情報紙から飛び出した 演劇系エンタメ サイト
Copyright Since1999 情報紙ターミナル
Copyright Since2010 株式会社ERIZUN

宝塚とシャンソンをつなぐ「るたんフェスティバル」に特別出演される安寿ミラさんインタビュー 2025年09月

(2025年09月01日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
掲載内容は、掲載日付のものとなりますので、最新情報は各自ご確認ください。

※ 記事・写真等の無断使用・無断転載は禁止しています。なお、リンクはフリーです。

 

宝塚とシャンソンをつなぐ「るたんフェスティバル」に特別出演される安寿ミラさんインタビュー
聞き手:愛 耀子さん(プロデューサー)



★関連記事→第39回「るたんフェスティバル2025」開催決定!

公演概要


2025年10月14日(火)、銀座ブロッサム中央会館ホールにて、
宝塚歌劇団OGが出演する「るたんフェスティバル」が開催されます。
今年で39回目を迎える歴史あるシャンソンコンサートです。
今回の舞台には、宝塚歌劇団の元トップスターである平みちさんをはじめとした
総勢15名が生バンドの演奏でステージを彩ります。
特別出演として参加される安寿ミラさんに今の思いをお聞きしました。

シャンソンと宝塚を結ぶ歴史


◆愛 耀子(聞き手)
「るたんフェスティバル」は、宝塚歌劇団雪組のトップ娘役として『カルメン』『シャンソン・ド・パリ』などに出演し、
退団された後も日本にシャンソンを広められた深緑夏代先生が、“もっと多くの人にシャンソンを楽しんでほしい”という
思いから立ち上げられた歴史あるコンサートです。先生は退団後もシャンソン歌手として第一線で活躍されただけでなく、
後進の育成にも力を注ぎ、多くのOGがその教えを受け継いでいます。
名称は、シャンソン評論家の大野修平先生が当時出版していた雑誌のタイトル『あべっく・る・たん』からいただいたもの。
大野先生は第一回から司会を務められ、今回もご出演いただきます。

宝塚歌劇とシャンソンには深い繋がりがあります。演出家・白井鐵造先生が、
日本初の本格的レビュー『モン・パリ』(1930)、続く『パリゼット』(1931)でフランス文化の香りを取り入れ、
歌と踊りで魅せる華やかなレビューを確立し、宝塚とシャンソンは文化的な架け橋として発展してきました。

宝塚出身で長年「るたんフェスティバル」に出演してきた母・野坂暘子も、深緑先生の門下生としてシャンソンを
歌い続けてきました。一度は終幕の危機もありましたが、“この炎を消したくない”という出演者の声が上がり、
母が相談を受け、子どもの頃からその舞台を見てきた私が、昨年からプロデューサーとして引き継ぐことになったのです。
そして今年、特別出演として安寿ミラさんをお迎えできることになりました。

 安寿さんとの出会いは1995年の阪神・淡路大震災のとき。私はまだ研究生2年目でした。
震災が起き、薄暗い中で路上に呆然と立ち尽くしていたところを、宝塚大劇場で退団公演中だった
安寿さんに助けていただいたのです。あれから30年。その光景は今でも鮮明に残っています。
その後、雪組公演をご覧になった安寿さんが、“あの時は大変だったけど、頑張ってね”と書いた
メッセージカードを楽屋に残してくださって…本当に感動しました。
 また、安寿さんがシャンソンを歌われた舞台を観て、そのシックな魅力に憧れました。
安寿さんの歌うシャンソンの空気感を、ぜひ皆さまにも体感していただきたい。
その思いから、このフェスティバルを継ぐにあたり、どうしてもご出演いただきたいと願っていました。

◆安寿ミラ
「るたんフェスティバル」というコンサートの存在は知っていたのですが、
昨年、あみちゃん(愛)から「観に来てくださいませんか?」と声をかけていただき、初めて拝見しました。
さまざまな曲を、さまざまな方が歌っていて、やっぱりシャンソンって素敵だなとあらためて感じ、
今年お声をかけていただいたので出演させて頂こうと思いました。

宝塚時代のシャンソン体験


◆愛 耀子
宝塚のレビューといえばシャンソンが欠かせません。
『モン・パリ』『サ・セ・パリ』をはじめ、『恋心』『ジプシーの恋』など、
ファンの方なら必ず耳にしたことがあるナンバーばかりです。
現役時代にシャンソンと触れ合う機会もありましたよね?

