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『ハッピーバースデー~命の唄~』舞台化!土居裕子さんインタビュー 2023年09月

(2023年09月28日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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『ハッピーバースデー~命の唄~』舞台化!土居裕子さんインタビュー





公演について


児童書としては異例の150万部を売上げ、今もロングセラーを誇っている「ハッピーバースデー」(金の星社)を原作にした
『ハッピーバースデー~命の唄~』が、10月25日~29日東京新宿の紀伊國屋ホールで上演される。

「ハッピーバースデー」は、母から日々言葉の暴力を受けていた小学生の少女が、静養先の祖父母のもとで
無償の愛により少しずつ心の傷を癒し、もう一度母親と向き合うまでが描かれる作品で、フジテレビ開局50周年記念として
ドラマ化された他、アニメ化もされるなど大きな話題となり、全国の小中学校で愛読され続けている。
そんな作品の原作者である吉富多美と、ミュージカル俳優の土居裕子が初の舞台化を企画。
30年以上オリジナルコメディーに拘り、製作をし続けている水木英昭プロデュースとタッグを組んで実現した
舞台『ハッピーバースデー~命の唄~』は、軸となる子どもたちのキャスティングに、全国オーディションを敢行。
イジメや虐待という難しさを持ちつつ、もはや社会的なテーマとも言える題材を、高い音楽性とエンターテイメント性豊かに
創作されている。そんな作品に企画から関わり、祖母役での出演も果たす土居裕子が、新たな舞台を立ち上げる思いと、
意気込みを語ってくれた。



インタビュー


大切なテーマだからこそエンタメ性を高めた舞台にしたい

ーーー土居さんご自身による初企画作品ということですが、
まずこの作品を舞台化したいと思われた経緯から教えていただけますか?


◆土居裕子
これまでずっと俳優としてやってきましたが、年齢を重ねるにつれて、
何か社会の役に立つことをしなくては、という思いにかられるようになっていたんです。
そんな時特別支援学校の副校長をやっている私の友人に、学校を見学させてもらうことができて。
その時の私は、子供たちと一緒に歌を歌うなどの機会が持てるなら、いくらでもやるからね!というような気持ちだったんです。
でも実際に、支援学校の先生たち、長年教育に携わっている方たちが、如何に愛情を持って、
生徒さん一人ひとり手厚いケアをしながら、子供たちが喜ぶ様々なプログラムを企画しているのを拝見して、
私が突然行って歌を歌えばそれが何かの役に立つだろうと思っていたことが、
どれほど浅い考え方だったかを知って打ちのめされたんです。
そんな私のその友人が「ちょっとこれを読んでみて」と持ってきてくれたのが、この「ハッピーバースデー」だったんです。
すぐに読ませてもらって、とても感動したので彼女にそう連絡したら「これ、舞台にできないかな」と相談を受けました。

ーーーご友人の副校長先生の方からですか?

◆土居裕子
そうです。大がかりなミュージカルというわけにはいかないかもしれないけれど、音楽が入った軽やかな舞台にできないだろうかと。
その時私も読んでいる最中に頭の中に音楽が流れてくる感覚が確かにあったので、「舞台化、考えられると思う」と言いましたら、
原作者の吉富多美先生をご紹介いただけて、先生からも「是非やってもらいたい、とても楽しみです」と言ってもらえたことから、
企画として動きはじめたんです。

ーーーご自身で舞台を創ろうと。

◆土居裕子
私に何かできるとしたら、やはりこういうことなんだろうと思ったのですが、とは言え一から舞台を立ち上げるのは
初めての経験ですし、所属事務所にも相談しながら手探りではじめました。
当時ちょうどコロナ禍で、そうした企画に助成金がいただけるかもしれない、という時期でもありましたから、もし申請が通れば、
金銭面の心配がだいぶ軽くなるなと思ったりもしていたのですが、何しろ慣れていないので、どんどん月日が経ってしまって。
もうそういうことをあてにするよりも、まず大切なのは面白い脚本が書けて、演出もできる人を探すことだ!と色々考えました。
ただ、私もずっとオリジナルミュージカルから海外のものまで、ミュージカルの舞台を様々に経験させていだいてきたなかで、
この題材はがっちりとしたミュージカルにするのは違うな、と感じていて。
でも絶対に音楽も必要だ、と思った時に水木英昭さんが浮かびました。
水木さんは「水木英昭プロデュース」の公演を毎年やっていらして、私もずいぶん前ですが一度出演させていただいてとても
面白かったんですね。原作は親子のかなりシビアな話が描かれているものでもあって、だからこそ感動的なのですが、
舞台化にあたっては少し気楽に笑えるような、楽しいシーンも盛り込むことができたら、舞台作品としてのエンタメ性も
増すのではないかと思って水木さんにお願いしたら、二つ返事で「やりましょう!」と言ってくださったんです。
そこから一気に企画が動いていきました。

ーーー親子の関係って、親子だからこそ難しいというところが確かにありますし、
考えていかなければいけないことでもあるのですが、そこにエンタメ性を加味してもらえると、
観る側としてもずっと観やすくなりますね。


◆土居裕子
そうなんですよね。題材的にどうしてもいじめのシーンなどは避けて通れないので、そういう面だけを突き詰めてしまうと、
ご覧になる方が拒否反応を示してしまうことがあると思うので、そこを和らげる笑いであったり、
歌であったりは絶対必要になるなと思いました。
実はこの取材を受ける為に駅についたところで「台本の最終稿ができた!」という連絡があったんです!

