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ミュージカル『シラノ』
製作発表が行われました その2 出演者コメント
ミュージカル『シラノ』
製作発表が行われました その1 歌唱披露はこちら
◆山田和也(演出)
(笠井)まずは演出の山田和也さんです。2009年の初演は世界で初めての上演ということでございました。色々とご苦労もあったかとは思いますが、今回新たに構想していることなどおありなのでしょうか。よろしくお願いします。
(山田)演出を担当致します山田でございます。本日はようこそいらっしゃいました。前回、2009年5月に日生劇場で幕を開けたんですけれども、まだ世界のどこでも上演されていなくて、台本とか音楽のスコア、譜面などを未完成な状態で幕を開けました。それをスタッフの皆さん、それから鹿賀さんなどキャストの皆さんと話し合いながらやっていったので、結構大変でしたよね。鹿賀さんね。どう大変だったのかよく覚えていないんです(笑)。それだけきっと全ての事に全力投球して、ストーリーや音楽を伝えようとしすぎたんじゃないかなと、ちょっと自己反省しまして。今回はできるだけスリムにするべきところはスリムにして、たっぷりやっていくところは存分にたっぷりやっていくという、よりタイトで、よりメリハリが効いて、よりロマンティックな、そういうミュージカルになるかと思っています。
(笠井)この方のシラノを観てしまうと、もう他の方のシラノが想像できない状況でございます。主演の鹿賀丈史さんです。よろしくお願いします。
(鹿賀)みなさん。こんにちは。今日はわざわざ足をお運び頂きましてありがとうございます。早いものでして、私が劇団四季で「ジーザス・クライスト・スーパースター」という作品でデビューをしましてから来年で40年になります。見かけは若そうに見えるかもしれませんが、中身はボロボロになっております(笑)。そういう記念すべき年にこのシラノという作品をできる・・・その喜びでいっぱいです。山田さんがさっきおっしゃいましたけれども、初演の時には本当に大変な作業をしながらの稽古でしたので、なかなか本番でも上手くいかなかったり、色々やっぱりそういう問題もありました。それで、いつか、またシラノを近いうちに再演をしたいなと思っておりましたら、来年1月に再演が決定致しまして本当に嬉しく思っております。
今回は、ここにいらっしゃる4人の新しいキャストのメンバーをお迎えしまして、また初演とは一味も二味も違った奥行きの深い文芸作品でもある『シラノ』のミュージカルというものが、きっとお見せできると思っております。私もさっき歌詞を間違えてしまいましたけれども、このミュージカルの中で16曲歌っているんですね。それで、雄弁なシラノですからよくしゃべりますし、しゃべっては歌いしゃべっては歌いの繰り返しなんですけれども、まず、本当に体を鍛えるというところから初めて、シラノならではのセリフの言い回し、また、彼ならではの歌の歌い方というのを勉強して、来年1月に皆さんとまたお会いしたいと思います。今日はありがとうございました。
(笠井)鹿賀さん、今日のお鼻は本番仕様?
(鹿賀)これ本番仕様です。
(笠井)濱田さん、隣から見て、これ付け鼻って分かります?
(濱田)あの、、あの、、分からないです(場内笑)。すごく上手に分からなくなっています。
(笠井)本当の鼻に見えますよね?
(濱田)はい。すごく、はい。
(笠井)鹿賀さんってこういう人だったかなぁっていうような感じの鼻に見えますけど?見事な鼻です。
(濱田)初めてお会いした時と、扮装してお会いした時に私はハッとなってしまいまして
(鹿賀)これは僕の鼻にちょっと付けただけですよ。もともとでかいですから(笑)
(笠井)前回の初演の時、鼻トラブルというのは起きませんでした?
