情報紙から飛び出した 演劇系エンタメ サイト
Copyright Since1999 情報紙ターミナル
Copyright Since2010 株式会社ERIZUN

OSK日本歌劇団『レビュー春のおどり』桐生麻耶さんインタビュー 2019年03月

(2019年03月25日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
掲載内容は、掲載日付のものとなりますので、最新情報は各自ご確認ください。

※ 記事・写真等の無断使用・無断転載は禁止しています。なお、リンクはフリーです。

 

OSK日本歌劇団『レビュー春のおどり』桐生麻耶さんインタビュー

関連記事→OSK日本歌劇団『レビュー春のおどり』製作発表記者会見

桐生 麻耶さんインタビュー(2019年3月8日 取材・撮影・文:住川禾乙里)


3月28日(木)~31日(日)東京・新橋演舞場、 4月13日(土)~21日(日)大阪松竹座で
OSK日本歌劇団『レビュー春のおどり』が行われます。
唯一無二の男役・桐生麻耶トップスターお披露目公演です。和と洋、絢爛豪華なレビュー2本立て。
公演を前に新トップスターの桐生 麻耶さんに今の心境をお聞きしました。

―――高世麻央さんからのトップスターのバトンを受けて、
お披露目公演が東京・新橋演舞場から始まりますが、今どういう思いでいますか? 



◆桐生 麻耶
来てくださるお客様に「楽しかった!」「満足した!」と言っていただけるように、というのが一番です。
私自身がいつも思っていることですが、すべてのことに対して絶対というものは無いと思っているので、
1日のお稽古や1公演ごとを大切に、真摯に向き合わなくてはと思いますね。
(稽古場や舞台は)成長をさせていただける場所であり、戦う場所でもあるんです。
体力的にも精神的にも、それを経験できるからこそ次があると思っているので、
その覚悟を持って存在できたらと思っています。

―――見どころはたくさんあると思いますが、ここは特に観てほしい!という場面は?

◆桐生 麻耶
第一部『春爛漫桐生祝祭』では、ちょっとコミカルな場面があるのですが、そこは出演したかった!
あの場面はおもしろいです。娘役さんはお顔も崩しちゃうし「そこまでやっていいんだ!?」
ということをしてしまう(笑)。ただ綺麗なだけではなく、おもしろさが見え隠れする部分はOSKの
持ち味だと思うので、ぜひ楽しんでもらえたらなと思います。
第二部『STORM of APPLAUSE』では、オープニングがすごくかっこいいです。
場面の時系列的にも良い意味で予想を裏切るような展開に平澤智先生が作ってくださっています。
どこかオーソドックスではないショーを楽しんでもらえるのではないかなと思っています。

―――今回の公演に挑む前に劇団員の皆さんとどのようなお話をされましたか?

◆桐生 麻耶
エネルギッシュに行こうと話しました。決められたものの中から出すエネルギーではなく、
自分たちから発信していくエネルギーです。
これまでは、どこかでこれ以上やってはいけないんじゃないかというストッパーがあったように思うんです。
でも、今はそういうことを考えている場合じゃない。決められたことをやる方が楽なのですが、
今、お稽古場で自由という難しさの壁にぶつかっています。でも、それがわかるようになれば
もっと何か違う面でも楽しんでもらえると思いますし、それぞれのらしさが出るのではないかなと。
それがエネルギッシュやパワフルに出せたらいいなと思っています。

―――東京公演からスタートしますが、大阪公演と何か意識として変わるものですか?

