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KOJI HIRATA JAPAN QUARTETスペシャルタンゴコンサート~水夏希を迎えて~ 平田 耕治さん、水 夏希さんインタビュー 2022年11月

(2022年11月14日記載)

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KOJI HIRATA JAPAN QUARTETスペシャルタンゴコンサート~水夏希を迎えて~
平田 耕治さん、水 夏希さんインタビュー




公演レポート


11月24日に関内ホール 大ホールで上演される
『KOJI HIRATA JAPAN QUARTETスペシャルタンゴコンサート~水夏希を迎えて~』に出演する、
バンドネオン奏者の平田耕治さんと、スペシャルゲストの水 夏希さんに、
お二人の共演歴やタンゴの魅力について語っていただきました。


平田 耕治さん、水 夏希さんインタビュー
(2022年11月2日 取材・文:栗原晶子/撮影:伊藤華織 )


ーーー平田さんと水さん、お二人がはじめて共演したのは今から8年前の2014年ですね。

◆平田耕治
東京文化会館での『Dramatic Tango』にゲストとしてご出演いただきました。
ほんの2~3年前のことのような気がしますが8年も経ったんですね。

◆水 夏希
まだダンスとしてのタンゴを始める前でした。取材の時に平田さんがバンドネオンを目の前でビャーンと弾いてくださって、
その迫力にヒーッと驚いたことを憶えています。生演奏のバンドネオン・オルケスタに初めて触れた公演でした。
平田さんの第一印象は「この方は南米の男性なの?」でした(笑)。
タンゴについて語る様子や風貌も粋なラテン男の雰囲気を醸し出されていましたから。
私は宝塚を退団して間もなかったこともあり、とにかくワクワクしていたことを憶えています。

◆平田耕治
宝塚にいらっしゃった方との初めての共演でしたので、「おお、宝塚の人だ!」が第一印象でした(笑)。
普段からはじめましての方ともオープンに接することが出来るタイプなので、
特に構えるようなこともなく楽しみに共演させていただきました。




◆水 夏希
だってラテンの男ですから!

◆平田耕治
2014年は記録的な大雪を観測した年で、このコンサートの日も大雪でした。
夜公演だったのですが、満席のお客様にご来場いただいたので、皆さん帰れるかなと心配しながらも嬉しく演奏しましたね。

◆水 夏希
あの夜はとても印象に残っています。会場の東京文化会館はオペラやクラシックコンサートが開催される歴史あるホールで、
すばらしい音響に感動しました。この時は、歌とともに自己流のタンゴを踊らせていただきました。

◆平田耕治
僕のファンの方は比較的年齢層が高めの方が多いんです。
戦後にタンゴブームが起こり、銀座や新橋では夜ごとタンゴが演奏されていたといいます。
その頃からのタンゴファンもコンサートを聴きにきてくださいます。
一方、水さんのファンの方は若い方が多かったので、嬉しかったですね。

◆水 夏希
ファンの方の中には、このコンサートで本格的なアルゼンチンタンゴをバンドネオンの生演奏で聴くのが
初めてという方も多かったと思います。

ーーーバンドネオンの魅力を改めて教えてください。

◆平田耕治
見た目はアコーディオンに似ていますが、音の太さや深みが唯一無二の楽器です。
音色の豊かさが魅力ですし、実はかなり複雑なことも出来る。
両手各4本の指でバッハやショパンを演奏できるという点でも珍しくてスペシャルな楽器です。
現在はドイツとアルゼンチンで作られているんですが、僕が今使っているバンドネオンは100年くらい前のものです。

◆水 夏希
100年! すごいですね。音色はもちろん素敵なのですが、演奏中に近くにいると蛇腹の音が聞こえるんです。
それは、人間の呼吸、肺の動きと同じだそうで、その臨場感が素晴らしいです。
ひとつのボタンで弾き通しても音が変わったり、和音も素敵ですよね。

◆平田耕治
蛇腹を開く時、閉じる時で音が規則性なく変わるというところが厄介な楽器といえますが、そこが面白いところです。

◆水 夏希
私たちが慣れ親しんでいるピアノのように、ドレミファが隣に並んでいる規則的でわかりやすいものとは違う点や、
バンドネオン独特の和音が心地良く聞こえるのが魅力的だなと感じています。

◆平田耕治
中にリード(振動して音源となる薄片)が入っているので、実は和楽器の笙のような音色も出せるんですよ。
バンドネオンにある種の郷愁を感じるのは、日本人の心やルーツにもつながるような音色が出る楽器だからかもしれません。

◆水 夏希
小さな音でもスーッと真っ直ぐ伝わってくる音色ですよね。




ーーー水さんは、これまでさまざまなステージでタンゴをダンスと歌で披露されてきましたよね。

◆水 夏希
タンゴはスペイン語で歌うための曲なので、日本語で歌う場合、音の切れ目、
言葉の切れ目に日本語がわたると曲のニュアンスが変わってしまうので難しいです。
今回は私が訳詞させていただいた日本語で歌う曲と、途中スペイン語で歌う曲もあります。
スペイン語は日本語にない発音なので、これもまた難しいです。

