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ソロライブ『FUNTONE』─宇月颯NATSU FES 2023─に挑む!宇月颯インタビュー
公演概要
宝塚歌劇団月組の実力派男役スターとして活躍し、卒業後ミュージカル、ダンス・パフォーマンス、
エンターティメントショー、ミュージカルコンサートなど、多彩な活躍を続ける宇月颯が、
初のソロライブ『FUNTONE』─宇月颯NATSU FES 2023─、8月25日、26日東京・銀座TACT(タクト)で開催する。
宝塚在団中から優れたダンサーとして評価が高かった宇月だが、豊かな歌唱力にも定評があり、
卒業後音域も大きく広げて様々な楽曲を聴かせてくれている。
今回のライブはポップスの名曲で全編を貫くというもので、新たな宇月颯の魅力が満載の「夏フェス」が展開されていく。
そんなステージに挑む宇月颯が、ライブの構成に込めた思いや、意気込みを語ってくれた。
インタビュー(2023年6月13日 取材・文/橘涼香、撮影/岩村美佳)
【自分のパーソナリティから生まれるものを届けられる「ポップス」】
ーーー『FUNTONE』─宇月颯NATSU FES 2023─と題したソロライブということですが、
まずこの企画の趣旨から教えていただけますか?
◆宇月 颯
元々ポップスは大好きなのですが、宝塚に長く在籍させていただきましたし、
その後もミュージカルの舞台などに立たせていただいてきたなかで、そもそも発声が違いますから、
自分にはポップスの良さを出せる歌い方がなかなかできていないと思っていたんです。
それで、カラオケやファンミーティングでは歌ってはいたものの、コンサートの場などでは選曲せずにいて。
でも昨年出演した「CHARME*LIAN」や「ATRE*AILE」の宝塚OGによるエンターテインメントショーを
各地でやらせていただいた時に、ご当地の歌を歌ったり、ポップスをアレンジして歌わせてもらえたのがすごく楽しくて。
やっぱりミュージカルの曲だと、まずその役になって、役の心情で歌うわけですよね。
でもポップスは、もちろん歌のなかのドラマや感情は込めるのですが、自分のパーソナリティから生まれるものを
お客様に届けられる、お客様との距離感が近くなれる楽曲なんだと感じて、もっと歌いたいと思えるようになりました。
そういう気持ちの変化と言うか、きっかけを得ることができたいまだからこそ、
ポップスだけの「夏フェス」をやろうと思ったんです。
ーーーそれはとても楽しみな時間になると思いますが、全曲ポップスでというところで、
いまどんな構成なのか、内容について教えていただけるところはありますか?
◆宇月 颯
色々な年代のお客様がどこかでは「あ、これよく聴いていた!」とコアに楽しめるポイントがあったらいいなと思ったので、
「昭和・平成・令和」という三つの時代で構成しています。と言っても昭和や平成はとても長い期間なので、
まず私が子供のころに聴いていた曲や、その時代の「昭和」。宝塚に入る前の学生時代に聴いていた「平成」。
そして、ここ最近話題の楽曲を「令和」として取り上げています。例えば私より若い世代の方は知らない曲があったり、
逆に上の世代の方たちは、最近の楽曲でなじみのないものもあるかもしれませんが、
できるだけ、“どこかで聴いたことがある”と思っていただける曲を選んでみました。
懐かしいと感じる楽曲では、当時の思い出や時代の空気を感じていただけたらいいですし、
新しいものでは、いま求められている楽曲が映し出すものを楽しんでいただけたらなと。
ーーー音楽って本当に、聴いた瞬間にその時の自分を思い出しますし、
逆にご存じない曲は宇月さんが歌われたことをきっかけに「いい曲だったな」と検索したりしていただく、
それこそきっかけにもなるでしょうし。
◆宇月 颯
そうですね、そういう形で興味を持ってもらえたら、本当に嬉しいなと思います。
【緩やかに心を解放できる空間に】
ーーーこれまで、ミュージカルの楽曲などの方があっていると感じられていた、というお話でしたが、
そこから今回のポップスオンリーでの「夏フェス」をやろう!と思うに至る、心境の変化の辺りを、
もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
◆宇月 颯
やはりずっとお芝居やミュージカルの世界にいたので、演じることの方が自分には合っていると思っていたんです。
もちろん演じることは大好きですし。でもGANMIさんと宝塚歌劇OGによるコラボステージの『2 STEP』や、
先ほどもお話したエンターティメントショー、また、DIAMOND☆DOGSさんのステージなど、
自分のパーソナリティーで勝負しなくてはいけない機会も多くいただくようになって。
役を演じて歌う、踊るのではなく、ありのままの自分でお客様と接する楽しさや
ダイレクトに伝えられるものもあるんだと感じたんです。
ーーー自然体と言うか、等身大の宇月さんが歌い踊るからこそ、という意味合いでしょうか?
