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『Gran Tango NATSUKI MIZU Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto』水 夏希さん、剣 幸さん、高橋 正人さんインタビュー 2019年02月

(2019年02月24日記載)

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『Gran Tango NATSUKI MIZU Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto』
水 夏希さん、剣 幸さん、高橋 正人さんインタビュー

公演について(リリースより)

2014年、「アルジェンタンゴ」の公演以来、タンゴの不思議な魅力に惹かれ、
これまで自身のタンゴにかける情熱を演劇、ダンス、歌で表現してきた元宝塚歌劇団雪組トップスター水夏希。
おりしも、タンゴの本場の名門楽団 ”ブエノスアイレス市立タンゴオーケストラ”で ソリストをも務める
世界的バンドネオン奏者フェデリコ・ペレイロが、2018年夏の「タンゴのすべて」での共演を機に、
今回、自身が率いる世界最高峰のクアルテートを率いて水夏希のために再度来日、
タンゴ界奇跡のコラボが2019年の春、ここ東京で実現するはこびとなった。
巨匠アストルピアソラへのオマージュ、フェデリコのオリジナル作品などタンゴ黄金時代から
現代のタンゴ・ブエノスアイレス音楽をお届けする。
ダンスのパートナーは水夏希との名コンビネーネションで数多くのステージで踊ったおなじみの
スターダンサー、クリスティアン・ロペス。
さらに、「タンゴのすべて」で“グランカンタンテ(偉大な歌手)”とフェデリコが呼んだ
ポピュラー音楽界の重鎮、安奈淳が初日のスペシャルゲストとして登場。
29日の公演には、タンゴ、シャンソン、そしてスタンダードまで幅広いレパートリーを持ち、
今や日本を代表するボーカリストのひとり、姿月あさと、さらにスペインで
「レミゼラブル」「ラマンチャの男」などに主演したミュージカルスター、
世界で最も期待するテノール歌手の称号を受けたヴィクトル・ディアスがスペシャルゲストとして登場する。
最終日には前回の「タンゴのすべて」で、スペイン語でピアソラの傑作「Yo soy Maria」を
完璧なスペイン語で歌い上げた剣幸が参加。二度となしえぬ奇跡のステージとなるだろう。

水 夏希さん、剣 幸さん、高橋 正人さんインタビュー
(2019年1月31日 取材・撮影・文:住川禾乙里)

 


3月28日から30日までイイノホールで開催される『Gran Tango NATSUKI MIZU Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto』に
出演される水夏希さん、ゲスト出演される剣幸さん。前半は大人数のOG公演での以外、共演はほぼ初ということで、
お二人の今の気持ちを、後半は今回の公演についてプロデューサーの高橋正人さんを交えてお話を伺いました。

―――剣さんから見た水さんの印象は?

◆剣 幸
宝塚OG公演で一緒に出演したことはあるけれど遠くから見ているくらい。
でも、水さんほど何でもできる下級生はいない、優等生だなぁと思って見ていました。
劣等生として入った私としては…。

◆水 夏希
劣等生なのですか!?

◆剣 幸
はい(笑)。声楽は同期43人中43番でした。

◆水 夏希
すごく意外です。優等生だと思っていました。

◆剣 幸
音楽の授業がなかった富山の工業高校から音楽学校に行きました。
同期生には、トップで入ったナツメ(大浦みずき)。そして最下位で入った私。

◆水 夏希
そうだ!同期でいらっしゃるんですものね。

◆剣 幸
水さんは、何でも出来るというだけではない、何かを持っているなと思いました。
この前のタンゴ公演の時も「高いヒールで、あれだけ踊れてすごいね」って言ったら
「痛いけど頑張っています」って。その根性が好き!と思いました。
ざっくばらんで素敵な人だなと思いました。

◆水 夏希
現役の時はご一緒していないのですが、音楽学校に通っている時から舞台を観ていました。
宝塚を退団されてから、男役だった時のイメージを全く崩すことなく素敵な女優になられている
憧れの先輩の一人です。宝塚の良いところを持ちつつ宝塚を引きずるわけでもなく、
上手にミックスされて歩んでいらっしゃるところを見ていて、すごく勇気が湧くというか、
こういう風に歩む道もあるのだなと教えていただける存在です。

◆剣 幸
水さんは包容力のある男役さんのように感じていました。
でも今は、そのままで凛とした女性として存在している気がします。
宝塚の男役はかなり作り込むから、そこから脱しなければならないと、
自分の中での女性としてできることを駆使して女優になっていくわけだけど、
水さんは自分に何かを付けるわけでもなく捨てるわけでもない。
自然体で、そのまま女優として歌って踊っていることがすごく素敵だなと思って。

◆水 夏希
脇を締めなきゃ!とかはありますよ(笑)。

◆剣 幸
そんなのほんのちょっとのことじゃない(笑)。
そのままできる人ってそんなに居ない気がするので、そこが魅力かな。
女優だからこうしなきゃ!というものがないから、カッコイイ女性に見えるし
潔いところが見ていても気持ちが良い!

