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『十二夜』稽古場取材をしました
船の遭難で離ればなれになった双子の兄妹。
絡み合った片思いの糸をほぐしてくれるのは「時」だけ-
素晴らしく可笑しくて、同時に素晴らしく悲しい、
そんなシェイクスピアの最も成熟した喜劇の一つに、
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)アソシエイト・ディレクターも務める、
ジョン・ケアード(『レ・ミゼラブル』『ダディ・ロングレッグズ』)が新たな演出で挑戦。
片思いの危機と混乱を描き出す深遠な舞台が、力のある俳優たちの演技、
惹き込まれるように美しいセットと衣裳、
いつまでも心に残る音楽に彩られた舞台『十二夜』にご期待下さい。
『十二夜』の稽古も終盤戦に差し掛かり、ひときわ熱を帯びてきました。
稽古場に訪れたオーディエンス(見学者)を前に、演出家ジョン・ケアードさん自身が
物語や装置の説明を行っていきます。衣裳や装置のデザインを手掛けたのは、
ジョンさんの友人、ヨハン・エンゲルスさん。悲しいことに、このデザインした直後の
11月に亡くなったため、彼の思いも心に抱いての演出となります。
「これだけ立派な装置を組んで稽古が出来るのは日本ならではのことです」とジョンさんは語ります。
いよいよ稽古開始。身分の高いオーシーノ公爵を演じる小西遼生さんはひときわ豪華な椅子に座っています。
時には演出家自身が立ちあがって、動きやきっかけを決めていきます。
ジョンさんの通訳を務めるのは、演出家アシスタントでもある今井麻緒子さん。
稽古冒頭から迫真の演技を見せる音月桂さんと宮川浩さん。
音月さんは今回、双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラを演じます。
なんとか岸にたどり着いたものの、兄は溺れたと思い込んで絶望するヴァイオラは、
身を守るため兄の服を着てシザーリオと名乗り小姓になりすますことを思い付きます。
再びジョンさんが立ちあがり、歩くスピードについて説明しています。
喪に服しているシーンなので、みなさん黒づくめの衣裳です。
衣裳(スカート)の裾がかなり広がっているので、稽古用のスカートもボリュームをもたせているんだとか。
表情からも読み取れるように、シザーリオ(つまり、ヴァイオラ)のオーシーノ公爵への思いはなんとも複雑。
それを知っている観客は、こんな何気ない仕草にも、思わずドキドキ(笑)。本当に美しいお2人です。
オーシーノが恋をしているのは、中嶋朋子さん演じるオリヴィアという女性。
求愛を拒み続けるオリヴィアに想いを伝えてもらおうと、オーシーノはシザーリオを使いにやることを思い付きます。
しかし、シザーリオ(つまり、ヴァイオラ)はオーシーノに恋心を抱いているのです・・・。
そこにいろんな思惑が混じってくるので、状況は更に複雑に。
なんと、この局面でオリヴィアはシザーリオを本当の男性だと信じて恋に落ちてしまうのです。
アントーニオ役の山口馬木也さん。
ここで、実は生きていたヴァイオラの双子の兄セバスチャンが現れます。
音月さんが稽古中に右手にはめていたヘアゴムは、このシーンで素早く髪をまとめる為だったのですね。
橋本さとしさん演じる執事マルヴォーリオが、なにやらおかしな様子で走り寄ってきます。
(もちろん、オーディエンスからは思わずクスクスと笑い声が)
真剣であれば真剣なほど、姿を現す滑稽さ。
石川禅さん演じるサー・アンドルー、壤晴彦さん演じるサー・トービー、そして成河さん演じるフェステ。
実はこの『十二夜』には、音楽があふれています。その重要な要素を担うのは成河さん。
どのような形で音楽や歌が入ってくるのか、このあたりもお楽しみに!
壤晴彦さんの演技も迫力で、よく通る声が稽古場に響きます。
瞬間的に涙をうるませる石川禅さんの集中力はさすがです。
さて、ここでも、またもや何かを企んでいる様子。
西牟田恵さん演じるマライアの示す案に耳を傾ける2人。
この2人の恋の行方は・・・
おっと!成河さんだけでなく、小西さんも演奏を始めました。
もうこれは「音楽劇」と言っても過言ではないほど、音楽に彩られています。
椅子の上に置いてあった手紙を読んで、なにやら早合点している様子のマルヴォーリオ。
このシーンではひときわ大きなオーバーアクションを取る橋本さとしさんの姿に場内大爆笑。
この顔芸?!にも理由があるのですが、本番でどのような表情を見せるのか、このあたりもご注目下さい(笑)。
後ろでその様子を見ているのは青山達三さん演じるフェイビアンら、3人。
こうして、どんどん狂騒へと進んでいくところで第一幕が終わります。
ちょっとした掛け違いや勘違いが重なっていく面白さ、
それが『十二夜』の見どころのひとつでもありますね!
松岡和子さん訳のシェイクスピアセリフの心地よさ、
まるで絵本から抜け出たような美しい装置や衣裳、
物語を彩る音楽や歌、
どの場面を切り取っても見応えたっぷりの俳優陣の演技、
宝塚退団後初の男装を披露する音月桂さんの姿、
そしてジョンさんを始めとするチームワーク。実はこれが一番大きな要素かもしれません!
見どころのポイントを挙げたらきりがないくらいです。
笑いあり、切なさありの『十二夜』。本番が益々楽しみになりました!
『十二夜』
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:ジョン・ケアード
【東京公演】日程:2015年3月8日(日)~3月30日(月)
会場:日生劇場
【大分公演】2015年4月7日(火)
iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
【大阪公演】2015年4月10日(金)~12日(日)
梅田芸術劇場メインホール
http://www.tohostage.com/12ya/index.html
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