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六月大歌舞伎 三谷かぶき
『月光露針路日本 風雲児たち』稽古場公開と囲み取材
『月光露針路日本 風雲児たち』は、みなもと太郎の人気歴史漫画『風雲児たち』を原作とする
三谷幸喜の作・演出による新作歌舞伎です。三谷幸喜が歌舞伎を手掛けるのは、
昭和十八年の『決闘!高田馬場』以来二作目となり、この度、満を持しての歌舞伎座初上演です。
見知らぬ異国の大地でどんな困難に直面しても、日本へ帰ることを諦めず、
強い意志を持ち運命と闘い続けた大黒屋光太夫の物語。エンターテインメント性たっぷりに、
歌舞伎の表現を存分に生かした新作歌舞伎をお楽しみいただきます
ここはロシア、遥かなる故郷を目指して
鎖国によって外国との交流が厳しく制限される江戸時代後期。
大黒屋の息子光太夫は、商船神昌丸の船頭(ふながしら)として伊勢を出帆します。
しかし江戸に向かう途中で激しい嵐に見舞われて帆は折れ、大海原を漂流することになるのでした。
海をさまよう神昌丸には17人の乗組員たち。船頭の光太夫、経験豊富な船親司(ふなおやじ)三五郎、
最年長の乗組員九右衛門、喧嘩ばかりの水主(かこ)庄蔵と新蔵、どこか抜けている小市、三五郎の息子の青年磯吉…。
光太夫はくじけそうになる乗組員を必死で奮い立たせ、再び故郷の伊勢へ戻るため方角もわからない海の上で陸地を
探し求めます。
漂流を始めて8カ月─。神昌丸はようやく発見した陸地に上陸します。ところがそこは日本ではなく、
なんとロシア領のアリューシャン列島アムチトカ島。異国の言葉と文化に戸惑いながらも、島での生活を始める光太夫たち。
厳しい暮らしの中で次々と仲間を失いますが、光太夫らは力を合わせ、日本への帰国の許しを得るため、
ロシアの大地を奥へ奥へと進みます。
異国から来た日本人である光太夫たちに対して、親切なキリル・ラックスマンをはじめ、
行く先々でさまざまな人の助けを得て、ようやく光太夫はサンクトペテルブルグにて、
女帝エカテリーナに謁見することが叶い…。
『月光露針路日本 風雲児たち』は、みなもと太郎の歴史漫画「風雲児たち」を原作とする、
三谷幸喜の作・演出による新作歌舞伎です。三谷幸喜が歌舞伎を手がけるのは、平成18(2006)年の
『決闘!高田馬場』以来2作目となり、この度、満を持しての歌舞伎座初上演です。
見知らぬ異国の大地でどんな困難に直面しても、日本へ帰ることを諦めず、強い意志を持ち運命と闘い続けた大黒屋光太夫の物語。
エンターテインメント性たっぷりに、歌舞伎の表現を存分に活かした新作歌舞伎をお楽しみいただきます。
―――久しぶりに歌舞伎の演出を担当されるということですが、意気込みは?
◆三谷幸喜(作・演出)
前回はPARCO劇場で『決闘!高田馬場』をやりました。
歌舞伎っぽく作らないと歌舞伎ではなくなっちゃうんじゃないかという気持ちがどこかにあったのですが、
今回は歌舞伎座での上演ですし、これだけの俳優の皆さんが集まっているので、何をやっても歌舞伎になる。
それなら自由にやらせてもらおうと思って、かなり自由な発想で作らせていただきました。
―――久々にチャレンジしたのは何かきっかけがあったのですか?
◆三谷幸喜
前回は、今回も(松本)幸四郎さんからお話をいただいて。
このメンバーでやりたいと言われたら断る理由はないですから、ぜひやりましょう!と。
―――三谷さん作品を演じてみていかがですか?
◆松本白鸚
前回の『決闘!高田馬場』は舞台も映像も拝見して本当に素晴らしかった。
出させていただけるのはワクワクしています。
◆片岡愛之助
私も『決闘!高田馬場』は客席で観ておりましたので、すごい面白そう!
こういう歌舞伎に出られたらいいなと思っていたので、今回実現して嬉しいです。
◆松本幸四郎
『決闘!高田馬場』以来13年ぶりになるのですが、あの時は、芝居自体突っ走っていくという感じでしたが、
一座全体も走り抜けたような記憶があります。またこうやって皆さんと歌舞伎座で、
歌舞伎で再会できることができて幸せに思っています。
◆市川猿之助
歌舞伎座でやりますから、やはり怖さもありますけれど。そこは三谷さんが責任を取ってくれると思うので(笑)。
◆三谷幸喜
前回の『決闘!高田馬場』は舞台も映像も拝見して本当に素晴らしかった。
怖さがあるんですか!?
◆市川猿之助
あるんです。
◆三谷幸喜
なぜ今言うんですか!
◆全員
(笑)
◆市川猿之助
でも信じて。これがどういう評価を得るかは、初日が開いてからなので、
それまでは全員で力を尽くしていきたいと思います。
―――ポスターの写真も三谷カブキならではな印象ですが、猿之助さんは着てみていかがですか?
◆市川猿之助
ドレスですか?普段夜着ていますから。
◆松本幸四郎
着てない着てない!おかしいでしょ(笑)
◆市川猿之助
蜷川幸雄さんの舞台でこのような衣装を着させていただいたので、すんなりと着られたのですが、
今回はエカテリーナ女帝ということでロココ調のお衣装で、時代考証もしっかりとしているので、
皆さんと衣装や舞台美術も見どころだと思います。
◆三谷幸喜
かなりすごい感じですが、全編これというわけではありません。
ずっとこの人(幸四郎さん)こんな感じのイメージでいる人もいると思いますが…。
◆松本幸四郎
そういうわけではないです!
