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『十二夜』制作発表 2015年02月

(2015年02月11日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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『十二夜』制作発表が行われました 

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公演について(公演資料より)

船の遭難で離ればなれになった双子の兄妹。
絡み合った片思いの糸をほぐしてくれるのは「時」だけ-

素晴らしく可笑しくて、同時に素晴らしく悲しい、
そんなシェイクスピアの最も成熟した喜劇の一つに、
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)アソシエイト・ディレクターも務める、
ジョン・ケアード(『レ・ミゼラブル』『ダディ・ロングレッグズ』)が新たな演出で挑戦。

片思いの危機と混乱を描き出す深遠な舞台が、力のある俳優たちの演技、
惹き込まれるように美しいセットと衣裳、
いつまでも心に残る音楽に彩られた舞台『十二夜』にご期待下さい。


STORY

双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラ(音月桂・二役)の乗る船が、見知らぬ土地イリリアの沖で遭難した。
岸にたどり着いたものの、兄は溺れたと信じて絶望するヴァイオラは、護身のために兄の服に身を包んで
シザーリオと名乗り、オーシーノ公爵(小西遼生)に仕えることにする。

そのオーシーノが恋をしているのは、父と兄の喪に服している伯爵家の若きオリヴィア(中嶋朋子)。
彼を拒み続けるオリヴィアに想いを伝えてもらおうと、 オーシーノはシザーリオを使いにやる。
オーシーノに恋心を抱くヴァイオラは切ない気持ちを抱えオリヴィアの元へ向かうが―。

オリヴィアはシザーリオを本当の男性だと信じて恋に落ちてしまう。一方で、ヴァイオラの双子の兄セバスチャンが現れる。

奇跡的に助かった彼は妹と同様にイリリアの街に着き、そこで偶然にもオリヴィアと出会い……。

そしてオリヴィアに密かに恋する執事マルヴォーリオ(橋本さとし)に仕掛けられた悪戯が、
物語をさらなる狂騒へと駆り立ててゆく。


制作発表でのコメント(2015年2月6日)

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ジョン・ケアード (演出)

1004_9830私は今回私の最も好きな国のひとつで、最も好きなお芝居のひとつである『十二夜』を演出出来ることをとても興奮しております。このお芝居はどの言語で書かれたお芝居の中でも特にすぐれたものだと思っておりますし、それを日本のお客様の前でご披露させていただくということは特権だと感じております。特に僕のお気に入りの俳優たちと一緒にそれが出来るというのは嬉しいです。





◆音月桂 ヴァイオラ/セバスチャン役
1004_9846双子のお兄さんセバスチャンと妹のヴァイオラの二役を演じさせていただきます。今、お稽古が始まってからまだ一週間しか経っていないというのを聞いてびっくりしたのですが、毎日が濃厚で充実していて、一週間よりももっともっと月日が経っているような感覚でした。実は私、雨女なのですが、今日は晴れたので、天気も応援してくれているんじゃないかなと思って幸せに思います。





◆小西遼生 オーシーノ役
1004_9851シェイクスピアの作品にジョンの演出で初めて参加できることを嬉しく思っております。とてもセリフが難しく、まだ覚えるので精いっぱいなのですが、稽古を進めていく中でジョンがひとつひとつ本質的なことを教えて下さり、それを聞くとすべてが腑に落ちていくような感覚があります。作品を通してお客様に楽しんでいただきたいのですが、それ以上に自分自身に問いかけているようにも感じています。まだこれから稽古はたくさんあり素敵な先輩方もたくさんいらっしゃいますので、楽しく稽古場に行き本番を迎えたいと思います。





◆中嶋朋子 オリヴィア役
1004_9865いま司会の方からご紹介いただきましたが、いつまでお姫様が出来るのだろうかとぼんやり思いながら、つい自分に突っ込んで笑ってしまいました(笑)。ジョンのもとでシェイクスピア作品が出来ること、こんなに幸せなことはないなと毎日感じながらお稽古しております。ジョンはシェイクスピアと友達だったんじゃないかと思う位、生きた知恵と情報と全てをもって私たちに託してくださいます。そして私たちの中からも発見するということをして下さるので、本当に幸せな毎日です。これはお客様にもそのギフトをお届出来るんじゃないかなと。それも興奮しています。こんなお稽古はなかなか出来る経験ではありませんし、カンパニーも仲良しで明るいです。この雰囲気をみなさんにお届けしたいと思います。





