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市川春猿改め河合雪之丞として劇団新派に入団 会見 2016年11月

(2016年11月15日記載)

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市川春猿が来年1月三越劇場「初春新派公演」で、
春猿改め河合雪之丞として劇団新派に入団することが決まり会見が行なわれました

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公演について(公演資料より)

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来年の「初春新派公演」(三越劇場)は『華岡青洲の妻』が上演されます。

青洲の母於継に水谷八重子、青洲の妹小陸に波乃久里子、二代目を襲名した喜多村緑郎が青洲で、
青洲のもとに嫁ぐ加恵を春猿改め河合雪之丞が勤めます。

全身麻酔を完成させた外科医、華岡青洲の成功とそれを支えた母と妻、三人の関係を濃密に描き出した有吉佐和子の原作は、
映像化作品も数多く、また、舞台作品として何度も上演されてきた名作。
青洲役は十七世勘三郎以来、あまたの歌舞伎俳優が演じてきました。
歌舞伎俳優市川月乃助から劇団新派に移籍して一年となる喜多村が初役で青洲に、
新派女優陣に並び新たに劇団新派の女方として春猿改め雪之丞が出演、初役で加恵に挑みます。

会見が行なわれました(2016年10月27日)

市川春猿、水谷八重子、波乃久里子、
迫本淳一(松竹株式会社代表取締役社長)、安孫子正(松竹株式会社副社長/演劇本部長)が出席し
会見が行なわれました。市川春猿が来年1月三越劇場「初春新派公演」で、
春猿改め河合雪之丞として劇団新派に入団することが発表になりました。
ご遺族からのご快諾を頂き、新派の名女方である河合武雄より、“河合”という名字をいただき名乗ることになりました。
新派三頭目として河合武雄、井伊蓉峰、初代喜多村緑郎の三名は、大正期の新派の盛況時代を支えた名優たちです。
今年、二代目を襲名した(市川月乃助改め)喜多村緑郎と共に、新たな河合・喜多村時代を
築いて欲しいとの願いが込められています。

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◆水谷八重子
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春猿さん、私の好きな名前なんです。いかにも春で、お猿さんがきゃっきゃ喜んでいるようなかわいい感じで、大好きなそんな名前がなくなっちゃうのは寂しい気がしています。
私の中に、いろんな血があるような気がしていて、春猿さんを拝見していると別の血が騒ぐ気がします。私たち女優がやりにくい役を、芝居を作るのが好きという部分があり、そっちの血が騒ぐような気がしております。そんな風にして一緒にやっていけたら嬉しいなと思います。いろんな夢を見させていただけるのではないかと、本当に楽しみにしています。今年いっぱい春ちゃんと呼ばせてね。どうぞよろしくお願いいたします。

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◆波乃久里子
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今、新派は希望が出てきたように思います。市川月之助さんが入団し喜多村緑郎さんにおなりになって、かわいい春本由香ちゃんも入団し、春猿さんも入ってくれて、本当に嬉しゅうございます。
平成14年に春猿さんの(自主公演で)『明治一代女』を拝見した時にこの方、歌舞伎より新派の方が合うんじゃないかなぁ、でも入って来てライバルになったら嫌だなぁと思いました(笑)。でもすごく素敵な『明治一代女』でした。先ほど松竹の安孫子副社長が「八重子さんや久里子さんに教えていただきなさい」なんて仰ってましたが、こんなベテランに教えるなんて無理だわと思ったんですけど、今日会見場に来たら、本当に初々しいかわいらしい春猿さんがいたんです。小学校一年生のような感じで。春猿さんは、「新派にとっては一年生ですから」とおっしゃり、この方なら、花柳先生や八重子先生のこと少しご伝授出来るかな、と思いました。新派にとりまして素晴らしい柱になっていただけるのではないかと思っております。本当によく来てくださいました。ありがとうございます。