◆宇月 颯
そうですね。特に私は男役だったこともあって、あまり自分を出さない方がいいのかな、と思ってきた部分があったんです。
役を演じている自分を、ファンの方々やお客様は好きでいてくださるんだから、と。
でも「もっと自分を出して!」という場面に多く出会っていくなかで、そこから全く別のコミュニケーションの仕方があるんだ、
ということに気づいていったんです。そういう流れのなかで、この「夏フェス」ができることになったのはとても嬉しいですし、
会場の「銀座TACT」もアットホームな空間なので、私も自然体の自分を解放できたらいいなと思っています。
セットリストも「夏フェス」ということで、盛り上がる曲が多くなっているので、お客様にも自由に楽しんでいただけたら。
一方で、これはずっとやりたかったことのひとつなのですが、ちょっとお酒を嗜みながら、
しっとりした曲を聴いていただく、というところもあるので、お客様にも気分が高揚したら一緒に飲んでいただいて、
心を緩やかに開放してもらえる空間になったらいいなと思っています。
【ステージと客席が一体になれる】
ーーーまた、素敵なグッズも多数用意されていますが、こちらはフェスのなかで使用したりもするのですか?
◆宇月 颯
この「夏フェス」はステージの自分とお客様とが一体になれるようなスタイルにしたいなと、色々考えているなかのひとつです。
コロナ禍だったこともあって、対面でのファンミーティングなど、ファンの方々やお客様と直接触れ合うイベントが
なかなかできかったので、このフェス全体のテーマを「お客様と一緒に楽しもう!」においていますから、
ペンライトやTシャツをご用意させていただきました。と言ってもグッズのモチーフになっているのは、
フェスとは直接関係ない、うちの猫なんですけど(爆笑)
ーーー宇月さんの愛猫ポテちゃんは、ファンの方々にも大人気ですから。
◆宇月 颯
インスタグラムにポテのアカウントも作っているのですが、確かにかなり見ていただけているので、
今回はポテのイラストを描いていただいて、フェスのグッズにしています。
長年密かにいつかやってみたいと思っていたことなので、猫のTシャツを着て、猫のペンライトを持って、
猫にまつわる曲を歌う、というパートも用意しています。もちろん強制ではないですが、皆さんにもこの猫のTシャツで、
猫のペンライトを振っていただいて振付にも参加していただくコーナーも作る予定です。
ーーーでは振付講座なども?
◆宇月 颯
いえいえ、そこまで難しくはしませんので(笑)。
歌う前に、この部分でペンライトを振って、サビでこの色に変えてください!というくらいの、
簡単な説明をしますから、気楽に参加していただけたらなと。
グッズを使った参加型コーナーを作りたいというのは、個人的にもずっとやりたかったことなので、
皆さん是非グッズもチェックしていただけたら嬉しいです。
あとは今回3ステージやらせていただくので、日替わり曲もご用意していて、それは結構自分としても挑戦曲を入れているんです。
ーーーそれは楽しみです!
◆宇月 颯
せっかく3回やれるのなら何か変えたいんですよね。
ですから、この日替わりの部分は既にチケット申し込みフォームで発表しているので、
この曲を聴きたいと思ってもらえたらいいなと。
Tシャツも三色ありますので、私は3回とも色を変えようと思っています。
「夏フェス」なので、Tシャツをステージ用にアレンジしたものに、ボトムを色々変えて全体にラフなイメージのなかで、
ヘアメイクなどでちょっとポップにしたり、クールにしたりと色々と考えています。
ただ、お客様は私がピンクを着る日に、皆さんピンクというわけにはいかないですよね?
そうすると三色買っていただくことになっちゃいますから(笑)。
なので、私と色が違ったら居心地が悪いとかそんなことでは全くなく、
お好きな形でお好きな色を着て、楽しんでいただけらなと思っています。
ーーー色々と新たな趣向があり、新たな宇月さんの魅力に触れられるものになるだろうと楽しみですが、
「NATSU FES 2023」ということは、このフェス企画は継続していただけると期待していいのでしょうか?
