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劇団スタジオライフ『トーマの心臓』
ティーサロンにて製作発表会見が行なわれました
2015年に結成30周年を迎える劇団スタジオライフは、代表作品『トーマの心臓』再演を決定しました。
1996 年の初演以来、数多くの観客を魅了してきた本作。この度、4年ぶりの上演となります。
舞台美術には前作『LILIES』でも新たな彩りを与えた美術デザイナーの乗峯雅寛を迎えるほか、
2014 年1 月に開催した「トーマの心臓出演劇団員募集 第13 期新人 公開オーディション」で選出された
新人劇団員の起用するなど、新たな要素を加えての上演となります。
また同時に、上演劇場である「紀伊國屋ホール」は今年開場50年を迎えました。
ドイツのギムナジウム(高等中学校)と寄宿舎生活を舞台にくり広げられる物語。
冬の終わりの土曜日の朝、一人の少年が自殺した。彼の名はトーマ・ヴェルナー。
そして月曜日、一通の手紙がユリスモールのもとへ配達される。
「これが僕の愛、これが僕の心臓の音…」
トーマからの遺書だった。その半月後に現れた転入生エーリク。
彼はトーマに生き写しだった。人の心を弄ぶはずだった茶番劇。
しかし、その裏側には思いがけない真実が秘されていた。
1985 年結成。1987 年から、男優が女性役をも演じるという手法をとり、現在は男優40名、女性演出家・倉田淳1 名のみで構成されている演劇集団。その耽美な世界観と、演出家 倉田淳の独創的な脚色力と美しく繊細な舞台演出が話題を呼び、20 代~40 代の女性を中心に圧倒的な支持を得ている。1996 年2 月の「トーマの心臓」(原作萩尾望都)初舞台化の成功を機に、萩尾望都作品や「ヴェニスに死す」(原作 トーマス・マン)、「死の泉」(原作 皆川博子)等の文芸耽美作品を始めとし、人の心の機微を深く追求する作品を精力的に上演している。劇団創立20 周年を迎えた2005 年には直木賞作家・東野圭吾の「白夜行」を2 部構成で初舞台化し大好評を得た。2006 年には長年の念願だったシェイクスピア作品「夏の夜の夢」を上演し大成功を収め、以後「ロミオとジュリエット」、オリジナルの楽曲を使ったわかりやすいシェイクスピア作品を目指した音楽劇「十二夜」や「じゃじゃ馬ならし」を上演。2015 年には結成30 周年を迎える。
ティーサロンで作品の舞台となるドイツの寄宿学校=“シュロッターベッツ高等中学”の
制服に身を包んだスタジオライフのメンバーが来場した報道陣に
ティーサービスを行なうという趣向のもと、
製作発表が行なわれました。
まず始めに『トーマの心臓』原作者・萩尾望都とスタジオライフの演出家・倉田淳の
トークショーが行なわれました。1996 年の初演時以来18 年間にわたり交流しているお二人は、
作品のエピソードなどを交えた話を語りました。
◆倉田淳
紀伊國屋ホールが開場50周年、そして『トーマの心臓』が生まれたのが1974年なので、
ちょうど40 年。劇団スタジオライフが来年30周年です。
40年前、『トーマの心臓』が連載を始めた頃はどのような状況でお仕事していらしたのでしょうか。
◆萩尾望都
「萩尾さん、長編連載をしよう」と編集者に言われ、少女コミックで連載を始めたのですが、
読者アンケートでの人気が最下位となり、1週目ですぐに打ち切りの危機がありました。
週刊で初めての連載なので1ヶ月やらせて欲しいと頼みこんで、続けさせてもらったんです。
その頃「ポーの一族」の単行本が販売され追い風となり、その後連載は続きました。
◆倉田淳
いま大変な世の中ですが、その時に書き続けていらした先生のご心境をお聞かせいただいたら、
私たちも大きな励みになるのですが。
◆萩尾望都
作品は先まで出来ているのにここで終わってしまったら、続きはどこで書けばいいんだという思いでした。
編集部にはまめに足を運んでいましたね。
◆倉田淳
『トーマの心臓』はあの頃からすると、(時代の)ちょっと先を行きすぎていたのかもしれないですね。
◆萩尾望都
そうかもしれませんね。自分は小学生ぐらいの頃こういう作品を読んでいたなと思いましたが、
小学生という対象年齢からすると少しお姉さんの内容だったのかもしれません。
◆倉田淳
『トーマの心臓』は英語版も発売されていて、昨年私もロサンゼルスの大きな本屋さんで購入しました。
日本の漫画文化が世界に広がっているのはどうしてだと思われますか?
