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1月歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」第一部『壽浅草柱建』出演者囲み取材レポート 2020年12月

(2020年12月31日記載)

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1月歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」
第一部『壽浅草柱建』出演者囲み取材レポート


(集合写真・左から) 中村鶴松、中村隼人、中村種之助、坂東巳之助、尾上松也、中村歌昇、坂東新悟、中村米吉、中村莟玉

公演概要


令和3年は、1980年から続く浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」が中止となりました。
そんななか、1月歌舞伎座「壽初春大歌舞伎(ことぶきはつはるおおかぶき)」の
第一部、序幕を飾るのは、尾上松也を筆頭に、毎年、“浅草歌舞伎”を彩ってきた花形による
『壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)』です。
お正月に「曽我もの」を上演する江戸時代以来の伝統に倣い、
おめでたい華やかな「曽我もの」の舞踊を、今回の“浅草歌舞伎”出演者に合わせた形で再構成しました。

「初芝居は歌舞伎座へ――」

作品紹介


1月歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」
第一部
一、壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)

初春にふさわしい舞踊で新年を寿ぐ
主君の源頼朝から富士の巻狩の総奉行職を命じられた工藤祐経は、
そのための仮屋の普請を行うこととなり、柱建ての儀式を執り行います。
これに列座するのは、小林朝比奈をはじめ、傾城の大磯の虎や化粧坂少将たちに加え、
工藤を親の仇と狙う曽我十郎、五郎兄弟。
いきり立つ五郎を舞鶴や茶道珍斎、喜瀬川がなだめるところ、
工藤は兄弟の父である河津三郎の最期の様子を物語っていきます。
最後は登場人物たちが七福神と鶴、亀の見立てとなって幕となります。

曽我十郎・五郎兄弟が父の仇である工藤祐経を討ち取った物語は、
「曽我物語」によって人々に親しまれ、歌舞伎、人形浄瑠璃はじめ、
様々な芸能の題材となりました。
江戸時代には正月興行を「曽我狂言」で幕を開ける習慣があり、
数多くの「曽我もの」の作品がつくられました。
本作は明治23(1890)年、新富座(当時は桐座)において初演された長唄の舞踊で、
「新柱建」の通称で知られています。作詞は河竹黙阿弥、作曲は三世杵屋正治郎。
この度の上演では、「曽我もの」の舞踊のなかでも珍しい、長唄の「新柱建」を再構成し、
構成と振付を新たに、『壽浅草柱建(ことほぎて はながたつどう はしらだて)』と読ませます。
令和3(2021)年の幕開きを“寿ぎ”、「新春浅草歌舞伎」でおなじみの“花形が集う”、
新たな“柱建”で歌舞伎座の序幕を飾ります。
※「柱建」とは建築現場で初めて柱を建てる儀式のこと。建築の儀式の中でも重要なもののひとつ。
〇配役と「新春浅草歌舞伎」出演歴
曽我五郎時致 尾上松也 2009、2013、2015~2020(6年連続8回)
曽我十郎祐成 中村隼人 2012~2020(9年連続9回)
小林朝比奈 坂東巳之助 2008、2012、2014~2020(7年連続9回)
大磯の虎 中村米吉 2012~2016、2018、2020(7回)
化粧坂少将 中村莟玉 2013~2019(7回)
喜瀬川亀鶴 中村鶴松 2009、2015、2016、2019(4回)
茶道珍斎 中村種之助 2012~2015、2018、2019(6回)
小林妹舞鶴 坂東新悟 2004、2011、2013、2016、2018~2020(3年連続7回)
工藤左衛門祐経 中村歌昇 2012、2014、2015、2018~2020(3年連続6回)

出演者囲み取材レポート(2020年12月30日)


歌舞伎座正面での集合写真撮影後、感染予防対策のため、
発言者以外はマスクを着用、取材陣とも距離をとり、
1階大間にて囲み取材が行われました。
大間は来月の公演に向け、正月飾りの準備が行われていました。

ーーー浅草ではなく、歌舞伎座で迎える1月について

◆尾上松也
「来年は浅草公会堂で上演することができない」というお話を聞いたときから、
仕方ない事だと思いながらも、何かいつもの浅草メンバーで
お正月にできることはないかとご相談をしてきました。
浅草は今まで年始の大きな目標としてやって来ましたので、
寂しい気持ちもありますが、今回歌舞伎座で、こういう形で
浅草のメンバーでやるんだという事を外題(『壽浅草柱建』)にもいれていただけて、
すごくありがたく思っています。


◆中村歌昇
1月を浅草で迎えられないのは寂しいですが、
歌舞伎座に出させていただけるのは大変ありがたく思います。
そして何より、こうして舞台に立てることが本当にありがたいことだと感じています。

◆坂東巳之助
浅草で迎えられないのは本当に寂しいなと思いますが、
歌舞伎座で外題に『壽浅草』と付けていただいて、
この面々でさせていただけるのがありがたいことだと思いますし、
拙いなりにも我々が何かひとつのものを築き上げてこられたのかなと思います。

◆坂東新悟
この世代で、歌舞伎座で一幕勤めさせていただけるということに
大変責任を感じております。本当に1日1日の舞台を大切に
勤めていきたいという思いです。

◆中村種之助
お正月の歌舞伎座の最初の演目に出させていただけることは
とてもありがたい事だと思います。

◆中村米吉
浅草メンバーで歌舞伎座の正月興行の序幕で出させていただけることは
本当にありがたいことです。お正月の歌舞伎座公演は、
(大間を見上げながら)大間の誂えからしても本当に特別な公演だなと改めて感じております。

