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歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」上演中 2025年09月

(2025年09月12日記載)

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歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」上演中


©松竹
昼の部『道明寺』菅丞相=片岡仁左衛門


※舞台写真を多数掲載しております。観劇前の方はご注意ください。

公演概要(リリースより)

歌舞伎座9月公演、松竹創業百三 十周年「秀山祭九月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

明治末期から昭和にかけて活躍した初世中村吉右衛門の功績を顕彰し、

その芸と精神を継承していくことを目的とする秀山祭。

初世吉右衛門の俳名である「秀山」を冠して、平成18(2006)年9月歌舞伎座から始まり、

二世中村吉右衛門 が長年にわたり情熱をかけてきた公演です。

また松竹創業百三十周年を記念する本年は、歌舞伎座で松竹百年以来、実に30年ぶりとなる

三大名作『仮名 手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』を一挙上演します。

第二弾となる9月公演では『菅原伝授手習鑑』をお届け。

歌舞伎座での通し上演は、平成二十七(二〇一五) 年の松竹創業百二十周年以来。

「学問の神様」として親しまれる菅原道真公(菅丞相)の悲劇を軸に、菅丞相を取り巻く人間模様が

ドラマチックに描き出された大作。朝廷の権力争いの波に巻き込まれて敵味方に分かれた三つ子の兄弟の葛藤、

親子の別れ、主従関係の恩愛…。宿命に翻弄される人々の姿は、初演から約280年を経た今な お観客の心を打ちます。

綿密に構成されたドラマは段をまたいで登場する人物たちの想いが複雑に絡み合い、通し上演されることでより深い感動を生みます。

本年3月に上演された『仮名手本忠臣蔵』と同様、A・B プロの 二通りの配役にて、

世代を超えた豪華競演での舞台をご堪能いただきます。(※初日は A プロにて上演)

公演レポート


【第一部】
【加茂堤】
昼の部の幕開きは、これから始まる悲劇の発端となる『加茂堤』から始まります。
幕が開くとそこは梅が満開に咲いた春麗らかな京都の加茂堤。
醍醐天皇の病気平癒祈願のため参詣にやってきたのは、皇弟・ 斎世親王(中村米吉)とその舎人の桜丸(中村歌昇)。
桜丸は妻の八重(坂東新悟)と共に、恋仲のふた り斎世親王と菅丞相の養女・苅屋姫(尾上左近)の逢引の手筈を整えます。
若いふたりの仲睦まじい姿は もちろん、その様子から桜丸夫婦までも睦み合い、思わず観客も当てられてしまうほど…。
しかし、そこ へ菅丞相と敵対する時平方の家来・三善清行(坂東亀蔵)が現れ、斎世親王の行方を詮議します。
菅丞相 の養女である苅屋姫との逢瀬が露見すれば一大事。桜丸が必死に追い払う中、斎世親王と苅屋姫は落ち延びていきますが…。

©松竹
昼の部『加茂堤』左より、三善清行=坂東亀蔵、桜丸=中村歌昇


©松竹
昼の部『加茂堤』(前)斎世親王=中村米吉、(後)苅屋姫=尾上左近


©松竹
昼の部『加茂堤』左より、八重=坂東新悟、桜丸=中村歌昇



【筆法伝授】
続いては、本名題の“伝授”が描かれている『筆法伝授』。帝からの命で家伝の筆法を伝授するため、
館に籠って準備をしている菅丞相(片岡仁左衛門)。
そこへ呼び出しを受けた旧臣の武部源蔵(松本幸四郎)と戸浪(中村時蔵)夫婦が来訪します。
源蔵は菅丞相の御台所である園生の前(中村雀右衛門)に仕 えていた戸浪と不義の仲となり勘当され、浪人の身。
みすぼらしい身なりの源蔵に、自分が与えた小袖を 着た苦労した様子の戸浪との再会に園生の前は胸を痛めます。
いよいよ菅丞相のいる学問所へ呼ばれる源 蔵。その嬉しさ半分、怖さは客席にも伝わり緊張感が走ります。
子供に手習いを教え、今も書の道に携わ っていると聞いた菅丞相は源蔵に詩歌の手本を写すように命じると、
源蔵は見事に清書を書き上げます。その清書を見た菅丞相は神道秘文の一巻を伝授しますが、源蔵への勘当は別として許さず。
折からそこへ宮中から菅丞相に参内するようにとの命が届き、装束を改めて向かうその時…。
不吉な予感が漂っても 「静」を貫く菅丞相の姿からは気品と高潔さが漂います。
一方、勘当が許されず泣く泣く立ち去る源蔵夫婦。双方それぞれの想いをぐっと見守ります。
所変わって菅原館門外の場では、主人の大事を伝えに急い で戻った舎人・梅王丸(中村橋之助)が。
敵対する時平の讒言で、菅丞相の太宰府流罪が決まったのです。

