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松竹創業120周年 歌舞伎NEXT『阿弖流為』製作発表 コメント 2015年05月

(2015年05月10日記載)

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松竹創業120周年 歌舞伎NEXT『阿弖流為』製作発表 コメント
中島かずき、いのうえひでのり、市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助が出席しました


写真 左から中村七之助、市川染五郎、中村勘九郎

歌舞伎NEXT『阿弖流為』について
(公演資料より)


2015年7月新橋演舞場公演は、歌舞伎NEXT『阿弖流為』を上演します。

2000年に上演された『阿修羅城の瞳』に続く、
市川染五郎と劇団☆新感線のコラボ企画「Inouekabuki Shochiku-mix」
第2弾『アテルイ』は、初のオリジナル作品として2002年に上演されました。

両花道を使った躍動感あふれる演出、全編を彩るドラマチックなアクション、
そして劇場を包み込む照明や音響など、スケールの大きなエンタテインメントとして人気を呼びました。
古代日本を舞台に、虐げられた民の闘いと運命を、現代的な視点と壮大な構想をもって描いた
作品としても高く評価され、第2回朝日舞台芸術賞秋元松代賞を受賞。
中島かずきは岸田國士戯曲賞、市川染五郎は芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞しました。

市川染五郎は20代に歴史上の人物として「阿弖流為」を知って以来、歌舞伎として上演する
構想を抱き、その構想を基にいのうえ歌舞伎『アテルイ』が上演されました。
この染五郎の想いと、いのうえひでのりの歌舞伎への想いが結実し、この度、初演から13年の時を経て、
ついに歌舞伎化!タイトルも『阿弖流為』となり、新橋演舞場で上演されます。

あらすじ


古き時代、日の国――。大和朝廷は帝による国家統一のため、帝人(みかどびと)軍を北の地に送り、
そこに住むまつとわぬ民、蝦夷(えみし)に戦を仕掛けていた。
その頃、都では、蝦夷の“立烏帽子(たてえぼし)党”と名のる盗賊一味が人々を襲っていた。
それを止める一人の踊り女。彼女こそ立烏帽子。女だてらの立烏帽子党の頭目だった。
町を襲う盗賊が自分たちの名を騙る偽者であること暴くため変装していたのだ。
そこに都の若き役人、坂上田村麻呂もかけつける。さらに“北の狼”と名のる男も現れ、
偽立烏帽子党を捕える。この事件をきっかけに北の狼と田村麻呂は、互いに相手に一目置くようになる。
だが、北の狼と立烏帽子は、蝦夷が信じる荒覇吐(あらはばき)神の怒りを買い、故郷を追放された男女だった。
北の狼の本当の名前は、阿弖流為(アテルイ)。故郷を守り帝人軍と戦うため、立烏帽子と二人、
蝦夷の里に戻ることにする。荒覇吐神の怒りをおさめた阿弖流為は、蝦夷の兵を率い、帝人軍と戦う。
彼の帰還を快く思わぬ蝦夷の男、蛮甲の裏切りにあいながらも、胆沢の砦を取り戻した彼は、
いつしか蝦夷の新しい長として一族を率いていく。
一方、田村麻呂も、帝の巫女である姉、御霊御前(みたまごぜん)や右大臣藤原稀継(ふじわらのまれつぐ)ら
の推挙により、蝦夷大将軍として、蝦夷との戦いに赴くことになってしまう。
阿弖流為と田村麻呂、互いに認め合う二人の英傑が、抗えぬ運命によって、雌雄を決する時が来ようとしていた。

歌舞伎NEXT『阿弖流為』製作発表が行われました(2015年5月8日)



