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宝塚歌劇団を卒業して、新たな一歩を踏み出した彩音星凪さんインタビュー
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公演概要
2024年7月7日に宝塚歌劇団を卒業した彩音星凪さん。
12月1日付けでACT JPエンターテイメントに所属して、新たな一歩を踏み出しました。
これまでのこと、そしてこれからの活動についてお聞きしました。
インタビュー(2024年12月3日)
ーーーご出身は北海道出身なんですね。
◆彩音星凪
北海道の沼田町出身です。旭川から西へ45kmほどのところにあって、
野生のほたるが見られるので“ほたるの里”とも呼ばれています。
北海道の三大あんどん祭りの1つ『夜高あんどん祭り』が有名なエリアで、
色鮮やかで巨大なあんどんをぶつけ合う“喧嘩あんどん”を行う道内唯一の場所なんです。
ーーーなるほど。では、その北海道から宝塚を目指したきっかけは?
◆彩音星凪
3歳の頃から、ずっとバレエを習っていたので、バレリーナになりたいと思っていました。
中学生の時に学園祭で“男装コンテスト”というのがあって、友だちに薦められ出てみたら
1位になっちゃって。でも、その時に「かっこいい」と言われたのが、すごく嬉しかったんです。
ーーーそのコンテストは、男役のようにスーツを着て出る感じですか?
◆彩音星凪
革ジャンにニット帽を被った、ちょっとワイルド系でした(笑)。
その後、進路を考える時に、幼い頃に一度だけ観た宝塚歌劇のことを思い出して「受験しよう」と思いました。
母の友人が宝塚ファンだったこともあって、連れて行ってもらったのが宝塚との最初の出合い。
母と姉が音楽大学出身だったので、その繋がりもあって先生をすぐに紹介してもらって歌や日本舞踊を習いに行ったり、
面接の空気感も学んでおいた方がいいかなと思って、自分で調べて兵庫県にある受験スクールの冬季講習に参加したり。
絶対に1回目のチャンスで合格したい!という強い思いを抱いて受験をして、無事に合格できました。
ーーー音楽学校時代の思い出は。
◆彩音星凪
成績で一喜一憂するというよりもバレエや演劇、歌などの授業が受けられることが本当に楽しくて。
休日もお友だちと行きつけのカレー屋さんに行ったり。
逆に劇団に入って3年目ぐらいまでは「音楽学校の時にこうやって過ごしておけばよかったな」って
思うところもありましたが、いま思い返すと、楽しかった印象が強いんですね。
それまでは学芸会のようなお芝居しか経験したことがなかったので、
色々な先生からお芝居が学べて、奥が深いなって思いました。
こうやって創られていくのかとか、お芝居する上で大事なこととか。
OGの講師の先生もいらして、男役とはこうあるべきなんだという基礎を学ぶことができました。
予科生の前半ぐらいは高い声で歌を歌うのですが、途中から男役の声に切り替わるタイミングがあって、
私は元々高い声で歌うのが大好きだったので、初めは低音がうまく出せずに先生を困らせていたんじゃないかな。
あと、中学卒業ですぐに入学したので、年上の同期たちにも甘やかしてもらいました(笑)。
ーーー初舞台の思い出は。
◆彩音星凪
音楽学校の文化祭で、振付の先生のナンバーに入れなかったのが、すごく悔しかったんです。
劇団に入ってから、その先生の作品に出るのが目標だったので、初舞台でその振付で踊れる!
という嬉しさが優って、大変さはあまりありませんでした。
お客さまに観てもらえる有り難さや、同期全員と並んで踊るラインダンス。
足がパンパンになるほどの筋肉痛でしたが、それも含めて楽しい思い出ですね。
ーーーターニングポイントになった作品はありますか?