◆桐生 麻耶
私の中では今はそれほどありませんが、やっぱりテイストが違う気がします。
その雰囲気を感じた上で舞台に立とうとは思っています。東京公演を観に来る方はクールさを感じますが、
冷めているクールさとは違うんです。大阪とは違う熱さがあって、何か空気がそうさせるのかもしれませんね。
その時間と場所を選んで来てくださった方に、その時に持っている最大限のものをお出しできればと思っています。
舞台に立っていても、お客様が「待っていたよ!」という気持ちが伝わってきます。
年に一度、新橋演舞場で、この人数と規模で公演をさせていただいておりますが、
これはとんでもない(すごい)ことなんだよと劇団員にも話をしています。
これが当たり前の環境で育っていたら、それを特別に思えという方が難しいと思うのですが、
私は解散の危機も乗り越えてきているので、当たり前は絶対に無いということは伝えています。

―――今までのOSKにいて一番嬉しかったことはどんなことですか?

◆桐生 麻耶
観に来てくださるお客様はもちろん、舞台に関わってくださる方々に出会えたという意味で
人との繋がりですね。あとは大阪松竹座、新橋演舞場、京都南座の舞台は立とうと思っても
立てる場所ではないという実感。私自身がそうだったのですが、
これは学年が上がること(経験を増して)わかることなんですよね。
OGになられて他のところで仕事をしている方や他の役者さんと話をする機会が増えてきて、
より一層感じるようになりました。だから怖いという気持ちもあります。
続けていくことの大切さと同時に頑張らないといけないという意識もあります。

―――OSKの魅力はどんなところですか?

◆桐生 麻耶
エネルギー溢れる舞台ではないでしょうか。
どこまでも突き詰めていくメンバーが多いので「それ以上やって持つの!?」って思うほどですが(笑)。
それに技術的なことを言えば、緩急が無かったらお客様も疲れてしまうのでバランスが大切になると思います。
今は勢いが強い。それも私たちの良いところでもあります。とにかく真面目で、ひたむき。
一所懸命で、本当にたまらなく可愛い子たちばかりです。
「少しずつ失われつつあるものがOSKにはまだ残っている」と先生方に言っていただきます。
そこは教えて取得していくというより、先輩の姿を見て学んでいくところでもあるので続いていくといいなと思います。

―――ご自身で、自分がどういうトップスターでありたいなと思いますか?

◆桐生 麻耶
トップスターという言葉だけで言えば「こういう人がなる」という決まった形は無いという証明にはなったかな、と。
いわゆるトップスターになる路線とかありますよね。そういう意味で言えば、決して1つの路線だけが
光り輝くところにいけるということではないし、私が思うにはトップスターと言われる人が
一番高みにいるとは思えないんです。真ん中に立っているけれど、限りなく孤独で、誰よりもその場面で責任を負うべきで。
高世さんはトップスターを目指して努力をされて、トップスターになられた方なので、本当にすごいなと思いますね。
常に見本でいなければならない重責とか。今、私はこの場所(トップスター)に立たせていただきましたが、
お客様に何かを伝えていけるか。その伝えるために切磋琢磨していくことに優越は無いと思いたいんです。
良い役をもらったら頑張るのではなく、お客様に何を伝えるために日頃からどう過ごすのか。
それによって、必ず変化は現れるはずなんです。
私は今でも向き合っていますが、踊りの振りを覚えるのも遅いし楽譜も読めないし、何も秀でているものは無い。
でも、それが自分だとわかっているので、じゃあどうすればいいのかということですよね。
そのあたりの話もみんなとしています。

―――桐生さんにとって、高世麻央さんはどんなトップスターでしたか?

◆桐生 麻耶
王道です。努力やストイックさがあった上での王道だと思います。
近いからこそ見えるものもありましたが、それを見せないようにする高世さんをずっと見てきたので、
すごい方だと思いますね。

―――桐生さんは観ている人の心を動かす芝居をされる方だと思うので、
下級生の皆さんもそんな桐生さんの背中を見てグングン力をつけているのではないかと思います。


◆桐生 麻耶
(チラシに載っている下級生の写真に向かって拍手)本当に皆が頑張っているんです。
きっかけがあったとして、そのきっかけを元に磨いていくのは自分だと思うので。
皆がそれぞれに目の前の課題に向き合っているのでしょうね。そう言っていただけるのは本当に嬉しいです。

