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加藤和樹さんインタビュー 『タイタニック』でミュージカル初主演 2015年01月

(2015年01月20日記載)

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加藤和樹さんインタビュー 
『タイタニック』でミュージカル初主演

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<加藤和樹さん着用の衣装クレジット>
TOM REBL(志風音)tel 03-6666-4321  SHELLAC(SHELLAC PRESS ROOM)tel 03-5724-5687 

ミュージカル『タイタニック』公演について(公演資料より)

モーリー・イェストンとピーター・ストーンによるトニー賞受賞作品、ミュージカル『タイタニック』。
それが再び東京にやってくる。
しかも今回は、ロンドンで大ヒットを記録した、新しく劇的に創り変えられたバージョンだ。

演出はトム・サザーランド。
彼がロンドンで創り上げた、少人数精鋭のカンパニーによる密度の濃い今回のバージョンは、
ロンドンのサザーク・プレイハウス劇場で産声を上げ、多くの賞賛の声を浴びた。
タイムス誌は以下の様に語っている。

心を掴む、野心的な群集劇。確かな腕と鋭い眼で、演出家は作品を成功へと導いた。

ミュージカル「タイタニック」は、“沈まぬ船”と呼ばれたにも拘らず1912年4月14日に氷山に衝突し沈没した、
豪華客船タイタニック号の最期の時を、ピーター・ストーンの脚本とモーリー・イェストンの楽曲により描き出す。
登場するのは、実際に乗船した実在の人物たちで、彼等が胸に抱いていた夢や希望がテーマとなっている。
自分たちを待ち受ける運命を知らず、三等客の移民たちはアメリカでのより良い暮らしを夢見て、
また、公民権を与えられたばかりの二等客たちは富と名声を手にした人生を望み、
一等の富裕層は輝きに満ちた自分たちの世界が永久に続くことを願うのだった。

この作品は、同じくイェストンの作曲のミュージカル『グランドホテル』と同様に、
特段「主役」というものを設定せず人物それぞれの物語が並行して進む群集劇として作られている。
日本では『タイタニック』と聞けばジェームズ・キャメロン監督の大ヒット映画を思い出す方が多いと思うが、
あれはあくまでタイタニック号の沈没という歴史上の出来事をベースに作り上げたフィクション。
一方、ミュージカル『タイタニック』は史実に基づいて物語が作られており、
登場人物はすべて実在の人物、あるいはそれをベースに作られた人間たちであり、壮大な歴史劇であると言えよう。

加藤和樹さんプロフィール

991_7963 愛知県出身。2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年CDデビュー。毎年の全国ツアーに加え、日本武道館他、渋谷公会堂、日比谷野外音楽堂などでの単独ライブも精力的に展開。2009年には韓国、台湾、中国などでCDデビューし、アジアにも活動の場を広げている。

俳優としてはドラマ「仮面ライダーカブト」、「ホタルノヒカリ」、「インディゴの夜」「赤い糸の女」などに出演。 またアニメ「義風堂々」で声優としても活躍。さらに、舞台では『オセロ』(白井晃演出)、『里見八犬伝』(深作健太演出)、『真田十勇士』(堤幸彦演出)に出演。
昨年、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(小池修一郎演出)より本格的にミュージカルに出演し、ミュージカル『レディ・ベス』(小池修一郎演出)では、主人公べスの相手役を熱演。その後、11月よりロッククミュージカル『SONG OF SOULS-慶長幻魔戦記-』に出演。12月3日には11thシングル「snow drop」が発売される。2015年1月の『ボンベイドリームス』ではヒロインの婚約者である弁護士ヴィクラム役で出演。この『タイタニック』作品後には、全国14か所の「Kazuki Kato LIVE“GIG”2015TOUR」が開催されることが決定している。



アンドリュース〈設計士〉役 加藤和樹さんインタビュー(2015年1月8日/取材・文・撮影:住川絵理)

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―――2005年にミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴びてから10年が経ち、
このたびミュージカル初主演となりますが、今の心境はいかがでしょうか。


これだけ有名で大きな作品である『タイタニック』ですから、もちろんプレッシャーはあります。
でもこの作品は群像劇でそれぞれのキャラクターが描かれている物語なので、主演だということにとらわれずに
『タイタニック』の登場人物のアンドリュースという役を自分なりに果たしたいと思います。
豪華なキャストの方々との共演もそうですが、演出家のトム・サザーランドさんとご一緒出来るのも楽しみです。
海外の演出家の方と仕事するのは初めてなので、どういう演出をなさるのかなと。
トム・サザーランドさんからは、「アンドリュース役は、クラシカルに歌い上げるのはではなく、
芝居の気持ちを大事に感情をむき出しにして欲しい」と言われているので、そのあたりを意識して演じたいです。


