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歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」開幕!公演レポート、舞台写真掲載 2023年10月

(2023年10月02日記載)

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歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」開幕!公演レポート、舞台写真掲載


★各演目写真及び内容に触れておりますので、ご観劇前の方はご注意ください★

夜の部『水戸黄門』左より
渥美格之進=中村歌之助、松平頼常=中村歌昇、水戸光圀=坂東彌十郎、佐々木助三郎=中村福之助
提供ⓒ松竹

公演概要(リリースより)


10月2日(月)、歌舞伎座10月公演「錦秋十月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。
昼夜ともに歌 舞伎の魅力が詰まった多彩な演目が揃い、芸術の秋に相応しい趣向に富んだ舞台をご堪能いただきます。

公演レポート


昼の部は、「大南北」と称される四世鶴屋南北の出世作『天竺徳兵衛韓噺』で幕開きです。
江戸時代初期、東南アジア諸国の見聞録を残した実在の商人・徳兵衛を主人公に、南北作品ならではの奇抜な趣向が
散りばめられた名作。祖父・二世松緑、父・初世辰之助 も勤めた所縁ある徳兵衛を、当代の尾上松緑が初役で勤めます。
物語は、美しい紅葉が広がる北野天神を背景に、足利将軍家の宝剣「浪切丸」の紛失という御家騒動の発端から
描かれます。その宝剣を預かっていた将軍家の重臣・佐々木桂之介(坂東巳之助) は、
宝剣紛失の詮議のために百日の猶予を与えられると、佐々木家家老・吉岡宗観(中村又五郎) の館に預けられることに。
しかし、行方がわからぬまま詮議の期日が迫る中、宗観の屋敷へ不思議 な風体をした船頭が現れます。
この船頭こそ、天竺から帰国したばかりの徳兵衛。
徳兵衛は、宝剣 詮議に心を砕く桂之介に向け、異国の様子をユーモアたっぷりに物語ります。
タイトルの由来ともなっているこの「異国話」は本作の聞きどころで、その軽妙な語りに桂之介の気が晴れるように、
観客もじっと聞き入ります。やがて、この館の主である宗観は、徳兵衛に驚くべき秘密を明かすのでした…。
松緑が開幕前のコメントで、「私も久々に白髪ではないかつらをかぶり、若々しい役に心ときめかせております。
エンターテイメント性に溢れた楽しい芝居を御目に掛けたいと考えております」とコメントを寄せたように、
数々の仕掛けと、ひとときも目の離せない展開をドラマティックに魅 せていきます。
宗観から妖術を譲り受けると、次々と摩訶不思議な妖術を繰り出す徳兵衛。
大屋根に出現する大蝦蟇や、徳兵衛自身が蝦蟇の姿となって見せる立廻りなど、ケレン味溢れる演出に客席から
万雷の拍手が送られました。


昼の部『天竺徳兵衛韓噺』左より
天竺徳兵衛=尾上松緑、宗観妻夕浪=市川高麗蔵、佐々木桂之介=坂東巳之助
提供ⓒ松竹


昼の部『天竺徳兵衛韓噺』
天竺徳兵衛=尾上松緑
提供ⓒ松竹


昼の部『天竺徳兵衛韓噺』
天竺徳兵衛=尾上松緑
提供ⓒ松竹


続いては、日本映画界が誇る名匠・山田洋次が歌舞伎座で初めて脚本・演出を勤める『文七元結物語』です。
落語をこよなく愛し、「“文七元結”は落語として屈指」と話す山田洋次が生み出す、
これまでとは一味違った趣のある舞台をご覧いただきます。
人柄がよく左官として確かな腕を持ちながらも、困ったことに大の博打好きな主人公・長兵衛を中村獅童、
そんな長兵衛の女房お兼を寺島しのぶが勤めます。
山田監督からも「息ぴったり」と評された、獅童としのぶによる初の夫婦役に注目です。
幕が開くと、吉原にある角海老の見世先。そこへ、家の苦境を見かねた長兵衛の娘お久(中村玉太郎)が
身売りにやってきます。お久は長兵衛の連れ子で、お兼とは血の繋がらぬ仲。そんなお兼への感謝を述べながら
両親に仲良く暮らしてほしいと切に願うお久の健気さ、それを受け止める角海老の女将お駒(片岡孝太郎)の大きさが、
一気に物語の世界へと誘います。一方、長兵衛の家では、お久がいなくなったために大騒動。
お久を探しに出かけたお兼(寺島しのぶ)が花道から登場すると、客席からは「音羽屋!」の大向うが響き、
場内は拍手に包まれました。娘の行方を心配し、喧嘩を始める長兵衛(中村獅童)お兼夫婦のテンポよい掛け合いに、
客席からは笑いが起こります。お久に会うため角海老へ向かう長兵衛が、着るものもなくお兼の着物を
奪おうとするなど夫婦の日常が垣間見えるやりとりに、場内はさらに大きな笑いに包まれました。
角海老でお駒の厳しくも温かい情けを受け、心を入れ替える決心をした長兵衛は、家路を急ぎますが…。
言い争いながらも互いへの情愛が滲みでる長兵衛、お兼のやり取り、登場人物それぞれの持つ人情味が物語に深みを与え、
江戸時代の生き生きとした空気感が場内に広がる心温まる物語。
山田監督が筋書の脚本・演出のことばの中で「人間は信ずるにたるものだという、
おおらかな人間への肯定がこの作品を美しい物語にしている」と寄せたように、幕切れには鳴りやまぬ拍手で、
清々しい感動に包まれました。