◆彩音星凪
どの公演もターニングポイントになっている気がしますが…。
新人公演を卒業する学年で務めたミュージカル・キネマ『今夜、ロマンス劇場で』で演じた俊藤龍之介です。
大人気映画の主演を務める看板スターで個性的な役でした。
本公演を務めた、ちなつ(鳳月杏)さんにしかできない役なんじゃないかと思うくらい
衣装もお似合いだったので、だからこそのプレッシャーがありました。
新人公演は、特に自分の中で「成果が出ないと次がないぞ!」という意気込みで挑んでいたので、
私だったらどう演じられるかな?と考え抜いて、お芝居を初めて楽しめたような気がして、
あぁこの気持ちが大切なんだなって思えた公演でした。
出演場面が少ない中で、存在感や言葉の重み、遊んでいるようだけど大切なことをきちんと伝えられる器の大きさ。
色々な意味で悩んでいたものが、パンッと何か切り替われた瞬間だったかもしれないなって思っています。
それと 『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』の新人公演では、
エリザベートとフランツ・ヨーゼフの息子ルドルフを演じました。
自分でやりたい!と思ってオーディションを受けた大好きな役でしたね。
『ダル・レークの恋』の水の青年のように踊りで表現をする役が多かったのですが、
卒業を決めてから出演した『Golden Dead Schiele』の死の幻影は、私の中での集大成といいますか、
今までやってきたことがお客さまの中に何かの形で残ったらいいなって思いながら演じていました。
ーーー男役像とは?
◆彩音星凪
宝塚歌劇は舞台装置や衣装がとても華やかなので、そこに負けない美しさとは持っていなきゃいけないと思っていました。
私はそこまで大きくはないのですが、この体格だからこそできる男性像というか、
美しさや艶やかさ、品、色っぽさとかそういうものを日々研究していたところはあります。
同じタイミングで卒業された男役トップスターの月城かなとさんは、中身がある美しさといいますか。
ちょっとした仕草や所作など、手の先、指の先まで男性でありつつ、美しいところにすごく憧れていたので、
毎日見ては勉強をしていました。間近にお手本となる先輩方がいらしたのもありがたかったです。
ーーー宝塚歌劇団とは、どんな場所でしたか?
◆彩音星凪
在団中は当たり前のように過ごしていた毎日でも、
今はかけがえのない仲間や時間、場所だったんだなって改めて感じています。
そこで教わったことが、今の自分の背中を押してくれているような気がしているので。
同期生も頑張っているので刺激を受けることもあります。
卒業を惜しんでくださる方もいてくださったので、早く辞めたからこそ!と、気を引き締めて頑張っていこうと思います。
ーーー卒業後1作目は、ご自身のコンサート『彩音星凪 ~JOURNEY~』に出演されました。
◆彩音星凪
卒業後すぐの公演だったのですが、これまで自分が男役として歌ってみたかった曲やダンスを詰め込んだ構成でした。
皆さん、どうだったかなぁ!?楽しんでいただけたかな??
星組だった彩園ひなさん、宙組だった花宮沙羅さんにも出演していただき、
各組ならではのカラーも知ることができて、すごく新鮮で面白かったです。
ーーー北海道沼田町の『夜高あんどん祭り』ではトークショーに出演され、故郷に錦を飾られましたね。
◆彩音星凪
「クラスにいた○○君がいる!?」という具合で、地元の友だちも沼田町の方々もたくさん来てくださいました。
ファンクラブに入っていた方や海外からも駆けつけてくれた人もいて、本当に嬉しかったですね。
地元のお話やこれまでの経験など、自分が思っていることをお話ししてきました。
ご商売をされている方や農家さん、商工会、自衛隊など色々なところが参加するイベントで、
父が参加している“あんどん”に呼ばれて、その上に乗って一緒に歌ったり、踊ったり。
ファンの方々にも私の生まれ育った地域のことも知っていただける機会になりましたし、
大好きなお祭りにまた参加できて本当に嬉しかったです。
また地元のイベントにも参加したいので、沼田町の皆さんよろしくお願いします(笑)。
ーーー2025年1月には、神戸での公演『キアロスクーロ −古典落語「死神」より−』に出演されます。
◆彩音星凪
今回演じるのはイラストレーターで女性の役。
古典落語『死神』をモチーフにした作品で、仕事・恋愛・生死を巡って二人の紡ぐ物語です。
コメディ要素もあるので面白いと思います!