◆脚本:中島かずき
こんな日が来るんだ・・・と、ちょっと驚いております。いつか、こういう形で自分たちの作品が歌舞伎になればと思っておりましたが、本当に最高のキャストの皆さんと一緒にやれるということで作家冥利に尽きると思います。2002年に書いたものを読み直すと、まだくだらないギャグやシーンも多くて、本当に若い頃だったんだなぁと13年目にして若気の至りを思い知らされながら、今回歌舞伎バージョンに書き直しました。より一層ドラマチックになっていますし、このお三方(市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助)のドラマがより深いものになったと思います。どういうものに仕上がるか楽しみですし、何度も再演になるような作品になれば良いなと個人的には願っております。宜しくお願いします。





◆演出:いのうえひでのり
劇団☆新感線と松竹で2002年に上演した『アテルイ』はロックをガンガン流しながらやっていたような芝居だったのですが、先代の猿之助さん(現・市川猿翁)がご覧になって「これはギャグを抜けば、そのまま歌舞伎になるよ」とおっしゃってくださって。当時は、歌舞伎ってどうやって作るんだろうって、ずっと思っていたので、すごく心強いお言葉をいただきました。元々この『アテルイ』とは、染五郎くんが、いつか歌舞伎にならないかな〜と素材集めしていたのを横取りしてやったような企画だったところもあるので(笑)そういう染五郎くんの思いも含めて、新しい形の歌舞伎になるというのは色々な意味で嬉しいしワクワクします。そして、(十八世)中村勘三郎さんともいつか一緒にやりたいなと思っていて、その時には、勘九郎くんや七之助くんともやりたいという思いもあったので、そういうことも含めて一緒にやれるということは、本当に嬉しいし頑張りたいと思います。





◆市川染五郎(阿弖流為役)
『アテルイ』は13年も経ちます。これが歌舞伎化する。歌舞伎NEXTと銘打っております。歌舞伎NEXTという新しい演劇が誕生する、そのスタートが今日だと思っております。日が経つにつれて歌舞伎NEXTのスタートがあの日だったんだという風に思われるような、そういう作品を目指したいと思っております。今までになかった演劇という風にとらえて、歌舞伎の引き出しを沢山いのうえさんに渡して作っていただきたいと思っております。そして新しいこと、やったことのないことを探すのではなく、400年以上の(歌舞伎の)歴史を紐解いていきたい。(例えば)昔は軽業師という集団が歌舞伎にはあり、立ち廻りの専門職があった時代もありました。そういったテクニックも含めて掘り起こして、それを料理していただきたい。やるにあたって1つのキーワードは〝混ぜる〟だと思っています。新しい歌舞伎を作る時には、ここは新しいことを入れた場面、ここは歌舞伎の手法ややった場面という風に織り込まれている新作歌舞伎はございます。ただ、この歌舞伎NEXTは、それを混ぜ合わせて新しいものが生まれる、化学反応を起こすということを目指していきたいと思っております。





◆中村勘九郎(坂上田村麻呂利仁役)
嬉しいです。今の気持ちは本当に嬉しいのただ一言です。お二人(中島かずき、いのうえひでのり)がいらっしゃるから言う訳じゃないのですが、私、本当に劇団☆新感線が大好きで、いつか出たいと思っていたのが、この歌舞伎になったバージョンで参加さえていただけるということが本当に感無量でございます。『アテルイ』の初演を拝見した時の感想は、とにかくあーちゃん(染五郎)が格好良かった、それだけです。本当に格好良い阿弖流為の染五郎さんと、日々戦えることを誇りに思って一生懸命勤めます。先程ギャグやネタを取れば歌舞伎になると猿之助の伯父さま(現・市川猿翁)がおっしゃっていたそうなんですけれども、私ネタものが大好きなので、これが成功して、ちょっとでも良かったら、次回はネタもので呼んで下さい(笑)





