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ala Collectionシリーズvol.9 『お国と五平』『息子』製作発表 2016年08月

(2016年08月23日記載)

『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
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ala Collectionシリーズvol.9
『お国と五平』『息子』製作発表

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▲写真左より、石母田 史朗、七瀬 なつみ、佐藤 B作、佐藤 銀平、山野 史人、マキノノゾミ(演出)

公演について(公演資料より抜粋)


文豪 谷崎潤一郎と劇聖 小山内薫の短編劇。
男と女、父と子、二つの「情」の物語

谷崎潤一郎作「お国と五平」と小山内薫作「息子」は共に大正時代に発表され、
歌舞伎で上演されることのある人気作品です。
「お国と五平」ではある男の過剰な愛から発展する奇妙な恋の三角関係を描き、
「息子」では不器用で頑固な父子の姿を描いた心に沁みる作品です。
恋と父子愛、この普遍的なテーマを扱った両作品をマキノノゾミの演出と
佐藤B作の主演で新たな魅力を引き出し、現代へと蘇らせます。

<<<ala collectionシリーズとは・・・>>>

かつて評判となり、高い評価を得たのに、何らかの事情で再演されていない舞台を、
岐阜県可児市でアーティスト・イン・レジデンスにてリメイクし、東京をはじめ全国に発信するプロジェクトです。
演出家と俳優、スタッフが可児市に滞在し、舞台製作することで、地域の文化水準の向上や活性化にも資することが期待されます。
今回、その第 9 弾として文豪 谷崎潤一郎の『お国と五平』と劇聖 小内山薫の『息子』 を、
人気のマキノノゾミ演出により再び生命を吹き込みます。

ala Collectionシリーズ詳細はこちら
http://www.kpac.or.jp/project/alacollection.html


STORY


「お国と五平」
武家の後家・お国(七瀬なつみ)は夫の敵・池田友之丞(佐藤B作)を探すため、
若党の五平(石母田史朗)とともに仇討の旅に出た。
それからすでに3年の月日が経ち、お国と五平の心はいつとはなしに相寄っていた。
お国と五平が旅の途中で休んでいると、やがて姿を現したのは、なんと友之丞であった。
男女の縺れ合う嫉妬と愛憎を、狂気を孕んで描く谷崎潤一郎の傑作戯曲。


「息子」
老爺(佐藤B作)の火の番小屋へ若い男(佐藤銀平)がやってくる。
老爺は内へ入って火に当たれとすすめた。しばらく話をするうちに二人の感情は互いの境遇にまで触れていた。
大阪へ行っていたという若い男。老爺の息子も大阪へ行って、久しく消息を絶っている。
やがて捕吏(山野史人)が姿を見せると、若い男はなぜかそわそわしだした。
雪降る一夜を温かくも切なく綴る父と子の物語。


製作発表が行われました(2016年8月8日/可児市文化創造センター美術ロフト)

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▲可児市文化創造センター館長兼劇場総監督:衛 紀生
この可児市で滞在して、創造して、可児と東京で公演をするというala Collectionシリーズも9回目となりました。今回上演する『お国と五平』『息子』は、私が20代の頃に歌舞伎で観て面白い作品だと思いました。『息子』の方は、歌舞伎特有の雪音という大太鼓を中バチで軽くドンドンドン打って雪の様を表すのですが、この音が真っ白な景色の中で親子の情というものが鮮やかに描かれているもので、とても染み入る作品だなと思いました。その時、老爺は先代の尾上松緑さん、坂東三津五郎さんが息子を演じて本当にしみじみとして良い舞台でした。名脇役の先代の中村又五郎さんが捕吏の役で、居所をわきまえた脇役で、さすがと思わせる芝居でした。『お国と五平』は事前に本を読んでから観に行ったのですが、とても美しい舞台ではあるのですが、ちょっと谷崎潤一郎の匂いがなくなっているなと感じた記憶があります。この2本を現代演劇の俳優と現代演劇の演出家で上演したい、そういう企画ができたらいいなと思ったのが20代前半のことです。『お国と五平』の友之丞と『息子』の老爺の二役を同じ役者でやりたいという気持ちがありました。全く正反対の役ですが1人の役者でやれば、1+1が5にも10にもなる面白さがあると思っていました。私が製作している「シリーズ恋文」で佐藤B作さんに出演していただいた時に、二役をB作さんでやったら面白いなと思って恐る恐る切り出しましたところ「面白いね」という話になりまして、これが3年前のことです。演出には、人間のヒダといいますか染み入るような演出をしてくれる信頼するマキノノゾミさん。友之丞がぞっこんに惚れる女性で美形、しかしちょっと悪女という役のお国には七瀬なつみさん。そしてお話をした時、B作さんの息子さんも役者をやっているということを聞き『息子』はB作さんと、佐藤銀平さんの親子をやってもらうのがいいなと思いました。捕吏役は単なる脇役ではなく、芝居にアクセントをつける役として重要な役なので山野史人さんに。五平は、お国にいいようにされる役ですが(笑)マキノさんが推薦してくれた石母田史朗さん。非常にいいキャスティングができたと思います。実際の稽古は読みの段階ですが進んでおりまして、面白くなるなと思っているところです。