◆中村隼人
浅草歌舞伎は高校生のときから9年連続で出させていただいていたので、
1月は浅草で過ごすということが染みついました。
このように歌舞伎座に出させていただくのは嬉しい反面寂しい気持ちもあります。
しかし、この浅草メンバーでいつかは歌舞伎座でなにかできたらいいね、
という話をしたこともあったので、ある意味夢が叶ったという思いもあります。

◆中村莟玉
2013年から7年間浅草に出させていただきまして、
今回こういったかたちで歌舞伎座の舞台にお兄さん方と出させていただけるのは
大変うれしいなと思っております。歌舞伎座のお正月公演に出させていただくのも
大変久しぶりですので、楽しみにしています。

◆中村鶴松
(この中では)浅草に出ている回数は一番少ないですが、
こうして松也のお兄さんが声をかけてくださって、
お正月から歌舞伎座の舞台に立てるのを本当にうれしく思っています。
浅草で迎えられないのは寂しくもありますが、私たちがやることは
どこの劇場に行ってもおなじだと思いますので、
お客様に楽しんでいただけるようしっかり勤めたいと思います。



ーーー『壽浅草柱建』とお役について

◆尾上松也
曽我物の舞踊としてお正月にめでたくご覧いただきたいです。
五郎は何度かさせていただいていますが、おめでたさと力強さというところでは、
今までとまた違った五郎というのを目指したいと思います。
この中では年齢も上なので、みんなを引っ張っていけるような
五郎をやれたらいいなと思います。

◆中村歌昇
工藤祐経をさせていただきますが、工藤といえば大先輩方が勤められてきた
大きな大きなお役です。五郎と十郎をしっかりと受けきる度量の大きさが
少しでも出せるようにしたいと思います。

◆坂東巳之助
小林朝比奈を勤めさせていただきますが、道化の役として、
ちょっとした可笑しみの振りもありますので、
お客様に楽しんでいただけるように明るくできたらなと思います。

◆坂東新悟
舞鶴というお役は、女方でありながら、男勝りな部分もあるお役です。
世の中少し暗い部分もありますので見に来ていただいたお客様に
心から楽しんでいただけるように、おおらかに華やかに勤めたいと思います。

◆中村種之助
みんな個性の違ったお役で、演目自体が華やかですので、
お正月の歌舞伎座で歌舞伎を見たな、とお客様に明るい気持ちに
なっていただけたらいいなと思います。

◆中村米吉
大磯の虎ということで、来年は丑年なので干支を先取りしてしまったな、
というような感じがありますが(笑)、いわゆる立女方というお役ですから大きさ、
風格を出せるよう、少し背伸びをして先輩方の背中が見えるようなところに
いきたいなと思います。

◆中村隼人
一度『娘七草』で勤めさせていただいたことのある和事の十郎を
させていただきますが、『寿曽我対面』の十郎も見てみたいと思って
いただけるような十郎を勤められたらいいなと思います。

◆中村莟玉
2化粧坂の少将は、2013年の浅草歌舞伎で勤めさせていただき、
その時私は浅草初参加でございましたので、その時と同じ役にまたこうして
挑戦できることもまたご縁だなと思っております。

◆中村鶴松
私はこのメンバー中では唯一『寿曽我対面』に出演したことがなので、
分からないことがたくさんありますが、先輩方の胸をお借りして
勉強していきたいと思います。

ーーー来年2021年の抱負

◆尾上松也
まだどうなるか分からない日々が続くと思いますので、
いつでも歌舞伎の舞台に出た時に力が発揮できるように、常に意識をして、
公演が定まらないからこそ、良い充電期間にしていきたいと思います。

◆中村歌昇
できる限りのことを1日1日やっていくしかないと思っています。
また、自分から発信することも大切だと思いますので、
そういったこともどんどん挑戦していけたらと思います。

◆坂東巳之助
本当にどうなるか分からない世の中ですが、歌舞伎の公演も出演させて
いただける機会は例年に比べて少なくなってしまうのかなと思いますので、
抱負としては、「皆さまに忘れられないようにする」という1年にしたいと思います。

◆坂東新悟
世の中の変化に適応しつつ、
なにか好きなことを一つやっていけたらいいなと思います。

◆中村種之助
お客様に元気を与える立場ですから、自分の気持ちが負けないように、
元気に生きていきたいと思います。

◆中村米吉
今年も元気に頑張ります。あ、あと2日ありましたね、
来年も元気に頑張りたいと思います。(笑)

◆中村隼人
私ができることは舞台に立ち続けて、舞台を見たいと思ってくださる方を
幸せにできるように精進することだと思っております。

◆中村莟玉
歌舞伎も8月に再開して、11月から桟敷席が販売再開になり、
この1月からは2連番のお席が販売され、4部制から3部制になります。
変わっていく日々を劇場のスタッフの皆さんと役者と一丸となって
頑張りたいと思っております。

◆中村鶴松
私は25歳なのですが、ちょうどこれくらいの年齢にいろいろ
勉強をさせていただいて力を蓄える時期だと思っていますので、
来年はたくさん舞台に出てこの1年を取り戻せるような勢いで頑張りたいと思います。

歌舞伎座の大間での囲み取材ということもあり、最初は各自緊張感のある面持ちで、
浅草で迎えられない正月に対して素直な気持ちを述べる姿が印象的でした……が、
すぐに、毎年1月2日に浅草公会堂前で行われる鏡開きのときのように、
笑顔溢れる姿を見せ、他の人の発言に頷き合ったり、茶々を入れたりと、
和やかな雰囲気に包まれた囲み取材となりました。


 

 

『壽 初春大歌舞伎』

 

公演期間:2021年1月2日(土)~27日(水)

第一部 午前11時~

第二部 午後2時45分~

第三部 午後6時45分~

※開場は開演の40分前を予定

【休演】12日(火)、19日(火)

劇場:歌舞伎座

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/698/

 

 

 
 

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