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TSミュージカルファンデーション
『客家 -千古光芒の民-』稽古場レポート
水 夏希 吉野圭吾 坂元健児 伊礼彼方
未沙のえる 平澤 智 今 拓哉 畠中 洋
照井裕隆 渡辺大輔 小林遼介 吉田朋弘 上口耕平 千田真司 松岡雅祥 脇田伸悟 ほか
演出・振付:謝 珠栄
脚本:斎藤 栄作
音楽:玉麻 尚一
主催・企画・製作:TSミュージカルファンデーション
TSの新作ミュージカル、『客家 -千古光芒の民-』の稽古場に潜入取材してまいりました。
公演タイトルにもなっている「客家(はっか)」とは・・・
戦乱から逃れるため中原から南へと移動、定住を繰り返していった漢民族のひとつの支流。
先住先では原住民から見て“よそ者”であるため、客家と呼ばれています。
山間部に好んで住居することが多く、独自の言語・文化を持っていることも特徴のひとつ。
勉学に励み、教育熱心であることでも知られており、教職や政治家、軍人など指導者となる多くの人材を輩出しています。
「刻苦耐労」「剛健弘毅」「創業勤勉」「団結奮闘」という客家の教えは脈々と受け継がれ、いまや世界各地で客家の人々が活躍しています。
TSミュージカルファンデーションの謝珠栄さんが、「自分のルーツを描きたい」
という思いを込め構想を練ったこの作品。
客家の人々の生き様を通して、今の日本で薄れつつある、大切なことを思い出させてくれるような作品となりそうです。
時はモンゴル帝国が席巻する南宋時代末期。
亡国の一途を辿る宋国を立て直さんと救世主・文天祥(ぶんてんしょう)が現れる。
だが、その妹・空(くう)は兄の進む道を憂わしく感じていた。彼らは古より戦を好まず、故郷を捨て静かな山間に暮らしてきた客家人。
そんな先祖の訓を守る妹と、国を守る兄の想いは次第にすれ違い始める事に……。
時代と共に動乱の世に巻き込まれてゆく客家の運命は?
稽古場取材に入ったこの日、1幕2幕を続けての「通し稽古」が初めて行われました。
骨太の脚本、情景が思い浮かぶようなメロディー、
エネルギッシュな殺陣や軽快なダンス、TSミュージカルは毎公演趣向を凝らした作品が創造されていますが
今回も密度の濃い舞台空間が楽しめそうです。
稽古場の壁には衣装デザイン画や、台本の手直しが入った部分が貼り出され、
よりよい作品を作るため、日々刻々と変化している様子が分かります。
▲TSミュージカルならではのダンスシーンもたくさん。
▲迫力あるリフトも。呼吸をあわせて、バランス取って。
▲客家の女性はよく働きます。文空祥を演じる水夏希さんも一息つく間もなく、舞台を駆け回ります。
▲今拓哉さんが演じる宰相の賈似道は、したたかさと賢さをのぞかせます。
▲一見タイプの違う二役を演じる坂元健児さん。写真は南宋の皇帝・理宗。
どちらもこの作品の要となるいいキャラクターです。
▲宝塚退団後2作品目となる未沙のえるさん。芸達者な演技はさすが!客家の女性の生き方をコミカルに歌います。
▲けがを負って客家の村に現れたモンゴル兵のバヤン(伊礼彼方)。
そして、科挙に合格し、医学の道に進む青年・才(吉田朋弘)。
共に、”客家”という民族に出会い、客家の考え方に触れ影響されていきます。
▲迫力のある殺陣シーン。写真中央は文天祥役の吉野圭吾さん。
▲アクロバットなシーンも。
▲通し稽古終了後には全員が集まり、演出・振付けの謝珠栄さんの言葉に耳を傾けます。
その後、各スタッフから気付いたことが述べられ、ひとつずつクリアにしていきます。
その内容は、音楽のテンポ、音や動きのきっかけの確認、演技の方向性、小道具の扱い方など多岐にわたります。
▲謝珠栄さんは、台本を手に、キャストに細かな演出プランを伝えていきます。
日を追うごとにキャストやスタッフが求められるハードルもあがっていきますが、
謝さんの言動は愛に溢れています。エネルギッシュに情熱を注ぎながらも、
ユーモアを忘れない。その人柄に憧れます。
重厚感がありながらも、さわやかさが残る舞台になりそうです。
開幕が待ち遠しい!
『客家 -千古光芒の民-』
【東京公演】会場:天王洲 銀河劇場
2012年11月9日(金)~18日(日)
【兵庫公演】会場:兵庫県立芸術文化センター
2012年11月23日(金)・24日(土)
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