©松竹
昼の部『筆法伝授』左より、武部源蔵=松本幸四郎、菅丞相=片岡仁左衛門


©松竹
昼の部『筆法伝授』左より、菅丞相=片岡仁左衛門、園生の前=中村雀右衛門、戸浪=中村時蔵


©松竹
昼の部『筆法伝授』左より、戸浪=中村時蔵、武部源蔵=松本幸四郎、園生の前=中村雀右衛門



【道明寺】
そして、『菅原伝授手習鑑』前半部において最も重厚な場面『道明寺』となります。
時平の陰謀により、 太宰府への流罪が決まった菅丞相は、出立を待つ間、叔母の覚寿(中村魁春)の館に立ち寄っています。
この館に匿われていた苅屋姫は、自らの浅慮によって養父・菅丞相の左遷を招いてしまったことを謝りたいと願います。
不憫に思う姉・立田の前(片岡孝太郎)は、菅丞相との対面をを叶わせたいと思案しますが、
苅屋姫の実母である覚寿は杖が折れるまで叩かなければ言い訳が立たぬと涙ながらに苅屋姫と
それを庇おうとする立田の前を打ち据えます。すると、どこからか折檻を止めるようにとの菅丞相の声が。
声の 主は菅丞相が彫り上げた自らの木像で…。
一方、菅丞相の殺害を企てている土師兵衛(中村歌六)と宿禰太郎(尾上松緑)親子が現れ、これまでの場面から一転、
立田の前の夫でもある宿禰太郎のちょっと抜けた土師兵衛とのやり取りに、奴の宅内(中村芝翫)たちの滑稽なやり取りに、
思わずくすりと笑いが起こります。いよいよ菅丞相の出立の時刻。
これから太宰府へと向かう菅丞相に、最後に一目見ようとする苅屋姫。
袖に縋りついて涙を流す娘を振り払い檜扇で顔を隠す菅丞相。
ただただ見守ることしかできない二 人の親子の最期のやり取りに、観客は涙しながら『菅原伝授手習鑑』前半の幕となりました。

©松竹
昼の部『道明寺』左より、(前)菅丞相=片岡仁左衛門(後)判官代輝国=八代目尾上菊五郎、覚寿=中村魁春、苅屋姫=尾上左近


夜の部も『菅原伝授手習鑑』から【車引】【賀の祝】【寺子屋】が上演されました。

【車引】

©松竹
夜の部『車引』左より、桜丸=尾上左近、松王丸=松本幸四郎、梅王丸=市川染五郎

【賀の祝】

©松竹
夜の部『賀の祝』左より、梅王丸=中村橋之助、春=中村種之助、千代=坂東新悟、松王丸=中村歌昇


©松竹
夜の部『賀の祝』左より、梅王丸=中村橋之助、松王丸=中村歌昇


©松竹
夜の部『賀の祝』左より、八重=中村壱太郎、桜丸=中村時蔵

【寺子屋】

©松竹
夜の部『寺子屋』(前)左より、千代=中村萬壽、小太郎=中村種太郎、戸浪=片岡孝太郎(後)下男三助=中村吉之丞


©松竹
夜の部『寺子屋』左より、武部源蔵=松本幸四郎、戸浪=片岡孝太郎


©松竹
夜の部『寺子屋』松王丸=尾上松緑


©松竹
夜の部『寺子屋』左より、松王丸=尾上松緑、千代=中村萬壽


 

松竹創業百三十周年

秀山祭九月大歌舞伎

 

2025年9月2日(火)~24日(水)

劇場:歌舞伎座

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/937

 

 

 
 

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あらかじめご了承下さい。

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