◆宇月 颯
そうできたら本当に理想なんですけど、今回とにかく自分の歌いたい歌、聴いていただきたい歌を
全注入していて、「勝負だ!」みたいな楽曲ばかり入れてしまったので!(笑)
自分がいかにアップデートして、グレードアップしていけるかにかかっていると思いますが、
確かに「夏」にはこだわって選曲しているので「冬」もいいかもしれないですね。
ーーーすごく面白いと思います。クリスマスソングなども入れられますし。
◆宇月 颯
そうですよね!その季節に合わせて、ということが実現できるように、
色々なアーティストさんに触れて、日々自分を深めていけるようにしたいです。
【多くのものを得た二つの舞台】
ーーーこういう新たな企画にも挑戦される2023年ですが、ちょうど上半期が終わったところで、
ミュージカル『マリー・キュリー』、そして先ほどからお話が出ているGANMI×宝塚歌劇OG『2 STEP』という、
大きなステージを経験されましたが、公演で感じたことをお聞かせいただけますか?
◆宇月 颯
『マリー・キュリー』は久しぶりに演劇性の強い作品だったなと思っています。
ミュージカルなのですが、演出の鈴木裕美さんが、演劇寄りに演出してくださったこともあって、
自分としても久しぶりお芝居をしたなという感覚が強くありました。
役を作っていくこともそうでしたし、逆にこの楽曲に乗せてどう役を表現するか、をすごく考えていったなかで、
改めてミュージカルの原点を感じた舞台でもありました。
やっぱりミュージカルがとても好きだなと思いましたし、そこまで大人数の作品ではなかったこともあって、
みんなで作っていく、一致団結してひとつの作品を作るという感覚が強くて楽しかったですし、
まだまだ勉強することがたくさんあるなと感じた作品でもありました。
ーーーいま、お話の出た鈴木裕美さんの演出はいかがでしたか?
◆宇月 颯
ずっとご一緒したかったので、やっと念願がかないました。稽古にはまず自分が本を読んで色々と考えていくのですが、
全く違う観点で考えさせてくださるところがたくさんあって勉強にもなりました。
普通という言い方が良いのかわからないのですが、だいたいこの流れなら普通こう行くよね、
というところで決して普通に行かせないと言うか、「ここに注目するんだ!」という箇所がたくさんあって。
あぁ、自分はそのポイントは流してしまっていたかもしれない、というような発見を多くさせていただいたんです。
それによって、作品の見方だったり、付き合い方みたいなのもすごく勉強させていただきました。
一見、ここも気にするの?と思ってしまうような、すごく細かい点だったりもするのですが、
それが見事につながっていく演出をしてくださって。宝塚では常にお芝居、ミュージカルを大人数で作っていたので、
物理的に一人ひとりにそこまで時間をかけられませんから、それぞれがいただいたセリフや場面、
場合によってはひと言のセリフだったり、一瞬の場面だったとしても、そこから自分の役を掘り下げて、
自分で考えて提示していくことが多かったんです。それが習慣になっていたので、
自分の役に対して「こうかな、こう作ろうかな」と自分だけで試行錯誤していくところがあったんです。
でも裕美さんは全員に対してそれぞれの役を一緒に考えて演出してくださるんです。
例えば私になら「この役はリーダーだからここで発言するのを、どうやったらいいかな?」と、考えてくださって。
そうした時に私はつい「自分で考えてこなければいけなかったのに、すみませんでした」と思ってしまうのですが
「一緒に考えていこう」いうスタンスで。もちろんその分、自分の力が足りないと、悩んだり落ち込んだりすることも
多かったのですが、粘り強く考えてくださって、本当にいい勉強をさせていただいたなと思います。
ーーー愛希れいかさんとも久しぶりの共演でしたね。
◆宇月 颯
本当に久しぶりの再会だったのですが、でもやっぱり長年一緒にやってきた人で、
人間そうそうすぐに変わるものではないですから「うん、ちゃぴ(愛希の愛称)だな」という感覚でした(笑)。
スケジュールの関係で、彼女は稽古に遅れて参加しましたし、主演でもあったので、
はじめはみんなが様子を見守るみたいな雰囲気もあったんです。
すごくストイックにやっていたので、話しかけて大丈夫かな?というような。
でも私は「いえ、大丈夫です。あれで普通です」みたいな(笑)。
実際に、稽古場の雰囲気とか、役の作り方など懐かしいちゃぴでしたね。
もちろん、宝塚時代から本当に下級生でトップ娘役になり、すごい努力を重ねて、卒業後も次々に大役を演じている
ちゃぴのすごさを改めて感じましたし、でも相変わらず全然変わらないところもたくさんあって。
勝手に懐かしんで素晴らしい女優さんになられたなと、嬉しくもありました。
ーーーそう理解してくださる宇月さんがいらしたのは、愛希さんにとっても心強いことだったでしょうね。
◆宇月 颯
そう思ってくれていたら嬉しいなと思いますが、お客様もどんどん入ってくださった公演で、
本当に貴重な経験をさせていただきました。
ーーーそこから『2 STEP』は、宝塚OGの先頭を走られた公演で、素晴らしかったですね。
◆宇月 颯
ありがとうございます。でも実は久しぶりに稽古場で泣きました。
あまりの自分の出来なさに、今の自分ではお客様にお見せできるところまでいけないかもしれない、
と思った瞬間もあったので。
ーーー本当に?
