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浅利慶太プロデュース『この生命誰のもの』自由劇場で本日開幕
ブライアン・クラークによって書かれた『この生命誰のもの』は、
テレビドラマとして放映された後、1978年にロンドンで初演されローレンス・オリヴィエ賞(作品賞)を受賞。
翌年の1979年、日本で初演されました。
この作品を上演するにあたり、多くの医師・弁護士・ジャーナリストと意見交換が行なわれてきましたが、
浅利慶太氏は、作者ブライアン・クラークと8年間にわたって話し合いを重ね、
1987年からは、“いつ我々の身に起こっても不思議ではない”日本での話として潤色し、
上演を重ねられてきました。
初演時は、今ほど尊厳死が身近な話題ではありませんでしたが、
日本初演から30年の歳月が流れた現代では、高齢化も進み、医療技術も進化し、
提示された選択肢の中から、自ら、もしくは身近な人の歩むべき道を
考えて選んでゆく時代に突入しつつあります。
そんな時代だからこそ、改めて見つめなおしたい、
そんな“生命の尊厳”に正面から向き合った作品です。
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『この生命誰のもの』の主人公、彫刻家・早田健は、
不慮の事故で脊髄を損傷し、なんとか命は助かったものの、
首から下が全身麻痺となり、顔しか動かすことが出来ません。
医者からは、この先この症状が良くなることはないと告げられます。
一生、このままの生活が続くくらいなら、死んだ方がましだ・・・
早田は「人間には自分の意志で行動を決定する権利がある。人間の尊厳は当人の選択から生じるものである。」と、
退院を希望します。
一方、主治医の江間は「生命を維持するのが医師の義務」と主張します。
病院を出れば残りわずかの生命と覚悟の上で、「死ぬ権利」を主張する早田は、
自らの意志が主治医に受け入れられないと分かり、弁護士を呼んで病院との交渉を試みます。
立場が違えば意見も解釈も異なります。非常に難しい問題を抱え、
ついに、早田の「死ぬ権利」を巡って病室を舞台に異例の裁判が幕を開けます。
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『この生命誰のもの』を通して、何を感じるかは、観る人それぞれに委ねられています。
そしてこの作品は決して“死”そのものを中心に描いているのではなく、
生きることを悲観しているばかりの姿が描かれている訳ではありません。
早田の病室で繰り広げられる会話は日常的なもので、
時にはユーモアさえも交えながらやりとりが行なわれます。
しかし、後半になると、それぞれの立場で意見をぶつけ合い、次第に緊迫感を増していきます。
おそらく実際には登場人物以外にも多くの人が関わっているケースもあると思います。
誰もがいつかは辿りつく“死”に向かって、どのように生きていくのか?
真の意味での“生命の尊厳”とは?
そんなことを問いかけてくる作品です。
キャストの熱演もさることながら、
生命力宿る緑の大木がガラス窓から見え、
窓枠は(個人の勝手な解釈ですが)十字架のようにも見えてくる
土屋茂昭氏による舞台美術、吉井澄雄氏による照明も非常に美しく、
命の尊さを感じるような造形で、印象的です。
出演者
川畑 幸香
近藤 真行
斎藤 譲
坂本 里咲
志村 史人
田代 隆秀
田中 美央
田野 聖子
野村 玲子
畠山 典之
山口 研志
山口 嘉三
与那嶺 圭太
※出演者は都合により変更となる可能性がございます。予めご了承下さい。
浅利慶太プロデュース
『この生命誰のもの』
原作:ブライアン・クラーク
訳:新庄 哲夫
潤色・演出:浅利 慶太
日程:2016年6月4日(土)~6月11日(土)
会場:自由劇場
チケットお問い合わせ:
サンライズプロモーション東京 TEL : 0570-00-3337 (全日10:00~18:00)
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