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OSK日本歌劇団 新トップスター 楊琳さんインタビュー
2021年6月に大阪松竹座での新トップスターお披露目公演を終え、
8月に東京・新橋演舞場での公演を控えた楊琳さんに今の心境をお聞きしました。
―――大阪松竹座での「レビュー夏のおどり『STARt』」公演を終えて、今の心境をお聞かせください。
◆楊琳(OSK日本歌劇団トップスター)
大阪公演は(新型コロナウイルスの影響で)緊急事態宣言中ということもあり、土日の公演は無くなってしまいました。
でも、あの時期に公演できたこと、無事に感染者や怪我も無く終えられたことは本当に嬉しく思いますし、一安心しています。
そして、8月の東京・新橋演舞場に向けて、さらにパワーアップして作品のグレードを上げられるように劇団一同、
今まで以上に一丸となって、前を向いて、感染症にもさらに気をつけて頑張りたいと思っています。
―――今回の公演は、洋舞レビューの2幕で楊さんはずっと舞台上にいるというお話も聞きました。
実際に出演してみてどうでしたか?
◆楊琳
第1幕、第2幕ともに洋舞ということが初めてなので、最初はどうなることかと思っていたのですが、楽しくできました。
例えば前の景で体力を削られたとしても、1場面1場面で色が違うので、次はまた1からとなるので、いけるな!と(笑)。
何よりもお客様の温かい拍手と、マスクで顔は隠れてはいましたが笑顔に励まされて、
嬉しくて温かい気持ちでいっぱいになりました。
―――これまで何度も関わっている平澤智さんが作・演出・振付を手がけていますが、
改めて平澤さんの印象を教えてください。
◆楊琳
平澤先生はパッション!熱い想いを持って、心で生きている方だなと思います。
作品を作り上げてきてくださるのですが、実際に現場でやってみて「ここはこうした方が良い」と感じたら、すぐに変えていく。
情熱的な感性をお持ちで、パワフルな生命力を感じます。もちろん踊られたら素晴らしいですし、
心のあり方や舞台に対する心意気や精神面も本当にかっこいいなと感じます。
―――平澤さんのおっしゃったことで印象に残っている言葉はありますか?
◆楊琳
平澤先生が作曲家の先生とお話をされていて、前日と真逆のことをおっしゃっていたらしいのですが、
そこで作曲家の先生が「昨日こう言っていたじゃない」と言ったら、「昨日の俺より、今日の俺が正しい」と(笑)。
「なるほどな」と思って心に残っています。ちょっと飛躍し過ぎですが、“今を生きる”とはこういうことなんだと思いました。
―――おすすめの場面と、これぞ今のOSK!というところは?
◆楊琳
第1幕は盛りだくさんです。オープニングは今までに無い感じで始まります。
KAORIalive先生振付の“Destiny”に続き、(前トップスターで特別専科の)桐生麻耶さんが出てきてくださり、
そこでバトンを受け継ぐというシーンがありますが、その後、いきなりコメディーに(笑)。
そして神秘的なコンテンポラリーダンスの場面になり、色々な起承転結があります。
第2幕は、先人の方々の思いを受け継いで、これからに向かっていく場面やミュージカルメドレーで
皆さまに聴き馴染みのある曲を畳みかけていきます。
スピーディーに展開されるショーなので、そこが一番の見所だと思っています。
全員一緒に出ているのは最後のパレードくらいですが、二部とも見事に洋舞のショー。
本当に踊りずくめで、これをこなせるのは自分たちだけだと自負して頑張っているので、
このショー自体が今のOSKなんじゃないかと思います。
―――トップスターとして真ん中に立たれて感じたこと、見えた景色を教えて下さい。
◆楊琳
大阪公演を終えたのですが、トップになったというのは正直まだ…。
パレードで、最後に出て行く時に、皆に見守ってもらえる位置にいるのは、
そういうこと(トップスターになった)なんだなと思いました。
自分が「トップになったぞ!」と思ってしまうのは、おこがましいような感じがして、
まだどっしりと構えることはできていない部分はあります。でも、どんな時でも皆が見守ってくれていると強く感じます。
自分はずっと桐生さんを側で見ていたので、見られるというのは、こんな感じなのかと。
皆、勢いがあってパワーが溢れているので、そんな皆が支えてくれているのは、
こんなに心強いことなのだと、頼もしく思っています。
―――今回、桐生さんからバトンを受け取りましたが、どんなことを引き継ぎましたか?
