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『ジャンヌ』 ―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―
制作発表が行われました
▲写真左より、中嶋しゅう、今井朋彦、笹本玲奈、
伊礼彼方、浅野雅博、村井國夫
公演について(公演資料より抜粋)
<<<作:バーナード・ショー>>>
この作品は、イギリスの作家、バーナード・ショーが15世紀フランスの悲劇のヒロイン、ジャンヌ・ダルクを社会と葛藤する一人の人間として描いたものです。
フランスのロレーヌ地方に生まれたジャンヌは、ある時突然“神の声”を聞きます。その“声”に導かれるまま、彼女はフランス軍の先頭に立ってイギリス軍を破りました。だが、“神”と直接話す力を持つジャンヌに人びとは恐れを抱き始めます。やがて異端とみなされた彼女は、宗教裁判にかけられることに。なぜわずか17歳の少女が火刑台で死ななければならなかったのか・・・。
ショーはただの歴史劇に終始しない、スリリングなせりふ劇として書き上げました。社会と個人、男性と女性、そして神と人。相対的な世界から、自らが信じる絶対的な世界へと挑もうとした一人の少女の生きざまが、野心を抱く男性たちとの対比の中で描かれます。
<<<44年ぶりの上演>>>
本作の日本初演は1926年の築地小劇場。その後1963年には劇団雲が上演し1969年に再演。日本初演から約90年、劇団雲の再演より44年の時を経て、上演されます。
<<<演出は、世田谷パブリックシアター主催公演初登場の鵜山仁>>>
各世代で活躍する俳優陣、スタッフが集結し、この作品を創り上げます。
戯曲後半は法廷劇のスタイルを取り、最終幕ではジャンヌの名誉が復活した1920年当時のイギリス紳士が舞台に登場してジャンヌと語り合うシーンがあるなど、劇中劇の趣向も垣間見られる興味深い構成に。「死してもなお生き続けるジャンヌ」をも描き、時を経た“特殊な再会”も見どころになりそうです。
<<<ジャンヌを演じるのは、笹本玲奈>>>
数々のミュージカルに出演し、今年芸能生活15周年を迎えた笹本玲奈がジャンヌ・ダルクに挑みます。笹本は「ジャンヌは女優になった頃からの憧れの役でした。戦うという勇ましいイメージがありましたが、バーナード・ショーのジャンヌはごく普通の少女としても描かれています。その少女が徐々に聖女になっていく。戦場で男たちと同じテントの中で寝ていても周りの男たちはジャンヌを女性として全く意識していなかったといいます。女性の性を超えた存在、確固としたぶれない意思を持った人間の強さや、素朴でありながらも強い意志をしっかりと表現したいと思っています」と語ります。
このほか、今井朋彦/伊礼彼方/大沢健/浅野雅博/馬場徹/
石母田史朗/金子由之/今村俊一/酒向芳/石田圭祐/新井康弘/
小林勝也/中嶋しゅう/村井國夫というキャスティングで、どのような作品が誕生するのでしょうか。
制作発表が行われました(2013年7月1日/世田谷パブリックシアター)
◆小田島雄志(翻訳)
本当は翻訳の中川龍一さんに来ていただきたかったんだけど、今日はどうしても来られないということで・・・といってもだいぶ前に亡くなってしまったのですが(苦笑)。この本の翻訳は本来は全部中川さんがされているはずで、6場のうち3場まで中川さんが訳されて病気で倒れられたので、4~6場を僕が訳しました。バーナード・ショーの作品に携わったのはこれしかありませんが、彼の作品の中で一番好きです。ジャンヌ・ダルクに対する愛情があるんです。ジャンヌ・ダルクを最初に英語で書いたのはもしかしたらシェイクスピアで、シェイクスピアの『ヘンリー六世』で、ジャンヌは悪霊を呼び出す魔女になっています。ところがバーナード・ショーは愛情を込めた。なぜかというと、ショーはアイルランド人なんですね。アイルランド人はイングランド人と非常に仲が悪い。そしてイングランド人とフランス人は百年も戦争をした敵同士です。だからアイルランド人はフランス人を受け入れて仲良くなれる。だからショーもオルレアンの乙女に非常に興味を持ったんだろうと思います。僕は50年前に『ジャンヌ』を観ました。今回、笹本さんで観られるなんてこんなに嬉しいことはないです。長生きはするもんです。先日、週刊誌の仕事でオルレアンに行ってきました。どこを向いてもジャンヌの銅像などがあって、ジャンヌの記念館のようなものも見てきました。一緒に行った記者が「この町はジャンヌ・ダラケですね!」と。僕もダジャレ好きだけど先を越されました(笑)。