◆中村七之助(立烏帽子役/鈴鹿役)
いま兄は楽しみだと言ったのですが、僕は怖さで一杯です。やはり、ずっと劇団☆新感線の舞台を観ていまして、こんなすごい人たちの中で、よく芝居ができるなって僕は本当に染五郎の兄さんを尊敬していました。そして『アテルイ』も生で観て、あぁすごいな〜と。その伝説の舞台が歌舞伎になって、しかも私がやらせていただけるということで。まだ夢のようで、どうしようかなと思っているのですが、歌舞伎に直さなくても良かったんじゃないの?と、お客様に思われないように一生懸命やりたいと思います。



―――前作の『アテルイ』から13年。どんな思いで「またやるんだ!」と思っていましたか。

◆市川染五郎
まず初演の前、10年近く『アテルイ』を歌舞伎にしようと思って、
僕の友人と台本を書いたり、阿弖流為の郷にも行き、資料を沢山集めました。
そこで劇団☆新感線さんと出会い、第2弾の作品を何にしようかということになった時に、
この『アテルイ』が劇団☆新感線のテイストに乗っかったら格好良いんじゃないかということで実現しました。
舞台稽古の時に、僕(阿弖流為)は、上花道に居るのですが、この『アテルイ』というタイトルが舞台にボンッと出るんですね。
その時に『アテルイ』が世に出た!と(思いました)。
取材の時にも記者の方に「今度のお芝居『アルテイ』・・・」、
自分「いえ『アテルイ』です」というくらい知られていなかった人物だった。
そこから皆が知るようになって、13年経つと、あの『アテルイ』が歌舞伎化されると。
〝あの〟と言われると1つのブランドのようになっていて、すごく感慨深いですね。

―――染五郎さんと一緒の舞台に立てる喜びは、どのように感じでいますか?

◆中村勘九郎
先程、染五郎の兄さんがおっしゃったように400年の歴史を紐解いて。
自分たちの知っている歌舞伎400年の宝物のような(様々な)知識が詰まっているものを
僕たちが表現できるわけで、そのほんの一部でも表現できたらという気持ちでおります。

―――スーパー歌舞伎と呼ばれるものがありますが、今回は歌舞伎NEXTということに対して、
七之助さんはどのように受け止めていますか?


◆中村七之助
色々な名前はありますけれど、やはり根本に思うことは、お客様が楽しんでくださるということが
1番だと思いますし、これからも諸先輩方がやってきたことを受け継いで、そして、ただ受け継ぐだけではなくて、
これだったらこうなるんじゃないかと自分の中で考えて、歌舞伎というものの
可能性を広げられたらなと思っています。

―――今回の『阿弖流為』の音楽はどうのようになりますか?

◆いのうえひでのり
「いのうえ歌舞伎」をどう変えていこうかと最初に考えた時に〝生〟(と思いました)。
歌舞伎というのは1800人入る歌舞伎座の後ろ(の席)まで声を届かせる、
ちゃんと伝えるというスキルを持った人たちがいるわけですから。
基本的には、劇団☆新感線は電気(音響設備)で増幅してやる芝居が多いのですが、そこをまずアナログというか、
〝生〟の声が届くような芝居をと。そこに付随する音楽(になります)。
いく時にはいきますれど、芝居全編を通して、あの音が鳴りっぱなしのギンギンとうるさい(笑)
歌舞伎ではないということです。

―――役者さんについて。

◆いのうえひでのり
歌舞伎って何だろうと色々思っていたんですけど、最終的に歌舞伎役者がやれば歌舞伎になるんじゃないかと。
劇団☆新感線の本は歌舞伎っぽいというか、見得を切ったり、ヒーローがバーンと出て来たりと、
元々そういった素材があるので、あとは三人(市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助)に
お任せすれば大丈夫じゃないかと思います。
勘九郎くんと染ちゃん(染五郎さん)が両花道で見得を切るところは、シビレると思います。

