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10月 自由劇場 ジャン・ラシーヌの名作『アンドロマック』上演が決定! 2022年08月

(2022年08月31日記載)

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10月 自由劇場 ジャン・ラシーヌの名作『アンドロマック』上演が決定!




公演概要(リリースより)


上演にあたり
昨今、社会環境はデジタル化が加速し、私たちは日常生活でもスピードやスペクタクルな刺激を求めるようになりました。
さらにコロナ禍で、オンライン上の娯楽が台頭し、SNSでのコミュニケーションが主流となりつつあります。
そんな時代だからこそ、浅利演出事務所はあえて人間の交流の原点である「言葉」に拘り、
「言葉の芸術」である“芝居”の魅力を極上のエンターテイメントとしてお届けしたいと考えました。
今回上演いたします『アンドロマック』は、朗誦術によって展開する格調高く優雅な言葉のドラマです。
強烈な個性を持った男女4人の相容れぬ情念のすさまじい対立が、精緻を極めた言葉のみで、
ドラマを想像を絶するクライマックスへ運んでいきます。
古典劇ならではの壮大なスケールで描かれる片思いの連鎖がもたらす愛の不条理。どうぞご期待ください。

詩劇と三一致の法則を極めたフランス古典主義の巨匠ジャン・ラシーヌ
ジャン・ラシーヌ(1639〜1699)が活躍していた当時のフランス演劇界は、悲喜劇のコルネイユや
喜劇のモリエールが相前後して数々の傑作を発表し、ヨーロッパ演劇の中心地となっていました。
当時の劇作家たちに多大な影響を与えた演劇理論に、アリストテレスの「詩学」 に由来し
16世紀の人文学者によって確立された「三一致の法則」があります。
それは、戯曲は「時」と「場所」と「筋」が一致しているべきで、24時間以内に、同一場所で、
一つの筋で展開する芝居こそが最も劇的感興をもたらす、とするものでした。
ラシーヌはこの演劇理論を極限まで推し進めて完成させた劇詩人と言われています。

『アンドロマック』と朗誦術
宿命を背負った4人の男女の片思いが生み出す『アンドロマック』のドラマティックな筋立ては、
音楽的とも言うべき美しい言葉のリズムにのせて描かれます。
ラシーヌの原文は12音節の韻文。それを格調高い日本語に翻訳した宮島春彦の『アンドロマック』の精髄を伝えるためには、
台詞の一言一句に至るまで余さず表現しなければならず、完璧な台詞術が要求されます。
『アンドロマック』を上演するということは、芸術的意味合いが高いと生前、演出家・浅利慶太は言っていました。
それは、言葉だけでどれだけドラマティッ クに表現できるかが試されるからであり、
言葉だけで本当の“芝居”というものをお客様にお見せすることだからです。
浅利はそのためのメソード(呼吸法、母音法、フレージング法)を確立させました。
何ページにも及ぶ台詞を長々と語るのではなく、台詞の中にある様々な想念をつきとめ、
その一つ一つの意識の上に言葉をのせることで、千々に乱れる心の状態にリアリティが生まれます。
言葉のリズムによって「心理的な緊張」が語られ、主人公たちの「心に真実」に迫ろうというアプローチです。
『アンドロマック』の上演は俳優たちにとっては大きな挑戦ではありますが、
「言葉の芸術」にこだわり続けた浅利の祈りと願い、劇団四季の原点を継承することでもあります。

『アンドロマック』の現代性
『アンドロマック』は、トロイ戦争後のギリシャを舞台にした4人の男女の宿命的な恋愛悲劇です。
初演は1667年。350年以上も前に書かれた作品とは思えないほど、
登場人物の生き生きとした描写、心理の駆け引きなど、いつの世にも 通じる「現代性」を含んでいます。
王妃アンドロマックをピリュスが熱愛し、そのピリュスを王女エルミオーヌが熱愛し、エルミオーヌをオレストが熱愛する・・・。
それぞれが愛する人が振り向いてくれないことに苦しみながらも、
もしかしたら相手が自分を愛するようになってくれるのではないかと期待を捨てきれない。
そんな登場人物たちに共感したり、予想外の展開に驚いたりと、古典劇であることをつい忘れてしまいそうな強烈な人間ドラマです。