◆楊琳
桐生さんから「自分らしく笑顔を絶やさずに」と言っていただきました。
“自分らしく”というのがどんなことなのか、答えはまだ見つかっていないのですが…。
桐生さんから受け継いだのは、OSKを今後どう残していくか、どう繋いでいくかという精神。
第二部の幕開けのシーンで「先人達の想い1922から」という歌詞にもありますが、来年劇団創立100周年なので、
そういうことを考えると脈々と続いてきたOSKに対する責任感は受け継ぎたいなと思っています。
―――トップスターになられてOSK 100周年が目の前ということで感じていることは。
◆楊琳
色々なところで言わせていただいていますが、ものすごい星の下に生まれたなと思います。
まず、曽祖父母が中国から日本ではなく、アメリカへ渡る可能性もあったので、
100周年の時にOSK日本歌劇団に在団できていることがすごいことですし、
そして100周年を生まれ故郷で迎えさせていただけるというのは改めて考えるとすごい奇跡。
OSKは山あり谷ありを経て負けずにここまで続いているのは、先輩方の頑張り、精神の賜物なので、
そこを無くさずに、もっともっと繁栄させるために頑張っていきたいと思います。
そんなタイミングで、自分が(トップスターに)なっていいのかと思っていましたが、
これも運命なのだと受け止めて、最善を尽くして全うするのみと考えております。
―――今後どんなトップスターになっていきたいですか。
◆楊琳
個人としては魅力的な舞台人になっていきたいと思っています。トップとして引っ張っていくというよりかは、
安心して支えてもらえるような、皆で頑張っていくように、皆の輪の中に入っていけるようなトップになりたいです。
丸となって歩んでまいりたいと思います。
―――トップスターになった自分にキャッチコピーをつけてください。
◆楊琳
どうしましょう(笑)。
今回のタイミングもすごいなと思っていて、公演のタイトルである『STARt』が自分にとっても正にスタートですし、
これから100周年を迎えることへのスタートでもある。自分のキャッチコピーはこのタイトルじゃないかと、今ふっと思いました。
うん。キャッチコピーは『STARt』で!自分自身は、誰よりも大声で笑えるというのもありますが、
これはコピーではなく自己PRかな!?(笑)。スマイル・ポジティブ楊琳!ということでお願いします。
―――創立100周年に向けて、目指す未来像はありますか。
◆楊琳
いま100周年に向かって色々な方が頑張って動いてくださっています。
ですが、そこがゴールではなく、新たな始まりになるように、燃え尽きないように頑張らなければと感じています。
101年、102年はもちろん、150年、200年ともっともっと続いていくようにと思っています。
コロナ禍において大丈夫という確証は無いとつくづく思いました。
何があるか分からないので、どんなことがあっても進んでいける体力を劇団も自分たちも付けていかなければならない。
それは簡単なことではないからこそ、いつも心の中に置いています。
私は大阪松竹座の舞台を初めて観てOSKに憧れて入団させていただきました。
先日の『STARt』で、初舞台を踏んだ子たちが、舞台上でラインダンスを踊っているのを見て感動しましたし、
これを途絶えさせてはいけないと、より一層強く感じました。
この舞台を見て「OSKに入りたいな」と思ってくれた子がいるかもしれないですし、
ずっとずっとこの素晴らしいめぐり合わせを繋いでいけるように、いま在団している自分たちが頑張らないと。
そこがこれからの自分の夢です。
―――楊さんから見た「歌劇」の魅力はどんなところですか。
◆楊琳
性別を超えて舞台で表現できるのが一番良いところだと思っています。
歌舞伎は男性が女性を演じますが、逆に女性が男性を演じるのもは歌劇の世界でしかないことだと思うので。
男役を演じる上で、自分が気をつけていることは、観ているお客さまに自然と受け入れてもらえるように
ナチュラルな男役を目指しています。
―――ご自身がこれから演じてみたい役や作品はありますか。
◆楊琳
コロナ禍の影響もあり、大阪の近鉄アート館で上演する機会が減ってしまったお芝居。
シェイクスピアの『ハムレット』をやってみたいです。そして大劇場で、壮大な物語をやりたいと皆で言っています。
例えば、中国の古代のファンタジーや、和物で平安時代のようなお衣裳がきれいなものを上演できたらいいなと思っています。
―――新橋演舞場のイメージは?
◆楊琳
大阪松竹座は縦に長いので、包んでもらっている感じがします。
長く出させてもらっている劇場ですし、私たち劇団員にとってもホーム。守ってもらっている感覚が強くあります。
新橋演舞場は横に大きいので、色々な方向から広く観てもらっている感じがします。
より一層気が引き締まりますし、挑んでいるという心持です。
―――関東でもたくさんの方がこの公演を待っていると思います。
◆楊琳
以前は博品館劇場でも上演していましたが、コロナ禍でなかなか上演できないので、いま東京での公演は新橋演舞場だけです。
だからこそ東京でOSKが公演させていただける機会を大切にやっていきたいなと思います。
「おかえり」と思っていただけるように頑張ります。
―――コロナ禍を経て変化した心境などはありますか。
◆楊琳
やはり、一回一回を大事にしなければならないと思いました。お客さまにも色々な事情があると思いますし、
それでも観に来ていただけることがどんなにありがたいことか、前よりもひしひしと感じています。
私にとっては、舞台の上に立つことが当たり前で、生活の一部だったのに、それ自体がすごいことで、
より一層この生活の尊さを感じました。
―――最後に、東京公演に向けてメッセージをお願いします。
◆楊琳
「楽しみたい」と思って来ていただけたら、期待以上のものをお届けする所存です。
ぜひワクワクした気持ちで劇場に足を運んでいただき、思いきり楽しんでもらえたらと思います。
劇団員一同、心よりお待ちしています。
===おまけの一問===
―――休日があったら、どこへ行きたいですか?
◆楊琳
旅行ができるようになったら、スペインに行きたいですし、本場のブロードウェイで舞台も観たいです。
ラスベガスにも行ってみたいですね。世界一周をして、たくさんの方々に触れて、
心のモチベーションや色々なことを学んでみたいなと思います。
OSK日本歌劇団
「レビュー夏のおどり『STARt』」
作・演出・振付:平澤智
出演:楊琳、舞美りら、千咲えみ
桐生麻耶(特別専科) 他 OSK 日本歌劇団
日程:8月5日(木)〜8日(日)
会場:新橋演舞場(東京都中央区銀座 6-18-2)
東京公演HP
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujyo_202106/
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