◆安寿ミラ
当時、(花・月・雪・星の)4組合同でのTMP音楽祭というものがあって、内海重典先生、小原弘稔先生、酒井澄夫先生の
構成・演出で『ラ・シャンソン』という、シャンソンだけで組み立てられた公演がありました。
その時に沢山のシャンソンに触れて、各組の仲間と一緒に歌い、“シャンソンて面白いな、いい曲がたくさんあるんだな”という
印象が強烈に残っています。また、花組では『メモアール・ド・パリ』や、星組の新宝塚大劇場の柿落とし公演
『パルファン・ド・パリ』にもゲスト出演させて頂き、華やかなレビューの中でシャンソンに触れる機会は数多くありました。

シャンソンを歌い始めた理由


◆愛 耀子
安寿さんが本格的にシャンソンを歌い始められたのは10年前と伺いました。そのきっかけは?

◆安寿ミラ
10年前に初めてシャンソンのコンサートのお話をいただいた時に、“今断ったら私はいつ取り組むだろう?”と自問自答して、
“よし挑戦してみよう”と決意しました。そこで初めて本格的にシャンソンと向き合いました。
その時、作曲家の斉藤恒芳さんがご存知のシャンソンをいろいろと紹介してくださり、
“へぇ、こんなシャンソンもあるんだ!”と驚くと同時に、歌えば歌うほど引き込まれ、
それまで自分の声が嫌いだったのですが、“喉が喜んでいる?”と感じる瞬間があって。
シャンソンは私の声に合うのかもしれないと思ったんです。2015年に歌い始めて、今年でちょうど10年。
ある時、訳詞の違いに悩んだことから、フランス語にも興味を持ち“原語を学んでみよう”と思い立ち、
7年前からレッスンを受け始め、それ以降はディナーショーやコンサートで仏語で歌うことも増えて来ました。

◆愛 耀子
今回のコンサートでは、『夜霧のモンマルトル』『恋心』『ジプシーの恋』『聞かせてよ愛の言葉を』『愛の讃歌』
『シェルブールの雨傘』といった宝塚歌劇でも親しまれてきた曲やシャンソンの名曲に加えて、
『ボラーレ』『リベルタンゴ』なども披露されます。上級生から初参加の下級生まで、それぞれの解釈が光る舞台になりそうです。

◆安寿ミラ
シャンソンは“正解がひとつではない”音楽。歌い手の人生や個性によって解釈が変わりますし、
年齢を重ねても歌い続けられるジャンルです。
今回私が歌う曲は「聴きたい」という声をいただいていた曲や全体のバランスを考えて選曲しました。
「るたんフェスティバル」としても、クラシックなシャンソンから軽やかなカンツォーネまで
幅広く取り入れられていますので、曲ごとに違った雰囲気を楽しんでいただけると思います。

シャンソンをもっと身近に


◆安寿ミラ
若い頃は“シャンソンはベテランの方が歌うもの”という先入観があり、自分が歌うことが想像できませんでした。
でも最近では、フランスのシンガーソングライターZAZのような若い方がエディット・ピアフの曲をカバーしていたり、
フランスでは自然に受け継がれているんですよね。“年齢を重ねなければ歌えない”という思いはもしかしたら
必要ないのかもしれませんね。

◆愛 耀子
シャンソンは意外と身近な存在です。パン屋さんやカフェのBGM、映画やCMなど、日常の中に自然と溶け込んでいる音楽。
「るたんフェスティバル」は、深緑先生が広められたシャンソン文化を今に伝える特別な舞台ですが、
学年が違うOGが出演することで先輩の背中を見て学ぶことも、新たな曲との出会いになることもあると思います。
また、お客さまには、“あ、聴いたことがある”と感じながら気軽に楽しんでいただけるコンサートになればと思っておりますので、
ぜひ秋の銀座で、フランスの風を感じにいらしてください。






インタビュー記事撮影:photographer 大塚雄太

 

 

第39回「るたんフェスティバル2025」

 

日時:2025年10月14日(火)16:00開演

※上演時間:2時間程度(予定/休憩を除く)

会場:銀座ブロッサム中央会館ホール(〒104-0061 東京都中央区銀座2-15-6)

 

料金:S席8,800円※完売/A席6,600円

 

チケットのお申し込み

TEL/SMS 080-1353-5667

 

主催:るたんフェスティバル制作委員会

 

https://letempsfestival.theblog.me/

 

 

 
 

情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。

[ PR ]