◆宇月 颯
役を演じるのではなくて、何もまとっていない自分としてお客様に表現する。
ありのままの自分で踊って、お客様に楽しさをお届けするということをひとつの目標としていたのですが、
演じたり飾ったりする余裕もなくなって、逆に自分で行くしかない!もう何にも頼れないという感覚でした。
お客様に立っていただいて、ステップやクラップで参加していただくところがあって、
お客様がそれをどう感じられるのかをずっと考えながら稽古をしていたのですが、自分でももうひとつイメージがつかめなくて。
もちろんGANMIさんを信じて、そういう部分はお任せしてついていきながら一緒に作っていくという感じだったのですが、
でもやっぱり想像がつかないことに対して年々怖くなっていたりするんだなと自分でも感じました。
具体的な経験上の引き出しが自分にない部分だと、どうしても大丈夫かな?という不安が生まれてしまって、
ダンスもはじめて挑戦するテイストのものも多く、レッスンではなくチケット代をいただいている舞台でお見せできるものに
ちゃんとなるのか?という気持ちもありました。何より宝塚OGチームはグループでもユニットでもない、
今回のために集まったメンバーですから、常にチームとしてパフォーマンスをしているGANMIさんときちんと対峙できる
「チーム対チーム」になれるのか?なれないと成り立たない舞台だけれども大丈夫か?というように、
やればやるほど自分的に不安要素が増してきたんです。
ーーーとてもそうは見えませんでした。
◆宇月 颯
ですから、もう本当にゲネプロ(最終リハーサル)をやらせていただいてからなんです「いける!」と思えたのは。
公開ゲネプロだったので、関係者の方や取材の方がたくさんいらしてくださって、しかも関係者の方たちにもかかわらず
楽しんでくださっているという雰囲気が伝わってきたので、最後の楽曲まで来たところで、
「これはいける!」という確信が持てました。
ーーー私も観劇人生で一番たくさんのミラーボールを見たな、と思わず数えてしまったくらいカッコいい照明で、
スピード感もすごい舞台だったのでただ圧倒されていましたが、そんなにも様々に葛藤しながら臨まれていたんですね。
でもだからこそとも言えるのでしょうが、本当にあっという間の高揚感あふれるステージで。
◆宇月 颯
ありがとうございます。その照明効果もコントラストがとても強かったので、目がチカチカしたり、一転真っ暗になったりして、
「できる?」「動ける?」みたいな感じで、みんなギャーギャー言いながらはじめはやっていたんですけど(笑)、
本当に全てが新しかったので、こんな経験はなかなかできないなと思えました。
特にステージのテーマとして「歩み寄る」ということがあって、相手のことも思いやるのはもちろん大前提ではあるのですが
「私はこの気持ちです」と自分から近寄る、提示するというコミュニケーションの取り方を、ひとつ学べたのかなと、
いま振り返って思いますね。そこで得た感覚が今回の「夏フェス」にも生かされていると思うので、大切な財産になりました。
ーーーでは、様々な期待も高まる『FUNTONE』─宇月颯NATSU FES 2023─について、改めて意気込みをお願いします。
◆宇月 颯
暑い夏のフェスですが、暑いからこそ気持ちも上がるしテンションも上がっていくと思うので、自分を解放しにいらしてください。
今年の夏を一緒に盛り上がっていきたいので、是非暑さを吹き飛ばしにいらしてください!お待ちしています!
情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。