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▲佐藤 B作:『お国と五平』池田友之丞役/『息子』老爺役
なんであの時に引き受けたのかな(笑)。3年先だからいっかと思っていたのですが、3年ってあっという間にきちゃうんだなという感じですね。さすがに、読みごたえがあると言いますか、セリフが多い役でございまして、いまそのセリフを入れる(覚える)作業と、暑さと毎日のお酒と、色々なことに縛られながら、少ない時間をやりくりしながら本読みさせていだいております。マキノさんは信頼している演出家ですし、共演者に恵まれましたのでなんとか本当に可児のお客さん、東京のお客さんさん、全国のお客さんに、あっと驚かせるような、古典がここまでいくか!というくらいの芝居になることを望みながら頑張りたいと思います。本当に皆さん観てください。ビックリするほど喋っていますので(笑)。よろしくお願いいたします。

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▲七瀬 なつみ:『お国と五平』お国役
『お国と五平』のお国を演じさせていただきます。大切な旦那様をB作さんに扮する友之丞に殺されてしまい、その仇を打つために五平と一緒に旅に出て3年以上の月日が流れます。やはり難しいところは、古典であるがゆえの言葉の難しさと戦っております。江戸時代の言葉の難しさ、それをいかに自分言葉にして、お客様にこの面白い素敵な作品をお届けできるかを、ひと月かけて頑張っていきたいと思います。あと1つ苦労しているのは、旦那の仇の友之丞さんに激しい憎しみを持たなくてはならない、そのお相手がB作さんなので、とても苦労しているところです。1ヶ月間、この可児市で過ごして素敵な作品を創りたいと思います。衛さんがおっしゃっていたように、谷崎色の出るお国にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

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▲石母田 史朗:『お国と五平』五平役
可児のala Collectionシリーズにいらっしゃる俳優さん皆さんおっしゃると思うのですが、僕も芝居をはじめて20年くらいになりますし、劇団に所属しているので地方での公演は色々と経験しているつもりでおりますが、こうして稽古から1ヶ月以上もずっと滞在して1つの作品を創って行くというのは、日常の煩わしいことも考えずに芝居に集中していけるので本当に楽しいことであります。いま本読みしていますが、マキノさんを含め皆さんと創っていく上で、すごく面白いものだなと僕自身すごく思いますし、それをうまく舞台上に表すことができたらいいなと思っています。そのピースとして頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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▲佐藤 銀平:『息子』金次郎役
『息子』という作品は、何度読んでもよくわからないところがたくさんあるのですが、初めて読んだ時にすごく面白いと思いました。それをどれだけやれるかというところなのですが。このような奥行きのある作品というのが僕はすごく好きなので、難しいけれど、(参加できて)すごくありがたいなと思っています。江戸の粋な遊び人風な男という普段自分がやらないような役を今回やらせていただくので、マキノさんに手取り足取りアドバイスしていただいて、本当に恵まれた環境で、こういう機会を与えていただいて、もちろん父親にも感謝しております。毎日、楽しく集中して、くらいついていきたいなと思っておりますので、ぜひ観に来てください。