◆鵜山 仁(演出)
ここのところ、僕自身もそうなんですが、世の中のものの見方や考え方が大きなうねりで徐々に変わって来てるんじゃないかと思っています。演目発表の際にも申し上げましたが、人間の一生を80年のスパンで捉えている時の価値観と、800年、8000年というスパンで考える時とでは、人間にとっていいこと悪いことが180度違う場合もあると思います。じゃあどの価値観や考え方にのっとって、この世の中や人生をつくっていったらいいのかを、ちゃんと真面目に考えて行かなきゃいけないんじゃないかと感じています。そういう時に、ヒーローやヒロインの誕生というか、我々の遺伝子、DNAにジャンプをさせてくれるような世の中に風穴を開けてくれる存在が、ヒーローやヒロインなんじゃないかと思います。長い目で見て世の中を変えて行く力になる人というか、それにまつわる物語というか、それを舞台で表現することで、世の中を変えて行けると信じなきゃいけないんじゃないかと思っています。浮き沈みは色々ありますので、こんなことで世の中は変わるのか、僕のやっていることは狭い意味でのエンタメなんじゃないかと考えることもあります。でも、世の中をちょっとずつ変えるというか、人間が生きる世界の風通しをよくするために役立っているんじゃないかと、信じざるを得ない年齢になってしまった。それを笹本さんに全部託すという訳ではないのですが、今回僕も含めて結構なおじさんたちが集まっていますので、紅一点です。人間をよりよく変えていく力を世田谷から発信しようという思いで結集していますので、宜しくお願いします。広いスタンスの芝居ができるのは公共劇場ならではです。最近、古典や近代古典が持つ長く広いスタンスが面白くて、そのエネルギーに感動しています。仕事をしながら多少は自分の背丈が伸びたような実感があります。そういうことにも力を借りて、膨大なセリフなど難しい面は色々あるんですけれども、その高いハードルを跳びたいと思います。
◆笹本玲奈(ジャンヌ・ダルク役)
ずっと憧れ続けていたこのジャンヌ・ダルクの役を、デビュー15周年となるこの年に演じることができて心から嬉しく思っております。普段はミュージカル女優として歌うお仕事の方が多いので、このようなストレートプレイは2回目で、ほとんど初めてのようなものです。ここにいらっしゃる素晴らしい俳優の先輩の皆さま、おじさんというか、お兄さまに助けていただきながら(笑)、そして初めてご一緒する鵜山さんにご指導いただきながら、タイトルにもある「ジャンヌ・ダルクの真実」を全身全霊で演じることができたらと思っています。来月、オルレアンに行ってジャンヌ・ダルクを肌で感じてきたいと思います。そうして全ての準備を整えた上で、お稽古を頑張って本番に挑んでいきたいと思っています。女性の自由が制限されていた時代に、1人の少女がひとつの信念を貫き通して進んでいった姿に私は凄く憧れます。私自身もミュージカルがやりたいと思い、その夢に向かって突き進んできました。自分と彼女とを照らし合わせると、すごく共感するものがあります。
◆今井朋彦(ウォリック イギリスの伯爵役)
おじさんとお兄さんの微妙なボーダーライン上におります、今井です(笑)。ウォリックという役を聞いたとき、フランスの敵国であるイギリスの軍人ですので、全国のジャンヌ・ファン、全国の笹本玲奈さんファンを完全に敵にまわすなと思ったんですが、よく台本を読みますと、必ずしもウォリックだけが敵だったわけではなく、ある意味よってたかってジャンヌを火刑台に送ったというようなところもあります。僕はウォリックの立場から、なぜジャンヌを火刑台に送らなければならなかったのかを、きちんと演じられたらと思っています。僕は鵜山さんとは何度もご一緒させていただいています。芝居を始めたころ、演出家は稽古場でどんな要求を突き付けてくるのか分からない怖い存在だったんですが、経験を積み最近はそこが逆に楽しみであると実感しております。特に鵜山さんは突拍子もないことを要求されることが多いので、それにどう応えて初日を迎えられるのか、自分自身も楽しみにしております。
◆伊礼彼方(デュノア オルレアンの私生児)