◆橋本さとし マルヴォーリオ役
1004_9883おしまいにと紹介されましたが、しまるかどうか分かりませんが、マルヴォーリオ役の橋本さとしっし、す。(共演者から噛んだと突っ込みあり、言い直して)橋本さとしです!自分の名前が言いにくいんですよ(笑)。ジョン・ケアードさんとは『ベガーズ・オペラ』と『レ・ミゼラブル』と『ジェーン・エア』と言う作品でご一緒させていただきました。ようやくシェイクスピアにたどりついたなという気持ちです。ジョン・ケアードさんとシェイクスピアをやりたいなとずっと思っていたので「うぉ~!」と浮かれ気味で喜んでいましたが、なめていましたね。ジョンさんの緻密な演出とシェイクスピアへの愛情が大変深く、毎日それに付いて行くのが必死で、一応セリフを覚えて出ていくのですが、稽古場を出る時には煙が頭から出てまっ白になるくらいです。それほどシェイクスピアのセリフは美しくて深くて、意味がとてもあるお芝居です。ジョンと素敵なキャストと制作陣でこの『十二夜』を上演出来ると言うのは幸せですし、そこに参加できて光栄です。『十二夜』は喜劇です。喜劇だけどお客さんがシーンとなっているほど悲劇なことはないので、是非会場でこの作品の楽しさ、素晴らしさが伝わり、愛されるよう努めていきますのでよろしくお願いします。



―――お稽古が始まって改めて感じるシェイクスピア喜劇の面白さ、難しさは。

◆音月
お稽古前に台本を読んで頭の中でなぞっていたのですが、お稽古場で立体的になってきたら
一筋縄ではいかないんだなということを感じております。シェイクスピア作品は宝塚時代男役として
『ロミオとジュリエット』をやりました。あれは悲劇、ですね。同じシェイクスピア作品でも
これだけ色が違うものを演じることが出来るのは幸せですが難しいです。
ジョンが一番おっしゃるのは「間・テンポ」です。ひとりのセリフの中で「間」をあけたり、
相手とのキャッチボールでは「間」を開けなかったり。感情の持っていき方が難しく、
今まで私がやってきた演技法とは全然違い、そこにぶつかっている最中です。まだ壁を突き破り
きれていないので自分との闘いですが、共演者の方々と演技しながら身につけていきたいなと思います。

◆小西
この作品に関して今思っているのは、キャラクターのみなさん真面目と言うか、真剣なんですけど、
思いの交差というか、重ならない追いかけっこしている部分や複雑に入り乱れている部分が
とても面白いです。自分がやっている、シザーリオとのシーンは真面目な場面なのですが、
お互いに言っていることが「目の前にいるじゃん、理想の相手」という感じで
それに気付いていない面白さ、おかしさがあります。喜劇と言う意味では、
ジョンが言った「子供が生まれるものが喜劇、子供が死んでしまうものが悲劇」という
これはかなり僕なりに簡単に言ったものなのですが・・・喜劇と言うと新喜劇のような
面白おかしくやっているものを思い浮かべやすかったのですが、真剣に役に向かっていけば、
自然と喜劇になっていくという、そこに臨める楽しみを感じています。

◆中島
お2人が言ったようなことをみんなで感じている毎日です。喜劇というのは喜劇然としてそこにあるのでは
ないんだなと思います。生きている人生の中で喜劇性がある面と悲劇性がある面は同時に存在する、
そんなことを感じています。だから喜劇だからということで取り組んでもだめですし、
(音月)桂ちゃんが言ったように「間」というのがすごく重要だなと。喜劇はほとんど経験がないので、
私って悲劇体質なんだなと(笑)、思いながら、本当に難しいです。お互いに丁々発止やりあいながら、
真意がどこにあるか難しいのです。本当にお腹の中に抱えているものが見えない面白さがあるので、
それを発掘するのは難しいですが楽しいです。ダイブしています。あまり考えすぎず、
自分のオリビアという役は緻密に作らないと面白みも出ないんですけど、緻密さと手放しで飛びこむような大胆さが必要で、
すごくエネルギーを使います。でもやっていて幸せです。

