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五大路子さんインタビュー 6月22日に横浜でアート体験塾に出演 2018年06月

(2018年06月15日記載)

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五大路子さんインタビュー
6月22日に横浜でアート体験塾に出演

インタビューについて

横浜市磯子区にある横浜市磯子区民文化センター 杉田劇場では、劇場に行ったことのない子どもたちに、
本物の舞台が持つ文化の力を伝えるとともに「生の芸術を体感してもらいたい」という思いから、
区内小学校に呼びかけ、子どもたちを招き様々な鑑賞公演やワークショップを行う“杉劇アート体験塾”を開催しています。
今回は3回目となる横浜夢座による朗読劇が行われますが、
その公演を前に横浜夢座の座長である五大路子さんにインタビューしました。

五大路子さんインタビュー(2018年6月5日 取材・撮影・文:住川禾乙里 )


―――“杉劇アート体験塾”に参加するようになったきっかけは?

 杉田劇場で、横浜夢座の『奇跡の歌姫 渡辺はま子』という公演お稽古をさせていただいたことがあります。
劇場から「子どもたちに公開舞台稽古というかたちで、生の芝居に触れさせてくれないか」というお話がありました。
「題材が戦争なので、子どもたちには難しいかもしれませんが、それでも良ければ」とお稽古風景を見学してもらいました。
戦争の中で翻弄され捕まってしまった戦犯の人たちの苦労のお話の場面をやって「どうかな?」と思ったのですが、
子どもたちの反応がすごくて、そこでパッと目が覚めました。子どもには伝わらないなんて嘘だ、
子どもこそ一番想像力を働かせることができるのだと。子どもたちには難しいなんて言わないで、
生の感覚を私たちの言の葉に乗せて伝えていくことが、いかに大切かということを感じました。物語は実話なのですが、
死刑を言い渡された人たちが命の尊さを感じながら、ゴキブリも大事にして名前をつけて飼っているんです。
普通は犬や猫とかを飼うのに、僕たちが殺している“ゴキブリ”を愛おしげに、その命を大事にしているというところに、
命の重さを子どもたちは感じ取っていたのです。改めて子どもたちから教えられた気がしました。
 その体験をきっかけに、3年前から横浜大空襲の時の実話をもとにした『真昼の夕焼け』という作品をやっています。
舞台に立つと、子どもたちの気持ちがシュ〜と舞台に吸い寄せられて来ることがわかります。
一年目は小学生50名くらい、その次の年から200名の子どもたちが来てくれています。
事前に冊子を配って、学校で「焼夷弾って何?」「空襲とは?」ということを勉強してきてもらいます。
昨年は直接感想を聞く機会があったのですが、4年生の男の子が言った言葉が忘れられません。
「僕ね、明日から一生懸命生きようと思う」と、思わず泣いちゃいました。
戦争は自分たちの国には関係ない話ではないのだと、今こそ子どもたちに伝えたいし、伝えていくべきだと思いますね。
この取り組みは杉田劇場さんのご協力があってこそ。
私たちだけではできないので、本当に感謝していますし、こうして続けられることは嬉しいです。

―――とてもやりがいのある活動ですね。

 そうですね。私たちの朗読は“読み芝居”と言って音楽や照明に合わせて朗読をするので、
立体感や臨場感が想像してもらえると思います。今は情報が多く溢れていますが、生の声を聞いて、想像し感じ考える。
それも自分たちがいる横浜で起きた歴史だということ。それを伝えていくことは大切だと思いますし、
ちゃんと子どもたちの心に届けられたらなと思っています。子どもたちの反応は何よりも得難い。
吸収力のある子どもたち感覚は大切に育てていかなくちゃいけないと思うので、やっぱり生で触れさせてあげるということですね。
私たちも“杉劇アート体験塾”で、体験させてもらって、色々な発見しながら紡いでいるという感じです。

―――“横浜”で活動する思いとは?

 みんなそれぞれの定点があるように、私は横浜に磁力を感じるんです。
だから、ここから感じたことを伝えていきたいと思っています。掘り起こして歴史を探りながら、また発見して。
自分を含めて、今を生きている人たちに「今はどうだろう」「明日も元気で生きていこう」とか、
考える視点を持ってもらえたらと思って。
 今、日本中で地域から発信していますよね。東北でも九州でも、みんながそれぞれその場所で生きていて、
その場所を大事にして掘り下げていった時、共通して言える大切なことは“今”を生きているということ。
横浜に定点を持ち、横浜から発信しているけれど“今”なんです。そうすると県境や国境を越えて横浜から世界に…
極端かも知れないけれど、私はそう思うんですよね。
 それと横浜夢座がすごいのは、市民の実行委員会がボランティアで20年間一緒に歩んでくれています。
その人たちも、自分たちの町から何かを発信したいと思ってくれているので、ある意味での市民運動の1つかなとは思っています。

―――横浜の好きなところは?

 横浜の好きなところはたくさんありますが、先日、港の見える丘公園と山下公園のバラを母と見に行きました。
横浜港内を巡る海上バス・シーバスに乗ることもあります。ちょっと乗るだけでも別世界、良い気分転換にもなりますよね。
私は長谷川伸(小説家・劇作家)の作品を20年やっているのですが、彼が生まれた黄金橋のあたりも人情の町で好きです。
旧杉田劇場は美空ひばりさんが初舞台を踏まれたところですが、この場所で発信して子どもたちに伝えていけることは、
すごく幸せですね。

―――これからについて。

 先日、劇場ではない空間で、横浜大空襲の話である新作『スカートをひるがえして』を老婆の格好をして読み芝居をやりました。
通りすがりの人が見かけて、家に帰って家族でご飯を食べながらその話をするような、町に溢れる演劇を目指しています。
8月11日〜15日は『横浜ローザ』を横浜赤レンガ倉庫でやりますが、
今までと違うバージョンでやるのでチラシも新しく変えました。
11月8日〜14日には横浜夢座の本公演『赤い靴の少女 母かよの物語(仮)』を横浜ランドマークホールでやります。
静岡県の清水にある「赤い靴母子像」を見に行ったり、麻布十番にある「きみちゃん像」へ行ったり、
資料を集めて作り上げているところ。今年は、盛りだくさんです。




提供画像 

【五大路子さん 今後の予定】

2018年度『横浜ローザ』
期間:8月11日(土)〜 15日(水)
会場:赤レンガ倉庫1号館3Fホール

横浜夢座 『赤い靴の少女 母かよの物語(仮)』
期間:11月8日(木)〜14日(水)
会場:横浜ランドマークホール(ランドマークプラザ5F)
横浜夢座サイト


 

 

杉劇アート体験塾 vol.10

横浜夢座による朗読『真昼の夕焼け』

 

期間:6月22日(金)

時間:開場10:00/開演10:30 終演予定11:30

場所:横浜市磯子区民文化センター 杉田劇場ホール

 

出演:一般社団法人 横浜夢座

五大路子、松井 工(文学座)、大和田 悠太、高井 清史、伊藤 はるか

中村華子(音楽)

 

【注意事項】

本公演は磯子区の子どもたちを対象としております。

一般で鑑賞ご希望の方は座席数に限りがあるため、

先着20名様限定とさせていただきます。

6月20日(水)までに杉田劇場へご連絡ください。

入場料:1,000円(当日5階ホワイエにてお支払いただきます。)

お問い合わせ:横浜市磯子区民文化センター 杉田劇場

TEL 045-771-1212 / 開館時間9:00~22:00

 

公式サイト

 

 

 
 

情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。

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