◆水 夏希
退団後は普通にしていても男っぽく見えるから「女性とは何ぞや!?」といろいろと考えました。

◆剣 幸
考えてみればもともとみんな女性なのだから、妙に女っぽくしようと思う方が変な感じ。
でも、女性らしいって難しい。実は女優さんて、男っぽい人が多いような気がする。
もしかしたら何もしない方がいいのかな?とも思うし、もともと女性なのだからという感覚で、
どこまで自分を信じてやれるかというのもある。あとは、宝塚を退団した後に、
何を身につけなきゃいけないかというところは大切。世の中を考えれば、宝塚はほんの一部分であって、
視野を広げれば知らないことの方が多い。女性らしくということよりも、
色々なことをどれだけ吸収できるかの方が大事だよね。自然とこなしていけるというのが
その人の魅力だと思うから、水さんは、そのままですごく素敵だって思うの。

◆水 夏希
宝塚を辞めて行き詰まったことはありますか?なんて私がインタビューしちゃったりして(笑)。

◆剣 幸
“行き詰まる”時って、“自分がこうならなきゃ”と、思い通りにならないことじゃないかな?
最初から何もなく、すべて挑戦だと思っていたから行き詰まることもなかった。
たとえば私が初めてこまつ座さんに出させていただいた時、最初はもう赤ん坊のようなものでした。
芝居のセオリーを私はちゃんと知っているのか?と思うくらい最初はどこへ行っても武者修行の
ようなものだった。ミュージカルに出ても宝塚で男役として作っていたものとは全然違うから、
とにかく「初めまして」という感覚で、どれも勉強だなと思えば行き詰まることはない。
最初からできない自分を認めていたから。これは私が宝塚に何もできない状態で入っているからだと
思うの。皆さん「宝塚で大変だったでしょう?」とおっしゃるけれど、大変とかいう問題ではなく、
やらなきゃついていけない私!と思っていたから何も大変ではなかった。
そこが劣等生なのかもしれないし、できないのが当たり前というところからスタートしているからね。
多分その感覚と女優になった時が似ているのかもしれない。女優も一から始めるのだし、
最初は何もできない。しかも、男役という鎧をつけていたから、どちらにしても壁にぶち当たる。
「みなさん、ごめんなさい、私、何も知らないし、できないので教えてください」と思ってやってきました。

◆水 夏希
なるほど。私は宝塚にいる時から、すごく高いところに自分の目標を置いてしまっていて…。

◆剣 幸
私と正反対(笑)。

◆水 夏希
自分の分をわきまえずに理想とする高いところ。だから、いくらやっても近づけない。
どこまで走ったらいいだろうという、打ちのめされた感(笑)。

◆剣 幸
それはもともとある程度できるからだよね。できているところのさらに上に理想があるわけじゃない?
だから、そこの溝を埋めるのがすごく大変になってくる。私はできないところから始まっていて
努力するのが当たり前だと思っていたから。どっちがいいのだろうね?でも理想は高い方がいいのかな。

◆水 夏希
高い理想を一生懸命追うよりも近い目標を追っていった方が結果そこに近づけるって
わかっているのですが、高いところへすぐに行きたいと思っちゃう。

◆剣 幸
でも、それも1つの進め方だよね。高いところに目標を持っていないと、1つクリアーして満足しちゃうもの。
それぞれの性格というのもあるだろうけど、ずっと上を見ているというのは素晴らしいと思う。

―――水さんはタンゴに取り組まれるときも目標を高くということですか?

◆水 夏希
やっぱり自分が良いと思う理想の形になりたいじゃないですか。
素晴らしいなと思うものがランクの高いものが多くて、でもそこを目指しちゃうんですよ。

◆剣 幸
なぜタンゴだったの?

◆水 夏希
梅田芸術劇場の公演で海外のダンサーさんとコラボして踊るというシリーズがあって、
最初がシアターダンス、次がタンゴ、その次がフラメンコだったんです。
その時に初めてタンゴを踊りました。タンゴって憧れるダンスじゃないですか?宝塚でも。

◆剣 幸
憧れる!

