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令和7年2月歌舞伎座 松竹創業百三十周年「猿若祭二月大歌舞伎」取材会レポート
提供ⓒ松竹
公演概要/取材会レポート
令和7年2月歌舞伎座では、松竹創業百三十周年「猿若祭二月大歌舞伎」が開催されます。
「猿若祭」は、寛永元(1624)年に初代猿若(中村)勘三郎が猿若座(後の中村座)の櫓をあげ、
江戸で初めて歌舞伎興行を創始したことを記念して始まった公演。
昭和51(1976)年に十七世中村勘三郎を中心として、歌舞伎座で第一回の「猿若祭」が行われました。
以降、昭和62(1987)年の第二回では中村勘太郎(現・勘九郎)、中村七之助が『門出二人桃太郎』で初舞台を踏み、
平成6(1994)年の第三回は十七世勘 三郎の七回忌追善、平成29(2017)年の第四回では中村勘太郎、中村長三郎が
父・勘九郎たちと同じ『門 出二人桃太郎』で初舞台を踏みました。
本年2月に行われた第五回の「猿若祭」では、十八世勘三郎の十三回忌 追善が行われるなど、
中村屋にとっても大切な公演となります。
来年2月の歌舞伎座で開催される松竹創業百三十周年「猿若祭二月大歌舞伎」は、
六度目の「猿若祭」となり、 勘九郎、七之助が中村屋ゆかりの作品に臨みます。
取材会の冒頭で勘九郎は「松竹創業130周年というおめでたい年に、猿若祭が開催できることは本当にうれしいです」と
感謝の気持ちを述べ、「2月と8月は“ニッパチ”と呼ばれ、お客様が入らない月と言われるので、入れてやろう!と
意気込んでいます」と力を込めると、今年2月歌舞伎座で行われた「猿若祭二月 大歌舞伎」が
父・勘三郎の十三回忌追善であったことに触れ、七之助は「本当に多くのお客様が歌舞伎座に お越しいただき、
いっぱいの客席を見てうれしかったです」と喜びを表しました。
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来年2月の「猿若祭」昼の部では、昭和63(1988)年3月、銀座セゾン劇場で十八世中村勘三郎(当時 五代目勘九郎)が
主演の蔦屋重三郎を演じた『きらら浮世伝(うきよでん)』が歌舞伎となって歌舞伎座に登場します。
父が勘九郎時代に演じた蔦屋重三郎の役に挑む勘九郎は、「『きらら浮世伝』はいつかやりたいと思っていた作品です。
来年のNHK大河ドラマの主人公が蔦屋重三郎ということがうれしく、
今しかないと思うタイミングで提案してみたら、通りました(笑)。
まさか僕たちの聖地でもある歌舞伎座でできるとは思いませんでしたが、
蔦屋重三郎と若い芸術家たちの熱い想いが“爆発する”青春群像劇が描かれているので、歌舞伎座でやることで、
どう変化させていくのか、そして父たちがやった時から、どう変化させないでいくのかを、
脚本・演出の横内謙介さん、共演のみなさんと相談しながらつくっていきたい」と熱を込めて話します。
当時の稽古の様子を父・勘三郎と食事を共にするたびに聞かされたという七之助は、
「本当に凄まじい稽古だったらしく、役者として鍛えられる、今ではハラスメントとされるような
厳しい稽古だったとようですね。100回は聞きました(笑)。それくらい思い出深い作品だったんだと思います」と述べ、
「蔦屋重三郎 が周りのみんなと一所懸命つくり上げていく姿が素敵で、志を高く持ってやっていると、
自然と周りにも同じ志の人たちが集まってくる。
それがきっと重三郎の魅力で、自分自身もいつもそうしようと思って過ごしています」と続けました。
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蔦屋重三郎と似ているところを問われた勘九郎は、「成功だけではなく、幕府の弾圧で悔しい思いしても
負けじと立ち向かって行った人だと思います。似ているということかはわかりませんが、
役者として、悔しい思いをしても負けない気持ちがあるので、そこは共通しているのかもしれませんね。
重三郎が持つプロデュース力や、喜多川歌麿や葛飾北斎などの才能を見抜く力を身に着けていきたいですね」と述べました。
今回の歌舞伎座での上演では、初演で脚本を手掛けた横内謙介が脚本・演出をつとめ、
父・勘三郎が勘九郎時代に演じた“蔦重”こと蔦屋重三郎に中村勘九郎が挑む話題の新作です。
2025年は NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で主人公としても描かれる蔦屋重三郎。
2月の歌舞伎座では、勘九郎の蔦屋重三郎に、七之助が遊女お篠で出演。
中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村福之助、中村歌之助の花形が揃い、中村歌六、 中村芝翫、中村錦之助ら
充実の配役で贈るエンターテインメント作品としての上演となります。
2024年を振り返り、勘九郎は「父の十三回忌追善の年、父のことを想って、
本当に多くのお客様が劇場に駆けつけてくださいました。
父の舞台を観たことのない方も多いと思いますので、僕たちを通して父を 感じていただくことができればと」と感謝を述べ、
七之助も「各地で公演をさせていただき、全国の芝居小屋であったり、三島村での『俊寛』の公演であったり、
これまでやってきたことが実を結んだ1年でもありました。父は不思議な人で、亡くなってから年を重ねれば重ねるほど
近くなっている気がします。2、3日 に1回は夢に出てきてますね」と十三回忌の年を振り返りました。
「来年の猿若祭は幅広い演目が揃いました。昼の部は『きらら浮世伝』の他に、
坂東巳之助さん、中村隼人さん、中村児太郎さんによる歌舞伎の魅力が詰まった『鞘當(さやあて)』に、
中村梅玉のおじさまによる豪華絢爛で美しい『醍醐(だいご)の花見(はなみ)』、
夜の部は(坂東)玉三郎のおじさまによる『阿古屋』が猿若祭にかかるのことがとても嬉しいですし、
尾上菊之助さんの『江島生島』は本興行ではかなり久 しぶりな作品となります。
『人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)』は、祖父も父も大切にしてきた作品で、
悪い人が出てこない、困った人には誰でも手を差し伸べる人情が描かれた大好きな作品です。
僕と七之助のこの夫婦というのも珍しいと思います(笑)」と勘九郎。
七之助は「まだ終わっていませんが、皆様のおかげで2024年は走り切れたのかなと思っております。
2025年2月の猿若祭は、本当に素晴らしい演目が揃いましたので是非皆様で歌舞伎座にいらしてください」と
お客様へメッセージを送りました。
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