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歌舞伎座新開場柿葺落
九月花形歌舞伎 製作発表会見
(左から)中村七之助、片岡愛之助、尾上菊之助、市川染五郎、尾上松緑、市川海老蔵、中村勘九郎、夢枕獏
製作発表会見が行われました(2013年7月29日)
◆安孫子正(松竹株式会社 専務取締役・演劇本部長)
お忙しい中お集りいただきましてありがとうございます。4月からの歌舞伎座の柿葺落興行も、みなさまのおかげで順調に行われております。昨日、7月の大歌舞伎も無事に千穐楽を迎えさせていただきました。その間、大勢のお客様が新しい歌舞伎座を待ち望んでいただきまして、連日詰めかけていただいていることを、本当にありがたく思っております。9月は、花形歌舞伎ということで上演させていただきます。歌舞伎の古典を継承しながら、新しい作品を作っていくという、これからの2つの大きなポイントでございます。そういう意味で、ここに並んでいる俳優さんを中心に、昼の部では、滅多に上演することができない通し狂言でございますが、『新薄雪物語』という古典中の古典の代表作を上演していくこととなりました。これにつきましては継承されている俳優の先輩方からも指導を受けながら、継承して行く作品として『新薄雪物語』と『吉原雀』の2本で昼の部を上演させていただきます。夜の部は、古典の継承と同時に、新しい作品を、その時代に作って行くというのが、課せられた一つの使命でございます。今回は、夢枕獏さんの『陰陽師』を上演させていただくこととなりました。歌舞伎座の柿葺落が始まる前に、新しい形で、新しい作品を通し狂言でやっていきたいと、いくつかの候補がありましたが、話し合いをした結果、この『陰陽師』をどうしてもさせてもらいたいということで、夢枕先生にもご快諾をいただきました。ここに改めて感謝申し上げる次第でございます。素晴らしい配役で、この『陰陽師』が出来るということを先生も喜んでくださっております。先生が描かれた『陰陽師』の世界を歌舞伎という演技方式を使って、大勢のお客様に喜んでいただける舞台を作っていきたいと思っておりますので、皆様方にもお力沿えをいただけますようにお願いいたします。本日はありがとうございました。
安孫子正(松竹株式会社 専務取締役・演劇本部長)
◆夢枕獏(夜の部『陰陽師』原作者)
今回、新しい歌舞伎座の新作を『陰陽師』でやっていただくということで大変光栄に思っております。顔ぶれを見ていただけばわかると思うのですが、若手の方が総出演というような感じで、大変嬉しいことで感謝しております。本当は、私は原作者というよりは、観客として歌舞伎座に入りびたりたいくらい、毎日でも通いたいくらいに思っております。僕が一番良い観客で、一番良い、楽しい思いをするのではないかと思っております。僕が一番楽しみにしていると思います。今日はありがとうございました。宜しくお願いいたします。
夢枕獏(夜の部『陰陽師』原作者)
◆市川染五郎
今日は、お忙しい中ありがとうございます。9月は、花形歌舞伎に出させていただきます。昼の部では『新薄雪物語』に出させていただきます。これ以上の大きな作品は歌舞伎には無いというくらい傑作であり、大作であると思います。その大きさに負けず、体当たりして勤めて、記録と記憶に残るようなものを目指したいと思っております。そして夜の部では、柿葺落記念で作られます新作歌舞伎『陰陽師』です。夢枕先生の原作でやらせていただけることが楽しみです。そろそろ、時間も差し迫ってきておますので、楽しみ楽しみと言っているばかりではなく、どう決断していくかという時期にきており、多少プレッシャーや緊張が高まってきております。この『陰陽師』という作品は、映画など色々な分野で形になっておりますが、僕は歌舞伎で上演することが一番ベストではないかと思います。夢枕先生の書かれた小説以上の作品になるように頑張って参ります。宜しくお願いいたします。
市川染五郎
◆尾上松緑
