『エンタメ ターミナル』では舞台を中心としたエンターテインメント関連情報をWEB記事として発信しています。
掲載内容は、掲載日付のものとなりますので、最新情報は各自ご確認ください。
※ 記事・写真等の無断使用・無断転載は禁止しています。なお、リンクはフリーです。
野村萬斎構成・演出・主演『マクベス』
念願のニューヨーク公演で、鳴りやまぬ拍手喝采!
世田谷パブリックシアター芸術監督を務める狂言師の野村萬斎が構成・演出・主演する『マクベス』が、念願の地・ニューヨークで、ついに初日を迎えました。2月にスタートした東京、大阪公演を経て、韓国・ソウルにて公演。初めて日本のカンパニーを招聘したという明洞(ミョンドン)芸術劇場では、連日満席の客席から熱いカーテンコールを受け、韓国のメディアにも数多く取り上げられました。
萬斎が演出を手掛ける『マクベス』の最大の特徴は、出演者をマクベス夫妻と魔女3人の“5人のみ”に絞った点です。多くの登場人物で描かれるシェイクスピアの世界を、狂言師ならではの発想で大胆に枝葉を削ぎ落とし、そのエッセンスを抽出することで、『マクベス』という現象を考え、いま、それが何を映し出す鏡なのかという点を追求したオリジナリティ溢れる作品となっております。
舞台装置はミニマルながらも、日本の「風呂敷」をヒントにした布や竹の棒、能面などを役者たちが巧みに操ることで、思わず息をのむ美しい世界が目の前に広がり、観る者の想像力をかきたてます。四季鮮やかな日本、また大震災ではその自然の脅威をも知った日本。萬斎は、私たち日本人の感性やアイデンティティーを、世界の共通言語ともいえるシェイクスピア作品を通して海外に伝えたいと考え、日本人が敢えて異国のシェイクスピア作品に取り組む意義をニューヨークで提示してみたいと願い続けてまいりました。
<能狂言の手法を使って、5人のみで演じる 『マクベス』>
―人間 対 魔女(森羅万象)―
今回の萬斎の演出は、人間も森羅万象(=自然)の一部であると俯瞰し、人間の営みの滑稽さに焦点をあてる狂言的なマクロの視線と、人間の精神性や情感に迫る能的なミクロの視線を向けることで、「人間 対 魔女(森羅万象)」という構図をくっきりと浮かび上がらせます。明日を考えることができる動物は人間のみ。 人間は、「明日をより良くしたい」と願うあまり、自然の摂理に反することにまで手を伸ばしています。
「きれいは汚い、汚いはきれい」という名台詞にも通じる、人間が未来を良くするために作った正の財産が、負の財産をも生み出しているという現代に対する問いかけが、全編を通してちりばめられています。
萬斎は、これまでにも「間違いの喜劇」を狂言に翻案した『まちがいの狂言』や、「リチャード三世」を日本の戦国時代に置き換えた『国盗人(くにぬすびと)』など、シェイクスピア作品を能狂言の手法を使って再創造することに果敢に取り組んでまいりました。今回、この『マクベス』は、萬斎が、1994年~1995年にかけての英国留学時代より構想をあたためてきた作品で、2008年のドラマ・リーディング公演を経て、2010年、世田谷パブリックシアターにて初演。伝統芸能の継承者として生きる萬斎が常に考える「古典と現代の融合」、更には 「西洋と東洋の融合」を体現する、萬斎にしかなしえない『マクベス』です。
▲『マクベス』世田谷公演舞台写真
【ニューヨーク公演】
世田谷パブリックシアター芸術監督・野村萬斎が構成・演出・主演を務める『マクベス』が、3月23日(土)、米ニューヨークのジャパンソサエティ内オーディトリアム(約270席)で初日を迎えました。客席はソールドアウトで満員御礼。
シェイクスピアの物語に、人間の一生をなぞらえた色彩豊かな日本の四季の風景を織り込みながら、狂言師である萬斎ならではの『マクベス』を披露。ほとんどがアメリカ人の客席からは、ヒューヒューという声援、ブラヴォー、二度のカーテンコールでは拍手が鳴り止まず、大勢のお客様のスタンディングオベーションで迎えられました。
【NY公演を終えた野村萬斎のコメント】
「この1ヶ月間で、客席数250人~900人の劇場で、文化的背景も異なる国で上演することができたことは、とても素晴らしい経験でした。ニューヨークは劇場が小さいため、さらに演出がシンプルになり、象徴性、抽象性がより高まり、作品が一層洗練されたと思います。洗練を加えることで伝統芸能と同じように作品を 高めていき、レパートリー作品として、今後も色々な国で上演していきたいと思っています。」
【現地ニューヨークの観客のコメント】
◆「萬斎さんが出てきた瞬間の圧倒的な存在感がとても印象的でした。自分を表現する方法にたけていて、お腹から響くような声も素晴らしく、カリスマ的な俳優だと思います。アメリカでは、演出家が主演を兼ねることは 珍しく、素晴らしい仕事をしたと思います。」 Carmen Kovens Senior Producer, Lincoin Center Festival
◆「素晴らしいパフォーマンスでした。シェイクスピアを日本の伝統芸能に変換して、うまく取り入れていると思いました。ラストシーンは原作と異なり、全てが暗黒で終わり、暗黒と邪悪なものがこれからも続くと連想させる、非常にユニークだと思いました。」 Carol Martin, Ph.D.Professor of Drama
▲『マクベス』ニューヨーク公演舞台写真
▲『マクベス』ニューヨーク公演舞台写真
【公演名】 世田谷パブリックシアタープロデュース 『マクベス』
【日程】 2013年3月23日(土)19:30開演 ・ 24日(日)17:00開演 [全2回]
【会場】 ニューヨーク ジャパンソサエティ内 オーディトリウム
(“Japan Society” / 333 East 47th Street New York /[URL] http://www.japansociety.org/ )
【原作】 ウィリアム・シェイクスピア
【構成・演出】 野村萬斎
【出演】 野村萬斎 秋山菜津子 高田恵篤 福士惠二 小林桂太
【世界ツアー】 東京公演 2月22日(金)~3月4日(月) 世田谷パブリックシアター
大阪公演 3月8日(金)・9日(土) サンケイホールブリーゼ
韓国・ソウル公演 3月15日(金)~17日(日) 明洞芸術劇場
アメリカ・ニューヨーク公演 3月23日(土)・24日(日) ジャパン・ソサエティ
情報は書き込んだ時点のものですので、実際の内容と異なる場合があります。
あらかじめご了承下さい。