昼の部『文七元結物語』左より
左官長兵衛=中村獅童、長兵衛女房お兼=寺島しのぶ
提供ⓒ松竹


昼の部『文七元結物語』左より
家主甚八=片岡亀蔵、長兵衛女房お兼=寺島しのぶ
提供ⓒ松竹


昼の部『文七元結物語』左より
家主甚八片岡=片岡亀蔵、長兵衛女房お兼=寺島しのぶ、左官長兵衛=中村獅童
提供ⓒ松竹


夜の部は、『双蝶々曲輪日記 角力場』から。
大坂堀江の角力小屋では、人気力士の濡髪長五郎(中村獅童)と素人力士出身の放駒長吉 (坂東巳之助)の
取組が行われるとあり大賑わい。濡髪贔屓の山崎屋の若旦那与五郎(巳之助 二役目)は、
恋仲の藤屋遊女吾妻(中村種之助)を茶屋へ向かわせ、角力小屋へと入ります。
取り組みが始まると、結果はなんと放駒が勝利する番狂わせ。実は濡髪は、自分を贔屓にしてくれている
与五郎と吾妻との仲を取り結ぶために、わざと勝ちを譲ったのでした。これを知った放駒は、怒りを爆発させ…。
獅童が濡髪長五郎の貫禄と懐の深さを見せ、巳之助が愛嬌ある放駒長吉とつっころばしの山崎屋与五郎の
2役を華麗に演じ分けます。放駒の頑なな姿勢に、濡髪も堪忍袋の緒が切れて怒りをあらわに。
怒った濡髪が手で 茶碗を握りつぶすのに対し、同じように握り潰すことができない放駒がひっそりと刀の柄で
ひびを入れてから割るなど、2人の性格や力の違いが巧みに描かれ、その好対照が観客の心を惹きつけます。
義太夫狂言の人気作にご期待ください。

夜の部『双蝶々曲輪日記 角力場』左より
藤屋吾妻=中村種之助、山崎屋与五郎=坂東巳之助
提供ⓒ松竹


夜の部『双蝶々曲輪日記 角力場』左より
放駒長吉=坂東巳之助、濡髪長五郎=中村獅童
提供ⓒ松竹


続いては、華やかな舞踊『菊』をご堪能いただきます。秋の一面に咲き乱れる色 とりどりの菊の花。
そこへ、市川男寅、中村虎之介、中村玉太郎、中村歌之助勤める菊の精がやって来て、羽根つきに興じています。
やがて、中村雀右衛門、中村錦之助による菊の精が現れると、しっとりと恋心を舞います。
菊の精たちが揃って戯れる姿は可憐で美しく、秋の清々しさが場内いっぱいに広がりました。

夜の部『菊』左より
菊の精=中村錦之助、菊の精=中村雀右衛門
提供ⓒ松竹



夜の部『菊』左より
菊の精=市川男寅、菊の精=中村玉太郎、菊の精=中村錦之助、菊の精=中村雀右衛門
菊の精=中村歌之助、菊の精=中村虎之介
提供ⓒ松竹


夜の部は、『水戸黄門』で打ち出しとなります。
二代水戸藩主・水戸光圀が、助さんと格さんを供に連れ立ち、日本諸国を漫遊しながら世直しを行う
“勧善懲悪” の物語は、すでに江戸時代から講談などで人気を博し、映画やテレビドラマも多数制作され、
世代を超えて愛されてきました。本作は、テレビドラマの脚本も手掛けた宮川一郎が
昭和五十年に書き下ろし、歌舞伎座では実に四十八年ぶりの上演となります。
この度、黄門様を勤めるのは、テレビドラマなどでも活躍の場を広げる坂東彌十郎。
四国金毘羅のうどん屋を背景に、中村福之助勤める佐々木助三郎(助さん)、
中村歌之助勤める渥美格之進(格さん)を引き連れて、大活躍する心温まる物語です。
ここは、四国の金毘羅様。黄門様とはぐれてしまった格さん(歌之助)は、お蝶という美しい娘と出会います。
助さん(中村福之助)の助けでお蝶が男であることが判明するも、その長次(中村虎之介)という男に
財布を掏られてしまいました。「弁天小僧」を思わせる娘から男へのぶっかえりに客席は沸きます。
一方、水戸の百姓老爺として、うどん屋にいた黄門様(彌十郎)は、
そこで領主松平頼常への領民たちの不満を耳にしますが、実はこの頼常こそ黄門様の長男で…。
黄門様がうどん屋で出会った優しい娘のおそで(坂東新悟)や、様々な人間関係が絡み合う中、
黄門様一行は藩の内部ではびこる悪の根源を成敗するため立ち上がります。
彌十郎の黄門様が「はっはっはっ!」と笑顔を見せるたびに舞台上がぱっと華やぎ、
そのおおらかさに自然と心温まるような魅力を発揮。それぞれの事 情を抱える個性豊かな
登場人物たちが絡み合い展開するドラマは、笑いあり涙あり、人間の喜怒哀楽が情緒豊かにあらわされ、
歌舞伎座は温かい拍手に包まれました。心がすっきりと晴れ渡る人情味溢れる舞台をどうぞお楽しみくださいませ。

夜の部『水戸黄門』左より
渥美格之進=中村歌之助、佐々木助三郎=中村福之助、うどん屋女将お源=中村魁春、水戸光圀=坂東彌十郎、
うどん屋娘おそで=坂東新悟
提供ⓒ松竹


夜の部『水戸黄門』左より
水戸光圀=坂東彌十郎、佐々木助三郎=中村福之助、渥美格之進=中村歌之助
提供ⓒ松竹

 

 

歌舞伎座新開場十周年

『錦秋十月大歌舞伎』

 

公演日程:2023年10月2日(月)~25日(水)

【休演】10日(火)、17日(火)

会場:歌舞伎座

 

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/841

 

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