(鹿賀)いや。トラブルは起きないんですけれども、やっぱりここにこういうスポンジ状のものが付いていて、こういう帽子を被っていると非常にやっぱり歌いにくいんですね。共鳴するところが吸収されてしまうというような、感覚がありまして、そういう所も今回は勉強して、少しでも良い歌が唄えるようにやりたいと思っています
(笠井)続きまして、鹿賀さんが演じるシラノがひそかに想いを寄せているのが、両脇に座っていらっしゃいますロクサーヌです。Wキャストでロクサーヌを演じますのは、濱田めぐみさんです。鹿賀さんとの初共演の心境などを交えまして、よろしくお願いします。
(濱田)ロクサーヌ役を演じさせて頂きます濱田めぐみです。よろしくお願い致します。非常に緊張して歌いまして、今ここに居る事自体本当に夢のようで、きっと何を話しているのか自分でも分からない状態だと思うんですけれども、今回『シラノ』と言う作品に関わらせて頂きまして、私、自分の舞台人生にすごく大きなターニングポイントになる役じゃないかなと思っています。
今、鹿賀さんのお話を聞かせて頂きながら、初演の時の色々大変だったことなどを胆に命じて、新入生としてこの『シラノ』という作品を謙虚に勉強させて頂きたいと思い一杯なんですけれども、鹿賀さんに胸をお借りするつもりで、とにかく深く温かくそして強くリアリティのある自分なりのロクサーヌを演じられるよう頑張りますのでどうぞよろしくお願い致します。
(笠井)続きまして、同じくロクサーヌ役の彩吹真央さんです。彩吹さんも『シラノ』初参加です。
(彩吹)ロクサーヌをやらせて頂きます彩吹真央でございます。世界的に有名な戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」のロクサーヌをさせて頂けるという事で、本当に光栄です。先ほど山田さんや鹿賀さんがおっしゃっていたように初演の時のご苦労は、今、この場にいて初めて聞かせて頂いたので、その時の情熱を受け継いでそれ以上のものをお見せしていけたら良いなと思っております。Wキャストとして出演させて頂くというのは私自身初めてなので、色んな意味で勉強させて頂けるんだろうなぁと思って、今から楽しみにしております。ロクサーヌは才女ということなので、どこまで才女に見えるか、私なりにチャレンジしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
(笠井)続いて、楽しい役でございます。そのロクサーヌとなんとか恋人になりたくてシラノにラブレターまで書いてもらうというクリスチャンを演じます田代万里生さんです。鹿賀さんとは恋のライバルになるのですね。よろしくお願いします。
(田代)クリスチャン役を演じさせて頂く田代万里生です。偶然にも2009年の公演を見させていただいておりまして、そしてその後にワイルド・ホーンさんのコンサートがあったんですけど、その時に今日さっき歌ったデュエットを実は歌っていて、ワイルド・ホーンさん直々にピアノを弾いて頂いてレッスンをして頂いたという経緯もあって、すごく『シラノ』に引き寄せられていたんではないかなと今となっては思います。あとは、演出の山田さんとも初めてご一緒させて頂くのですけれども、ミュージカルをやる前に、「ミー・アンド・マイガール」とか「ジキル&ハイド」とか、たくさん拝見させて頂いていて、自分がやる前に観ていたっていうのが、自分の中で新鮮だったので、“あの”山田さんとご一緒できるというのは本当にすごくうれしく思っております。クリスチャンという役はシラノがすごく自分の容姿にコンプレックスを持ってクリスチャンの力をお互い借りあって、ロクサーヌに愛の告白をしていくのですが、鹿賀さんがカッコよすぎるので、普通に成功しちゃうじゃないかな、と思いますが(笑)、「ファンタスティックス」で鹿賀さんとは一度ご一緒させて頂いておりますので、その時にもたくさん二人芝居があると。今回は結構クリスチャンとシラノの二人芝居いうのがたくさんありますので、すごく楽しみにしていますしすごくドキドキしています。がんばります。
(笠井)このクリスチャン役もWキャストでございますが、Wキャストで演じます平方元基さんです。
(平方)クリスチャン役、平方元基です。僕が最初に『シラノ』を観たときが2009年の初演の時だったのですが、僕が上京して初めて観たミュージカルだったのです。舞台も経験したこともなくて、初めて見るミュージカル。まじまじと目の前で演じられている方たちを目の当たりにして、すごいな・・・と、ただただ打ちひしがれていたのを、今こうやって思い出します。
そんな舞台に自分が巡りあわせで出させて頂く事になったのですが、とても運命的な事を感じるので、一生懸命頑張って。ちょっと今日緊張しすぎて首を寝違えてしまって右が向けないんですけど(場内笑)、本番は緊張しても右を向けるように一生懸命稽古して、緊張しないでいるようにがんばりますので(場内笑)、ちょっとおばかな平方元基のクリスチャンをお楽しみに。っていうことで、よろしくお願いします。
――鹿賀さんと山田さんに質問です。『シラノ』というのはこれまでさまざまな形で上演されてきたかと思うんですけれども、ミュージカル『シラノ』は特にどういう所に魅力がある舞台なのかお聞かせいただけますでしょうか?
