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笠松 はるさんインタビュー『笠松 はる “La Primavera ~Classica~2016”』まもなく開催! 2016年07月

(2016年07月29日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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笠松 はるさんインタビュー
『笠松 はる “La Primavera ~Classica~2016”』公演についてお話を伺いました

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『笠松 はる “La Primavera ~Classica~2016”』公演について



笠松はるが送る、
詩人 ジャン・コクトーの世界


“この電話のコードだけが貴方との最後の絆よ…”

1部
ジャン・コクトー作/プーランク作曲
オペラ・プレイ「声」

20世紀初頭のパリのアパルトマン…
女はただ独り、3日前に別れを告げてきた男の「約束の電話」を
待っていた。5年間の愛の日々に想いを馳せながら…。
現代のように通信が容易ではない、電話交換台を通じての混線や
間違い電話が日常茶飯事である時代。
やっと繋がった愛する男との最後の電話。
女は彼に何を語るのか?

一人オペラとして上演されてきた作品に、今回はダンサー(小嶋亜衣)を加え、
哀しみに暮れる女の心情を視覚的にも映し出す新演出版で上演。
演出は原 純、ピアノ伴奏は安田結衣子が務めます。
ミュージカル女優・笠松はるが紡ぐ、新たな「声」の世界を
ぜひ劇場で体感してください。

2部
コンサート


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笠松 はるさんインタビュー(取材日:2016年7月24日 / 取材・文 住川絵理)

【かさまつ はる プロフィール】

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業/同大学院修了

2005年9月オフブロードウェイミュージカル『GODSPELL』(演出:青井陽治)に出演し初舞台を踏む。
2007年4月劇団四季入団。『ユタと不思議な仲間たち』ヒロイン小夜子役(劇団四季:初舞台)『ウェストサイド物語』マリア役、『オペラ座の怪人』クリスティーヌ・ダーエ役、『サウンドオブミュージック』マリア役、『赤毛のアン』主役 アン・シャーリー役、『雪ん子』主役 ゆき役、『ヴェニスの商人』(平幹二朗主演)ネリサ役、『アスペクツ オブ ラブ』ジュリエッタ・トラパーニ役、『夢から醒めた夢』マコ役、『李香蘭』主役 李香蘭役、『ジーザスクライストスーパースター エルサレムバージョン』ヒロイン マグタラのマリア役など数々の大役を演じ、2014年12月劇団四季退団。最近は、2015年『オンディーヌ』水の精ソロ、『李香蘭』李香蘭役、ミューザ川崎ジルベスターコンサート(ミューザ川崎シンフォニーホール)、2016年笠松はるファーストライブ「La Primavera!」Premium Live TOKYO,OSAKA、オーケストラで楽しむ映画音楽Ⅶ(ミューザ川崎シンフォニーホール)等に出演。

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笠松 はるさんのインタビューが実現しました。
稽古中のショットも交えてご紹介いたします。

―――今回、ジャン・コクトー作/プーランク作曲、
オペラ・プレイ『声』を取り上げることになった経緯をお聞かせください。


今年の3月、ミュージカルやポピュラーソングを歌うソロライブを初めてやらせていただきました。
そのライブが終わった時に、「せっかく藝大で大学院までクラシックを学んできたのだから、
次はクラシックの楽曲に取り組むようなものをやってみたらどうか」という提案をいただきました。
卒業してからはずっとミュージカルに出演し、“歌詞を伝える”ことに重きを置いてきましたので、
「じゃあ今しか出来ないことをやろう。ひとりだけで、敢えてハードルの高いことに挑戦してみよう」と思いました。

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―――オペラ・プレイ『声』は、長年温めていたアイデアだったのでしょうか?

「私もいつかやってみたいな」という気持ちを、学生時代から漠然と持っていました。
ただ、これまで大きな劇団にも在籍しておりましたし、組織の中で自分の存在する場所を見付けて、
そこで生き生きするタイプの人間なんじゃないかなって自分で思っていたんです。
だから、あまり自分自身で色々と考えて企画するということは想像していなかったのですが、
3月のライブの時にプログラム構成も自分で考えて創り上げ、終わった時にすごく達成感がありました。
そんなこともあって、「今までやったことがないことにチャレンジしたいな」と、
珍しく私の中に創作意欲が沸いていて、今回はいちから創り上げるお芝居をやってみたいなと思いました。
クラシックからはしばらく離れているので、ずっとクラシックの世界で培われて来た方とは
違った感じにはなると思いますが、逆に自分にしか出来ないことをやりたいなと思います。
“ミュージカル女優がこの作品に取り組んでみたら”というコンセプトで取り組むのであれば、
私がやる意義が出て来るんじゃないかと考えました。

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―――電話の会話のやり取りで綴られた作品のようですが、具体的にはどのような演出になりそうですか?