◆橋本
喜劇と悲劇は隣り合わせ、背中合わせだなとつくづく感じますね。
僕のマルボーリオはみなさまに嫌われる役で、いじめられる役です。冷静にとらえるととても悲劇の人なんです。
でもそれがどこかコミカルに見えてくると言うのは、必死で生きている、そこの中でからまわりしているところが
こっけいで愛すべきキャラクターになり、コメディーを生んでくるんだなと感じます。僕は関西人なので
コメディと聞くとどうしても狙わないといけないかなと思ってしまうのですが、狙った時ってたいがい外すんです(笑)。
狙った時に外すと僕は気が小さいんで、動揺します。でも狙っていないところで自然にわいてくる笑いは快感です(笑)。
出来るだけ今回は狙わずに、お客様の中から自然にわいてくる笑いこそがコメディーだということで、
一生懸命その人物を生きていきたいと思います。

◆ジョン
シェイクスピアの中期に書かれた喜劇はなぜこんなに面白いのか。物語自体はロマンティックなものが
流れていますが面白いのは人間の弱い部分が描かれているからです。普通の登場人物で、
観客は共感を持てると思います。みなさん、愛のために馬鹿なことをしたことあると思うんです。
自分の好きになってくれない人を好きになったり、好きじゃない人に好かれたり。
このお芝居自体、死から始まるんですね。オリビアもヴァイオラもお父さんやお兄さんを亡くしたと思う。
シェイクスピアが天才的なところは圧力的なところで出て来る登場人物が、どんどんクレイジーなことをしていく。
それは決して非現実的ではなく、ロマンティックな圧力がかかると普通の人がしてしまうようなことなんです。
だから役者がリアルに演じたほうが笑いは起きてきます。

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―――ジョンさん、『十二夜』の魅力。日本での上演にあたり、美術・衣装・音楽は。

◆ジョン
シェイクスピアの他の作品もそうですが、素晴らしい芸術作品だと思います。
深いテーマがあります。『十二夜』を読み返したり、他のプロダクションを観るたびに
新しい発見があります。それが典型的なミュージカルとは逆の位置にあると思います。
ミュージカルは表面的や視覚的に楽しませ、歌ってダンスして外に出て来る、
それとは逆で、シェイクスピアはものごとの内側、中身にあります。
だから観客も内側に感じていきます。シェイクスピアの喜劇は女性でも男性でもあらゆる
年代で楽しめる作品だと思います。
オペラを観たり、ローマのシスティーナ礼拝堂に行くのと同じような知性が求められ、深さがあります。
西洋芸術の中心的なものですね。

『十二夜』には音楽があふれています。演技の一部として歌う訳ではなく、音楽家と言う道化が歌手として歌う、
それがこの作品の美しい瞬間で観客もほっとするひととき。
死や愛や時の経過を表しテーマとして深くこの作品に繋がっています。
コスチュームは本当に美しいです。デザインは私の親しい友人、 ヨハン・エンゲルスさんにお願いしました。
世界中で活躍した有名な美術家でした。このデザインをした直後、11月に亡くなりました。
僕がこのデザインを見るととほろ苦さを思い出します。お芝居自体が死、失う、時間の喪失を表しているだけに
余計に胸に響きます。心の中でヨハンに捧げます。

―――ジョン:(音月)桂さんに質問してもいいですか、男がいいか女がいいかどちらがいいですか。

◆音月
難しい質問です!(ジョン:これはひっかけ問題です。笑)宝塚を退団して2年以上が経ちます。
女優として映像や舞台の経験をさせていただく中で、男性を演じる感覚もちょっとずつ蘇ってきているんですよね。
ヴァイオラは『ベルサイユのばら』のオスカルと同じように男装した女性ですね。でも、
お兄さんも演じるので・・・どちらも好きではあります。でも、今は女性を演じるのが楽しいです。
(急な質問で)汗かきました(笑)。この2役は2人で演じることも可能なんですよね。