―――書き直した脚本について教えてください。

◆中島かずき
坂上田村麻呂利仁役は前作(『アテルイ』では)堤真一さんが演じたので、
阿弖流為より坂上田村麻呂を年齢を上に設定していたのを、今回はかなり若くしています。
若いが故に色々と間違うこともあるということもあって、彼自身のドラマも増えています。
それと同時に、前に鈴鹿を水野美紀さんと、立烏帽子を西牟田恵さんに演じてもらった役を、
今回は二役ということで七之助さんにやってもらいます。
本の中ではかなり変えているところで、このあたりが新しい見どころとなっていますね。

―――それぞれの役の見どころを教えてください。

◆市川染五郎
ブレないと言いますか「ここに居るために戦う」という台詞があるのですが、
その自分がここに生きているために何をするかというのが分かっている人物だと思います。
ただ、すごく孤独な男ですけれども、でも、阿弖流為が人として描かれている作品だと思うので、
人として男として生き抜く、演じる事ができればなと思っております。
根拠はないのですが、凄いものになるという確信はあるので。
自分も13年経っていますけれど、13年前じゃ若いんじゃないかと。
「もっと格好良いんじゃない?」と(皆さんから)言われることをよく妄想しています(笑)。
◆中村勘九郎
坂上田村麻呂利仁は一本気で、情に厚く、男の中の漢(おとこ)という感じは、
前の初演の時と変わらない田村麻呂なのですが、やはり、その若さ、若さ故のというところが、
ところどころ出てきたりするので、悲しみや粗だったり、
すごく等身大な田村麻呂になっているんじゃないかと思います。
◆中村七之助
前回は素晴らしい女優さんが演じられていた、それぞれの役だと思うのですが。
微力ながら二役やらさせていただくということに、ちゃんと意味を持って演じたいです。
(初演を観た時に)最終的に立烏帽子か鈴鹿かわからない人が最後の場所に居るというところが
二役じゃなくても、そういう風に思ったので、意味をもってやっていきたいなと思っております。

―――歌舞伎をあまり観た事が無い方にも、ここが見どころだということを教えてください。

◆いのうえひでのり
ダブル花道とか、歌舞伎ならではの手法の見せ方などをできるだけ盛り込む。
あそこは、あの演目のオマージュだねと感じるようなところも出てくるんじゃないかと思います。

―――劇団☆新感線でやる前から、阿弖流為の資料を集めていたということですが、
その阿弖流為とはどのような人物なのでしょうか。


◆市川染五郎
マンガ『日本の歴史』を読んでいたら坂上田村麻呂利仁が征夷大将軍という役職を作って
蝦夷(えみし)を制圧しに行くという場面があります。
制圧はしたのですが、(その裏で)田村麻呂に内緒で阿弖流為が処刑されてしまった。
それを聞いた田村麻呂が一筋の涙を流すという1コマがあったんですね。
阿弖流為が出て来るものは、阿弖流為が鬼として描かれている作品が多くて。
国に歯向かう相手が処刑されるということには何も感情も無い(当然のこと)なのかと思っていたのですが、
田村麻呂が一筋の涙を流してしまったという。
では、この敵同士の、男と男の間に何か共感というか思いや通じ合うものがあったのではないか、
ドラマがあるのではないかと思って、阿弖流為を人間として、阿弖流為側から描いたら
新しいお芝居が書けるんじゃないかと思ったのが、阿弖流為という人物に興味を持った始めでした。
僕が自分が格好良いということを前提にして話をしますけど、
僕と勘九郎くんが両花道に立って、名乗りを挙げ見得をする。
そして、その間に七之助くんがいるというのを、僕は一番観たいんですよね。
それまで散々戦い抜いて来た阿弖流為が、最後に田村麻呂との一騎打ちをする。
観たい!格好良い!っていう。格好良いことは演じたいよな〜、ていう妄想です(笑)
889_02
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松竹創業120周年

歌舞伎NEXT『阿弖流為』

 

脚本:中島かずき

演出:いのうえひでのり

 

日程:2015年7月5日(日)~27日(月)

会場:新橋演舞場

昼の部  11時30分~/夜の部  16時30分~

 

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/2015/07/post_59.html

 

 

 
 

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