ひとりで電話越しに話しているシーンがほとんどなので、演出の原さんに「視覚的な動きを出すために
ダンサーの方に登場していただくというのはどうでしょうか」というアイデアを出させていただきました。
主人公の女性は口で言っていることと内面が違うことがあるので、そのダンサーが内面の部分を
分身のように表現してくれたらいいのではないかと。最後、死ぬのか死んでいないのか、
本の解釈はいろいろあると思いますが、死の影が何度も彼女に訪れているのは間違いないので、
「象徴としてダンサーが踊ってくださるといいな、私がお客さんだったらそういう作品を観たいな」と思いました。

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―――それは確かにミュージカル的発想の要素かもしれないですね。オペラ・プレイ『声』の楽曲の魅力は。

もともと現代曲はすごく好きで、大学院の時は英米歌曲を学び、バーンスタインの『キャンディード』という
コミック・オペレッタの研究をしました。私は割と難解な音楽にはまってしまうところがあって、
『声』のような感じの楽曲はすごく好きです。音のぶつかり合いが何ともいえず、
心情を表していて、拍子が変わっていくのがいいなって。

この作品はそうではありませんが、変拍子も好きで、5拍子とか7拍子とかが入っている楽曲も好きですね。
プーランク作曲のアリアは大学院時代にも歌ったことがありますが、『声』は
聴くことはあっても全編を歌うことはありませんでした。
とってもハードルが高い作品なので、私自身「この作品にしよう!」と決断するには、大きな勇気がいりました。
演出の原さんやスタッフの方々にも相談しましたが、大学時代の師匠にも
「この作品をやりたいと思っているんですけど、私にやれるでしょうか?」と、今の気持ちを話してみました。
そうしたら「いろんな経験を重ねて来たあなたが挑戦するにはすごくいい時期だと思いますよ」と言ってくださいました。
でも、やると決めてからも楽譜を開くたびに、どうしよう・・・と思います(笑)。

ピアノの安田結衣子さんは大学院時代によく弾いていただいていて、コンクールも一緒に出たことがあります。
安田さんはフランスにも留学していらっしゃり、作曲家でありながら伴奏の専門的な勉強もされています。
フランスの作曲家・プーランクの作品なので、是非お願いしたいと思いました。
10年ぶりにご一緒出来て嬉しいです。


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―――笠松さんは数々のタイトルロールを務めていらっしゃいましたが、
ひとり芝居形式というのも初めての経験ですよね。稽古を進めていく上でどんなことを感じていますか。


まず、ずっと歌い続けますし、「ひとりだから不安で泣いちゃう!」と思いました。
もちろん流れを身体に入れ込むまでは大変なのですが、ピアノが電話の向こうから聞こえる相手の会話を
表してたり、慣れてくるとピアノと一心同体になってくる心地よさがあります。

原さんの演出は、私とピアニストとダンサーの3人でひとりの女性を演じるという形です。
だからあまりひとりだからというプレッシャーは感じないようにしています。電話の相手が黙っている時と、
混線している時と、電話が切れる時があって、まだ、時々自分がどこをやっているのかが
一瞬分からなくなるところがあります(笑)。
稽古を重ねていくうちに慣れるはずですが、そういうのはひとりならではの経験かもしれませんね。
ひとりで台本を読んだり、音楽を聴いたりしている時には、主人公が自分の為に言っていると感じていた歌詞も、
稽古の中で「ああ、相手の為を思ってこの歌詞を言っているのかも」と、感じることもあります。
最初は変な人だなと思っていましたが(笑)、芯がある中でこういう決断をしていくんだなという
主人公の心情が分かってきた感じです。


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―――電話でのやりとりにおける心理描写が描かれた作品で、
電話のやり取りひとつをとっても便利な現代とはまた違った感じがあると思いますが、そのあたりはどう感じますか?


