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十月花形歌舞伎『GOEMON 石川五右衛門』製作発表
公演について(公演資料より抜粋)
新橋演舞場十月公演は、『GOEMON 石川五右衛門』が上演されます。
『GOEMON 石川五右衛門』(水口一夫作・演出)は、平成23(2011)年11月、
徳島県の大塚国際美術館「システィーナ歌舞伎」で初演されました。
誰もが知っている稀代の大泥棒・石川五右衛門が、実はスペインの宣教師の血をひくハーフで、
フラメンコも踊れるという奇想天外な設定が話題を呼び、平成25(2013)年2月、翌年10月にも、
大阪松竹座で再演されました。今回、東京において待望の初上演となります。
五右衛門を演じるのは、初演からお馴染みの片岡愛之助。
そして、歌にダンスに大活躍のタッキー&翼の今井翼が五右衛門の父、カルデロン役に再び挑み、
今回新しく登場する霧隠才蔵役との二役を演じます。
愛之助と今井翼が再び歌舞伎で競演する注目の舞台です。
そして、豊臣秀吉役に昨年上方歌舞伎の大名跡を襲名した中村鴈治郎をはじめ、
出雲の阿国役に中村壱太郎、加藤虎之助役に中村種之助、
石田局・名古屋山三役に上村吉弥、小早川隆景役に中村寿治郎という配役。
また、今回もフラメンコに気鋭のフラメンコ舞踊家・佐藤浩希が登場。
「楼門」や「つづら抜け」といった五右衛門ならではの名場面も盛り込みながら、
「和洋」を巧みに組み合わせた演出で魅せるエネルギッシュな舞台です。
【配役】
石川五右衛門:片岡 愛之助
神父カルデロン/霧隠才蔵:今井 翼
出雲の阿国:中村 壱太郎
加藤虎之助:中村 種之助
小早川隆景:中村 寿治郎
石田局/名古屋山三:上村 吉弥
豊臣秀吉:中村 鴈治郎
あらすじ
「豊臣秀吉による天下が成った頃。キリスト教布教のため日本を訪れていたイスパニアの神父カルデロンは、
明智光秀の家臣の娘である石田局と運命的な出会いを果たす。
二人の間には友市という息子が生まれ、幸せに暮らしていたが、
秀吉が切支丹禁止令を打ち出したことにより、カルデロンは国外追放の身となる。
母も亡くし、天涯孤独の身となった友市。
時は流れ、友市は天下に轟く大盗賊・石川五右衛門となっていた…。
製作発表が行われました(2016年8月30日)
▲作・演出:水口 一夫
この『GOEMON 石川五右衛門』は4回も上演させていただく作品となりました。今回の東京では、前回の大阪松竹座よりさらにパワーアップした『GOEMON 石川五右衛門』を皆様にお見せしたいと思っております。宣教師・神父カルデロンと、明智光秀の家臣の娘・石田局との間にできた子どもが石川五右衛門という設定になっております。もともと江戸時代の随筆に石川五右衛門の師匠に当たる人が赤毛であったということが書いてあったところにヒントを得まして、赤毛で五右衛門やりたいなと前から思っていました。(徳島県・大塚国際美術館の)システィーナ礼拝堂という場を得まして、愛之助さんと『GOEMON 石川五右衛門』を作りまして、本当に良い舞台が出来上がったと思っております。フラメンコは、40年程前、東京に渋谷ジァン・ジァンという小劇場で嵐徳三郎くんが芝居を作っている時に、フラメンコで歌舞伎をやりたいということで、一度やりかけたことがあったのですが、できなくなった経緯がります。それも何とかここで実現する事ができました。この2つが大きなポイントになる作品でございます。よろしくお願いいたします。
▲片岡 愛之助
『GOEMON 石川五右衛門』の上演は4度目になるのですが、最初はシスティーナ歌舞伎で勤めさせていただき、どのように作っていこうかと水口先生と話し合いをしてきました。今、初めて聞いた事もありました。僕は単純にハーフの五右衛門なら髪の毛は赤い方がいいんじゃないかと提案しましたので、本当に楽しい話し合いの中からできあがった作品でございます。(最初)システィーナ礼拝堂の中で作られた作品なので、これをいわゆる芝居小屋(舞台)にかける時に、大道具をしっかりと組んでやった方がいいのか、抽象的な舞台で回した方がいいのかという難しさもありました。でも、このような作品なので、抽象的な舞台で進めて行った方が『GOEMON』の良さが伝わるのではないかと思い、今回のような形になりました。そして色々な形を経て、今井翼くんに出ていただくことになりまして、今回東京で再演ということになりました。とても嬉しく思っております。(自分の)希望としては翼くんに出てもらうのであれば、二役やってもらいたいと思っておりました。前回の公演では一役だったので「もう一度やるときは、ぜひ二役やってよね」とお話をしていましたら、「ぜひ今回はやらせていただきたい」という力強いお電話が翼くんからありまして、先生に相談しました。彼の魅力を活かした上での配役、霧隠才蔵でございます。あまり話すとネタバレになってしまうので、見てのお楽しみということで。私も、暫く大河ドラマや時代劇に出させていただいておりましたので、久しぶりの東京での舞台でございます。力一杯勤めたいと思います。
―――大阪公演との違いは?
