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歌舞伎座「三月大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載 2022年03月

(2022年03月03日記載)

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歌舞伎座「三月大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載


第一部『新・三国志』右より、関羽=市川猿之助、劉備=市川笑也、張飛=市川中車 提供ⓒ松竹

公演概要(リリースより)


3月3日(木)から「三月大歌舞伎」(3月3日初日〜28日千穐楽 休演日:10、22日)を開催いたします。
尾上菊五郎、片岡仁左衛門はじめ充実の出演者が顔を揃え、三部制で見応えたっぷりの多彩な演目が並びます。
出演者・お客様は各部総入れ替えを行いながら、引き続きお客様に安心して歌舞伎をお楽しみいただけるよう、
換気や消毒を徹底するなど感染予防対策に万全を期して上演しています。

公演レポート


第一部は、三代猿之助四十八撰の内『新・三国志』です。
平成 11(1999)年、三代目市川猿之助(現 猿翁)により創出された、スーパー歌舞伎『新・三国志』 は、
世界的に名高い羅貫中の傑作長編小説「三国演義」に想を得て、劇作家・横内謙介が筆を執り、
約1800年前の中国を舞台に、高潔で純粋な魂を持つ勇士たちの姿を壮大なスケールのもとに描き出した超大作です。
三代目猿之助が主演の関羽を演じ、演出もつとめるドラマチックな舞台は、圧倒的なスペクタクルに富む演出で多くの人々を魅了し、
三部作としてシリーズ化されるなど、スーパー歌舞伎屈指の人気作となりました。
熱狂の初演から23年――伝説の舞台となった『新・三国志』が、四代目市川猿之助の主演・演出のもと、
新たな演出・構想で甦り、歌舞伎座に初登場します。
歌舞伎座に、初演以来の加藤和彦のテーマ曲が鳴り響く中、「三国演義」の作者・羅貫中の子孫だという、
市川中車演じる羅昆中(ら“こんちゅう”)が登場。コミカルにこれまでの物語を説明していくと、
客席からは笑いが起き、冒頭から物語世界に引き込まれていきます。
幕が上がると、鮮やかに咲き誇る桃園が出現し、舞台中央から、市川猿之助演じる関羽、
羅昆中から早替った市川中車演じる張飛、初演以来演じ続けている市川笑也演じる劉備がせり上がって登場。
「生まれし月日は違えども、願わくば同じ年、同じ月、同じ日に死せんことを」という三人が義兄弟の契りを結ぶ
有名な「桃園の誓い」の場面となり、場内は盛大な拍手に包まれました。
「争いのない、人々が幸せに暮らす国」をつくるという同じ志を持つ三人が
聡明な諸葛孔明を軍師に迎える「三顧の礼」の場面へと続きます。
「三国志」においても有名な逸話であり、『新・三国志』でも人気の場面が新たな演出と出演者によって甦るので、
客席のテンションは上がりっぱなしです。今回、孔明を演じるのは、当月より市川弘太郎から名を改めた二代目市川青虎。
関羽を演じる猿之助の、新たな名前にちなんだ「青き虎となり」というセリフには、
客席から祝福するかのような大きな拍手が沸き上がりました。
また、関羽の宿敵・曹操を勤めるのは、歌舞伎座初出演となる浅野和之。溢れ出る存在感で観客の心を掴み、
曹操が貫く悪の迫力と義に生きた英雄・関羽の勇ましさとの対比が、物語の深みを増していきます。
さらに初演時、猿之助(当時亀治郎)が演じた関羽の養子・関平を市川中車の長男・市川團子が継承し、
勇ましい成長ぶりを見せました。初演から出演している市川門之助、市川猿弥、市川笑三郎、91歳となる市川寿猿をはじめ、
尾上右近や中村福之助といった若手、石橋正次ら歌舞伎以外の俳優も出演する本作は、スーパーバイザーに市川猿翁、
脚本・演出に横内謙介がクレジットされ、初演以来の魂が継承される舞台となりました。
魂が共鳴し、互いを信じ、“争いなき平和な世を希求する”英雄たちの、「夢見る力」が感動を巻き起こし、
クライマックスでの関羽による宙乗りでは、美しい桃の花びらが客席いっぱいに舞い降り、
場内は大きな感動と鳴りやまぬ拍手に包まれました。


第一部『新・三国志』右より、関羽=市川猿之助、曹操=浅野和之 提供ⓒ松竹



第一部『新・三国志』関羽=市川猿之助 提供ⓒ松竹


     *     *     *

第二部の幕開けは、『河内山』です。
片岡仁左衛門演じる悪だくみに長けた河内山宗俊が活躍する痛快な人気作です。
中村鴈治郎演じる松江出雲守に奉公する質屋上州屋の娘が、出雲守の機嫌を害して屋敷に幽閉されていることを
見世先で聞きつけた河内山は、金目当てにその奪還を請け負います。
そして大胆不敵にも、上野寛永寺の使僧になりすまして松江邸に赴きますが…。
公演に向けた取材会で、作品について「好きな狂言」と笑顔を見せた仁左衛門は、
「悪に強きは善にもと」という名セリフについて、「大悪人は部分的に大善人である場合もある。
いざとなったらお金を度外視しても、立ち向かおうとする人でなければいけない。
悪であることを強く出す必要はないと思って演じています」と役柄の魅力を表しました。
また、「リズムを大切にし、運びを変えたり緩急を付けることで、お客様にご理解いただける部分が増えると思うので、
大事にしています」と工夫を明かしたように、黙阿弥ならではの七五調の流麗な名台詞が耳に心地よく、
仁左衛門演じる河内山の表情、仕草からは色気と愛嬌が溢れ出します。
前半の「上州屋質見世の場」と打って変わって、松江邸に向かう河内山の姿に客席からはため息が漏れ、
正体が露見 しても「馬鹿め!」と言い放つ痛快な場面に沸きました。上州屋の娘で腰元の浪路を、
仁左衛門 の孫・片岡千之助が可憐に演じると、客席からは祖父と孫の共演に温かい拍手が送られました。