◆市川春猿
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本日は私の新派入団会見に足をお運びくださりありがとうございます。久里子さんがおっしゃってくださったように、気持ちは入学式の前日のような小学校一年生の気分でした。うきうきというか、わくわくというか、そんな気持ちと、これからの課題、自分の芸道に対する不安、自分に対する厳しい気持ちを持ちながら入団の発表をさせていただきます。
私は猿翁のもとで29年間歌舞伎を勉強させていただきました。その中で感じたことは、師匠、先輩、同輩、後輩、スタッフの皆様、周りの方たちに支えられてきたと強く感じております。私自身は何も分からない15歳で研修所に入り、わがまま放題、好き放題、言ったりやったりしてまいりましたが、周りの方たちが優しく励まし支えてくださいましたお陰で、今ここに立っております。今回改めて新派入団の時に、今までの皆様への感謝の気持ちと、自分に対する厳しい気持ちでいっぱいです。
私が新派に興味を持ったのは、歌舞伎と同じ時期です。新派の作品が好きでいろいろ拝見しておりました。個人的な勉強会でも、最初は舞踊のみの公演でしたが、その後には歌舞伎役者ですが『明治一代女』という新派の作品をどうしてもやりたくて、師匠に相談したところ「やりなさい。あなたは新派に向いている」とおっしゃったので、やらせていただきました。演出を石川耕士さんにお願いしていたのですが、猿翁が稽古場に来て細かく演出、指導してくださり、大変勉強になりました。その時に、新派の作品をこれからもやり続けられたら自分の役者人生は幸せだな、と思いました。スーパー歌舞伎をやっている時の新橋演舞場の監事室に置いてあった新派の台本を、時間のある時はこっそり読んで勉強していました(笑)。
新派に対してより思いを強くしたのは、『滝の白糸』から毎年、新派の作品を勉強させていただき、新派作品の魅力にのめりこんでいきました。新派の女方芸を二代目英太郎さんからも教えていただき、勉強して後世に伝え、新しい作品いいものを皆様にご覧いただきたい。古典作品もひとりでも多くのお客様に観ていただきたい、それを目標に頑張りたいと思っております。私が新派に入団することで微力ながら新派の魅力を多くの方に触れる機会となるよう、その一端を担えればという気持ちです。退路を断って新派に入団させていただきます。皆様方のお力添えを、何卒平にお願い申し上げます。

◆市川猿翁(代読)
皆様、本日は私、市川猿翁の弟子である市川春猿の為、このような席を設けていただき、誠に有難う存じます。幼い頃より古典芸能の世界に憧憬を抱き、国立劇場の歌舞伎俳優研修を経て私の元へ入門して来たのが、懐かしく思い出されます。この“雪之丞”という名前は、かつて私が名乗ろうと、一度は心に決めた大切な名前です。これからも私の弟子として、常に全力で取り組んでほしいという思いを込めて、“雪之丞”の名前を彼に薦めました。同期の二代目喜多村緑郎と共に切磋琢磨して、新たな道を歩んでいって欲しいと願っています。その為にも、水谷八重子さん、波乃久里子さんをはじめとした新派の諸先輩方からご指導ご鞭撻を賜り、一心に新派の継承・発展に励んでほしいと思います。新派の大先輩方、関係ご各位をはじめ、今後とも皆々様の温かき応援を宜しくお願い申し上げます。

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▲師匠、猿翁の話の時には涙ぐむ様子も。

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▲劇団新派の活動に期待。

―――入団をいつ決意されたか、その経緯を教えてください。屋号はどうなさいますか。

私の心の中ではっきりと入団を決意したのは、去年の暮あたりでしょうか。その後、師匠・猿翁に意志を伝えました。屋号は猿翁が薦めてくださったのですが、“雪之丞”なので雪にちなんで、また猿翁が兎年生まれということもあり、“白兎屋(しらとや)”というのがあなたらしくていいのではというお話を頂戴しました。

―――入団にあたり、猿翁さん、猿之助さんから言葉はありましたか?

私の意志を猿翁に伝えに行った時、「大賛成だ」と言ってくださいました。嬉しかったです。
四代目の猿之助さんにきちんとお話出来たのが8月の歌舞伎座の中日頃です。四代目猿之助さんは「そうなんだ。頑張って」と。そして四代目は「この後しばらくなかなか揃わないから千穐楽の日にみんなに伝えた方がいいのでは」と、楽屋でお伝えする場を設けていただきました。「これからもみんなで応援していきましょう」と言ってくださいました。