◆水口 一夫
今回は、翼くんに二役で参加してもらうということです。
本来、翼くんの役は愛之助さん扮する五右衛門のお父さんである神父の役です。
成人した愛之助さんと接点が無いんですよね。顔を合わせる場面を作るが難しく、
でも顔を合わせるシーンが無いとお客様も満足しないだろうと思いまして、
霧隠才蔵役を加えて芝居を作らせていただきました。これが一番大きな違いだと思います。
舞台は松竹座と同じような形でやろうかと思っております。
―――赤毛の五右衛門は、どんな印象ですか。
◆片岡 愛之助
普通の五右衛門とは設定が違いますし、設定が違う中でも初めて歌舞伎をご覧いただくお客様にも、
普段から歌舞伎を見てくださっているお客様にも楽しんでいただけるように、
色々なところに歌舞伎のパロディーの部分が入っておりますので、この作品は未完成であります。
想像の部分を残しているアンフィニッシュ。そういうところは芸術にとって大切だと思っていまし、
歌舞伎は特にそのようなところが多いんです。「この後はどうなっているんだろう」これはお客様が想像する部分。
そういうものも取り入れております。盗賊である五右衛門が、歌舞伎を始めたという出雲の阿国に芸のことを話したりとか、
芸を教えたり。そもそも出雲の阿国と会うというのもあり得ない設定なのですが、
そういった部分も面白みがあるのではないかと思います。
―――40年前からフラメンコで歌舞伎をと思ったとの事ですが、両方に通じる何かがあったからなのでしょうか?
◆水口 一夫
昔、スペインを旅した時にフラメンコの踊りを見ました。土着的な匂いというものを感じたんです。
フラメンコの音のイメージというのが、(義太夫の)太棹と共通することを感じましたので、
これで歌舞伎をやったらできるんじゃないかなと考えていました。
そんな思いがあって、今回の『GOEMON』にフラメンコを取り入れさせていただきました。
―――『GOEMON』はシスティーナ歌舞伎から生まれたものですが、関西での活動もされていてその想いが実って
東京での上演となったことについて。また新橋演舞場での座頭としての公演の思いを教えてください。
◆片岡 愛之助
私はやはり、そもそも歌舞伎の家に生まれた人間ではないので、歌舞伎に入れていただいたのは父の(片岡)秀太郎とのご縁。
私が入った学校というのは十三世片岡仁左衛門学校であり、片岡秀太郎学校であります。
その師匠の背中を見て育ってきましたので、上方歌舞伎を愛する大切にするということを一番として、
今も学んでいる最中でございます。江戸歌舞伎も大好きですし、江戸のものも出させていただくのですが、
やはり関西から何かを発信したいという思いが常々ございまして、そういう意味合いでありますと、
上方の方で生まれて育ってきた作品が江戸(東京)に来てお芝居をかけられる(上演できる)ということは、
関西人の私たちにとりましては、とてもありがたいですし、嬉しいことであります。
そして座頭というのは、あまり意識はしていないです。例えば主役であっても、脇役であっても、
セリフが1つしかなくても、役というものを好きにならないと勤まりませんし、どの役に対しても愛情は一緒なんですよ。
座頭と皆さんから言われると「そうなのか」というくらいで、あまりそういうことでは気負っておりません。
皆がいかに良い雰囲気でお芝居が務められるか、そういうのは他の舞台を拝見させていただくと、
この一座すごく仲が良いんだなというのが伝わって来るお芝居もあれば、あそことあそこは仲悪いのかな?
