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歌舞伎座新開場十周年「吉例顔見世大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載
11月2日(木)、歌舞伎座11月公演「吉例 顔見世大歌舞伎」が開幕。
熱狂を巻き起こした初演から6年ぶりの再演となる昼の部、「忠臣蔵外伝」屈指の人気作に古典の名作、
華やかな舞踊が揃う夜の部と、「顔見世」に相応しい賑々しい舞台をご堪能いただきます。
昼の部は、世界三大叙事詩のひとつ「マハーバーラタ」を原典とした『極付印度伝マハーバーラタ戦記』を上演。
「マハーバーラタ」の物語や哲学は、インドの文化・芸術に深く根 づくと共に、
中国を経て日本の「今昔物語」などにも影響を与えたとされ、世界最長の叙事詩を歌舞伎として上演するという
斬新かつ難易なこの企画は、尾上菊之助が SPAC(静岡県舞台芸術センター)の芸術総監督である宮城聰が演出した
『マハーバーラタ〜ナラ王の冒険〜』を観て感銘を受けたことがきっかけとなりました。
菊之助の熱い思いが実現し、青木豪の脚本、宮城總の演出により、平成29(2017)年に初演、
歌舞伎座に熱狂の渦を巻き起こしました。6年ぶりの上演となる今回は、
「二幕目の婿選びのシーンでインド映画の舞踊を模した踊り合戦」が加わることを事前に行われた取材会で
菊之助が明かし、映画「RRR」で話題となった「ナートゥダンス」のような激しい踊りの場面が登場するなど、
脚本と構成が練り直された再演となりました。世界中で争いが絶えない今、平和への祈り、希求、
そして戦いの原理に向き合い、戦乱のない世界に希望を見いだす本作がどのような進化を遂げるのか、
公演前から大きな注目が集められました。
また、今回の上演では、初演に引き続き尾上菊五郎が仏の化身である那羅延天で出演し、
主人公・迦楼奈とシ ヴァ神の二役を勤める菊之助、我斗風鬼写とガネーシャの二役を勤め、
今回が初出演となる菊之助の長男丑之助の、親子孫の三人が共演することも大きな話題となります。
開幕するとそこは、神々の世界。神々は人間界を見下ろし、争いを繰り返す人間たちを嘆きます。
黄金を身にまとっているかのように煌びやかに居並ぶ神々は、神聖さを感じさせます。
中央に聳える那羅延天(ならえんてん/尾上菊五郎)が「この世の終わりが始まる」と告げると、
滅びの神・シヴァ神(尾上菊之助)は人 間たちが始める戦争で世界が滅ぶだろうと語ります。
このままでは世界は滅びてしまうと、太陽神(坂東彌 十郎)は世界の終わりを止めるため
慈愛に満ちた子を人間界へ送り救世主にしたいと告げます。
一方、軍神である帝釈天(坂東彦三郎)は圧倒的な武力をもって世界を支配すべきだと言い、
それぞれ若く徳の高い汲手姫との間に迦楼奈と阿龍樹雷をもうけます。
母なるガンジス川に泰平を祈っている汲手姫(くんてぃひめ/中村米吉)のもとへ太陽神が現れると、
汲手姫は迦楼奈(かるな/尾上菊之助)を宿し、瞬く間に美しい耳飾りの子を産み落とします。
しかし、まだ恋すら知らない身であり恐ろしくなった姫は、生まれたばかりの赤子をガンジス川へ流してしまいます…。
十六年が経ち、亜照楽多(あでぃらた/河原崎権十郎)と羅陀(らーだー/市村萬次郎)夫婦に
育てられた迦楼奈は天性の弓の才能を秘めた青年へと成長を遂げますが、
ある日、太陽神から人間界の救世主であるとのお告げを受けると、弓の修業のために家を出る決断をし、旅立つのでした。
王が亡くなったばかりの王宮では、王妃である汲手姫の前に百合守良(ゆりしゅら/坂東亀蔵)、
風韋摩(びーま/中村萬太郎)、阿龍樹雷(あるじゅら/中村隼人)、納倉(なくら/中村鷹之資)、
沙羽出葉(さはでば/上村吉太朗)の五王子が並びます。五王子の名乗りの台詞は歌舞伎らしさに溢れました。
五王子とその従兄弟である鶴妖朶王女(づるようだおうじょ/中村芝のぶ)と
道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ/市川猿弥)姉弟による王位継承争いが勃発すると、
仙人久理修那(くりしゅな/中村錦之助)の助言により王位を競う武芸大会が開かれることに。
都へやってきた迦楼奈もその武芸大会に出場し阿龍樹雷と対峙しますが、
鶴妖朶は自らが国を治めるべく迦楼奈を仲間に引き入れます。
憎しみに駆られ五王子を亡き者にしたい鶴妖朶と、永遠の友と誓った約束を貫く迦楼奈。
二人の関係は果たして…。
また、迦楼奈と阿龍樹雷は、それぞれ葛藤しながらも自らの使命を受け入れていきます。
菊之助と隼人の二人は初演でも話題となった客席を貫く両花道を走る馬車に乗ると、
激しい立廻りを見せ、客席もヒートアップ。
汲手姫という同じ母親を持つ二人の運命がぶつかり合う場面に拍手が止みません。
戦乱の場面では、迦楼奈を演じる菊之助と、我斗風鬼写を演じる丑之助が親子で立廻りを見せると、
観客からは大きな拍手が送られ、丑之助はハッキリとした口跡で重要なセリフを聞かせました。
両花道を使った効果的な演出をはじめ、屏風を模した大道具、甲冑の衣裳デザインなど視覚的な楽しさから、
歌舞伎座の空間に響き渡る国際色豊かな音楽、次々に繰り広げられる怒涛の展開は時が経つのを忘れてしまうほど。
溢れんばかりの躍動感と哲学的な問いの余韻を残し、客席は大きな拍手で満たされました。
歌舞伎座新開場十周年
『吉例顔見世大歌舞伎 』
公演日程:2023年11月2日(木)~25日(土)
【休演】10日(金)、20日(月) 公演詳細
会場:歌舞伎座
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/843
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