二部『河内山』右より、河内山宗俊=片岡仁左衛門、松江出雲守=中村鴈治郎 提供ⓒ松竹


続いては、『芝浜革財布』
三遊亭円朝が生んだ落語「芝浜」は、現在でも人気を誇る人情噺として知られていますが、
その落語をもとにした歌舞伎の世話狂言としても愛されています。
ある朝、大酒飲みで怠け癖のある尾上菊五郎演じる魚屋の政五郎は海岸に働きに来ますが、
中村時蔵演じる女房おたつが一刻間違えて起こしたようで、人っ子一人いません。
ぶつぶつと一人で愚痴をいう政五郎の姿に愛嬌があり、客席から笑みがこぼれます。
そこで大金の入った財布を拾った政五郎は、しめたとばかりに仲間を集めて酒盛りを始めたものの、
酔い潰れて寝てしまい…さあ、目を覚ますと事態は一変。
おたつに夢を見ていたのだと諭された政五郎は禁酒を誓うと、一念発起して仕事に励みますが…。
菊五郎が魅せる江戸っ子気質の政五郎の粋、時蔵演じる女房おたつの夫への深い情愛、
数々の作品で共演を重ねてきた名コンビが、庶民の暮らしの哀歓や人情の温かさを描き出します。
劇中には、菊五郎の孫・寺嶋眞秀も丁稚長吉役で出演。
筋書のインタビューで、菊五郎が「体が大きくなってきましたので、次はどんな役を演じてもらおうかと考えています」と
語るように、その成長ぶりに観客も目を細めました。観劇後には、ほろりと心が温かくなる名作にご期待ください。

第二部『芝浜革財布』右より、魚屋政五郎=尾上菊五郎、政五郎女房おたつ=中村時蔵 提供ⓒ松竹


     *     *     *

第三部『信州川中島合戦』で幕を開けます。
時は戦国時代。中村芝翫演じる越後の大名・長尾輝虎(後の上杉謙信)は、
敵対する武田信玄の軍師山本勘助を味方につけようと画策します。
家老の直江山城守(松本幸四郎)の妻唐衣(片岡孝太郎)が勘助の妹であることを利用し、
勘助の母越路(中村魁春)と妻お勝(中村雀右衛門)を館に呼び寄せると…。
史上名高い上杉謙信と武田信玄の川中島の合戦。壮麗な戦国武将の館を舞台に、近松門左衛門がドラマチックに描いた場面は、
自ら配膳を運ぶ輝虎はじめ、多彩な登場人物が緊迫感あふれるやり取りを繰り広げます。
芝翫が「〝ザ歌舞伎〟と言っても良いお芝居」と表現するように、時代物らしい絢爛とした舞台をご堪能ください。

第三部『信州川中島合戦』右より、長尾輝虎=中村芝翫、お勝=中村雀右衛門 提供ⓒ松竹


続いては、『石川五右衛門』です。
豊臣秀吉の治世に天下を揺るがした実在の盗賊をモデルにさまざまな脚色がなされ、
江戸庶民のヒーローとなった石川五右衛門。先行作からの名場面や人気のせりふを再構成した、
まさに集大成といえるのが本作です。石川五右衛門を勤めるのは、平成23年以来2度目と なる松本幸四郎。
叔父の中村吉右衛門が初代から継いで当り役としていたこの役を直に教わ ったという幸四郎は、
「叔父に教えていただいた芸を、自分の身体を通して一人でも多くの方に見ていただけるように」と、
並々ならぬ熱意を抱いて挑みます。
本作は、五右衛門と中村錦之助演じる久吉(豊臣秀吉)の二人が実は幼馴染みという奇想天外な設定が楽しく、
昔話に興じる微笑ましい二人の姿に場内が和みます。その後、足利家の名刀を盗んだことが発覚すると、
五右衛門は久吉に追われます。花道の葛籠がゆらゆらと浮かび上がったかと思うと、中からパッと五右衛門が登場!
そのまま華麗に宙乗りで逃げ行く様子に、客席もますます盛り上がりを見せていきます。
「絶景かな」の名セリフでも知られる大詰の「南禅寺山門の場」では、幸四郎が吉右衛門から教わったという
〝役の大きさ〟をしっかりと体現し、圧倒的な存在感で舞台を包み、大きな拍手に包まれました。

第三部『石川五右衛門』石川五右衛門=松本幸四郎 提供ⓒ松竹


第三部『石川五右衛門』右より、石川五右衛門=松本幸四郎、此下久吉=中村錦之助 提供ⓒ松竹

 

 

『三月大歌舞伎』/p>

 

公演日程:2022年3月3日(木)~28日(月)

【休演】10日(木)、22日(火)

会場:歌舞伎座

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/745

 

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