足元のお悪い中を、集まっていただきましてありがとうございました。7月興行に続きまして、9月も我々世代で歌舞伎座を開けさせていただけるということ。昼の部は古典の継承。夜の部は新作ということで。2本の作品に2役で出させていただけるということは、私の歌舞伎役者人生としましても、これからの人生におきましても、有意義な月になると思います。新作も、古典も、両方やっていかなければならないのが、我々の使命でございますので、これを果たすために、力強い同輩と一緒に頑張って行きたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
尾上松緑
◆尾上菊之助
本日はお集りいただきまして、ありがとうございます。9月の歌舞伎は1700年に初演された『新薄雪物語』と、2013年に初演される『陰陽師』ということで、両方の作品をお目にかけます。いつの時代にも歌舞伎は新作が必要とされて、その都度新しい風が歌舞伎には吹いて参りました。いつも問われるのは、何をもって歌舞伎かということです。江戸時代に花開いた文化の歌舞伎。成熟した歌舞伎の進退。意識、呼吸を役者が体現することで歌舞伎になると信じています。昼の部に古典、夜の部に新作と、2つ楽しんでいただき、僕も古典と新作を楽しみたいと思っております。宜しくお願いいたします。
尾上菊之助
◆市川海老蔵
本日は、どうぞ宜しくお願いいたします。同じ話になってしまいますが、私も『新薄雪物語』では、秋月大膳と葛城民部をさせていただきます。夜の部は、『陰陽師』の中で平将門という、我が家でも縁のあるお役を頂戴いたしました。まだまだ、どうなっていくかは分かりませんけれど、ここにいらっしゃる皆様方と一緒に一生懸命古典を守り、『陰陽師』というものに対して挑戦して力を合わせて、新しいものが見つかるように、おのおの一生懸命力を合わせて精進できたら、本当に素敵な時が来ると思います。どうぞ宜しくお願いいたします。
市川海老蔵
◆片岡愛之助
お足元の悪い中ありがとうございます。『新薄雪物語』では、梅玉兄さんに教えていただく奴妻平を。夜の部新作『陰陽師』では、興世王を務めさせていただきます。何が楽しみかというと、もちろんこのメンバーで務めさせていただくことが楽しみでもありますが、(『陰陽師』の補綴・演出をされる)齋藤雅文さんの演出が非常に楽しみで、作り上げていくというお稽古場を楽しみにいたしております。どうぞ宜しくお願いいたします。
片岡愛之助
◆中村勘九郎
おはようございます。早くからお集りいただき、ありがとうございます。皆様と同じになってしまうのですけれど、『新薄雪物語』では、染五郎さんの息子役ということで・・・。大丈夫でしょうか(笑)無事に勤められれば良いなと思っております。夜の部は夢枕先生の『陰陽師』を、このメンバーで出させていただけるということをすごく幸せに思っております。歌舞伎座新開場の新作1発目を作り上げるということで、責任重大だと思います。やはり前の歌舞伎座の新作1本目の『源氏物語』というのが伝説となっている舞台なので、それを超えられるか、並べるような作品を皆さんでちゃんと意見を言い合いながら、そして仲良く作り上げられればと思っております。宜しくお願いいたします。
中村勘九郎
◆中村七之助
今日はお集りいただきまして、誠にありがとうございます。いま先輩方が全て言ってくださいました。僕は、この新作の稽古がとても楽しみです。お客様にも楽しんで帰ってもらえるような作品にしたいと思います。どうぞ、宜しくお願いいたします。
中村七之助
――普段各劇場に散って公演をしていると思うのですが、今日こうして顔を合わせて、始まっていくんだなという想いを聞かせてください。
◆市川染五郎
歌舞伎座新開場の柿葺落として、特別なことだと思います。それだけスケールの大きいですし、結果を出さなくてはいけないと思います。それは楽しみでもあり、プレッシャーでもあると思います。新作歌舞伎は、これから色々完成していくと思いますけれど、それも含めて特別な新作を作り上げなければならないと思います。