―――記者会見にもいらっしゃいました楊琳さんと舞美りらさんの魅力を教えてください

◆桐生 麻耶
楊は天真爛漫で太陽。いつも笑顔でいようと話をしています。笑い声も多い方が良い。
なぜなら、人に与える影響が大きく変わってくると思うから。楊も舞美も実践してくれています。
特に楊はムードメーカーですね。皆まっすぐなのですが、楊には今とても助けてもらっています。
あと彼女はストイックではあるけど真面目ではないので(笑)。
ストイックで真面目だと、どこかおかしく(大変に)なってしまうんです。
だから、芸事に対してすごくストイックですが、どこかちょっとふざけた部分があると良い。
そういう意味では、この順番(桐生→楊)で大丈夫なのかな!?という話をしたこともあります。
二人とも似ているところがあって。

―――誰かストッパーがいないと!ということですね(笑)

◆桐生 麻耶
そうなんです。真麻(里都)が退団したので、今のところ虹架(路万)がストッパーをしてくれているのかな(笑)。
舞美は、どこかで歌劇の娘役はこうあるべきだと自分で決めている部分があるんですね。
今回の公演でも、私と一緒に踊る場面がいくつかあるので「そこで何か変えていければいいね」という話をしました。
すごく踊れる子なので、踊れる子は踊りに特化してしまいがちなんです。そうすると、情感がなくなってしまう。
そのせめぎ合いで難しいところだとは思うのですが。私はどちらかというと踊りは苦手な方なので。

―――そんなイメージはありませんでした。

◆桐生 麻耶
そうなんです。振付の先生方に聞いていただければわかると思いますが、振りは覚えられないし形はわからないし(笑)。
場面ごとに何を伝えたいのか、手の向きがなぜ表でなく裏なのかとか時間をかけて覚えていきます。
でも、ご覧になるのも人で、歌や踊りを舞台の上で演じるのも人。その人を魅せることが大事なのではないかな?
ということを舞美とも話をして、すごく真摯に向き合っていると思います。彼女もよく笑う子ですね。

―――桐生さんが好きな言葉って何かありますか?

◆桐生 麻耶
「ケ・セラ・セラ(なるようになる)」です。どうもがいても、どう考えても、なるようにしかならない。
でも、それは諦めではありません。結果が決まったときに、その結果を後悔しないように日々をちゃんと過ごしていたら、
あとは何もしようがない。なるようにしかならないんだからってことですね。

―――この公演、そしてOSK設立100周年に向けての意気込みをお聞かせください。

◆桐生 麻耶
劇場に足を運んでくださるからこそ、またこうして公演をさせていただけることに本当に感謝しております。
新しい劇団員が入ってきて、成長して卒業する人がいてという流れはありますが、
OSKのレビューというもの自体が日本の文化としてしっかりと認識していただけるように、
とにかく向き合って芸を磨くしかないと思っています。
まずは、この公演が成功したら、また100周年に一歩近づけるのだと思います。
ぜひ、お知り合いだけではなく、知り合いの知り合いまで、皆様で新橋演舞場にお越しいただけたらと思っています。
胸を張って迎えられる100周年であるために、今があると思いますので、
しっかりと手を抜かずにやっていきたいと思っています。

 

 

 

OSK日本歌劇団『レビュー春のおどり』

【第一部】春爛漫桐生祝祭

【第二部】STORM of APPLAUSE

 

 

<東京公演>

公演期間:3月28日(木)~31日(日)

場所:新橋演舞場(東京都中央区銀座6-18-2)

 

〈大阪公演〉

公演期間:4月13日(土)~21日(日)

場所:大阪松竹座(大阪市中央区道頓堀1-9-19)

 

OSK公式サイト 公式サイト(PCのみ)

 

 

 
 

情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。

[ PR ]