ーーーそうだったんですか!

◆土居裕子
本当にたったいま最終確認をしたところなのですが、コメディを書かれる水木さんらしい、
私たちではとても思いつかないような可愛らしいシーンを盛り込んでくれています。
逆に音楽が来てミュージカル的にドラマティックになるところは、水木さんは少し照れてしまわれるので(笑)、
そこは「大丈夫だから照れないでやってください!」と私が申し上げたりもして、
本当に素晴らしい本が出来上がったと思っているので、後は出演してくれる子供たちにしっかりやってくださいね!と
託したいです。




オーディションで素晴らしい子どもたちに出会えた

ーーー作品の軸になる子どもたちのキャスティングはオーディションをなさったそうですね。

◆土居裕子
本当にたくさんの子どもたちが受けにきてくださって…と思わず敬語になるくらいありがたいことでした。
色々な作品で主役を演じてきた経験のあるお子さんも驚くほどたくさん参加してくれたのですが、
主人公の「あすか」役をWキャストでやってもらう上野彩喜ちゃんと、矢野沙羅ちゃんは、そこまで露出していない、
ある意味大抜擢という二人になりました。それは「あすか」役に相応しいとても素直でいい子だなということが、
随所に見えていたからなのですが、こうしてポスターやフライヤーができて、宣伝をはじめたら
「一緒にやったけれど、とてもいい子だよ!」というお声をあちこちからいただけているので、良かった!
やっぱりいい子たちなんだと感じています。お兄ちゃんの直人役の川口調くんは、
『ビリー・エリオット』や『オリバー!』で既に主演をしていて、それこそよくぞオーディションを受けようと思ってくれた、
というほど素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。しかも彼はバトントワリングの世界チャンピオンだそうなので、
それは是非披露してもらいたい!と思っています。

ーーーでは、お子さん達との出会いから、作品が膨らんでもいるのですね!
また、大人キャストの方達についてはいかがですか?


◆土居裕子
あすかの母親、静代役の亜季緒ちゃんとは初めましてなのですが、水木さんが昔一緒に歌を歌ったことがあるというので
お会いしたら、とても美しい方な上に心が清らかな素敵な人だったんです。
しかもシンガソングライターで曲を作れるということなので、テーマ曲をお願いしたらこれがまた素晴らしくて!
この作品ではやはり母親役が一番大変で、稽古期間を含めて心が痛くなることも多いと思いますから、
そこはちゃんとフォローしたいですし、この物語はお母さんの話でもありますから、
どうしても私が入れたいなと思ったシーンを最後に入れてもらっています。
そこでお母さんの心もちゃんと浄化されるようにしていきたいです。

ーーー親子だからこそ、他人では口にできないことを言ってしまう、という経験は多くの人がしているでしょうから、
それは救いにもなりますね。そして土居さんご自身は主人公のあすかちゃんのおばあ様役を演じられるそうですが。


◆土居裕子
そうです。あすかちゃんのおばあさんであり、静代さんのお母さんの役どころです。
田舎のおじいちゃんとおばあちゃんがあすかの心を癒していく、というところが、
作品のなかでもひとつの大きなポイントなので、おじいさんを演じてくださる蛍雪次朗さんとはまだお会いできていないのですが、
きっと楽しくやっていけるんじゃないかと思っています。
稽古がこれからで(※取材は9月中旬)、期間としてはかなりタイトなので、私も演出助手の助手(笑)くらいの気持ちで臨んで、
いい舞台にしたいと思っています。



王子役から得たエネルギー

ーーー土居さんは、東宝製作の舞台で、音楽座時代に出演されたミュージカルに再び挑戦されて、
しかも『リトル・プリンス─星の王子様─』では同じ王子役を演じて、透明感にあふれた少年役に大感動した記憶も新しいのですが


◆土居裕子
ありがとうございます!

ーーーそうした少年も演じ、また今回のようにおばあ様も演じるということで、
ご自身では俳優としてどういう姿勢で臨まれているのですか?