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▲山野 史人:『息子』捕吏役
東京では劇団青年座に所属しております。今回、私が演じる捕吏の役なのですが、今まで守田勘彌さんの捕吏が良かったとか、中村又五郎さんの捕吏が良かったとか、かなり捕吏をやった人は渋くて良い役者がやっていたと聞きますと、今回私はそういう人たちに匹敵するほどの演劇成果をあげられるかとても心配です。ここ2、3日本読みをしているのですが、最初のイメージとは違う、困った状態になっておりますので、これからどうやって皆さんに満足していただけるようにするか、あとあとまでも山野史人の捕吏が良かったとか、渋かったと言われるように頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。

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▲演出:マキノノゾミ
近代古典と呼ばれるものを、いわゆる現代演劇の俳優たちと上演する機会というのは、そんなにあるわけではないです。歌舞伎の演目になるようなものを、現代劇のアプローチで作っていくというのは僕も初めの経験で、良い機会をいただけてやりがいを感じております。可児市に滞在して、こうやってお芝居を作るのは4年前に1度やらせていただいて以来2度目なのですが、稽古場や劇場、まわりに緑の多い落ち着いた環境で、一途に芝居のことだけを考えて取り組めるというのは、本当に贅沢な時間だなと思っております。作品をどのようにしていくかは、まだ(本読み段階なので)わからないのですが、『お国と五平』の方で言えば、谷崎潤一郎の描こうとした恋愛の残酷さという部分が際立つように作っていけたらと思っております。歌舞伎でやっているのは、ちょっとニュアンスが違うと思うんです。歌舞伎の見せ方、おそらくそれが衛さんがおっしゃっているような谷崎色ではないということだと思いますが、もう少し観ていてドキドキするとか、そういうようなものになると良いなと思います。もちろんシリアスなお芝居なんですが、どうも友之丞がよくこんなキャラクターを作ったなというほど卑怯で弱虫で、武士にあるまじきキャラクターで、これがあまりに徹底している。本当に文句ばっかり言っていて「死にたくない死にたくない」と最期まで愚図っていて。ここまで男らしくないキャラクターを、まぁよくぞ書き上げたものだなと感じますね。その様が、むしろ段々面白くなっていくという作品でもあります。 『息子』は、もとも小山内薫さんが、1から書かれたものというよりかは、イギリスのハロルド・チャピンという劇作家の原作があって、江戸ものに変えたという経緯があります。小山内さんが翻案したことによって、より戯曲としての完成度がきっと上がっていると思いますが、これはどちらかというと僕はカッコいいハードボイルドな芝居だなと思っております。父親と息子が名乗り合わないまま、お互い他人のふりをして会話をするという演劇的な仕掛けが施されている面白い作品です。他人のふりをしながらも、どこまで情を通じ合えるかという、観ていて温かい気持ちになったり、ハラハラしたりできるんじゃないかと思っております。これも丁寧に作って、きっと面白いものをお見せできると思います。 それから、2本立てというところが今回の一番の趣向というか、2本立ての主役を同じB作さんがおやりになって、さらに『息子』の方では実際の親子で共演するというのが見所です。二つのお芝居の主役は全く違う役なので、そこもお客様にはたっぷりと楽しんでいただけるではないかと思います。よろしくお願いいたします。

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▲実際の親子で、親子役を演じる佐藤 B作と佐藤 銀平。
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▲『お国と五平』『息子』が上演される可児市文化創造センター・小劇場。

 

ala Collectionシリーズvol.9

『お国と五平』『息子』

 

作:「お国と五平」谷崎 潤一郎/「息子」小山内 薫

演出:マキノノゾミ

出演:佐藤B作、七瀬なつみ、石母田史朗、佐藤銀平、山野史人

 

可児公演

2016年9月3日(土)~9月8日(木)

可児市文化創造センター・小劇場

 

東京公演

2016年10月6日(木)~10月13日(木)

吉祥寺シアター

 

全国公演

【長岡】9月15日 【黒部】9月17日 【射水】9月19日 【日田】9月24日

 

http://www.kpac.or.jp/collection9/

 

 

 
 

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あらかじめご了承下さい。

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