◆水 夏希
「いつかやりたいな」と思っていたものが仕事でできる機会をいただいて。
レッスンしたり、プロの方とコラボしたり、やってみてその世界観が楽しかったんですよね。
その後バンドネオン奏者の方とコラボしたり、何度かご縁をいただいたりして、
今回高橋さんが企画をしてくださって続けるチャンスに恵まれました。
タンゴは息の長い踊りなので、おじいちゃん、おばあちゃんになってもサロンでも踊れるので。

◆剣 幸
おじいちゃん、おばあちゃんになっても踊れるかな!?

◆水 夏希
私が踊っているのはステージダンスで、その場で来た人と即興でちょっと 踊るようなサロンダンスというのがあるんです。

◆剣 幸
なるほど。タンゴに対して憧れは絶対にあるよね。
私には無理って思ってしまうからできないけど、それを軽々とやってのける。

◆水 夏希
全然軽々じゃないですよ。自分で言うのもなんですが運動神経が良いんです。
ちょっと細いところ(平均台のような)を渡るとかはできるのですが、逆に体幹が使えない。
今公演している『ベルサイユのばら45』に出演していると、普通のダンスとは違う
「宝塚筋が疲れるね」とみんな言っていて、体幹じゃないんですよ。
いつもトレーニングしているところじゃないところを使うんだね〜と改めて感じます。
このような(男役の決めポーズをして)こういう部分はすごく発達しているけれど、
タンゴのように体幹で踊るというのは難しくて。運動神経が良いから、
踊れているように見えるのかもしれません。
でも、相手役のクリスティアンにも「重たいからちゃんと踊って」って、よく言われるんですよ。

◆剣 幸
私も運動神経は良かったけど踊りは全然だめだったよ。学生時代に体操をやっていたから、
初めて宝塚を受けようと思った時に、とにかく3年間音楽がなかったから、
せめてバレエを習おうと思って半年通いました。
でも、最初に「あなた体操をやっていたでしょ。全然やり方が違うのよね」と言われて。
その時にバレエやダンスって運動神経は関係ないんだと思いましたね。全然関係のない話だけど、
現役時代に阪急ブレーブスの本拠地・西宮球場に行って4回始球式をやったんですよ。
通常のマウンドより少し前に出て投げさせてもらいましたが、
当時の上田監督が、「アイツすごいぞ」と選手に言っていたの!

◆水 夏希
すごいですね!私はコンサートでステージから客席にプレゼントのボールとかタオルを投げる時にも、
正面に向かって投げてもポーンって横に飛んでいっちゃうタイプです(笑)。

◆剣 幸
球技とか得意そうなのに意外だね。

―――では少し話を戻しまして(笑)。今回はどのような内容になるのでしょうか?

◆水 夏希
第一幕はストーリーがあって、第二幕がコンサート形式でゲストの方に出演していただく形になります。
私は、歌ったり踊ったり。それに今回はゲストの方と一緒にスペイン語で歌います。
剣さん、前回スペイン語で歌われていましたよね?

◆剣 幸
高橋さんに教えていただきました。

◆高橋 正人
いや素晴らしいですよ。大したものですよ。

◆水 夏希
スペインの方々が、剣さんは歌の意味をわかって歌っているとおっしゃっていたので、私も勉強しなきゃ!と思って。

◆高橋 正人
でも、一回違うスペイン語で覚えてしまうと直していくのが大変だったでしょう?

◆剣 幸
そうですね。一度ナツメ(大浦みずき)へのオマージュという形で歌った時は耳だけで覚えたので、
高橋さんに意味も含めて一から教えていただきました。改めて内容もより理解できたので覚えやすかったですね。
それに、やっぱりリズムに合う。歌っていて気持ち良かった!今回は水さん大変だけど、歌も踊りも楽しみ!

◆水 夏希
やることがいっぱいあってドキドキしています。

◆高橋 正人
前回のタンゴ公演の時に初風諄さんが「高橋さん、やっとタンゴの歌い方がわかったわ。
リズムとリズムの間を縫って歌うのね。私リズムに乗せて歌うのだと思っていたの」って言ったら、
安奈淳さんが「そうよ」って、やりとりをしていて。

◆水 夏希
なるほど、それは良いことを聞きました!