今回、宝塚を卒業してから初めて女性の役を演じるので、自分でもどうなるのかな?と楽しみです。
彩凪翔さんとは初共演で、しかも二人芝居なので緊張しますが、関西ご出身なのでコメディセンスも
すごいと思うので、頑張りたいと思っています。
ーーー2025年2月・3月には、劇団そとばこまち エンターテインメント時代劇『幕末』が発表されました。
◆彩音星凪
W主演の坂本龍馬役の光月るうさん、そして私は沖田総司役を務めます。
るみこ(光月)さんは月組の組長をされていましたので、安心感100%!
るみこさんも私も男役だったこともあるので、男役魂のようなものがぶつけられるのではないかと思っています。
元々、和物や立ち回りが大好きなので、すごく楽しみにしています。
劇団そとばこまちはアクションが上手な方がたくさんいらっしゃると思うので、勉強できたらと思っています。
また、同じ事務所で先輩の大鳥れいさんも出演されるのですが、先日初めてお話をさせていただいて、
とってもお話も楽しい!!私の中で、いま一番気になる人かもしれません。
ーーーこれから挑戦してみたいことは。
◆彩音星凪
ちょっと欲張りですが、アクションがある舞台や映像もチャレンジしたいなって思っています。
男役時代は私はこれが似合うんだって自分の中で固定化してしまっていたので、
髪型やお化粧、ファッションは色々と挑戦していきたいなって思います。
ーーー今ハマってることは?
◆彩音星凪
先日、モネ展を観に美術館へ行ってきました。
以前、ミュージカル 『Golden Dead Schiele』に出演した時にも、若き天才画家の作品だったので
色々と調べたことがあったのですが、今回、モネ展に行く前に作者がどんな人なのかを調べてから行ったんです。
そしたら、絵を見るだけではなく、作者の人生というか、心がその作品に詰まっていて、
声が出てしまうくらい泣きそうになっちゃいました。
舞台を観る時もそうですが、作品の背景を知った上で見ると深みが増すというか、色んな感情が生まれてきます。
今後も美術館は行ってみたいなって思いますね。
ーーー最後にメッセージをお願いします。
◆彩音星凪
現役の時からの自分のポリシーは、私のファンが一番楽しいって思ってくれたらいいなという思いでやってきました。
これからも私が出演する舞台などを観てくださり、心が温まったり、感情をうごかせるように、
私もこれまで以上に精進したいと思いますので、ぜひ色々な作品を観にきていただけたらと思います!
(取材:住川禾乙里/撮影:伊藤華織)
【今後の出演予定】
●ツーマンプレイ「キアロスクーロ −古典落語『死神』より−」
出演:
彩凪翔(元宝塚歌劇団雪組)
彩音星凪(元宝塚歌劇団月組)
作・演出:好光ムネロウ
日時:2025年1月6日(月)14:00/18:00
1月7日(火)14:00/18:00
劇場:神戸三宮シアター・エートー
http://www.a-to-kobe.jp/
●エンターテインメント時代劇『幕末』
脚本・演出:坂田大地
出演:光月るう、彩音星凪
南園みちな、新谷佳士、彩羽真矢、岡村茉奈、影山ミク
くぼたゆういち、和泉、寝太郎、猿田睦、山﨑ひな
中村涼月、内山諒哉、翔之介、陣内菜津芽、森口誉大
今中美里※東京公演のみ、庄司伊織
ちばひなの(少女歌劇団ミモザーヌ)※大阪公演のみ、藤井世良
大鳥れい
【大阪公演】
日程:2025年2月28日(金)〜3月2日(日)
会場:箕面市立文化芸能劇場 大ホール
【東京公演】
日程:2025年3月7日(金)〜3月9日(日)
会場:かめありリリオホール
https://sotobakomachi.com/lp/2025bakumatsu
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