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『Gran Tango NATSUKI MIZU Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto』
水 夏希さん、高橋 正人さんインタビュー
公演について(リリースより)
2014年、「アルジェンタンゴ」の公演以来、タンゴの不思議な魅力に惹かれ、
これまで自身のタンゴにかける情熱を演劇、ダンス、歌で表現してきた元宝塚歌劇団雪組トップスター水夏希。
おりしも、タンゴの本場の名門楽団 ”ブエノスアイレス市立タンゴオーケストラ”で ソリストをも務める
世界的バンドネオン奏者フェデリコ・ペレイロが、2018年夏の「タンゴのすべて」での共演を機に、
今回、自身が率いる世界最高峰のクアルテートを率いて水夏希のために再度来日、
タンゴ界奇跡のコラボが2019年の春、ここ東京で実現するはこびとなった。
巨匠アストルピアソラへのオマージュ、フェデリコのオリジナル作品などタンゴ黄金時代から
現代のタンゴ・ブエノスアイレス音楽をお届けする。
ダンスのパートナーは水夏希との名コンビネーネションで数多くのステージで踊ったおなじみの
スターダンサー、クリスティアン・ロペス。
さらに、「タンゴのすべて」で“グランカンタンテ(偉大な歌手)”とフェデリコが呼んだ
ポピュラー音楽界の重鎮、安奈淳が初日のスペシャルゲストとして登場。
29日の公演には、タンゴ、シャンソン、そしてスタンダードまで幅広いレパートリーを持ち、
今や日本を代表するボーカリストのひとり、姿月あさと、さらにスペインで
「レミゼラブル」「ラマンチャの男」などに主演したミュージカルスター、
世界で最も期待するテノール歌手の称号を受けたヴィクトル・ディアスがスペシャルゲストとして登場する。
最終日には前回の「タンゴのすべて」で、スペイン語でピアソラの傑作「Yo soy Maria」を
完璧なスペイン語で歌い上げた剣幸が参加。二度となしえぬ奇跡のステージとなるだろう。
水 夏希さん、高橋 正人さんインタビュー(2019年1月31日 取材・撮影・文:住川禾乙里)
3月28日から30日までイイノホールで開催される『Gran Tango NATSUKI MIZU Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto』に
出演される水夏希さんとプロデューサーの高橋正人さんに公演の内容についてお話を伺いました。
―――今回の企画について。
◆水 夏希
今回はほぼ全部高橋さんが選曲してくださいました。
有名な曲もありますが、日本人が知る由もないようなタンゴの名曲が盛り込まれているところが、さすがだなと思いました。
高橋さんはプロのタンゴマニアでもあるから(笑)。かなり層が厚い作品になるんじゃないかなと思っています。
◆高橋 正人
今回は、日本の皆さんが観たことがないことをやろうと思いました。
タンゴは、どの曲も似ているので、初めて聞いた人には聞き分けられないということもよくあります。
◆水 夏希
すごく似ている曲もありますよね。
◆高橋 正人
だからこそ理屈抜きでドボンとその中に入って聞いてもらえたら、
実際にブエノスアイレスにいるかのような気持ちになってもらえるといいなと思いますね。
◆水 夏希
確かにそうですね。音楽に包まれるというのは、目と耳で感じ取るってことで、耳からの情報って結構大きいと思います。
バンドメンバー全員が向こうからいらした本場の方で、男性ダンサーも本場の方々。
こんなことって、なかなか無いですよね。
◆高橋 正人
向こうの人たちが日本に来て演奏して帰るということはありますけど、今までにもない企画だと思いますよ。
◆水 夏希
私も、どっぷり浸かって楽しみたいと思います。
――― 今回の公演を水さんと一緒にやろうと思った理由は?
◆高橋 正人
ブエノスアイレス市立タンゴオーケストラ”のソリストで、
前回の日亜外交樹立120周年記念特別企画『Todos del Tango Verano 2018』公演で来日した
フェデリコ・ペレイロが、さらにパワーアップさせた今の世界水準の音楽を世界水準の人と一緒に
日本のお客様に見せたいという思いが強かったということがあります。
◆水 夏希
前回は、キャストがメインの公演でしたね。
◆高橋 正人
彼らのすごい演奏をもっと聞いてほしい。また、その演奏とコラボできる人と考えたときに水さんだなと。
歌って踊れる人は貴重だと思うので、タンゴ界でも、このような人材を大事に育てて
いかなくちゃいけないと思っているんです。何といっても“タンゴ”はユネスコの無形文化遺産になるくらい
保存しておかなきゃいけない音楽なんです。つまり、それぐらい灯が消えかかっているというのが
正直なところなんじゃないでしょうか。放っておくと無くなってしまうので、国が予算をつけているのだと思う。
それを広げてもらう影響力のある人ということです。それは30年前にアストル・ピアソラが
考えてミルバと組んだのかもしれませんね。
◆水 夏希
ミルバが歌ったということで間口が広がりましたし、素晴らしいことですよね。
―――水さんにとって今回のタンゴで挑戦になると思う部分はありますか?