ストーリー


トロイ戦争にギリシャ軍として参戦したエピール国王ピリュスは、
その武勲を讃えられ、スパルタ王より王女エルミオーヌを婚約者として与えられた。
しかし彼は、あろうことか捕虜にとった敵方の妃アンドロマックに心を奪われ、
その息子アスティアナクスともども宮殿内に匿っている。
将来の禍の種であるトロイの唯一人の世継ぎの命を一日も早く絶ちたいギリシャでは、
その遺児を手中にしているピリュスに非難の声があがっていた。
そこへ全ギリシャの使者としてオレストがやって来る。表向きは、アスティアナクスを生贄として差し出させるというのが
訪問の理由だが、従妹のエルミオーヌを熱愛するオレストは、彼女がピリュスに冷たくあしらわれていると知り、
彼女を連れ戻すべくエピール行きを買って出たのだ。
オレストはアスティアナクスの身柄を要求するが、アンドロマックに固執す るピリュスは申し出を拒絶し、
ギリシャと戦火を交えることすら辞さない覚悟を伝える。
しかし当のアンドロマックは、亡夫エクトールへの貞節を守り、ピリュスの求愛を拒み続け、
エルミオーヌと婚礼をあげるように彼を説得さえする始末。
エルミオーヌの心も乱れていた。誇り高い彼女は、自分を裏切った婚約者を許せず、嫉妬の憎悪を募らせる。
自分に思いを寄せるオレストの気持ちを利用し、ピリュスを裏切り者としてギリシャに攻撃させる計略に引き込んでいく。
一方のピリュスは、自分の意に沿わないアンドロマックに業を煮やし、トロイの遺児をギリシャに差し出し、
アンドロマックを諦めエルミオーヌを妻にすることに決めたと言う。
しかしこれはアンドロマックに嫉妬させて自分の方に振り向かせようという思いからで、
ピリュスの心中はアンドロマックへの未練でいっぱいだった。
結婚が決まり心浮き立っているエルミオーヌのもとにアンドロマックが愛息の命乞いにやって来る。
しかしエルミオーヌは憎いアンドロマックの言葉に耳を 貸すはずもない。
絶望したアンドロマックに残されたのは、ピリュスの慈悲にすがることだけ。
彼女に未練たっぷりのピリュスは、自分の妻になってくれるなら、今すぐにもエルミオーヌとの婚約を破棄し、
アスティアナクスの命を助けようと申し出る。
アンドロマックは、亡夫への貞節と、その忘れ形見である愛息の命との間で揺れ動く。
思い悩んだあげく夫の墓へ向かうアンドロマック。再びの裏切りに憎悪の炎をたぎらせるエルミオーヌ。
国運を賭けて愛を選択したピリュス。思いもかけない展開に混乱するオレスト。
愛する者であると同時に愛されざる者である四人の男女が四者四様の選択を迫られた時、
悲劇は大きな渦となり、この愛と復讐劇は意外な結末へと向かうことになる。


アンドロマック役の野村玲子さん

登場人物/配役


◆アンドロマック/野村玲子
ギリシャ軍によって滅ぼされたトロイの総大将エクトールの妃。
アキレスに無残な殺され方をした夫への貞節を守るか、仇の息子ピリュスの求愛を受け入れて、
愛息アスティアナクスの命を守るか。辛い選択を迫られる。

◆ピリュス/阪本 篤
伝説の英雄アキレスの息子でエピールの王。父とともに参戦したトロイ戦争で輝かしい武勲を立てる。
高潔で、ギリシャ軍からの信頼も厚 かったが、敵方の捕虜アンドロマックを愛してしまい、容易ならざる立場に立たされる。

◆エルミオーヌ/坂本里咲
トロイ戦争の発端となった絶世の美女として名高いエレーヌの娘で、母親譲りの美貌ゆえに、気位の高いスパルタ王女。
父王メネラスが決めた婚約者ピリュスを激しく愛しているが、その裏切りにあい、従兄オレストを復讐に巻き込む。

◆オレスト/近藤真行
今は亡きギリシャの総大将アガメムノンの息子で、ギリシャの勇士。エルミオーヌを熱愛している。
ギリシャ悲劇では、姉エレクトルと共に、父を殺した母クリテムネストルとその愛人を殺害し、復讐の女神に呪われる。

 

 

『アンドロマック』

 

作:ジャン・ラシーヌ

訳:宮島 春彦

演出:浅利 慶太

 

日程:2022年10月22日(土)〜10月29日(土)

会場:自由劇場

 

主催:浅利演出事務所

協力:劇団四季

 

https://asarioffice.jp/andromaque2022/

浅利演出事務所 公式Twitter アカウント:asariproduce

 

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