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『ミュージカル李香蘭』舞台稽古&浅利慶太さん囲み取材
浜松町にある自由劇場にて『ミュージカル李香蘭』が上演されています。
中国で日本人両親の間に生まれ、後に李将軍の養子になり、戦時中は中国人「李香蘭」として活動した山口淑子と、
清朝の皇族の娘で、川島浪速の養子となり日本で学んだのちに、満州で活動した男装の麗人・川島芳子。
二人の「よしこ」の数奇な人生を描くこの作品は、1991年の初演以来、浅利慶太演出のもと大切に上演され続けています。
実在した一人の女性・李香蘭(山口淑子)の運命に翻弄された姿を
歴史を語り継ぐ作品として、ドラマティックなダンスや歌を交えて描き出します。
昨年9月7日に山口淑子さんがお亡くなりになられ、この公演中に一周忌を迎えます。
そして今年は終戦から70年の節目の年。
李香蘭の胸に秘めた思いが観る者の心に訴えかけてきます。
今だからこそ見えて来るもの、忘れてはいけないこと、そんなメッセージが込められたミュージカルです。
「夜来香」「蘇州夜曲」「何日君再来」などの聞き馴染みのある歌謡曲、軍歌、
そして三木たかしのメロディアスな楽曲が心に響きます。
日本人でありながら、中国の歌姫「李香蘭」として生きた山口淑子。
“日中戦争” “満州国” を巡る史実を背景に、何も知らずに日本軍の宣伝工作に利用され、
終戦後は祖国反逆者として、中国の法廷で裁かれた実在の歌姫の運命に翻弄された数奇な人生を描く。
企画・構成・演出:浅利 慶太
スタッフ
作曲:三木 たかし
振付:山田 卓
装置:土屋 茂昭
照明:沢田 祐二
衣装: 森 英恵、李 艶萍
プロダクションマネージャー:杉田 靜生
キャスト
李香蘭・・・野村 玲子 笠松 はる
川島芳子・・雅原 慶 坂本 里咲
李愛蓮・・・秋 夢乃
杉本・・・・上野 聖太
王玉林・・・村田 慶介
《男性アンサンブル》 (五十音順)
荒木 啓佑
大島 宇三郎
折井 洋人
斎藤 譲
笹岡 征矢
佐々木 重直
下道 純一
高瀬 育海
高橋 辰也
田代 隆秀
中 智紀
畠山 翔太
畠山 典之
宮川 政洋
山口 研志
山口 嘉三
山田 大智
吉武 大地
和田 一詩
《女性アンサンブル》 (五十音順)
石毛 美帆
江部 麻由子
勝又 彩子
川畑 幸香
斉藤 昭子
首藤 萌美
橋本 由希子
林 美澄
古庄 美和
脇坂 美帆
和田 麻里
渡邊 友紀
――――舞台稽古が終わったばかりですが、ご覧になられていかがでしたか?
何度も上演されている作品ですがやるたびに深まっているなと感じています。
今日もみんな一生懸命良くやっていました。
日本と中国の友好関係と、過去を乗り越えて未来に向かっていくという主題の部分が
しっかりみんなの中に入っていました。
――――この時期に『ミュージカル李香蘭』を選ばれたのには理由があるのでしょうか。
社会情勢を観て上演時期を決めたわけではなく、劇団四季時代からの大事なレパートリーですから
定期的に上演していくということで選びました。
――――戦後70年ということも視野に?
それはありますね。僕は昭和八年生まれ、戦争が終わった時が中学一年生でした。
どういうことだったのかということを、日本のみなさんに知らせないといけないという思いですね。
――――李香蘭(山口淑子)さんの一周忌も。
それもありますね。上演中の7日ですからね。一周忌も。
でも、山口さん、生きていて、もう一度観て欲しかったです。
――――稽古中に「祈りを込めてこの演目を上演するんだ」とおっしゃっていましたね。
ただの物語ではなく、歴史に基づいた作品ですからね。
日本と中国というアジアの大国の間の将来と結びつき、そういうことをしっかりと意識しないといけません。
――――今日、祈りは届きましたか?
客席に少し届いたかなと思います。
――――「今の平和は多くの犠牲があっての平和だ」とおっしゃっていました。
戦後70年経ち、あまりにも悲惨な戦争の歴史を知らなくなってきていますよね。
それを知っておく必要がありますね。この作品を上演して訴えたいのはそこですね。
――――明日から初日ですがどんな気持ちですか。
丁寧にやって初日を迎える、という気持ちです。
――――どんな方に観て欲しいですか?
いろんな方に観ていただきたいですね。
僕らと同じようにこの時代を生きた方にも、若い方にも観ていただきたい。
――――「わだつみ」の場面がジーンときました。
あそこ以外は僕が書きましたが、あそこの場面だけは「書き残された方たちの言葉」をそのまま使っています。
ですから大事な場面ですね。あの場面はひとことも創作的要素がないですから。
あの時代の青年たちがどう生きたかを、今の若い方に知って欲しいですね。
――――オーディションを経てキャスティングなさったということですが、
新たに加わった若い方々との稽古を重ねる上で感じたことは?
メインキャスト以外はほとんど新たな方々です。
(みんな勉強して)日本の歴史を知ってくれたので良かったと思います。
――――語り継がれる意義、上演され続ける意義を改めて感じました。
ありがとうございます。こういう社会性の強い作品も必要だと思います。
劇場ですから面白くて楽しいものもありますし、こういう歴史を背景にしてお客様に
アピールするものもやりますし、いろいろあっていいですよね。
『ミュージカル李香蘭』
企画・構成・演出 浅利 慶太
日程:2015年8月31日 ~ 9月12日
会場:自由劇場 JR東日本アートセンター(東京・浜松町)
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