◆尾上松緑
皆様の前で、我々の世代が集まるということはさほど無いことなので珍しいことなのかもしれませんが、僕ら個人個人でも、ちょくちょく共演したり、楽屋などでも会ったりしていますので、あまりそういうことの意識は無いですね。ただ、これだけ集まって、1つの興行を打つということは、初めてに近いことでございますので、こういうことがゆくゆく諸先輩たちが『仮名手本忠臣蔵』の通しですとか、『義経千本桜』『菅原伝授』の通しのように、我々が任せていただけるようなことの第一歩になれるようにと思います。我々も花形と言われていますけど、若い人たちもたくさん出てきておりますし、初々しいね、で済む世代ではなくなってきているので、キッチリとしたものを、先輩方におんぶに抱っこではなくて、我々が牽引していくという思いで、勤めて行かなければいけないなと。そういう意味では、このメンバーが集まれて、歌舞伎座の柿葺落で興行が出来るというのは非常に有意義だし、ありがたいことだと思います。
◆尾上菊之助
非常に心強いですし、こうして集まって染五郎さんはじめ、同世代の方と共演するのは楽しみなんです。いま松緑さんがおっしゃいましたけれど、柿葺落が開いて先輩方が3カ月間開けて体で示してくださってきたので、それに続けるようにみなさんで力合わせて歌舞伎を守っていきたいと思っています。
◆市川海老蔵
僕は単純にすごく楽しみです。染五郎さん、松緑さん、菊之助さん、愛之助さん、勘九郎さん、七之助さんと僕。それぞれみんな一緒に出ている時はあるのですが、一緒の舞台出るということはなかなか無かったと思うんですよね。それが、こうやって現実となって、『陰陽師』という新作が出来て、古典の中の『新薄雪物語』が一緒に出来るということは、本当に僕もお客さんとして観たいなと。これを皮切りにこのメンバーで毎年1回はこうやって、それこそ顔見世じゃないですけど、みんなが顔を合わせて興行が打てるような機会を毎年1回はやっていきたいなと。各々のものを感じ合って、刺激を受けて、また仲良く歌舞伎の未来を作っていたらいいなと思っています。本当に、このような良い機会を与えていただいてありがたいです。
◆片岡愛之助
新作ということで。ここに集まったメンバーで、本当にまたとない機会だと思って非常に楽しみにしています。またこのメンバーで、またこの『陰陽師』を10年後、20年後観てみたいなと言って頂けるような作品づくりをしていきたいなと思っております。
◆中村勘九郎
同じ月に出ていても、同じ演目に関わるということはなかなか無かったことなので、新作の稽古が楽しみです。やはり新作なので、前にお手本が無いから、台本をみなさんがどう読んでくるのかとか、役へのアプローチをどうするのかすごく楽しみです。それから一緒になって作り上げていくという作業も、とても楽しみにしております。ぜひこの(新作)1発目をみなさんに見逃さないで欲しいですね。
◆中村七之助
僕より下の後輩が、新作の『陰陽師』を観て、僕たちもやりたいねと言ってくれるような作品にしなくちゃいけないと思います。僕は、この皆さんの中でも一番若いのですが、一番若いというのが僕は居心地が良くてですね。浅草歌舞伎の時も一番下でしたし。なんか若い人がどんどん出てきちゃって、僕も歳をとったのかなと思うのですが・・・(笑)この中では一番若いので存分に甘えて意見を言って、生意気だなと思われながら、稽古をしていきたいと思います。
会見中、顔を見合わせて笑う海老蔵さんと勘九郎さん
▲七之助さんの「僕も歳をとったのかなと…」発言に笑う染五郎さんと松緑さん
▲勘九郎さんの「染五郎さんの息子役ということで…」発言に笑う愛之助さん
(左から)▲尾上松緑、市川海老蔵、中村勘九郎、夢枕獏
▲(左から)中村七之助、片岡愛之助、尾上菊之助、市川染五郎
▲最後に全員並んで撮影
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