さすがに電話交換手を通してかけた経験はないですが(笑)、ダイヤルをまわす電話機は知っています。
この作品の時代は電話機を持っている人も限られていますし、通話料金もものすごく高かったと思うんです。
だからまず、恋人との電話にこれだけ長い時間を費やすことがどういうことなのかを考えますね。
この作品の場面の前に、電話を待ち続ける3日間があって、きっとかかってくる、でもかかってこないかもと
思いながら過ごしていたのだと思います。「この電話が切れたら彼との最後」と歌詞にも出てきます。
私は演じながらそれが、すごく切ないなと思うところです。
この電話が彼との最後になるかもしれないと思った時、彼の声が伝わってくる電話のコードを首に巻きつけるんです。
コードがあるからこそこの表現になったのだと思いますし、
この場面は一見狂気じみて見えますが、ある意味とてもロマンティックだなと思って、すごく好きです。
「目に見えるもので繋がりを感じていたい」そんな思いなのかな?と思います。

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―――1部とガラッと変わって、2部はコンサートだそうですが、2部はどんな感じになりそうですか?

スタッフの皆さんと相談しながら自分で選曲しました。クラシックの曲も入れつつ、ミュージカルの曲も入れてあります。
あとは私のお気に入りのレパートリーの中から何曲かを選んで歌います。
1部でこれだけ大変なことがやっているので、2部がどうなるかなとドキドキもしますが、
久々に歌える曲もあるので楽しみです。

―――笠松さんは子供の頃からおばあ様に連れられて舞台をご覧になっていたんですよね。
その頃から舞台に立ちたいと思われていたとか。


そうなんです。祖母は宝塚歌劇が好きで、私は母のお腹の中にいる頃から宝塚大劇場に行っておりました(笑)。
5歳の頃、「あっちがわに行って舞台に出たいんだけどどうしたらいいの?」と母に言いました。
母も歌い手だったので、「歌を習うのは早すぎるから、まずはバレエをやってみる?」と言われてバレエを習い始めました。
小学校5年生の頃、劇団四季の『キャッツ』を観て、「ミュージカルの舞台に立ちたい」と
本格的に考えるようになりました。
劇団四季の方は藝大出身者も多いので、四季を目指すのであば藝大に進もうという気持ちで入学したので、
藝大ではちょっと浮いた存在でしたね(笑)。藝大の中でミュージカルをやりたいという方は
まだそんなにいなかった頃でしたから。井上芳雄さんが4年生の頃、私が1年生でした。
大学院まで進んだ後、初志貫徹で劇団四季に入団しました。

―――劇団四季での8年間は笠松さんにとってどんな時間でしたか。

初舞台で『ユタと不思議な仲間たち』小夜子役、入団して半年後に『ウェストサイド物語』マリア役だったので、
もう本当に必死でした。子供の頃から四季のファンだったので、「私がこの役を演じてもいいのだろうか」という
気持ちもありましたが、お客様からいただくお手紙や、共演者の皆さんなど、周囲の方に本当に助けていただいて、
そういう励ましが何よりも力になりました。貴重で贅沢な経験をさせていただき、
劇団四季に育てていただいたので、本当に感謝しております。

―――今後の活動ビジョンは?

四季にいる間は、「作品を良くするために自分はどうあるべきか」を考えながらやっていたので、
自分だけになった時にどうしたらいいか分からない部分もありました。
退団後、フルオーケストラでひとりで歌うことや今回のようなコンサートをやらせていただく中で、
自分がどういう音楽をやりたいのかというものが少しずつ見えてきました。
役名なしで“笠松はる”として存在してもちょっとずつ怖くなくなってきたような気がします。
またお芝居もやりたいですし、これから出逢う作品に今の自分はどのような関わり方をしていくのだろうと、
自分自身も楽しみです。
今回のようなコンサートは、これからも続けていけるよう励んでいきたいと思います。

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『笠松 はる “La Primavera ~Classica~2016”』 

 

1部 オペラ・プレイ「声」(プーランク作曲) (日本語上演)演出:原 純

2部 コンサート

 

日程:2016年8月13日(土) 14:30~16:30

会場:きゅりあん小ホール

 

企画・制作 ヴィクトワール

ACT JPエンターテイメント株式会社

 

お問い合わせ:ACT Plus 080-4903-1106 
(留守電になる場合もありますのでメッセージをお願いします。)

haru@act-plus.net

 

チケット申込みフォーム https://pro.form-mailer.jp/fms/2bce213b98996

 

 

 
 

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あらかじめご了承下さい。

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