◆土居裕子
王子役を、と言われた時は本当にびっくりして、そんなの絶対に無理だと思ったんです。
でも本を読み返してみると、やはり素晴らしい作品でしたし、もし本当にいま王子を演じることができるなら、
30年前にはできなかった表現ができるかもしれない、そうだとしたら俳優としてこんなに幸せなことはないなと思いました。
しかもダブルキャストでもあったので、私がどうにもならないとなれば、もう一人の方がなんとかしてくれだろうから(笑)、
というような気持ちもあって、挑ませてもらったんです。でも結果としては、本当に演じさせてもらえて良かったなと思いました。
私自身も随分成長させてもらえましたし、逆にあの王子がやれてから、すんなりと今の自分の年齢に近い役とか、
もう少し上の役もやってみたいと思えるようになってきたんです。
今年はこの『ハッピーバースデー』でおばあちゃん役三連発目なので、ファンの方から「もう若い役はやらないんですか?」と
訊かれるくらいなのですが(笑)、そうではなくて、逆に自分の年齢と役の年齢に対してこだわりがなくなったというか、
そういう括りでは考えなくなったのかな?ということなんですよね。
王子役をやっている間、やればやるほど子供心がどんどん蘇っていって、自分でもとても面白かったんです。

ーーーまた土居さんの王子様に出会えた!という感動は本当に大きかったです。

◆土居裕子
ありがとうございます。でもあれは(井上)芳雄くんのおかげでもあるし、決して私一人でできたものではないんです。
花聰まりさんや大野幸人くん、皆さんが本当にすごく楽しんでやってくれましたし、
芳雄くんとのシーンなどは毎日違っていたのですが、彼が全部受け止めてくれたのもすごいなと思いました。
もちろん、お客様が喜んで観てくださった力もありますし、ありがたい機会をいただけたと思っています。
ですから、この経験から得たものがまた新しいエネルギーになっていきましたので、
この『ハッピーバースデー~命の唄~』に、思いを注ぎ込んでいきたいです。

ーーー本当に土居さんと言えば日本のオリジナルミュージカルの歴史を牽引していらした方ですから、
土居さん企画の新たな作品が生まれるということを、楽しみにされている方たちがたくさんいらっしゃると思います。
では改めて、新たな舞台に期待されている方々にメッセージをお願いします。


◆土居裕子
先ほどもお話に出ましたように、親子だからこそ、遠慮なく言ってしまった言葉がずっと残り続けてしまう、
というのはきっと誰にでも経験があることなのではないかと思います。
でも改めてそれを、舞台で具現化してエンターテインメントとして観ていただくことによって気づくこと、
もう一度考え直せることもたくさんあると思います。この地球上に生きている人、子供もお年寄りも、
花や木もみんなとても愛おしいものなので、それをもう一度大切にしていきたい。
それが原作を読んで私が感じたことなので、それを皆さんにも感じとっていただける舞台にしたいなと思っています。
是非観にいらして下さい!

【プロフィール】
土居裕子(どい・ゆうこ)

愛媛県出身。うわじまアンバサダー。東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業し、NHK「なかよしリズム」歌のお姉さんを経て、
音楽座の主演女優として活躍。その後も女優・歌手・声優として、劇団四季・東宝・俳優座劇場をはじめ国内の様々な主要作品で
その存在感を発揮。文化庁芸術選奨文部大臣新人賞、読売演劇大賞優秀女優賞、紀伊國屋演劇賞・個人賞、菊田一夫演劇賞など
多くの賞を受賞。昭和音楽大学客員教授。

(取材・文・撮影/橘涼香)





 

 

Entertainment Human Theater!紀伊國屋書店提携公演

『ハッピーバースデー ~命の唄~』

 

原作◇青木和雄・吉富多美(金の星社)

構成・脚本・演出◇水木英昭

音楽◇髙木茂治

テーマ曲作曲◇亜季緒

振付◇南流石

出演◇亜季緒

富田 翔

上野彩喜/矢野沙羅(Wキャスト) 川口調

田中稔彦 杉本有美 佃井皆美 村田充

蛍雪次朗 土居裕子(ほか) 

日程:2023年10月25日(水)~10月29日(日)

会場:紀伊國屋ホール

〈料金・税込・全席指定〉

スペシャルシート9,800円

≪前方エリア・特典:オリジナルグッズ(非売品)付き≫

レギュラーシート 前売:7,500円 当日:8,000円

※スペシャルシートの取り扱いは先行・前売販売のみ。

特典の引き換えは劇場ロビー所定場所。

レギュラーシート席 親子チケット

2枚(親1名、子1名)13,000円

3枚(親1名、子2名)18,000円

※お子様は小中高生対象。同時入場、お子様、親御様のみでのご入場不可。

 

水木英昭プロデュースweb チケット予約

http://www.mizu-pro.com/2023happy-bd-ticket-mizupro.html

 

カンフェティ 公演ページ

https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=74125&

カンフェティチケットセンター〈電話予約〉

0120-240-540(平日 10:00~18:00)

 

キノチケオンライン

https://store.kinokuniya.co.jp/ticket/

 

 

 
 

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あらかじめご了承下さい。

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