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宝塚歌劇団を卒業して女優としての第一歩を踏んだ
仙名彩世さん インタビュー
仙名彩世さんプロフィール
1988年12月3日生まれ。宮城県名取市出身。
2006年4月 宝塚音楽学校入学
2008年3月 宝塚歌劇団に94期生として首席入団し、月組公演「ME AND MY GIRL」で初舞台を果たす。
その後、花組に配属。2017年2月6日付けで花組トップ娘役に就任して以来、
「仮面のロマネスク/EXCITER!!2017」、『ハンナのお花屋さん-Hanna’s Florist-』など、数多くの作品に出演。
2019年4月28日、「CASANOVA」東京公演千秋楽をもって、宝塚歌劇団を退団。
2020年5月からは、ミュージカル「ミス・サイゴン」にエレン役として出演予定。
仙名彩世さんインタビュー(2020年1月24日)
2019年4月に宝塚歌劇団を退団して、
2020年1月にシアタークリエ『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』で
女優としての第一歩を踏み出した仙名彩世さん。これまでのこと、そして今後についてお聞きしました。
―――宝塚をご卒業されてからやりたい!と思っていたことは実現できましたか?
また、どのように過ごされていましたか?
◆仙名彩世
(宝塚の花組でコンビを組んでいたトップスターの)明日海りおさんに
「卒業したら、ゆっくりお茶をする時間をいただけませんか?」とお願いしていたのですが、快く受けてくださいました。
宝塚在団中は、お昼にカフェでゆっくりする時間もなかったですし、とにかく無事に卒業することだけが目標だったので。
一緒にランチに行かせていただき夢を叶えていただきました!卒業してからの半年間は、お引っ越しをしたり、
地元である宮城に帰ったり。しばらくペーパードライバーだったので、初心者マークをつけて家族に同乗してもらい、
実家のまわりを運転しました。
―――レッスンは継続していたのですか?
◆仙名彩世
『ミス・サイゴン』の出演もありますし、『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』でも
今までとは発声なども違うだろうなぁと思っていたので、地道にレッスンをしておりました。
―――宝塚での生活を振り返ってみて、ターニングポイントとなったところはどこでしたか?
◆仙名彩世
『風の次郎吉 —大江戸夜飛翔—』という北翔海莉さんが主演の作品。
あの公演で、もう一度自分の発声を見直し、自分の体は本当に頑張ってくれていたんだなと
労わる機会にもなりましたし、手妻や三味線の弾き語り、殺陣にも全力で挑戦できたことが、すごく大きなことでした。
轟悠さんと共演させていただいた『For the people —リンカーン 自由を求めた男—』という作品も、
カンパニーが1つになっているという感覚がすごく強かったですね。
そしてやはり、トップ就任させていただいた事が、一番の挑戦でした。
―――仙名さんは花組の“母さん”と呼ばれていましたが、組の皆さんを包み込んでくれる雰囲気があって、
見ているこちらも和みました。
◆仙名彩世
なぜか自分でそういうポジションを作ってしまったのですが(笑)。
トップとして、まわりを見た時に、下級生の子たちがすごく頑張っている姿というのが、
私自身の力にもなっていたので、すごくかわいいな〜と思って、母さんのような気持ちになっていました。
―――先輩からかけてもらった言葉で心に残っていることは?
◆仙名彩世
いつも自分には何ができるかな?と探し続けていましたし、
どのような方向性でいったらいいのかも見えないまま長く在籍していました。
でも、そんな時には、やっぱり舞台を観に来てくださった上級生や憧れていた方々から、
良いアドバイスをいただいたり、ファンの方から感想をいただいたり。
言葉をいただくことで頑張ろうと思えることがたくさんあったので、毎回その積み重ねで勇気を持ち、
モチベーションを上げていました。色々な言葉をたくさんいただいたので1つに選ぶのは難しいのですが、
『ファントム』の新人公演でカルロッタという役をさせていただいた時に、本役だった桜一花さんから
「スポットライトに助けてもらえるから」と言っていただきました。
それからスポットライトを与えていただける時には、その“光の力”というか、
ライトを浴びる感覚を意識するようになりました。
共演者はもちろんですが、スタッフさんをはじめ色々な方に支えられているのだということを、
その言葉ですごく感じたので、今でも心に残っています。
―――卒業して最初の舞台である『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』の
お稽古、本番を通して、宝塚との違いはどんなところにありましたか?
◆仙名彩世
宝塚は宝塚でしか出せないハーモニーがありますが、まず男性の声量に驚きました。
音域が低いのでハーモニーにも幅が出ますね。新しいカンパニーに入ると、色々な方々と出会えて、
広がりがたくさんあるので、すごく楽しいですし、良い経験をさせていただいております。
―――実際に井上芳雄さんと組むシーンもありましたが、
男性俳優と共演することでお芝居の仕方は変わるものですか?
◆仙名彩世
お稽古の段階で、皆さんがどのような役づくりをされてくるのかわからなかったので、
見ながら研究しようと思っていたのですが、立ち稽古が始まった瞬間から、“こういう方向で行きます”と、
どんどん示していかれるので焦りを感じていました。
今までは、どういう方向で行こうか…と探り過ぎてしまうところもあり、スロースターターでした。
今回の現場では、皆さんの役の方向性がはっきりと見えているからこそ、
合わさった時に、より素敵でしたし、学ばせていただきました。
私は2008年の『ミス・サイゴン』で初めて井上さんを拝見させていただきました。
すごく素敵だなとずっと憧れていた俳優さんなので、宝塚を卒業して初めて立つ舞台で
ご一緒できるなんて本当に幸せだなと思っています。
―――さまざまなミュージカルで活躍されている方が集合している現場ですね。
◆仙名彩世
豪華なメンバーです。朝、本番前に一緒に発声をするのですが、その発生の声が美しい!