―――加藤さんが今回演じるのはタイタニック号の設計士・アンドリュースですね。
夢の実現と共に自らが設計したタイタニック号が沈んでいくのを目の当たりにし、
更には船と共に海に消えていった39歳の生涯からどのようなことを感じていますか。


彼自身のひとつの目標であり、大きな役割を果たしたこの仕事は絶頂の時だったと思います。
そこから転落するような“氷山に衝突”という出来事が起き、死が迫ってきた時の絶望感は僕らには計り知れないです。
どこかで責任もあるし、でもその責任はミスとして認めたくない、という責任のなすりつけ合いのような
ナンバーが出てきますが、人間の醜さや死に直面することによって生まれてくる感情を、
アンドリュースとしてあますことなく表現出来たらいいなと思います。


―――39歳でこれほどの豪華客船の設計を任されるというのもすごいことですよね。

僕とそれほど変わらない年齢ですから、ものすごいプレッシャーだったと思いますね。
自分が描いていたものが形になって誰よりも処女航海を楽しみにしていたでしょうし、
多くの人の夢を乗せて出港したと思います。自分が事故を起こした訳ではないけれど「お前が悪い」と言われる・・・。
改めて思うのは、全てにおいて完璧なものはないわけですから、どこかで仕方がない部分もあるとは思います。
本作でも描かれていますが史実にある通り、無理をしたり想定外のことが起こってしまったり、という時に
このような大きな事故に繋がってしまったのかなと。どれだけ速度を出せるとか、
これほど多くの人を乗せることが出来るという偉業を成しえた時の高揚感は分かりますが、
それによって見失っていた部分もあると思います。
事故が起きて初めていろんなことが浮き彫りになって見えてくるんです。そんな人間の醜い部分も表現したいです。


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―――ミュージカル『タイタニック』の台本を読んで、
特に印象に残っているシーンやセリフは?


アンドリュースのソロ曲「Mr. Andrews’ Vision」というナンバーに彼の思いが全て詰まっています。
走馬灯のようにいろんな出来事を思い出し、自分が船を見届けなくてはいけない、
もっとこういう風に出来たのではないかと思いを巡らせ、
「こんなはずじゃなかったのに・・・」と吐露するところがアンドリュースとして印象的なシーンです。


―――その走馬灯はどのような場面をイメージしていますか。

自分が夢を見ながらタイタニック号を設計しているところから、船の製造に立ち会い、船が出港し、乗客と会話し、
氷山にぶつかってからのやり取りをしているような一連のシーンです。自分が生きてきた人生というよりは、
タイタニック号に携わってからここまでの長い年月を思い出し、後悔と諦めが交錯する中で、
じゃあ自分には「残された時間で何が出来るのか?」を考え、
その上で、「救命胴衣を付けて甲板に上がって」とか、
「女性と子供は先にボートに乗せて」と指示していったのかな、と想像しています。


―――加藤さんご自身が、死に直面したり、恐怖のどん底におちいったりした体験はありますか?

あまりないですが、例をあげるとすれば東日本大震災の時にもうダメかもしれないと思いましたね。
自分は東京にいて少し遅いお昼ご飯を食べている最中だったのですが、
これがもしかしたら最後の食事になるかもしれないと思いました。
名古屋出身なので阪神淡路大震災の時も多少の揺れは経験していますが、これほど大きな揺れは初めてだったので。
非常食を準備して常にそれを枕元に置いて、何があってもすぐに出られるようにしていました。
ああいう時っていろんなことに敏感になるんだなと思いました。ちょっとした携帯音でもビクッとしていましたし、
神経が研ぎ澄まされて危機察知能力が働いていたんでしょうね。


―――アンドリュースの生き様を通して学んでいることは。

公演が終わった後により見えてくると思いますが、やはり「安全なものはない」
「完璧なものはない」ということですね。結局自分がかわいいけれど、
その中で残された人たちに何が出来るのかということです。
まだ今はがむしゃらに突っ走っていますが、いずれは自分も死んでいく身の上ですから、
60歳70歳になった時に「何を残して行けるのか」を考えなくてはいけない時期になってきていると思うので、
振り返った時に「こういうことか!」と分かるような気がします。


―――加藤さんの中で現在のイメージでは、振り返った時にどんな人生にしたいですか?

「楽しかったな」と、笑って死ねる人生が一番いいですよね。


―――今回実在する人物がモデルになった役を演じますが、
実在する人物を演じる上で意識することはありますか?


