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藤間勘十郎文芸シリーズ其の壱『綺譚 桜の森の満開の下』取材会 2015年05月

(2015年05月07日記載)

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藤間勘十郎文芸シリーズ其の壱『綺譚 桜の森の満開の下』
劇場バージョンとして上演!取材会が行われました

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公演について

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藤間勘十郎文芸シリーズ其の壱と題して、昨年10月に出演者3名で能楽堂で行われたましたが
このたび、花園直道と山本一慶が加わり、劇場バージョンとなって兵庫、京都、東京で上演されます。
前回演奏者は鳴物と笛でしたが、今回はチェロも入ります。


あらすじ(資料より)

昔、鈴鹿峠に山賊が棲んでいた。旅人の身ぐるみをはがし、気に入った女は自分の女房にするといった
横暴な男で、この山すべて、この谷すべてを自分の物と思っていたのだが、桜の森だけは恐ろしいと思っていた。
桜が満開の時に下を通ればゴーゴーと音が鳴り、気が狂ってしまうのだと信じていたのだ。
そんなある日、山賊は都からの旅人を襲って殺し、連れの美女を女房にした。
女は亭主を殺されたにもかかわらず、山賊を恐れずにあれこれ指図をし始め、
山賊に彼の女房七人を次々に殺させる。わがままな女は、やがて都を恋しがり、
山賊は女とともに山を出て都に移った。 都で女は「首遊び」をしたいと山賊に命じた。
生首を並べ、残酷にも次々新しい首を持ってくるように命じるのである。
さすがの山賊も嫌気がさし、また都の暮らしにもなじめず山に帰ると決めると、
女は執着していた首を諦め、山賊と一緒に山へ戻るという。 山賊は女を背負って山に戻ると、
桜の森は満開であった。山賊は山に帰ってきたことが嬉しいあまり、
あれほど恐れた桜の森を通る事を躊躇しなかった。
しかし風吹く中、桜の下を行く山賊の背中にいたのは女ではなかった…



『綺譚 桜の森の満開の下』取材会(2015年4月23日)

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◆演出・振付・音楽:藤間勘十郎

1021_4053 藤間勘十郎文芸シリーズ第一弾となります。文芸作品を舞台化するというのは演出家にとりましても夢のようなことでございます。私といたしましても、いつかこの作品を、と思っておりました。
『桜の森の満開の下』は非常に難しい作品でございます。あれはもう何年前のことになりますでしょうか。NHKで中村雀右衛門さんがなさった時、私の母が振付いたしました。文楽の豊竹呂大夫さんが語りを勤められ、映像として見せていくという作品でした。私はその頃、母に付いて振付見習いをしておりまして、生首を持って何かをするのだけれども形は桜姫のような綺麗な感じで印象がすごく残りました。
この作品を上演すると決まった時、どうやって創っていこうかなと考えました。昨年は能楽堂での上演でしたので、何もないところで人間だけで見せるのはとても大変でしたが、父が能楽師でございますから私も幼い頃から能をたくさん観てまいりましたし、能の舞台のあり方は父から教わりましたのでそれを活かし、それでいて能とは全く関係のない方々に出演していただき、音楽の中に謡(うたい)を使う形で構成いたしましました。
この度はホール(劇場)バージョンとなりますので何でも出来ます。何でも出来るだけにこの作品は更にまた難しくなりました。ホールになったことにより、ある意味制約が出てくるという非常に珍しいことが起きているからです。能楽堂だから成立したけれど、ホールで出来ないということが山のようにある。それをどうやって解消していくのか。初演をご覧になった方が良いと言って下さって再演が決まったと思っておりますので、あくまでも初演の形を踏まえながら更にバージョンアップするということで上演させていただきます。各界のスターが揃っておりますので、作品を見せたいというのもございますが、出演者の皆様の良き部分を十分に舞台に反映できればと思っております。





◆上演台本:近衛はな
1021_4067 この度上演台本を書かせていただきました。(藤間)勘十郎さんから坂口安吾の『桜の森の満開の下』のお話をいただいた時はすごく嬉しかったです。大学生位の頃読んで、印象深い作品でした。とても余韻が怖いなと思いました。これが勘十郎さんの演出によって舞台上であの怖さ、あの美しさがどういう風に表現されるのかすごく楽しみです。今回はまた素晴らしいキャストの方が加わり、更にパワーアップした舞台になるといいなと思っております。





◆中川晃教
1021_4070 私がやらせていただく役、または役割は、ひとつは朗読、読み手です。この作品は進化している過程なのでこれから変化してゆくかもしれませんが、基本的には台本を手に持って朗読するというところから物語が始まります。もうひとつは『桜の森の満開の下』に登場する「男・山賊」の役です。そういう意味では二役で、演じ、読み聞かせるというというのが私の役割です。
昨年の初演では初めて勘十郎さんとやらせていただき、ぼたんさん、いいむろさんと一緒に能楽堂に立ち、流れて来る音楽や色彩の全てにおいて私が今まで経験したことがない世界でした。先ほどのご挨拶にもありましたが、勘十郎さんのバックボーンの中にあるものが表れているということを、稽古、そして舞台を勤める中で感じました。それは僕にとってはカルチャーショックのようなものでした。勘十郎さんは出演者3人が何かをやった瞬間の感情や動き、迷いや確信も含めて全てを察知してこの戯曲の中に誘って下さいます。このフィーリングで『桜の森の満開の下』という作品にみんなで向かっていくという創り方です。
今回再びこの作品の個性、そして勘十郎さんの演出を受けられるのがとても楽しみでした。前回僕は謡や語りをしましたが経験がなかったので、勘十郎さんがお作りになった謡の音源をいただいて、その音源を聞いて練習しました。そこに自分自身の「男・山賊」としての感情を乗せていった結果、謡に近付きました。今回はそれから更にステップアップし、謡がセリフとなり、また謡となり、また語りとなり、洋楽の歌になっていきます。これが劇場バージョンとして大きく変わったところです。このフィーリング、色彩の中でいかに自分が何かを感じながら、それが本物でありながら、お客様にどのように伝えて行くのか、というところに神経を研ぎ澄ませて楽しみたいと思います。