(司会者のジャンヌと共に戦うフランス側の貴公子、オルレアンの私生児デュノア役という説明をうけて)貴公子の伊礼彼方です(笑)宜しくお願いします。貴公子なんですよね。台本のト書きに美青年とか、着飾っているとか、装飾品だとか、たくさん書いてありまして、これは真面目に取り組まないといけないなと思いました。オルレアンの私生児デュノアは、笹本さん演じるジャンヌに近しい存在で、ジャンヌが一番フラットでいられる存在なんじゃないかと思います。(笹本さんとは)実年齢も近いですし、これから稽古を通して打ち解けていい関係が作れたらと思っております。ちなみに・・・僕はおじさんではなく、お兄さん側です(笑)。この際白黒はっきりつけておきましょう、その方が今後稽古を進めやすいですから(笑)。若手として皆さまの経験にたどりつけない部分もありますが、若さで勝負して素敵なデュノア、そして素敵な作品になるよう、みなさんと一緒に作りあげていけたらと思います。デュノアは、ジャンヌと親しくはありますが、もしかしたら今井さん演じるウォリックよりも「ジャンヌを利用する」という意味で腹黒いところがあるのかもしれない・・・この辺りは鵜山さんに聞いてみないと分からないところなので、これから役を深めていきたいと思います。
◆浅野雅博(シャルル フランス王太子)
僕は確実にお兄さん側だと思うんですけど(笑)。この濃いキャスティングで稽古場がどのような感じになるのか、いい意味でわくわくしております。歴史的にもジャンヌの神々しい愛に満ちた行動から一番恩恵を受けたのはシャルルだと思います。シャルルは彼女にどういう風に導かれるのか。ジャンヌとシャルルの2人の密室のシーンがあるんですが、ジャンヌは最後まで裁判でもしゃべらなかったそうなんです。それは劇中でも出てくるので、ジャンヌのどんなところにひかれたのかをどのように作り込んでいくか、僕自身楽しみにしています。
◆中嶋しゅう(ロベール 領主・将軍/ジョン・ルメートル 査問官)
(マイクのスイッチを入れ忘れてしゃべりだし)確実におじさんの方だね、いや、おじいちゃんだな(笑)。抱負と言えるかどうか分からないんですが、大好きな鵜山仁という演出家と、大好きな俳優たちと、日々楽しく過ごせたらいいなと思っています。いい作品は、楽しい稽古場からしか生まれないと、私は信じています。宜しくお願いします。
◆村井國夫(コーション フランスの司教)
この芝居、非常に難しい芝居だと思います。シェイクスピアのロマンティック劇みたいにすれば、なんてことないんだろうけど、バーナード・ショーなので、そうはいかないですね。20世紀は戦いの世紀だと言われていますが、21世紀はどうなのか。今でも世界各地で色んな戦争があり、色んな人が犠牲になり、色んな人が無為に死んでいくという状況があります。「キリストの受難だけでは足りない、もっともっと犠牲が必要なんだ。想像力のない人間のために」というセリフがあります。心してかからなければと思っています。鵜山さんの稽古場は非常に楽しい稽古場です。何言ってるのかわからないところもあるんですけれども・・・(笑)。私は今井くんの次ぐらいにセリフが多いんじゃないかな。『コペンハーゲン』という芝居で700ぐらいのセリフがあったのですが、(鵜山さんから)1000以上のダメ出しをされました。「お前、ほめることはないのか!」って言った位ほめることがない人で(笑)。今回もきっといいものができると期待しています。
『ジャンヌ』
―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―
作:バーナード・ショー
翻訳:中川龍一/小田島雄志
演出:鵜山 仁
出演
笹本玲奈/今井朋彦/伊礼彼方/大沢健/浅野雅博/馬場徹/
石母田史朗/金子由之/今村俊一/酒向芳/石田圭祐/新井康弘/
小林勝也/中嶋しゅう/村井國夫
【東京公演】
2013年09月05日(木)~2013年09月24日(火)
世田谷パブリックシアター
お問い合わせ:世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515
【兵庫公演】
9月28日(土)16時、29日(日)13時開演
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【豊橋公演】
10月5日(土)14時開演
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【札幌公演】
10月9日(水)19時開演
札幌市教育文化会館 大ホール
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/09/20139.html
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