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日本スペイン外交関係樹立150周年
平成中村座スペイン公演 舞台写真とレポートが届きました
「平成中村座スペイン公演」が6月27日に開幕しました。
中村勘九郎、中村七之助、中村鶴松、そして片岡亀蔵が出演しています。
「平成中村座スペイン公演」では、
化粧取材では歌舞伎の隈取を現地メディアに公開。
化粧は中村屋の門弟の中村いてうが担当し、
スペイン国営放送を含む10社から取材を受けました。
また、6月27日の初日な満席で、カーテンコールでは大変な反響がありました。
(画像提供:ファーンウッド)
言葉の壁を越えた歌舞伎舞踊の絶大な魅力
“チョン”という柝の音を合図に照明が消えると、静寂に包まれた劇場には長唄の独唱が始まった。
「若紫に十返りの 花を現す松の藤浪」
この一節が歌われ、再び柝の音が鳴ると、一瞬にして明るい空間へと変わり、中村七之助が演じる藤娘が登場。
その美しい姿に、客席からは大きな拍手が湧き起こった。観客たちは歌舞伎が描く幻想的な世界へと一気に導かれていった。
こうして幕を開けた「平成中村座スペイン公演」は、日本スペイン外交関係樹立150周年を記念して行われた注目の企画。
「平成中村座」といえば、「江戸の芝居小屋を復活させたい。そして歌舞伎を多くの人に知ってもらいたい」という
十八代目中村勘三郎が、長年抱いてきたその想いを2000年に東京浅草の隅田公園で具現化した公演である。
その後も大阪、名古屋といった国内だけにとどまらず、ニューヨーク、ベルリンなどでも公演を重ねてきた。
そして初めてのスペイン・マドリードでは、どのように受け容れられたのだろうか。
30代のスペイン人の女性は、「踊り、背景、音楽のすべてが調和していて、
まるで息をするのと同じようにリラックスして踊る姿に釘付けになりました。
あっという間に夢が醒めてしまったような感じで、もっと長く観ていたかったです」と語った。
二つめの演目は、能の『石橋』を題材にした『連獅子』。亡き勘三郎の親獅子と勘九郎、
七之助の仔獅子で幾度となく上演してきた縁の深い演目である。テレビの放映用に熊本の八千代座にて素踊りで
七之助の仔獅子とともに親獅子を踊った経験があるため、勘九郎が親獅子を勤めるのは今回が二度目。
勘三郎が踊る親獅子が変化する様を傍で見てきた彼が、その経験で得た学びを体現する場ともなった。
初めて仔獅子の精を勤める中村鶴松を相手に、見事なまでに息の合った力強い生命力と躍動感のある踊りで魅せてくれた。
客席の拍手に応えて二度にわたり出演者全員でのカーテンコールが行われたが、その拍手喝采は止むことがなかった。
この『連獅子』を観た40代のスペイン人男性も「実際に観たことで本物の歌舞伎を知ることができ、好きになりました。
今度はもっと長い作品が観たいです」と、興奮冷めやらぬ表情で感想を述べてくれた。
言葉を超越した歌舞伎が持つ魅力。情熱の国・スペインでも、平成中村座は歌舞伎の本質を伝え、
その使命を果たすことができたといえるだろう。
日本スペイン外交関係樹立150周年
平成中村座スペイン公演
『藤娘』『連獅子』
出演:中村勘九郎 中村七之助 中村鶴松 片岡亀蔵ほか
日程:2018年6月27日〜7月1日
場所:Teatros del Canal (カナル劇場)
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