―――退路を断ってという言葉がありましたが、おもだか屋一門を離れることへの思いは。
そこまでの決意を持って入団を決めた新派の魅力は。


今までは歌舞伎俳優でありながら新派に出演させていただく形でしたが、ひとつのものを極めたい、勉強したいと思った時にはやっぱりなかなかニ足のわらじでは出来ないのではないかと。骨をうずめるつもりという意味合いで、新派に腰をすえたいと思っております。
新派の魅力は、私が思いますに、歌舞伎で勉強したことを活かせる作品がたくさんあるなと思います。女方じゃちょっとという作品もありますが、女方がやることによって出る魅力がある作品もございます。新派のお芝居は洗練された、そぎ落としたところに魅力を感じます。歌舞伎をやってきた中でそう感じるということかもしれません。そういうところも付き詰めて勉強していけるのが新派かなと。自分が取りつかれた魅力をみなさまに発信したいという気持ちが強いです。

―――研修所時代からご一緒の喜多村緑郎さんと新派で改めて名コンビの舞台を創造されると思いますが抱負を。

喜多村緑郎さんとは、私が15歳、彼が17歳の頃からずーっと一緒で親よりも一緒にいる時間が長いので、気心が知れすぎている位です(笑)。お互いのことは分かっていますので、言わなくても想像出来る間柄です。これから新派に入団させていただいて彼と一緒に出来ることはたくさんあると思います。共に勉強し、取り組んでいければと思います。

―――水谷八重子さん、波乃久里子さん、春猿さんにどういうことを覚えていって欲しいですか?

◆波乃久里子
教えるなんてそんな・・・。(先代の)八重子先生が女方の中に入って来た時の苦しさと、今度は逆になると思うんですね。女優さんの中に女方として入る訳ですから大変な苦労をなさると思います。英太郎さんもいらっしゃいますし、私が教えるなどというのはとんでもございませんが・・・出来れば男の役もたくさんやっていただきたいなと(笑)。

◆水谷八重子
私は女方さんを迎えたという感覚がないんです。同じ女優。仲間という感じが強いんです。だから『残菊物語』では恋人役をやってくださいまして、熱愛いたしました。女方さんが立役をなさると、立役の立役より色気があるんです。その不思議なセクシーな魅力があって、女をひきつけます。女優さんとして迎え入れつつも、そういう立役もいっぱいやっていただきたいという思いです。私には絶対に出来ないであろう役を春猿さんで観たいと思いますし、そういう芝居を創りたいという欲が出て来る、そういうものを醸し出しています。どうぞご期待ください。

―――歌舞伎俳優・市川春猿としての最後舞台は昨日ですか?京都で拝見した時に非常にすっきりした
表情のように見えました。思い巡ることもおありになったのでは?


昨日の仙台公演が歌舞伎俳優としての歌舞伎の舞台の最後となりました。おっしゃったようにすごくすっきりとしておりました。 私の新派入団は、一門の方々、また一緒にやってきたスタッフさんたちが気持ちよく送り出してくださったので、そう感じたのだと思います。今まで何度もご一緒させていただいている新派の諸先輩たちもあたたかく迎えてくださっていると感じますので、ひっかかるものが全くない爽やかな気持ちで今日ここにおります。周りの方たちに恵まれて、今ここまで来ているなと思っております。安心しているというのが昨日の千穐楽のすがすがしい感じになったのだと思います。長いことかつらを結ってくれている床山さんがぽろぽろ涙をこぼして寄って来た時には、さすがにそれにつられて涙ぐみましたが、気持ちはすっきりとしています。

◆水谷八重子
ここで社長、副社長にお願いなのですが、昔の新派を紐解くと歌舞伎との合同も多いんです。外国の芝居を歌舞伎と合同でやるという試みもいっぱいあったので、春猿さんは最後の歌舞伎役者としての公演とおっしゃったのでどきんとしましたが、歌舞伎と合同公演を打てるような新派にさせてくださいませ。いろんなところと一緒に合同して幅を広げていって取り組んでいきたい、欲張りな気持ちをいつまでも持ちたいです。みなさまもどうぞ応援してください。よろしくお願いいたします。

 

初春新派公演 『華岡青洲の妻』

 

作:有吉佐和子

演出:齋藤雅文

 

日程:2017年1月2日(月・祝)~1月23日(月)

午前の部11:00/午後の部15:15開演

※2日(月)・3日(火)13:00開演のみ

※6日(金)、9日(月・祝)、13日(金)、17日(火)、20日(金)、23日(月)午前の部のみ

会場:三越劇場

 

公式サイト

 

 

 
 

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