(鹿賀)こういう文芸作品のミュージカル化っていうのは、色んな意味で難しさがあると思うのですが、それは有名なセリフを歌うという事であったり、有名なシーンが歌のシーンになっているということであったり。今まで出会っていたシラノのイメージと違和感なく上手く進行しかなければいけないんだと思うのです。僕がシラノをやっていまして、一番感じるのは、歌になりますとやっぱり結構キーが高くなるんですね。それでシラノのしゃべりの声というのは、どちらかというと低い所の声。そのギャップがすごく大きいんですね。その辺の苦労というのはこの作品には特に感じます。
(山田)色々なシラノがあって、網羅しきれないくらいさまざまな『シラノ』が有ったりするのですけれども、この『シラノ』は17世紀のパリの舞台で、すごく今の我々、あるいは皆さんが感じる恋愛、あるいは人を好きになり人を好きになられる時に感じる気持ちというか感情、不安ですとか、恐れとか、あるいはそれを成就したときの喜びとか、そういうものがすごく等身大に書かれているということなんですね。ストーリー自体は“波乱万丈”で、“ドラマティック”“ロマンティック”でありますけれども、そこで描かれている人たちの一人一人の心の動きがすごく瑞々しくて、それがこのバージョンの『シラノ』の特に優れた部分になると僕は感じています。
――初演を、先ほど未完のスコアとか台本から立ち上げられて、それをワイルド・ホーンさんがご覧になって、おっしゃったことがありましたら、ぜひ聞かせて頂きたいのですが。
(鹿賀)終わった後は、いつもの事ですけれど、ニコニコな顔(笑)。とっても優しい方で心豊かな人なものですから、自分の書いているものを日本人が初めて上演したわけですけれども、そういう意味では自分の思い通りでは無かったところもあるかと思んですけれども、そういうことは一切表情に出さずにニコニコ笑って「良かった、良かった」と言ってくれる、そういう方ですね。そういう初日でもありました。
(山田)えっと・・・ニコニコしていました(笑)。多分僕たちがやった、今回もそうですけれども『シラノ』は、音楽の方に寄るよりは芝居の方に寄っているっていうことがあったと思うんですけれども、“なるほどそういうやり方をやったんだね。なるほどね。クレバーだねっていうような事をおっしゃられました。で、ニコニコしてらっしゃいました。
――ロクサーヌのお二方に。お姫様キャラを演じる感想を教えて頂ければと。
(濱田)私がやってきた役というのは強い女性や、運命に翻弄されながらも自分で人生を切り開いていく役、あと選択が迫られた時に、必ずどちらかを力強く選択して、自分で開拓していくという役が本当に多くて、今回このロクサーヌの役を頂いた時に、これは本当にチャレンジだなあって思いました。ターニングポイントになりそうな気がしています。可愛らしいロクサーヌの部分をたくさん引き出していきたいなぁと思いますし、今回Wキャストということもありまして、彩吹さんと色々相談しながらやっていけたらいいなあと思いますし、すごく楽しみにしています。これからできる限りこの役を大切に育てていきたいなあと思います。
(笠井)かわいらしい役は嬉しいですか?