◆平田耕治
タンゴは言葉ありきでメロディーやリズムが出来ている曲も多いので、やはり歌詞は重要です。
アルゼンチンでは、誰もかれもがいつもタンゴを口ずさんでいるというわけでもないですが、
日本では知られていない古いタンゴを、プロではないおばあちゃんが歌っている場面に出くわしたりすることもありますね。
やはり文化に溶け込んでいるのだと思います。

ーーー今回の『スペシャルタンゴコンサート』は、どのような演目が予定されているのでしょうか。

◆平田耕治
皆さんが絶対に聴きたいという有名曲は逃さないようにしつつ、知らないかもしれないけれど、
聴いていただきたい曲も入れた構成です。今回も20年近く演奏を共にしてきた日本人メンバーによる
ピアノ、ヴァイオリン、コントラバスとバンドネオンとのカルテットでお届けします。

◆水 夏希
以前も歌わせていただいた「ロコへのバラード」や「アルゼンチンよ泣かないで」など、6~7曲歌わせていただきます。
「ロコへのバラード」はご存じの方もいると思いますがとても難しいんですよ。
スペイン語のこの曲はとても詩的で具体的な情景は描かれていないんです。
訳された詞にも余白がたくさんあって、いかようにも解釈できてしまう。タンゴって感覚的な歌詞が多いですよね。

◆平田耕治
詩的で全部言わないんですよね。年月の経過を、眉毛に少し雪が積もり……みたいに表現したりしますよね。
オシャレ過ぎて難しい(笑)。

◆水 夏希
本当に。だからこそ何度も歌った曲でも毎回練り直し、曲の世界観を自分で埋めていく作業が必要です。
同じ曲を年月をかけて歌わせていただけるのはとてもありがたいし、楽しいですね。

ーーー平田さんからのオファーを受けたという、初お披露目となる2曲についても教えてください。

◆平田耕治
「最後のコーヒー」と「ナダ」を水さんに初めて歌っていただきます。
「最後のコーヒー」は古典タンゴの名曲。水さんの雰囲気に合うなと思って選曲しました。
「ナダ」は何もないという意味なんですが、僕が個人的に大好きな曲です。どちらも別れを歌った曲ですね。

◆水 夏希
さきほど詞に余白があると言いましたが、「最後のコーヒー」も女性が別れを告げるのか、男性にフラれるのか、
どちらとも解釈が出来るのが面白いなあと思っています。
今回も訳詞をしましたが、訳詞をする時は全体の雰囲気を掴んだあとに、単語を調べながら、音の切れ目に当てはめる作業をします。
「思い出す秋の夕暮れ」という歌詞から始まる「最後のコーヒー」は、浮気をしていた彼に捨てられるという別れを歌います。

◆平田耕治
水さんに古典タンゴをしっとり歌っていただけのるはとても楽しみです。

◆水 夏希
これまでは皆さんがよくご存じの情熱的で勢いのあるタンゴの名曲を歌うことが多かったので、
「ナダ」のような静かな情熱を歌えるのはとにかく嬉しいです。
宝塚の時に上演した『タンゴ・アルゼンチーノ』を思い出したりもしましたね。
今回は歌のみでの参加なので、それぞれの曲、歌詞にじっくり向き合いながら本番に向けて準備を進めています。



ーーーお二人は4年振りのご共演になりますが、コロナ禍でさまざまな制約も多かった年月だったと思います。

◆平田耕治
そうですね、多くの公演が中止になりました。ようやくこの秋はさまざまな場所で演奏する機会をいただけています。

◆水 夏希
さまざまなことがストップする中で、マイペースでやりたいことをやれたという実感もあります。
いつかは勉強したいと思っていたスペイン語にも取り組むきっかけになりました。
それ以上に私自身としては今年、節目の年齢を迎えたことが大きいですね。
この先、どれだけステージに立てるのかということも考えるいい機会になっています。
ひとつ自分の中で見えているのは、これまで以上にタンゴと向き合っていこう、それをベースに持とうということです。
今回の平田さんとのタンゴコンサート共演は、その意味でもとても嬉しい機会だと感じています。



ーーー最後にコンサートを楽しみされている方々にメッセージをお願いします。

◆平田耕治
人間は心にも栄養をたっぷり与える必要があると思います。
タンゴの魅力、そしてバンドネオンという楽器の魅力をお届けしますので、ぜひたっぷりの栄養を受けにいらしてください。
アルゼンチンタンゴの名曲とともに、僕が作ったオリジナル曲も演奏いたします。

◆水 夏希
オリジナル曲、めちゃくちゃ楽しみです。
今までタンゴに触れたことのない方も、触れた瞬間にきっと世界が広がります。
生演奏の迫力やタンゴの世界観に出会う絶好の機会にしていただきたいと思います。
もちろん、すでにタンゴに魅了されている皆さまにも、とっておきの素敵な時間をお届けします。




 

 

KOJI HIRATA JAPAN QUARTET

スペシャル タンゴコンサート~水夏希を迎えて~

 

日程:2022年11月24日(木)

会場:関内ホール 大ホール

 

バンドネオン:平田 耕治

ピアノ:永易 理恵

ヴァイオリン:那須 亜紀子

コントラバス:藁科 基輝

 

 

一般:5,000円、中・高校生:1,000円、小学生:500円

株式会社アラド 045-402-9005(平日 10:00-17:00)

https://www.kannaihall.jp/detals/001960.php

 

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