もちろん史実なので参考に出来るものはしたいと思います。
でも実際に舞台の上で生きるのは自分たちなので、意思を受け継いで演じたいです。
タイタニック号の製造から沈むまでが書かれた分厚い本を読んで、タイタニック号は本当に大きかったんだなと思い、
まずそこに驚きました。もちろん映画も見ていますがそれ以上の迫力で、人々の生きる力を感じ、
それほど大きな歴史に残る出来事だったんだなと。彼の魂や意思を表現したいです。


―――加藤さんが設計するとしたら、どんなものをしたいですか?

設計ではないのかもしれませんが「タイムマシーン」を作ってみたいです。
未来には行きたくないので、自分がまだ生まれる前の過去に戻れるものがいいですね。
“ドラえもん”にも出てきますが、自分が覗き見て実際はどうだったのか、史実が合っているのかを見てみたいです。
だいたい文献にあったものをもとに作品が作られますが、本当はどうだったんだろう?と思うことがよくあるので。
信長はこんな顔していたんだとか、甘いもの好きなんだとか。そういうのを見てみたい(笑)。


―――役にも生かせそうですもんね。船に関する物語ですが船の想い出は何かありますか?

乗り物酔いもないので、乗物は全般的に好きです。子供の頃親父に連れていってもらって船釣りをしました。
海は広いなぁとは思いましたが、恐怖を味わったことはないですね。
豪華客船に乗れる機会が出来たら是非乗ってみたいです。かなり興味あります。


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―――チラシはどのようなイメージで撮影なさったのでしょうか?

海の中で裸で沈んでいくというイメージで、“生と死”を表現したいと言われました。
生まれたままの姿で、水の中に沈んでいく。この水は海でもあり、母親の羊水でもあるということなんです。
そういうことであれば脱ぐことに抵抗はありませんでした。


―――ここ数年ミュージカル出演が続いていますが、
深めて行くほどに見えてくるものもあるのではないかと思います。
そのあたりはどのようにお感じになっていますか。
現在『ボンベイドリームス』の稽古中で弁護士ヴィクラムを演じ、
次の『タイタニック』では設計士アンドリュース役、気持ちの切り替えも大変なのでは。



自宅作業では頭がごっちゃになることもありますが、現場に行ったら切り替えられます。
基本的には、大変だなと思うよりも、楽しみたいと思うタイプなので、現場では楽しく過ごしたいなと思っています。
ミュージカルは一歩間違えれば歌謡コンサートのようになってしまうので、
役として歌わないと観ている人もつまらないだろうなと思います。
音楽が壮大でオーケストラ演奏ですと、ついつい歌いあげたくなる気持ちもあるのですが、
そこをぐっとこらえて自分を殺して役としてどれだけ歌えるか、そこが難しい部分だなと思います。
歌も大事だけど、大前提としてお芝居であるということを忘れちゃいけないと感じています。
気持ちの流れの中での歌なので、そこを意識したいなと。


―――ご自分の性格を分析するとどういうタイプですか?

不器用な真面目ですね。要領悪いんです(笑)。


―――そうには見えないタイプですよね。演じている時はいつも落ち着いているように見えます。

もっと楽に出来る方法があると思うのにと思うのですが、
自分は着実にひとつずつのことをやっていくことしか出来ないので、
そこは不器用でもいいからまっすぐ真摯にやっていくことが自分らしさかなと思います。


―――そうなると、スケジュールや作品が重なると自身のジレンマと闘ったりすることも?

いっぺんに多くのことは出来ないので、なるべくあまり重ならないようにしていますが、
やらなくてはいけないことがたくさんある時は「楽しむ」んです。


―――では、改めてみなさまにメッセージを。

『タイタニック』と言えばみなさん聞いたことがある名前だと思いますし、物語を知っている方も多いと思います。
(映画版とは違い)今回のミュージカルで描かれているのは、実際にいた人たちの半生です。
タイタニックの真実を歌と芝居で描きだしていますので、是非ミュージカル『タイタニック』を
観に来ていただけたらと思います。楽しみにしていてください。


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ミュージカル『タイタニック』

 

脚本:ピーター・ストーン

作詞・作曲:モーリー・イェストン

演出:トム・サザーランド

 

【東京公演】

日程:2015年3月14日(土)〜3月29日(日) 

会場:Bunkamura シアターコクーン

【大阪公演】

日程:2015年4月1日(水)〜4月5日(日)

会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

 

http://titanic-musical.com/

 

 

 
 

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