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ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』まもなく開幕!
過去と向き合う“記憶の旅路”へ道案内
『ブラック メリーポピンズ』は、韓国のひとりの女性、ソ・ユンミさんによって生み出されました。
なんと、脚本だけでなく、演出や音楽、ステージングまでをも自らが手掛けたのです。
初演は2012年、心理スリラーという新たなジャンルを打ち立てました。
ソ・ユンミさんが来日した時、日本のプロデューサーと知り合ったことが
日本版上演の大きなきっかけとなったそうです。
その後、プロデューサーらが韓国を訪れて『ブラック メリーポピンズ』を観劇。
キャスティングのイメージもすぐに湧いてきたことから、話は温められていきました。
しかし、韓国と日本では死生観が異なることもあり、韓国版の内容をそのまま日本で上演する
というのではなく日本版における変更があっても良いという韓国サイドからの許可を得て、
作品の立ち上げから稽古中に至るまで、日本版上演に向けた打ち合せや試行錯誤は幾度も行なわれたそうです。
特に、物語の核となる人物、メリー・シュミットの在り方については随分と検討がなされたんだとか。
結果、日本版ではメリーのナンバーが追加されたり、台詞ひとつひとつ、
訳詞のひとつひとつに注意が払われ、子供たちとの関係性の描かれ方が色付けされた形となりました。
とてもインパクトのあるタイトルから、あの有名な『メリーポピンズ』のパロディのような
作品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実はこの作品、『ブラック メリーポピンズ』という
タイトルが付いてはいますが、趣は全く異なります。同じと言えるのは子供たちの元に
家庭教師のメリーがやってくるということ程度。しかし、“ブラック”と付くからには、一筋縄ではいきません。
やんちゃな子供たちのもとに、まるで魔法使いのようなメリーが現れるだけにとどまらず、実は・・・。
もしも、“ブラック”な『メリーポピンズ』を描くとしたら・・・そんなところから着想したのでしょうか。
この“ブラック”の捉え方は観る人に委ねられていますが、“憎しみ”や“恨み”“憤り”という
比較的目に見えやすい感情だけでなく、自分自身の中にある“闇”“不安”“恐怖”といった
内面的な感情までもが表現されています。
※豆情報!!!
その辺りのことが、今回の公演パンフレットにおけるソ・ユンミさんの挨拶に書かれています。
とても興味深いものですので、よろしければこちらも是非お読みになってみて下さいね。
この物語はある館に住む4人の子供たちと、その家庭教師メリーの姿が描かれています。
過去の自分とどのように向き合って生きていくのか、そんな誰もが行きつくような
身近なテーマを扱いながらも、その描き方、プロセスは衝撃的です。少しずつ解明されていく過去の自分の姿。
知りたい、でも知りたくない、そんな子供たちの葛藤を観るにつれ、観客も「観たい、でも観るのが怖い」と、
ハラハラしたスリルを味わうのではないでしょうか。
物語の見せ方として、何度かタイムジャンプするシーンが出て来ます。
メリーに甘えて無邪気にはしゃぐ子供たちの姿はなんとも微笑ましいのですが、
のちに真実を知ることになると、そのことさえも心が痛みます。
自分が思っているこの記憶は正しいのか?そもそもそんな出来事は本当にあったのか?
もしかしたら夢と混同しているのかも・・・?観客は登場人物が過去と対峙する様子を観ながら、
自分自身と向き合う、そんな作品だと思います。
今回の再演に際しヒロイン・アンナは、初舞台、初ミュージカルに挑戦となる中川翔子さんが演じます。
いつもはバラエティ番組やライブ活動などで“しょこたん”の愛称で活躍している彼女が、
アンナとしてどのように生きるのか、期待が募ります。開幕が楽しみです。
▲中川翔子(アンナ役)
▲写真左:小西遼生(ハンス役) ▲写真右:良知真次(ヨナス役)
▲写真左:上山竜治(ヘルマン役) ▲写真右:一路真輝(メリー役)
ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』
作・歌詞・音楽:ソ ユンミ
演出:鈴木裕美
上演台本:田村孝裕
訳詞:高橋亜子
出演:中川翔子 小西遼生 良知真次 上山竜治 一路真輝
東京公演 2016年5月14日~5月29日 世田谷パブリックシアター
兵庫公演 2016年6月3日~6月5日 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
福岡公演 2016年6月9日 福岡市民会館
名古屋公演 2016年6月17日 愛知県芸術劇場 大ホール
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