―――三谷さんは映像もやっていますが、舞台で見せる難しさはありますか?
◆三谷幸喜
難しさはないですね。とにかく皆さん役をつかむのが早いのですごくやりやすいというか。
立ち稽古の時から出来上がっていらっしゃいますから。素晴らしいですね。
(猿之助さんを見て)この方は、もうとにかく帰りたいんですよね。
◆全員
(笑)
◆三谷幸喜
稽古場に来た瞬間から帰りたい人なので(笑)。今日は雨だから中止なんじゃないか…とかね。
◆松本幸四郎
(雨は)関係ないから!(笑)
◆三谷幸喜
そんな感じですけど、いざ舞台に立つと、とてつもない力を発揮する方だし、僕はただ見ているだけというか。
歌舞伎俳優さんは皆さんとが演出家がでもあるわけで、自分の場面での音楽もそれぞれにイメージがあるわけです。
だから僕がそれを見ながらコントロールしていくわけなのですが、たまに僕を通さずに勝手に音楽の方と
話をしたりする方がいらっしゃるので、それだけはちょっと注意しておきたいなと…。
◆全員
(笑)
◆三谷幸喜
一応僕を通して欲しいです!
―――幸四郎さんは三谷さんの演出はいかがですか?
◆松本幸四郎
三谷さんのお芝居は本当に楽しいです。
新作歌舞伎とか歌舞伎座でやるということは、もう紹介していただいているので、
そういう部分だけではなく、この芝居をどうやったら傑作にできるかということを考えています。
―――漫画が原作ということですが、選ばれたのは三谷さんですか?
◆三谷幸喜
そうですね。『風雲児たち』は僕が大学のころからずっと連載されていて、大黒屋光太夫のエピソードを読んだ時に、
「これは舞台で観たいな、歌舞伎で観たいな」と思いました。その夢がやっと叶った感じです。
僕から歌舞伎でやろうと思ってもできるわけではないので。お話をいただいた時に、これからできるのかな?と。
ずっと温めていたというわけではなく、まさかできるとは思っていなかった作品です。
―――三谷さんは歌舞伎座でやることのプレッシャーはありますか?
◆三谷幸喜
僕はないですよ。日頃僕がやっているような劇場とは違うデカイところなので、そういう意味での大変さはありますが、
歌舞伎座だからという思いは全然なかったのですが、(猿之助さんを見て)まさか「怖い」と言われると思っていなかったので。
◆市川猿之助
ふふふ。
―――白鵬さんは怖さはありますか?
◆松本白鸚
それはありますよ。
◆三谷幸喜
あるんですか!!
◆松本白鸚
三谷さんも我々も日本人ですから。歌舞伎というのは日本人が唯一作った演劇なので、
もう一度日本人の演劇、日本の役者、劇作家を、このお芝居を通して考えてみたいと思いましたね。
三谷さんの作品が深い深いところまで掘りだ下げてあるので、上辺だけではできない勝負ですね。
―――元号も変わったタイミングですが、この舞台で伝えたいことは?
◆三谷幸喜
僕が関わることで、初めて歌舞伎をご覧になる方がいるかもしれません。
まず僕は歌舞伎の面白さ、すごさを知ってもらいたいという思いが強いですね。
ずっと歌舞伎をご覧になっていた方にも、あぁこういうのもあるんだと、
こういうのも歌舞伎なんだ、面白いなと思っていただけないとやる意味がないと思うので、
その両輪は常に考えて作っています。
―――13年ぶりに再会して変わったなと思うところは?
◆三谷幸喜
稽古場で皆さんや歌舞伎のスタッフの方とも再会して、まず驚いたのは皆さん全然変わっていない。
歌舞伎という壮大な歴史の中では、個々の変化はあまり関係ないんだなということを感じるくらい変わっていなかった。
僕だけは13年分を歳を重ねたみたいな変な気持ちですね。でも変わっていないとはいえ、皆さんとパワーアップされています。
すごく僕は心地良くやっています。戻って来た!という感じがありますね。
◆松本幸四郎
テーマ曲を作ってくださるのも13年前と同じ方です。
PARCO劇場の時の興奮と緊張がマックスだったなという記憶が蘇ってくる感じですが、
その時の熱さに負けない熱さを持っていますし、さらに大きく傑作を傑作としてビックリしてもらいたいですね。
◆三谷幸喜
あと今回は(市川)染五郎さんが出ておりまして、あの頃(『決闘!高田馬場』の時)は?
◆松本幸四郎
1歳でしたかね。
◆三谷幸喜
立派な青年になって18歳くらいの雰囲気ですよね(実際は14歳)。
彼が出ているだけで、ずっと彼を観ていたいと思うくらい、肌がツヤツヤなの!
◆松本幸四郎
主役は僕ですけどね!
◆全員
(笑)
―――歌舞伎座の舞台の大きさをいかした演出はありますか?
◆三谷幸喜
詳しいことは言えませんが、最初は船のシーンから始まって、ロシアに着いて、サンクトペテルブルクに行って、
戻ってくる話なのですが、ある意味がロードムービーなんですよね。どんどん場所が変わっていく面白さですね。
途中、シベリアの雪原を犬ゾリで走るというスペクタクルシーンもあります。歌舞伎座始まって以来のことだと思います。
すごい迫力ですよ!
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