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こまつ座第102回公演・紀伊國屋書店提携
『太鼓たたいて笛ふいて』開幕
この作品は、こまつ座評伝劇シリーズの中でも最も人気のある作品のひとつ。
2002年の初演以降再演を重ねても、「何度でもみたい」との声も多く、今回は4度目の上演です。
井上ひさしは、戦中は従軍記者として活躍した林芙美子が、
戦後は一転して反戦小説をかくようになったその凛々しい覚悟、自分の責任を徹底的に追及し、
戦争に真正面から向き合った生涯を尊いものに思い、この作品を書き上げたと語っています。
こまつ座30周年を迎えるにあたり、井上ひさしがあつく信頼をおいた栗山民也演出のもと、
井上流音楽評伝劇の金字塔が6年ぶりによみがえります。
「放浪記」「浮雲」などの名作を残し、2013年には生誕110年を迎えた作家・林芙美子の
戦中・戦後を描く音楽評伝劇。「放浪記」でたちまちベストセラー作家となった林芙美子。
日中戦争が迫る1935年(昭和10年)から第二次大戦を経て、心臓麻痺で急逝する
戦後1951年(昭和26年)まで、16年間の林芙美子の軌跡をたどります。
作家・林芙美子は、奔放に生きてきた人生を写すが如く、原稿用紙に向かっていた。
世間の風は戦争へ突入すべく、日増しにきな臭さが強まり始めていく。
芙美子が人生の切り売りだけで小説を書くことに行き詰まりを感じていたとき、
出版した本が発禁処分されてしまう。芙美子につきまとい、金儲けを企むプロデューサー三木孝は、
“戦さはもうかるという物語”と芙美子を説得し、従軍記者へと仕立て上げていく。
内閣情報部と陸軍部から派遣され、太鼓たたいて笛ふいてお広目屋よろしくふれまわる物語を書くために、
シンガポールやジャワ、ボルネオを従軍した林芙美子が見たものは何だったのか…?
2002年の初演時、芙美子役の大竹しのぶを筆頭とする俳優陣の卓越な演技と栗山民也の切れ味鋭い演出、
そして音楽をふんだんに盛り込んだ新鮮な作劇が、観客の心をゆさぶり、圧倒的な評価を得、
その年の演劇賞を独占いたしました。また、朴勝哲の生演奏のピアノにのせて届ける、
ベートーベン、チャイコフスキーからロジャース、宇野誠一郎の『ひょっこりひょうたん島』までの、
幅広い楽曲、それを見事に歌いあげる舞台俳優ならではの豊かな表現力に注目です。
初演時、私は毎晩空を見ながらこの芝居に出逢えたことに感謝をしていました。
そして、役者としての意味を知ったのもこの芝居のような気がします。
私たち役者の身体を通して、井上さんの言葉が、思いが、お客様の心に深く、強く、
そして優しく沁み渡っていくのを毎日感じることが出来ました。
6年振り4度目となる今回。いつも褒めて下さった井上さんはもういらっしゃいません。
それだけが本当に残念です。今、この時に、井上さんがいたら何とおっしゃってただろう。
どんな本をお書きになっただろう。3・11以降、私たちはずっとそんなことを考えていました。
けれど、今回稽古を始めてみて全員が思ったこと、それは、
この本はまさに今お書きになったのではないかということです。
それほど鋭く、今の私たちに必要な言葉だということが分かります。
むずかしいことをやさしくやさしいことをふかくとおっしゃった、
今日も井上さんの言葉を伝えられる喜びを感じながら、舞台に立ちます。
こまつ座 第102回公演・紀伊國屋書店 提携
『太鼓たたいて笛ふいて』
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:大竹しのぶ 木場勝己 梅沢昌代 山崎一
阿南健治 神野三鈴 演奏・朴勝哲
公演日程
【東京】2014年1月16日(木)〜2月9日(日)
新宿南口・紀伊國屋サザンシアター
【大阪】2014年2月22日(土)・23日(日)シアターBRAVA!
【鹿児島】2014年2月26日(水)鹿児島市民文化ホール 第1ホール
【名古屋】2014年2月15日(土)・16日(日)名鉄ホール
【福岡】2014年3月1日(土)キャナルシティ劇場
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