◆水 夏希
今までは大きなコンサートの中での一部として自分の出番がありました。
今回は、第一部はストーリーをダンスで表現するので、単にタンゴができるというだけではダメだという意味では
大きなチャレンジだと思っています。ありがちなストーリーではありますが、高橋さんが選んでくださった曲を繋げて、
少人数でやるからこそストーリーでも楽しんでいただける内容にできたらと思いました。
◆高橋 正人
以前、彩吹(真央)さんとブエノスアイレスに行った時に自分も踊るようになると思いましたか?
◆水 夏希
思わなかったです。あの時は、全くやっていなかったので。彼女はミロンガやタンゴレストランでも踊っていました。
私はずっと見ていたのですが、あの時に踊れていたらどんなに楽しかったかと思いますよね。
でもブエノスアイレスという国の雰囲気はすごく楽しかったですね。
◆高橋 正人
日本から距離もある場所に、よく行こうと思いましたね。
◆水 夏希
彼女(彩吹真央)に誘われなかったら行かなかったですね、ちょうどタイミングが合ったから。
こんなにタンゴにご縁ができるとは夢にも思わなかったですし、ありがたいなと思います。
◆高橋 正人
一緒にペアを組んでいるクリスティアン・ロペスとは名コンビですね、見ていてそう感じます。
◆水 夏希
そうですか?すごく素晴らしいダンサーだと思うので、
クリスティアンと最初に踊れたというのがすごくラッキーだったなと思います。
◆高橋 正人
先日来日したエルネストと話をしていた時に、テクニックがあるダンサーというのはたくさんいるけれど、
テクニックとパッション(情熱)が彼にはあるということを言っていて、その通りだなと思いました。
◆水 夏希
クリスティアンは、昔ながらの古典的なところを持ちつつ、ちょっとアバンギャルドな部分もあるので
すごくフレキシブルな感じですよね。それと、今回出演する宝塚出身の皆さんが頑張っているというのも
とても嬉しいです。普通のダンスとも違うし、いわゆる宝塚風なタンゴでもない。
そういうところで頑張っている人たちがいるというのはすごく刺激になりますね。
―――今回のゲストの方々と実際にご一緒する機会は?
◆水 夏希
安奈淳さんは、先日(現在公演中の『ベルサイユのばら45』で)お会いして「よろしくお願いします」と言ったら、
「がんばってね、よろしくね」と言っていただきました。
今回の共演を良いきっかけに、お話しできる機会がないかなと狙っています(笑)。
姿月あさとさんとは『シカゴ』や『エリザベート』のガラコンサートでもご一緒しているのでご縁がありますね。
剣幸さんとしっかり共演するのは初めてなので、とても嬉しいです。
―――高橋さんからの見た水さんの魅力は?
◆高橋 正人
私は多くの宝塚の男役出身の方とお仕事をしていますが、男役出身っぽくない歌い方だと思いますね。
それはファルセット(高音域を出す声色)に切り替わるところの落差がないというところです。
剣さんもそうですが、太い声から高いファルセットにいくところが実は一番聞きづらいのですが、水さんはそれがない。
だからポピュラーソングを歌うのにとても適していらっしゃると思います。水さんの歌い方というのは、
どこか人懐こくて心が近い歌い方をするんです。他の人にはない特色だとレコーディングの時に感じました。
『失われし小鳥たち』を歌った時にもすごくグッときました。地球の裏側の音楽なんだけど、
聞いている人がグッとくる歌い方って結構難しいんですよ。
◆水 夏希
どの曲もスペイン語で歌って成立するフレーズになっているので、日本語で歌うと難しいですね。
でも今回はスペイン語で歌う曲もありますし、大御所のゲストシンガーの方と歌うので、
えらいこっちゃと思っています(笑)。カタカナで読み方を文字に起こして何度も聞くけれど聞きとれない。
そこが難しいところですね。何度聞いても聞き取れないし、覚えられない(笑)。
外国の方が日本語を聞いたときに、聞き取れないというのと同じですよね。
でも(スペイン語を教えてくれる)クリスティアンもいるし、もちろん高橋さんもいらっしゃるから心強いです。
―――今回も気心知れたクリスティアンさんとまた一緒に踊られますね。
◆水 夏希
気心は知れていますけど…。最初は初心者だからという感じで優しかったのですが、
最近では「もう5年以上もやっているんだから、もっと頑張って!」みたいな感じでスパルタです(笑)。
◆高橋 正人
『パラ・ドス(二人のために)』という曲はクリスティアンが選曲したんですよ。
◆水 夏希
すごくいい曲だなと思いました!それと『リベルタンゴ』。
◆高橋 正人
『リベルタンゴ』を踊るのは私のショーでは初めて。あれはインスト曲です。
◆水 夏希
目にも留まらぬ速さの振りなのでヤバイです(笑)。
現時点で、これは踊れるのだろうか!?という感じです。ちょっとつめて練習してタンゴ筋を養いたいと思います。
今は『ベルサイユのばら45』(に出演中なので)の宝塚筋なので(笑)。
◆高橋 正人
私、水さんの男役を初めて見たからびっくりしちゃいました。
◆水 夏希
衣装が豪華なので、とても重いんですよ。久しぶりの宝塚メイクも結構大変です。
―――生のバンドで歌ったり、踊ったりするのは。
◆水 夏希
バンドネオンは蛇腹が呼吸になって“吸う・吐く”のと同じ。とても臨場感があります。
あと弦楽器のキュッという音とか、生演奏だからこその楽しみですね。
それどころではないと思いますが、楽しめるように頑張りたいなと思います。
―――高橋さんがタンゴ公演だけではなく、ジャズやシャンソンなど、
宝塚OGの方との公演を手がけていることに関してどう思われますか?
