品を紹介します。

このほか、世田谷の地域密着型のプログラムもございます。ワークショップやレクチャーは年に400回以上行っているということで、私もその数字を見て改めて驚いています。このような活動もご記憶に留めていただけたらと思います。

ーーー『神なき国の騎士』(仮題) ―「ドン・キホーテ」よりの演出について

シェイクスピアばかりではなく他の作品も、と考えた時に、世界で一番読まれている本というのは「ドン・キホーテ」ということです。全部読むのは大変でございますが、それほどエピソードも豊富です。それを大胆に川村毅さんに書いていただきます。理想に燃え、ちょっといかれているかもしれないドン・キホーテとサンチョ・パンサが一緒に旅する珍道中の中に、おかしくてやがて悲しきという哲学のようなものが入ってくるのではないかと思います。人生、悲劇か喜劇か、そのようなことをお見せ出来るのではないかと思っております。『神なき国の騎士』というタイトルは、一神教的なひとつの理想は原作にあるわけですが、日本化させてやるということは、ひとつの宗教的概念とは違う意味での騎士道ということで川村さんに書いて頂きます。演出としては「虚・実」をどのようにお見せするかが腕の見せ所かなと思います。狂言を始めとする古典的なテクニックがうまく使えるのではないかと思いますし、古典的な作品ですがどのようい現代的に見せることができるかということであります。私は演出しながら出演もいたします。老人役は楽しいんですよね。化け甲斐があって面白いので楽しみです。




◆白井晃(6月『オセロ』演出)


『オセロ』の演出をさせていただくことになりました。世田谷パブリックシアターでは去年も『4 four』を演出させていただき、私自身非常に豊かな経験をさせて頂きました。野村萬斎さんが続けていらっしゃるシェイクスピアシリーズの中で、一度私のやり方でやらせていただけないだろうかというご相談をし、今回『オセロ』を上演させていただくことになりました。シェイクスピアをストレートに扱うのは私も初めてのことです。以前劇団をやっていた時には「真夏の夜の夢」を現代版にしてやったことはあります。私にとっても挑戦となりますが、世田谷パブリックシアターでやらせていただけることを非常にありがたく思っております。

なぜ『オセロ』をやりたいと思ったかと言いますと、シェイクスピアの四大悲劇と言われている中でこの『オセロ』だけが読んでいると、どうにもそこら辺に転がっているようなお話に見えるのです。亡霊や魔女も出てこないですし。会社の中で起こっているような話かもしれないし、学校の中で起こっているかもしれないような、人間の嫉妬を描いたお話です。その部分を卑近なものとして表せないかと思った次第です。それは現代物にするということではなく、あくまで言葉は(省略するところはあると思いますが)福田さんの訳をベースに、格調高い言葉でやり、卑近な形に持って行くことができないか・・・ということにトライしたいと思います。装飾ははぎ取って言葉が立つ『オセロ』が出来ないかなと考えております。




◆鵜山仁(9月『ジャンヌ』 ―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―演出)


9月に『ジャンヌ』の演出をします。ジョージ・バーナード・ショーの1920年代の作品で、聖女になったいきさつの中に作品の秘密があると思います。ジャンヌ・ダルクは僕の知る限りタイトルは『ひばり』だとか、『オルレアンの少女』というタイトルも付いています。フランスのドンレミーで生まれた少女が、百年戦争のオルレアンの攻防戦で名を上げました。彼女がどういう人だったかを想像するに、フランスをフランスたらしめた人なのではないかと。フランスのアイデンティティーを初めて声たからかに唱えたヒロイン。人間が世界で生きていく枠組みをイメージさせてくれたという意味でヒロインだったのではないかと思います。

現実の利害や欲望と、新しいイメージは衝突するところがあると思います。夢や理想新しい理想を食いつぶした挙げ句の果てに、血祭り上げられてしまうということがあるのではないかと。今日みなさんのお話を聞いて、オセロにしろ、ジャンヌ・ダルクにしろ、ドン・キホーテにしろ、理想を目指して討ち死にしてしまった人たちの列伝のようなものを世田谷パブリックシアターがおやりになるのだなぁと改めて思いました。これから新しい枠組みの中でどうやって生きていこうかという時に、一面では現実に食いつぶされるということはありますが、あんまり現実にすり寄っていると現実そのものがへたっていってしまって、結局右肩下がりになってしまう。公共事業の新しい枠組みは一種のドン・キホーテやジャンヌ・ダルクのようなところを持っています。僕も還暦を迎え、もう一度ジャンヌをきっかけにエネルギーを出し、刺激的なパフォーマンスになればいいなと思っております。




◆倉持裕(2014年1月~2月 現代能楽集VII 作・演出)


この企画に携わるのは2回目です。前回は2010年の11月にこのシリーズ第5弾をやらせていただきました。何百年も生き残ってきた普遍性の謡曲をもとにアレンジして、今芝居を作るこころみは作家としても演出家としても勉強になる企画だったので、今回また呼んでいただき嬉しく思っております。短い話を長くしようとすると脚色するところが増えてしまい、下手すると原作の良さがそこなわれてしまう可能性がある気がします。というわけで今回も3本立のオムニバス形式で上演致します。<男女関係から生まれる情念>をテーマに、能から「葵上」「班女」、狂言から「花子」を選びました。

「葵上」は光源氏の正妻の葵上に嫉妬した六条御息所が生き霊となり鬼と化すファンタジックなお話。ダンサーに六条御息所をやっていただき、鬼になる様子を視覚化して表現したいと思っております。「花子」は夫婦がいて夫が昔の女に会いに行くためにウソをつき、妻に「お堂で座禅を組むから」と言ってでかけます。身代わりで太郎冠者を置いて行くわけですが、妻にはすぐに見破られて仕返しされます。コントとしてできたらと思います。「班女」はかつての恋愛が関わる話。昔の男との再会を待ちわびるあまり気が触れてしまった女性の物語。三島由紀夫の近代能楽集の戯曲を基にしたいと思っております。

この三本を通して狂気とエロスが混在する作品になったらいいなと考えております。




 

世田谷パブリックシアター

http://setagaya-pt.jp/

 

 

 
 

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