このような現場に居られることが幸せで、毎日感動しています。
そして、お話をさせていただくと、とにかく明るくて楽しい日々を過ごしています。
―――宝塚にいたからこそ、今回の舞台で活かされていることはありますか?
◆仙名彩世
今回は宝塚のショーの場面がありますので、血が騒ぐといいますか(笑)。
宝塚在団中にもお世話になっていたAYAKO先生が振り付けをしてくださっているので、
いろいろな感覚が蘇ってきて、安心して踊っています。
稽古場の時から「あの宝塚のラインダンスをやっている〜!」と皆さんすごく楽しんで踊っていらしたので、
それもすごく嬉しかったです。
―――2020年2月28日~3月1日には美弥るりかさんのThe Wonder「MIYA COLLECTION」に出演されますね。
美弥さんとの接点は?
◆仙名彩世
一緒の舞台に立ったのは『タカラヅカスペシャル*』だけなんですよね。
その時に隣に並んで歌わせていただいたったことはあるのですが…。あとは舞台を観に来てくださった時や、
お稽古場でお会いした時に、お話しさせていただく機会はありました。
今回、お声掛けいただけて、光栄に思っています。
美弥さんの舞台は、美弥さんにしか出せない個性とスタイリッシュさがありますよね。
宝塚の男役を極めていらっしゃいましたし、なんとも言えない包容力がすごく好きでした。
今回、美弥さんとどのようなものを作ることができるのか、私も今から楽しみです。
*年に一度のスターたちが競演するイベント。
―――その後は『ミス・サイゴン』ですね。
◆仙名彩世
2008年に初めて観た時にハマって、休日には当日券を並んで昼、夜と観ていました。
とにかく曲に圧倒されました。エネルギーの強さや命を削って生きている姿、パワーに惹かれました。
今回、出演させていただけることが本当に夢のようです。
―――その憧れの舞台でエレン役を演じるわけですね。
◆仙名彩世
エレン以外にアメリカ人女性は出てこないので、エレンでしかアメリカ人女性が表現できないのです。
複雑な事情が絡み合う時代ですし、エレンも重要な歌のパートもありますので、
本当に丁寧に作らねばならないと思っています。
この前スチール写真撮影の時に、キムとエレンが一緒に歌う“I Still Believe”という曲を
バックで流してくださっていて、その中で撮影をしたのですが、それだけで感動して泣きそうになっていました。
あの曲を自分がどのように歌っていけるのか。練習するにも、すごくエネルギーを使いますし、
毎公演パワーが必要なので、もちろん体力もつけなくてはいけないですね。
―――今後こんなことを挑戦したいというものはありますか?
◆仙名彩世
今の段階では目の前にあることがミュージカルなので、歌はずっと続けていきたいです。
まだまだ自分ができていない発声の仕方や表現はたくさんあると思うので、
まずは実力をつけていきたいというところが1番。
まだ、これから何ができるのかわからないので、与えていただけることは積極的に挑戦したいなと思います。
―――こんな役を演じてみたいというイメージはありますか?
◆仙名彩世
かっこいい役がやりたいです!
「この人、宝塚だったの!?」と思っていただけるくらいのパンチは効かせていきたいところもあります(笑)。
―――今ハマっているものありますか?
◆仙名彩世
山形の『やみつきしみかりせん』という、お煎餅がすごく美味しくてハマっています。
仙台に帰ることが多いので、お土産として買ってきて皆さんにお渡しすると、
皆さんもハマってくれて一緒に美味しさを共有しております(笑)。
―――地元のオススメも教えてください。
◆仙名彩世
私は“みやぎ絆大使”をさせていただいております。宮城県・山元町の郷土料理で、
シャケを煮て、その煮汁で炊き込んだご飯の上にとシャケとイクラ乗せた“はらこ飯”が美味しいです。
宮城はお米も美味しいですし。皆さん「宮城は美味しいものが多いから、また行きたい」と
言ってくださる方が多いので嬉しいですね。“牛タン”や“かまぼこ”は、いつもお土産に買ってくることが多いので、
自分で食べることは少ないんです。味太助という牛タン屋さんの『テールスープ』は、
ゴロッとしたお肉が入っているのですが、冷凍で販売しているので、それを買って帰って来て、
宮城の味を東京で思い出しています。いつも食べ物の話になってしまうのですが…(笑)。
仙台七夕まつりも有名です。東京からも近いので、いつでも皆さん美味しいものを食べに行ってもらいたいですね。
―――これまで応援してきてくれたファンの皆さんも、
今後の仙名さんのご活躍を期待していると思うのでメッセージをお願いします。
◆仙名彩世
宝塚の時から、たくさんのファンの方々に支えていただいております。
宝塚の時は入り待ちや出待ち、ファンミーティングなどで皆さんとお会いする機会があったのですが、
今は「何をするのかな?」「どう過ごしているのかな?」と心配してくださっているのだろうなと感じております。
でも、こうして舞台に立つことで、元気にやっていますということを皆さんにお伝えしていきたいです。
「こういう役もやるんだ〜」とか「面白いことをしているな」って思っていただきたいので、
挑戦していく姿を見守っていただければ嬉しいです。
今後も、できる限り皆さんのお顔を拝見したいですし、そういう機会も設けられたらなと思います。
(取材:住川禾乙里/撮影:岩村美佳)
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