◆水 夏希
宝塚が大好きなんだなと思って(笑)。
◆高橋 正人
宝塚でやっている楽曲が好きなんです。自分が好きなものが詰まっている。
◆水 夏希
なるほど~。でも、高橋さんのようなマニアがいるからこそベストな選曲だと思うし、隠れた名曲が出てくる。
これは高橋さんプロデュースの公演の特徴だなと思いますね。
バラバラにみんなが好きな歌を歌うのとは違いギュッと凝縮した内容で構成されているな~と。
◆高橋 正人
みんな得意な音って違います。高音域が得意な人もいれば、低ければ低いほどそれが美しいという人もいるわけです。
だから、その人に合う曲を選びます。
◆水 夏希
そこも安心しておまかせしています。最後の『歌うべきタンゴ』という曲も、
「水さんならこのキーじゃないかな」ということで送ってきてくださって。
「その通りです!」という曲が多いですね。
―――それは長年音楽を聞いていきている経験とマニアな部分ですね。
◆高橋 正人
自分でピアノを弾いて、水さんが歌うところをウットリ想像しているわけですから、マニアなんですよ(笑)。
絶対これが良いに違いない!と妄想して。それが幸せなわけです。
◆水 夏希
マニアだ(笑)。でも自分が歌いたい曲と自分に合う曲というのは違うから、そこを言ってくださる方ってなかなかいなくて…。
自分の声にあった歌というのが一番良く聞こえるわけだから、それを提示してくださるというのは、ありがたいですよね。
―――今回のダンスでストーリーを綴っていくという発想はどこから生まれたのでしょうか。
◆水 夏希
宝塚みたいじゃないですか?フィナーレナンバーみたいな感じとか想像しつつ、発想の原点は宝塚だなと思いながら(笑)。
まだブロックごとのパーツを作っている段階なので、どうなるかわかりませんが、そのパーツの組み合わせというのが、
いつものコンサートより時間がかかるかなとは思います。
◆高橋 正人
クリスティアンも自分が核になってやるということはあまりないでしょうね。
そういう意味では、みんなチャレンジなので1つの形にできたらいいなと思います。
―――高橋さんから水さんに一言お願いします。
◆高橋 正人
この音楽が10年、15年と続いていくように、タンゴの架け橋になっていただきたいなと思っています。
そういう意味では『Gran Tango(偉大なタンゴ)』なのでね。ふさわしい方だと思います!
よろしくお願いします。
―――最後に意気込みをお願いします。
◆水 夏希
女性出演者は宝塚歌劇団出身の方ばかりですが、タンゴファンの皆さまにも楽しんでいただける
公演にできたらいいなと思っています。昔タンゴの曲を聞きに行っていたという方も、
素晴らしい演奏なので楽しんでいただけると思いますし、ダンスをやっていらっしゃる方にも
エンターテインメントとしてタンゴを楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
ぜひ、色々な方にいらしていただきたいですね。
Gran Tango NATSUKI MIZU
Con FEDERICO PEREIRO Cuarteto
会期:2019年3月28〜30
会場:イイノホール
料金:10,800円(全席指定)
公式サイト
取材協力【MERCER BRUNCH TERRACE HOUSE TOKYO】
一面ガラス張りのデザイナーズビルの最上階で、焼きたてフレンチトーストのブランチ&ステーキが楽しめるお店です。
ランチ:【平日】11:00〜17:00(L.O 16:30)/【週末】10:00〜17:00(L.O 16:30)
ディナー:【日〜木・祝】〜23:30/【金土祝前日】〜24:00
【定休日】無休(5Fは日曜定休)
アクセス:東京メトロ千代田線・銀座線・半蔵門線【表参道駅】B2番出口 徒歩2分
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