◆ジョン
3回これまで演出していますが、2人の違う役者がヴァイオラとセバスチャンを演じました。
今回初めて、ひとりの役者が演じることになります。毎日のお稽古でそのことに僕自身興味があります。
桂さんは素晴らしいです。男性を演じる時、宝塚の感じが出ているのですがそれが素晴らしいんです。
それは宝塚のない西洋の演劇界ではなかなか見ることが出来ません。それを自然にやっていますが、
この通り普段は女性的な方なんですよね。

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―――シェイクスピア戯曲の難しさ、面白さを。

◆音月
原作を翻訳し、稽古場でまた英語に置き換えて言葉の楽しさをセッションしながら取り組んでいます。
シェイクスピアは言葉遊びのイメージがあり、遠まわしではあるけれど、素敵な道をたどって
ちゃんとした意味にたどりつく。難しいけど幸せな想像力を掻き立ててくれる印象です。
覚えるのは難しく、いつものお芝居の何倍も時間がかかりますが、
今はそこを楽しみながら出来たらいいなと思っています。
シェイクスピアというと偉大な方という印象ですが、シェイクスピアが近くにいて
ささやいてくれているんじゃないかなという位、もっと近くに感じたいです。

◆小西
言葉の面白さと難しさを感じます。テンポよく話さないといけない中で、
これは体感ではなく聞いたり資料を読んだりして知ったことですが、
英語のリズムや美しいセリフ回しがもともとあって、それを日本語に替えると言う難しさも
あるなと思います。シェイクスピアのセリフは感情というより、韻で踏まれた言葉の美しさが多いので、
気持ちもないままその言葉を口にする勇気も必要です。口に出した時に気付くこともあり、
難しさと面白さをやればやるほど感じます。

◆中島
お稽古の時、シザーリオとオリビアのシーンで、ひとりでひとつの詩を語っているんだ、
彼の言葉の続きの韻を私が話しているんだ、と言われました。ひとりのセリフを
受けて考える、それだけでスリークッション位入ってしまうけれど、ひとつの詩のように同じ呼吸でと
考えると物語もふくよかになり、美しい韻でセリフも語れるように書かれているんですよね。
それがすごい驚きでした。役者なので感情のことについ集中してしまいますが、感情はもちろんありながらも
韻やリズムで語られるもっと大きな世界でそれがギフトとしていっぱい詰まっているのがシェイクスピアの
作品だなと実感しました。日本人はシェイクスピアというと構えがちですが(当時の)時事ネタも
すごくたくさん入っていて、ウィットにも富んでいて、ライトなところもあるんです。
織物のように交差している作品をジョンのもとで楽しんでいます。これをお客様にも届けたいです。

◆橋本
シェイクスピアと言えば全然関係ないのですが僕、誕生日が一緒なんですよ(笑)。
そこにものすごく一方的に縁を感じています(会場笑)。
シェイクスピアは今まで何本かやらせていただいていますが、やるたびに自分なりの成長もあります。
当時劇場の設備が整っていないころに書かれた芝居で、照明やセット、映像がある訳でもない中で
手がかりになるのはシェイクスピアの書いたセリフだけなんです。観に来るお客さんも
薄暗い劇場でも想像力を膨らませられたんだと思います。それだけにセリフ力がすごいんです。
現代は照明も情報もある中で、セリフで勝負するというシェイクスピア作品に挑戦すると言うのは
役者にとってもとても刺激になり、次の自分にも繋がって行くし、それだけに役者の力量も問われてきます。
それに参加出来るのは嬉しいし、シェイクスピアに何か縁を感じますね。
これからも縁を感じながらチャレンジしていきたいと思います。
(オチがなかった・・・笑)

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『十二夜』

 

作:ウィリアム・シェイクスピア

翻訳:松岡和子

演出:ジョン・ケアード

 

【東京公演】日程:2015年3月8日(日)~3月30日(月) 

会場:日生劇場

 

【大分公演】2015年4月7日(火) 

iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ

 

【大阪公演】2015年4月10日(金)~12日(日) 

梅田芸術劇場メインホール

 

http://www.tohostage.com/12ya/index.html

 

 

 
 

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