と自分が客席に座っていると感じることもあるんよ。そういう意味におきまして、人のお芝居を見るというのは
勉強になりますし、チームワークは大切なものなんだなと思いまして、座頭の僕個人の考えとしては、
皆が日々楽しく、ただ楽しいというのではなく、それぞれ自身が役を膨らませていける余裕のある部分を
作ってあげるのが座頭の仕事じゃないかなと思いますので、そういうところを勤めながら、
やはり自分自身の芝居をやっていきたいと、掘り下げて役づくりに励んでいきたいと思っております。
―――新しいシーンがあるとのことですが、これまでは愛之助さんと翼さんとは親子で踊るシーンもありましたが、
今回は違う絡みということで霧隠才蔵とのことですが、どんな見せ場を期待していいでしょうか?
◆水口 一夫
五右衛門と霧隠才蔵が古い友人だったという設定です。
実は敵味方に分かれてしますのですが…これ以上言うとネタバレになってしまいます。
あまり派手なシーンはないのですが、基本的に新しい歌舞伎を作る時も、古典歌舞伎を作るつもりでやっていまして、
古典歌舞伎の手法を使いながら場面を作っていきたいなと思っております。
◆片岡 愛之助
楽しみにしております。基本的に親子なので、同じ板の上の立つ事があり得ないことになりますので、
うまい具合に、夢のシーンでフラメンコをしているというのをやらせていただきましたが、
もっと色濃いシーンになると思います。
―――和洋折衷のような作品で(歌舞伎としては)少し変わったイメージがありますが、愛之助さんはどのように考えていますか?
また、フラメンコは実際にやってみていかがですか?
◆片岡 愛之助
歌舞伎をご覧いただいたことのない方は特に、古典歌舞伎だけを歌舞伎と思っていらっしゃる方が多いと思います。
歌舞伎には色々なものがありまして、もちろん古典歌舞伎は私たちがしなくてはならない作業ですね。
先輩たちから教わってきたものを後者へ繋いでいくのが古典芸能でございますし、私たちも今も勉強しております。
そこに例えば、100年前のものを復活させた復活歌舞伎。例えば三谷幸喜さんに本を書いてもらうような新作歌舞伎があります。
今回のようなコラボレーション歌舞伎など、色々なものがありまして、それを歌舞伎と言います。
もちろん今回のも歌舞伎と当然思っております。色々な歌舞伎があっていいと思っております。
その昔、最先端のことをして傾いている人たちがカブキ者から歌舞伎になったわけですから、傾くという精神を忘れずに。
それこそ、中村屋の兄さん(十八世 中村勘三郎)は、そういうところにも力を入れられて、
私もコクーン歌舞伎など拝見させていただいておりました。
やはり傾くという楽しみが大事だと思うんです。それは全てのことにおいて大切なことだと思いますから、
こういうこともさせていただき、もちろん古典もしっかりと勉強させていただくつもりでもあるわけです。
フラメンコというのは最初全く(歌舞伎とは)かけ離れた対極にあるものだと思っていました。
フラメンコ舞踊家の佐藤(浩希)先生に1から教えていただき、フラメンコの魂の叫び、それがフラメンコの発祥なんですよね。
喜怒哀楽を表す、それが足でダダダッと踏んだりするものになっていたりするので、そのような表現の仕方というもの、
歌舞伎が生まれでて来た出雲の阿国が踊っていたという念仏踊りもそうですが、そういうところも共通している部分
もあるなと思ったことが1つ。フラメンコは頭の位置を動かさずに足を動かす、いわゆる僕らの言葉でいうと足拍子と言いますが、
ダカダカダカと踏みならしながら移動する。皆さん、最初はそれが出来るようになるのは大変だと先生がおっしゃっていたのですが、
僕らにとっては頭の位置を動かさずに歩くのは基本中の基本なんです。日本舞踊でいう腰を落として歩くということは。
そして足拍子というものもある。とても似ているなと思って入ったので、実はすごく共通点がすごくあるなと思いました。
これは、いいんじゃないかと思って勉強し始めて、でもやっぱり深くて、そんなに簡単なものじゃございません。
色々な掛け声や手の振りが入ると難しくて、毎日勤めさせていただいていても日々勉強ですし、
今回はパワーアップしたフラメンコになると思います。私も楽しみしております。
▲フラメンコのポーズを決める愛之助。
▲「フラメンコの決めは見得にも似ているんです」と愛之助。
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