◆花園直道
1021_4080 桜の精をやらせていただきます。この『桜の森の満開の下』という作品は以前本で読んだことがあり、とても怖ろしい、でもどこか儚く美しい魅力的な話だなと思っておりました。今回、藤間ご宗家の演出、振付、音楽で、そして各界の素晴らしい方々の中でいちメンバーとして入れたことを嬉しく思っております。最後の謡にも「全ては桜の仕業」というのが入ってきますが、桜の精は怖ろしい存在でありながらも美しい存在であり、とても難しい役です。普段の自分のステージとはまた違った雰囲気で演じますので、毎日お稽古場での経験が勉強になっております。本番も迫って来ましたので、桜の精としての課題を自分の中で重くして挑んでいかなければと思っております。どんな初日を迎えられるか分かりませんが、兵庫、京都、東京の劇場で精一杯、緊張感を楽しみながら千穐楽まで演じたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。





◆山本一慶
1021_4084 『桜の森の満開の下』を読み、恐怖の中にあるのですが、美しさもある、このバランスが不思議だなと思いました。怖さを感じるのになぜ美しさを感じるのだろう、という気持ちが膨らんでいきました。このようなスペシャリストの方々の中に入れていただき、その中で僕は何が出来るのだろう、僕はどんな美しさをプラス出来るのだろうと考えております。最後には、緊張感のある中でお客様に僕たちが創り上げた美しさを感じていただき、その中に僕の美しさがあると嬉しいな、ということを感じています(笑)。(共演者から突っ込まれつつ)やはりいろんな色が混ざり合った美しさの中に、僕の色がなかったらさみしいなと・・・(笑)。(このように)みなさん優しく僕を迎えて下さっております。日々頑張っております。どうぞよろしくお願いいたします。





◆いいむろなおき
1021_4100 昨年の初演の時からメンバーに入って一緒にやっております。初演も手探りで創っていく作品でした。みなさんそれぞれが活躍されているフィールドでの美学のようなものが融合されて、静かな美しい作品が出来たなと思いました。今回新たなメンバーも加わり、美学の部分は持ちつついろんなことが変わりながらも印象としては大きく変わらず、という作品になるんじゃないかなと思います。僕自身はマイムを専門にやっております。見えないものを見せるテクニックの人だと思われがちですが、もう少し広い意味での身体表現をして活動しております。今回の作品の中でも「男・山賊」のほか、黒衣や道化のような役などいろんなものに変化してゆきます。空気のようになったり、前に出たりしながら、楽しみながら演じております。





◆市川ぼたん
4110 今回再演するということでお話を頂戴しました。去年、能楽堂での張りつめた空間は、普段踊りを踊る私たちにとりましても大変緊張する空間でした。あそこで踊るのは出来ることなら避けたいなと思うほど怖い場所でこのような作品を上演するということで、どのように勘十郎さんは演出されるかなと思っておりました。先ほどもお話にありましたが勘十郎さんは能のことも学び、歌舞伎、日本舞踊をなさってきていて、能楽堂を知らないお客様にも分かる空間を残したままこの作品を創り上げたところが素晴らしいなと思いました。私にとりましては中川さんといいむろさんとご一緒させていただき、全く違う表現の中で共演させていただくことが大変勉強になりました。
あの時の私のことだけお話させていただきますと、それだけ緊張感のあるので大変助けられたという部分がございます。「桜の森の女」は生身の女に見えてはいけないなと思っております。あの空間で生身にしないで、上から俯瞰して自分を見ているように演じるとバランスが取れるのではないかと考えました。今回はホールに変わりますのでどこまで皆様に歩みよればいいのか、もともとの自分のフィールドを出せばいいのか、すごく悩んでおりますが、皆様と一緒に模索しながら稽古をする中で何か見えてきたかなと思えるようになりました。人それぞれどういう風に感じるかは違うと思いますが、桜が散ってゆくというところに私は美学を感じるので、難解な話ではありますが日本人の感覚の中で散っていく美しさを、ご覧になられる方々にもお伝えできたらいいなと思っております。



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藤間勘十郎文芸シリーズ其の壱

『綺譚 桜の森の満開の下』

 

原作:坂口安吾

上演台本:近衛はな

演出・振付・音楽:藤間勘十郎

 

出演:中川晃教、市川ぼたん、いいむろなおき、花園直道、山本一慶

 

【兵庫公演】(公演終了)

2015年4月25日 兵庫県立芸術文化センター

【京都公演】

2015年5月16日 京都芸術劇場 春秋座

【東京公演】

2015年5月19日~24日 池袋あうるすぽっと

 

お問い合わせ:アーティストジャパン

03-6820-3500 http://artistjapan.co.jp/

 

 

 
 

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