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スーパー歌舞伎II(セカンド)『新版オグリ』製作発表会見 2019年08月

(2019年08月12日記載)

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スーパー歌舞伎II(セカンド)『新版オグリ』製作発表会見



みどころ/あらすじ


平成3(1991)年に初演され、社会現象を巻き起こした市川猿翁による伝説のスーパー歌舞伎『オグリ』。
その創造の心を継承し、スーパー歌舞伎II(セカンド)を生み出した四代目市川猿之助の手によって、
脚本、演出を新たに、『新版 オグリ』として、令和元年に初上演します。
中世から語り継がれる波瀾万丈の物語を、スーパー歌舞伎II(セカンド)らしい魅力と壮大なスケールで、
市川猿之助・中村隼人の小栗判官役交互出演にてお届けします!
夢と浪漫、そしてスペクタクルあふれる超大作活劇にどうぞご期待ください!!

あらすじ
毘沙門天の申し子で武術や馬術にも長けた美貌の若者、小栗判官は、相模の国の照手姫と巡り合う。
しかし、恋に落ちた二人は掟を破って契りを交わし、小栗判官は姫の父に殺されてしまう。
閻魔大王の前にやってきた小栗判官は、他者を顧みず自らの純粋な想念に溺れた戒めに、
顔も手足も醜く腐った餓鬼病(がきやみ)の姿として娑婆へ送り返される。
変わり果てた姿に小栗判官は歩くこともままならず、善意の人が引く土車に乗り、治療のために熊野を目指すこととなる。
その道中、照手姫と運命的に再会するが、姫は小栗判官に気づかない。
果たして小栗判官は元の姿に戻ることができるのか、そして照手姫との恋の行方は…。



配役

梅原 猛 原作
横内謙介 脚本
市川猿之助 演出
杉原邦生 演出
市川猿翁 スーパーバイザー

藤原正清後に小栗判官、遊行上人(交互出演) 市川 猿之助
藤原正清後に小栗判官、遊行上人(交互出演) 中村 隼人

坂東 新悟
市川 男寅
中村 玉太郎
中村 福之助
市川 笑也
市川 男女蔵
市川 笑三郎
市川 寿猿
市川 弘太郎
市川 右近
市村 竹松
市川 猿弥
市川 門之助

石橋 正次
下村 青
石黒 英雄
髙橋 洋
嘉島 典俊
浅野 和之

スーパー歌舞伎II(セカンド)『新版オグリ』製作発表会見(2019年8月1日)



◆脚本/横内謙介
またスーパー歌舞伎に関われることを本当に嬉しく思っています。
ことにこの『オグリ』は、三代目の市川猿之助さん(現・市川猿翁さん)にお会いしてお仕事をさせていただいた時に、
パルコ劇場で上演した二十一世紀歌舞伎組『雪之丞変化2001年』という作品を軽井沢で作っていたのですが、
その隣で『オグリ』の製作が行われていました。ちょうど台本ができあがって拝見しましたが、電話帳のような台本。
このまま上演すると6時間を越えるということで、なんとか3時間半に入れなきゃいけないと試行錯誤している時でした。
その時に、錚々たるスタッフの皆さんの端っこで拝見させていただきました。
実はスーパー歌舞伎を生で観たのが『オグリ』でした。製作過程から見させていただいていたので、手間暇がかかっていて、
「こうなるのかぁ」と、その斬新さにものすごく感銘を受けたことを覚えています。
今回は、その『オグリ』を、最初は軽く現代アタプテーション的にすればいいのかな?
新たな一座なので、その役者さん向けの改変くらいなのかな?と思って猿之助さんとお話をしていたのですが、
かなり大胆にいろいろなプランを持っていらっしゃる。それはスーパー歌舞伎セカンドというものに対する猿之助さんの思いも
あるのだろうなと思いました。だとするならば、これは名作ですが、折角「新版」としてやらせていただく以上は、
僕たちなりの『オグリ』をつくろうじゃないかと思い、お話をしているところです。
ここから打ち合わせもあり、恐らく稽古中もいろいろな変更、書き直しなどを経て、その魂を継承した上で、
新しい『オグリ』になれば良いなと思います。大きく言いますと、やっぱりは梅原猛先生と先代の猿之助さんがガッツリ組んで
おやりになっている世界というのは、ちょっとあの二人が天上まで戦い抜いて、孤高の人オグリという人を、
オグリの脳、体の中に世界があるという描き方だった。本当にザ・猿之助の芝居というのがスーパー歌舞伎で、
しかも『オグリ』ってそういう感じだったのだろうと感じているのですが、
当代の猿之助さんは『ワンピース』を一緒にやらせていただいた時に、すごく感じたことですが、
先代が弟子と共に作り上げる三代目猿之助の世界だとするならば、四代目の場合は、仲間たちと作り上げていく。
仲間の中にいる、ご自分猿之助みたいなものをすごく意識していらっしゃるなと。
『オグリ』一人の中に世界があるのではなく、大きな世界の中にオグリが生きている、
ここのところあたりが今回のポイントかなと感じています。
先代からもよく言われたいたのですが「梅原先生は骨太の台本で、横内さんは繊細なのはいいけれど、骨が細い」と言われましたが、
今回はそこを逆手にとって、等身大のオグリがあってもいいのかなと。
前回やらせていただいた『ワンピース』ではルフィは、いつどこでもルフィという役でしたが、オグリというのは、
輝かしいヒーロー像から、本当に無力の餓鬼病(がきやみ)という人に頼らずには生きていけないようなところと
振り幅が大きいので、この振り幅みたいなものを猿之助さんに演じていただけたら嬉しなと感じております。