(濱田)恥ずかしいんですけれども、はい、嬉しいです(笑)
(笠井)彩吹さんお願いします。
(彩吹)はい。私もうれしいです(笑)。まずはこういうコスチューム物というかこういう本当に綺麗なドレスを着させさせて頂くのは初めてですし、今日の3段の階段さえすごく緊張したんですけれども、そういう意味では初めてのチャレンジでもあります。ロクサーヌという役は先ほども言いましたように才女として描かれていますけれども、そういう所も勿論ですけれども、人間味が溢れる女性だなあと原作を読ませて頂いたときに感じたのが第一印象でした。ですので、男役をやっていた私が、やる所でいいますと、男役も女性も同じ人間ですので、一つの役をどうとらえてどうやって演じていこうかというのは女優になってからも変わらない作業なので、私らしく、私らしいロクサーヌを探って深めていければ良いなあと思います。(濱田)めぐみさんが先ほどチャレンジとおっしゃっていたみたいに、多分そういうタイプではない二人がロクサーヌを演じるというのことを楽しんでいただける要素の一つになれば良いなと今感じております。
――クリスチャン役のお二人もお互いの印象、そして役作りについても一言ずつお話を伺えたらと思います。
(田代)(平方)元基君は僕がミュージカルデビューする前に、お芝居のワークショップに行った時に、彼はまだミュージカルじゃないお仕事をされているときで、そこのお芝居のワークショップの先輩みたいな感じで居て、同じグループになって一杯色々教えてもらったのが初めてです。ストレートプレイを観に行った時に偶然一緒になったりして、一緒にそんなに面識もないのに一緒の電車で帰ったりしたときもあって、背が高くてかっこいいなって思っていたので、クリスチャンはぴったりだと思います(笑)。クリスチャンという役は、台本を読むと今回のバージョンといのはすごくシラノとのやり取りで楽しい所もたくさんあるんですけれども、映画を観たり、色んな原作を読んだりすると、すごくシラノと同じですごく純粋なんだなという第一印象に受けました。その純粋なクリスチャンと純粋なシラノが純粋なゆえに弱さを持っていたり、壁があって、結末は言えませんけど、シラノと色々ロクサーヌに対してやっていくんですが、純粋さというを大事にしながら楽しいシーンだったりシリアスなシーンだったりを充実したステージにしていけたらいいなと思います。
(平方)(今、田代さんの話を聞いて)汗を吹きだしちゃったんですけれど(笑)、そうですね、(田代)万里生さんと一番最初に出会ったのが事務所のワークショップみたいなレッスンだったんですが、それから次々と大きな作品で主役やいろんな大きな役をやられているのをみて、僕もミュージカルを挑戦するにあたって、いろいろ学ばせて頂きたいなと思っています。今までにもたくさんの作品を観させて頂いて、素晴らしいなという印象なんですが、まさかWキャストで万里生さんと一緒に演じられるとは思っていなかったので。一緒にやれるんですが、舞台上で二人一緒に立つ事はないので、やっぱり刺激し合ってお互いに無い物をどんどん伸ばしあって、色んな色のクリスチャンになればいいなと思っています。
(笠井)お二人に役替わりについてお聞きしたいのですが、このクリスチャン、二枚目なのにちょっとお馬鹿って感じの(笑)所があるじゃありませんか。こういう男をどう思われますか?
(田代)やっぱり僕の場合、さっき言った純粋な心を大事にしたいなと思っています。
(平方)僕は残念なところが一杯あるので(笑)、残念なところはクリスチャンと共通な部分だと思うので、そこを大いに活かして、残念な(笑)平方元基なりのクリスチャンを目指していきたいと思いますので、ぜひ観に来て頂ければなと思います。
(笠井)最後に鹿賀さん。そういった若いキャストの皆さんの中で、シラノ自身が若い者には負けないぞという生き様を見せたりいろんな事を言ったりしますけれども、鹿賀さん自身そういった若い方の中での自分の立ち位置といいましょうか、どういった思いでシラノに取り組まれますか?
(鹿賀)そうですね。シラノという人間自体も、剣豪で剣術に長けていたりしてすごい大きな男に見せますけれども、実は非常にやっぱり繊細な心の持ち主で、その辺というのはこの作品で出てくる登場人物はみんなそうなのかなという風に思います。そういう一人の人間の中にある、いわゆる外見と内面の違いといいますか、その辺の心のヒダと言いますか、そういうものを上手く表現できたらいいかなと思っています。
ミュージカル『シラノ』
脚本・作詞:レスリー・ブリカッス
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:山田和也
翻訳:松岡和子
訳詞:竜 真知子
【東京公演】
2013年1月6日~1月29日
プレビュー公演1月5日
日生劇場
【大阪公演】
2012年2月8日~2月10日
大阪新歌舞伎座
http://www.tohostage.com/cyrano/index.html
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