◆剣 幸
意味や発音を教えていただいてから歌うと、マリアという女性を実感できる気がしました。

◆高橋 正人
先日、『ベルサイユのばら45』で、演出の植田紳爾先生にお会いしました。
その時にタンゴの話になったのですが、剣さんの出演された『パリ、それは悲しみのソナタ』と
『ラ・ノスタルジー』は、どちらもタンゴの作品ですよね。

◆剣 幸
そうなんです。でもタンゴらしい公演に出たのはそれくらいだったと思います。
前回のタンゴ公演に出演させていただいて、バンドネオンの音に包まれるだけでも
すごい幸せを感じながら歌っていました。そしてその音で水さんが踊っているのを見て「カッコイイなぁ」って。
1つのことを追求していく姿は魅力的で、水さんに合っていると思う。なかなかあそこまでキレがあって、
タンゴの香りがする人はいないと思うんですね。そこは水さんの魅力がタンゴと合わさっている気がします。

◆水 夏希
男役向きなダンスではあると思いますね。
まぁちゃん(舞風さん)も出演しますが、やっぱり可愛らしさがタンゴにも出ているから。

◆高橋 正人
日本人のタンゴダンスがこれだけ盛んになったのは、ここ20年くらいなんですよ。
それまではコンサート会場で聴く音楽だったんですけど、聞くよりも踊る音楽になってきましたね。
今回は、お二人ともピアソラの曲を選ばれていますが、私は一番タンゴっぽくない人な気がしているんです。
ピアソラ本人もタンゴのミュージシャンというよりかは、バンドネオンを弾く現代のミュージシャンと
言われることを望んでいたのだと思います。“リベルタンゴ”。つまり、自由なタンゴというより
タンゴから自由にという意味が込められていると思うし、だからこそ他の国でも活動をしていたのかな、と。
現代の人にはタンゴ臭くないものの方が、受け入れられやすいのかなという気がしますね。

◆水 夏希
日本舞踊より盆踊りが受け入れられるみたいな。

◆剣 幸
そこ!?(笑)。やっぱり世界は広いというか、色々なものを取り入れた上で
自分のタンゴにしたいという感覚があったのな?という気もしますね。

◆高橋 正人
今回来日するのは素晴らしいミュージシャンばかりですが、
やっぱり彼らも一番好きなアーティストがピアソラなんだそうです。
ピアソラに心酔してこの世界に入った、と。

◆水 夏希
間口が広い音楽なのでしょうね。

◆剣 幸
自分の世界だけでやっていれば楽だし、より掘り下げられるかもしれないけれど、
広い世界へ飛び出していくのはリスクもあるよね。でも、他の世界を見て、
その文化なども取り入れつつ、もう少し自分の持っているものの幅を広げていきたいと
思うのは人の常なのかもしれない。

◆高橋 正人
外国人の歌手と組んだのもピアソラが最初ですね。
色々な試みが成功して『ロコへのバラード』が世界中で歌われるようになったんでしょうね。
その一方で、40年近く聞いて見てきているので、私としてはユネスコの無形文化遺産でもあるので
ブエノスアイレスらしいところも残してほしいという気持ちもあります。

◆水 夏希
核になる部分は大切ですよね。

―――最後にメッセージを。

◆高橋 正人
水さんと一緒に踊るクリスティアンは歌詞を全部理解した上で踊るから、
切ないときには泣いているような感じで踊ります。客席からだと難しいかもしれないけれど、
彼の繊細な表現や振り付けにも注目してほしいですね。

◆剣 幸
もう一度バンドの皆さんと一緒に歌えるという、こんなに幸せなことはないです。
第一部がストーリーになっているというのもすごく楽しみですし、素敵な水さんを見るもの楽しみです。
私自身は、もう一度「ジョソイマリア」を歌わせていただきますが、また新鮮な気持ちで歌えたら嬉しいですし、
新しい歌もあるので、タンゴに酔いしれていただけるよう頑張りたいと思います。

◆水 夏希
一昨年、昨年と大所帯のタンゴ公演をやらせていただきましたが、ギュッと凝縮したメンバーなので、
少ないからこそ凝縮した迫力が出せるように地道に頑張りたいと思います。
タンゴに酔いしれる三日間にしたいと思います!

 

 

 

Gran Tango NATSUKI MIZU

Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto

 

会期:2019年3月28〜30

会場:イイノホール

料金:10,800円(全席指定)

 

公式サイト

 

取材協力【MERCER BRUNCH TERRACE HOUSE TOKYO】


一面ガラス張りのデザイナーズビルの最上階で、焼きたてフレンチトーストのブランチ&ステーキが楽しめるお店です。
ランチ:【平日】11:00〜17:00(L.O 16:30)/【週末】10:00〜17:00(L.O 16:30)
ディナー:【日〜木・祝】〜23:30/【金土祝前日】〜24:00 
【定休日】無休(5Fは日曜定休)
アクセス:東京メトロ千代田線・銀座線・半蔵門線【表参道駅】B2番出口 徒歩2分
マーサーブランチテラスハウス トウキョウ 公式サイト

 

 
 

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