◆演出/杉原邦生
この場に自分がいることが信じられない気持ちなのです。僕が人生で初めて観た歌舞伎は先代の猿之助さんの巡業公演で、
地元の神奈川県・茅ヶ崎市民文化会館にきた時に母と下手の最前列でかぶりつきで観て、「あぁ歌舞伎って何て面白いのだろう」と
思ったのが人生で最初の歌舞伎体験でした。そして大学に入って、京都造形芸術大学に春秋座という、これも先代の猿之助さんが
芸術監督をなさって建てられた歌舞伎の劇場がありまして、そこで(現在の猿之助さんが)亀治郎さん時代に『亀治郎の会』が
開けれた時に、僕は学生ボランティアで参加していて、学内で流すCM映像を作ったんです。それを猿之助さんがご覧になって
「これすごく面白い映像だね、この子誰ですか?」とおっしゃっていただいてからのご縁です。
澤瀉屋の皆さんと縁が深いのですが、ここに居るもの不思議でならないのですが、
そういうところから縁が続いてきたのかなと思っております。
今回の『オグリ』ですが、猿之助さんから「“歓喜”をテーマにしたい」とお伺いしました。人生の歓喜とは何か、
そして生きるということとは。生きていく上での喜びや幸せは何かということがテーマになっていくのではないかと思います。
登場人物たち、それぞれみんなが何かに縛られているんですよ。家柄や自分の個人的な過去とか、規律とかに縛られている
人たちが自分を求めていく。小栗も自由を求めていった。その結果、ちょっとした履き違いがあって、
自分さえ良ければいいという風になっていってしまう。
そこで地獄へ落ちて餓鬼病に落ちていって苦難を与えられている。そこからいろいろな人の助けを得ていく中で本当の自由とは何か、
本当の人生の喜びや歓喜とは何かということ知っていくという物語だと思うので、そういうところを演出でもフォーカスを
当ててやっていきたいと思っています。折角、僕を演出に読んでいただいたので、何か僕なりのアイディアを出していけたらなと
思っているのですが、衣裳もストリートファッションのテイストを入れていただきます。初演の映像を見た時に、
鏡を使った美術が印象的だったので、それは踏襲しようということになっているのですが、地獄の場面も映像で見たから
ということもあると思うのですが、結構暗いんですよね。
地獄といえば赤とか暗いイメージがあるのですが、発想を変えて、地獄の世界と表裏一体になっていうようなイメージで、
真っ白な世界でやってみたいというアイディアを出させていただいたりとか、猿之助さんの胸を大いに借りて、
『ワンピース』では演出助手で携わらせていただいたのですが、そこでご一緒した皆さんの胸を大いに借りながら、
『新版オグリ』が作れたらと思います。