◆萩尾望都
海外ではアニメが流行りその後で原作本をという形が多いと思いますが、コアなファンが多く
何かあるとあちこちでジャパンフェスティバルという形で漫画の文化を楽しんでいらっしゃり
ありがたいなと思います。日本文化をどんどん輸出出来たらいいですね。
◆倉田淳
新しい作品を作る時に意識していらっしゃることは?
◆萩尾望都
筋力が衰えてくると長い線が描けなくなってきますし、体力を使う仕事なので体力を付けないとなと思っています。
最近は半年休むと元の線を取り戻すのが大変なんです。だから描けるうちは断続的に描きたいと思います。
◆倉田淳
『トーマの心臓』を再び上演することに際し、何かひとこといただけるとありがたいです。
◆萩尾望都
『トーマの心臓』はスタジオライフと倉田さんに出合って開花した幸福な作品だと思っております。
舞台という新しいジャンルで組み立てて下さり、音楽、演出、躍動感のある役者さんたちが一丸となって
毎回舞台を作り上げています。スタジオライフファンとしても嬉しいですし、
原作者としてもこんな幸福なことはないと思います。
ありがとうございます。今回の舞台も楽しみにしております。
続いて行なわれた記者会見では、劇団代表の河内喜一朗、脚本・演出を担当する倉田淳、
および『トーマの心臓』メインキャストが登場しました。
◆河内喜一朗
私たちはこの作品を1996年に初演しました。その時お客様から大きな反応をいただきました。
これが本当の芝居の反応なのかということを肌で感じた覚えがあります。
再演のたびに、いつもその瞬間だけにしかない
新しい発見をしています。これは役者冥利に尽きます。
◆倉田淳
今回8度目の上演となりますが、毎回新しい発見があります。
それがエネルギーとなっております。いい作品は普遍でありますが、
まさにこの作品がそうだなと思います。
◆山本芳樹(ユリスモール)
1997年の再演から出演しております。
大切な作品ですので、大切に大切に演じたいと思います。
◆松本慎也(ユリスモール)
僕は2006年、2010年とエーリクとして出演させていただきました。
『トーマの心臓』とエーリクの経験があったから今芝居を続けられていると思います。
まさかユリスモールを演じる日が来ると思っていなかったので驚きと不安はありますが、
劇団に入って10年の全てをかけて、真摯に取り組みたいと思います。迷った時は原作を読んで頑張ります。
◆及川健(エーリク)
スタジオライフとしては4年ぶりの上演。私としては11年ぶりのエーリク役です。
11年です!テーマは若々しくやっていこうと思います。
◆岩﨑大(オスカー)
今回6度目の挑戦です。5回までは全部違う役をやりました。上級生、下級生、お母さん・・・
『トーマの心臓』のいろんな世界を見てきたなと思いました。前回からオスカーを
やらせていただいています。『訪問者』というオスカーの少年期を描いた作品で
オスカーを演じましたので、その経験が生かされるように作って行きたいと思います。
◆仲原裕之 (オスカー)
オスカーという役で2006年から参加させていただいております。
憧れの役で僕でいいのかなと思う位なのですが、またこの役を与えていただき、
興奮とプレッシャーでいっぱいです。精一杯務めます。原作を読むとオスカーは
いろんな表情を見せています。ドライなところもあれば、ナイーブなところもあります。
誰かを思っての行動なので、僕も原作のように思いに溢れたオスカーを目指したいと思います。
◆関戸博一(レドヴィ)
僕自身2006年、2010年に続いて3度目の出演。レドヴィは前回から演じています。
4年ぶりにジャケットを着ましたが、身が引き締まり、またこの世界に帰ってきたんだなという気がします。
レドヴィはトーマの気持ちに寄り添っていく人物なので、この作品に寄り添いたいと思います。
◆青木隆敏(サイフリート)
『トーマの心臓』で初舞台を踏み、15年が経とうとしています。4年前はユリスモールを演じました。
ユリスモールのセリフで、「よい種と悪い種があってよい種はトーマにひかれ、悪い種はサイフリートに
ひかれた」というのがあるのですけれど、サイフリートを演じるということで、
この4年間でよい種よりも悪い種の方が人間として育ってしまったのではないかと・・・
その結果サイフリート役にキャスティングされたのかなと(笑)。私自身の心の堕落を
受け止めて(笑)、悪の華を咲かせたいと思います。
◆久保優二(エーリク/初参加)
よろしくお願いします。
◆田中俊裕(エーリク/初参加)
よろしくお願いします。
劇団スタジオライフ
『トーマの心臓』
東京公演
2014年5月24 日~6月22日
紀伊國屋ホール
大阪公演
2014年7月11 日~7月13日
シアター・ドラマシティ
お問い合わせ
スタジオライフ TEL:03-5929-7039(月~金 12:00~18:00)
公演HP
http://www.studio-life.com/stage/toma2014/index.html
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