◆市川 猿之助
今回、スーパー歌舞伎IIの第三作として『オグリ』を上演することになりました。
『ワンピース』が大当たりしましたので、大当たりした後の作品というのは、皆さんの期待がすごく大きいので何をしようかと
悩んでいました。そこでフッと思ったのが『オグリ』でした。一番最初、叔父(猿翁さん)から聞いた言葉で残っていたのが、
実はこの『オグリ』の「演出プランとしては、テレビ画面を使いたかった」ということを聞いていました。
僕もそういう風になるだなと思っていたら、ある時から鏡になった。なぜ?と予算を聞いたら、ブラウン管のテレビ画面を
全部に並べたら、その当時で30億とか40億かかると。その当時は大きな画角はなかったから、
小さいテレビを無数に並べるてやるというのが、本来の叔父の演出プランだったんです。
でも、それに代わる鏡でやって、それが大当たりしました。
その叔父がやりたかった最初のプランが、今は技術が進歩して簡単に映像ができることになった。
叔父のやりたいことが約30年近く経ってやっと。だから叔父の発想は30年先に行っていたのかもしれません。
今回は、それを僕が叶えることができるんだなと思って、ぜひこれをやりたいと思いました。
ただ物語は僕から見ると、時代にあまりにもつきすぎて、あまり共感できないところがあったので、
叔父に伝えたら「梅原先生に許可を取ったら、自由にやってください」ということだったので、
生前に梅原先生に許可を取りました。僕は梅原先生を尊敬しているので、梅原先生に対する1つの答え、
先生のこの作品はこうなりましたという、先生に捧げる鎮魂の意味を込めても、この芝居は上演できることは
非常に嬉しく思っています。
今回演出は杉原1人にやらせたかったのですが、まだ荷が重いということなので、矢面に立つのは僕で、
賞賛を受けるのはこちら(杉原さん)で。僕は『ワンピース』の演出や弥次喜多もあって、僕の頭はパンクしましたので(笑)。
彼は世代も違うし、新しい発想が欲しくて任せたのですが、すでに期待に応えてくれて、いろいろなことを言ってくれるのですが、
横文字が多くて僕にはその意味がわからないので「どうぞ好きにやってください」と言ったら、
(ビジュアルを見て)帽子をかぶってこんなことになっちゃっています(笑)。
梅原先生がよく言っていたのは「想像もできないようなことを言ってくるのは本当の素晴らしい人なんだよ。
予想できることを言ってくるのは並だよ」と。だから杉原は、すでに僕の想像外のことを言ってくれる。
しかも地獄が白だなんて何を考えているんだって思っているのですが(笑)。そういうことも含めて、僕は大変期待をしております。
そして僕がのこの芝居で言いたいのは“歓喜”ですね。最初の小栗判官は自己愛なんですよ。愛は愛でも試練を経て、隣人愛になる。
その隣人愛から、人生を通して人生の目的は“歓喜”である。歓びとは苦労することでもなく、人のために役立つということでもなく、
とりあえず自分が“歓喜”の渦の中にいることが全ての人を救うことになる。人生の目的は“歓び・歓喜”である。
これを今の人たちに訴えたいですね。人間が生まれてきた意味は歓びを味わうため、それに尽きるということ。
そして今回ダブルキャストで、中村隼人くんにやってもらうわけですが、違う魅力が出るということと、あとは危機管理ですね。
何が起きるかかわりませんから。そういうことも考えて、ダブルで常にやっておくということは、海外では当たり前ですが、
これからの演劇形態として必要だと思っています。また、うちの父(市川段四郎さん)がやっていたのですが、
遊行上人というすごく良い役があるのですが、それもやりたいという役者の欲もあります。
彼が小栗をやる時にお坊さんの役をやります。歌舞伎のお坊さんというのは悟っちゃっていることが多いのですが、
このお坊さんは迷いがある。「本当に人が救えるのだろうか」と。
それと大スペクタクルもあります。恐らく地獄の場面が“血の池地獄”といって『ワンピース』以上に水浸しになると思います。
それと馬に乗った花道、両側からの宙乗り。人間だけではなく、馬に乗ったまま二つの宙乗りをやるのも初めてのことです。
そして最後は“歓喜”。『ワンピース』は最後に歌を歌いながらタンバリンを叩きましたが、
今回はみんなが踊り狂うくらい踊りまくって劇場を後にして欲しいというリクエストを出しました。
観て面白かった、楽しかったというものを作るので、どうぞよろしくお願いいたします。


◆中村 隼人
この度、猿之助兄さんと交互出演ということで小栗判官を勤めることになりました。
『オグリ』という作品は初演が平成3年ですが、私まだ産まれていなかったのですが、
私の父(中村錦之助さん)は、三代目猿之助さんの元でずっと二十代の頃から修行をしていたということで、
『ヤマトタケル』『オグリ』のお話を小さい頃からいろいろと聞いておりました。
そんな中で、私がこの役を勤めさせていただくということで、自分自身も驚いておりますし、ありがたいと思っています。
また何かで聞きましたが、三代目の猿之助さんがスーパー歌舞伎を作る時に、「現代の方の胸を打つ作品を作りたい」
ということでスーパー歌舞伎を作ったという風に伺っております。スーパー歌舞伎ができてから30年以上経過して、
また新しい時代に入っていると思うので、現代の方の胸を打てるような芝居づくりの力になれるよう精進していきたいと
思っております。また、この『オグリ』という作品を読ませていただき印象的だったのが、オグリが地獄に落ちて、
地獄でもいろいろとやんちゃをしてしまい、最後に閻魔大王様が言った言葉が僕の中で印象的なのですが、
「どんな地獄の試練よりも、きっと辛いのは生きることだ」と言います。
自分たちは普通に生きていますが、実はそれが一番辛いことなんじゃないかということで餓鬼病に転生させられて、
生きていくわけですが、そこからオグリはいろいろなことを学び、人の優しさなどに気がついて変わっていくというところが、
僕も共感できるなと思いました。
それともう1つ小栗判官という役は、荒くれ者の人たちを束ねて道を示すという役どころだと思うのですが、
僕にとって、そういう方が猿之助兄さんじゃないかなと思っております。歌舞伎の世界でどういう風にこれからどうして
いったらいいのだろうと、結構悩む時期がみなさんあるし、僕の悩んでいた時に猿之助兄さんが、
道を示してくれて引っ張ってくれたおかげて今の僕があると思っています。
まだまあ未熟ではございますが、精一杯、全身全霊でこの『新版オグリ』のために力を注いでいけたらと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。





 

 

スーパー歌舞伎II(セカンド)

『新版オグリ』

公演日程:2019年10月6日(日)~11月25日(月)

会場:新橋演舞場

公演案内サイト

 

公演日程:2020年2月4日(火)~25日(火)

会場:博多座

公演案内サイト

 

公演日程:2020年3月4日 (水) 〜 3月26日 (木)

会場:南座

公演案内サイト

 

 

 
 

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