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歌舞伎座百三十年『八月納涼歌舞伎』中村七之助さんの合同取材会 2018年07月

(2018年07月23日記載)

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歌舞伎座百三十年『八月納涼歌舞伎』中村七之助さんの合同取材会

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取材会概要

歌舞伎座百三十年『八月納涼歌舞伎』を前に、中村七之助さんの合同取材会が行われました。
8月9日から開幕する『八月納涼歌舞伎』は三部構成になっており、
第一部に『花魁草(おいらんそう)』『龍虎(りゅうこ)』
そして新作歌舞伎『心中月夜星野屋(しんじゅうつきよのほしのや)』の3演目。
第二部は『再伊勢参(またいくの)!? YJKT(こりないめんめん) 東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』
『雨乞其角(あまごいきかく)』の2演目。
第三部は『通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』が上演されます。

みどころ

第一部
一、花魁草(おいらんそう)
役者と女郎の哀しい恋物語

江戸を襲った安政大地震を生き延びた大部屋役者の幸太郎と女郎のお蝶は、
百姓米之助に助けられ、栃木で達磨の絵付をしながら二人は一緒に暮らし
始めます。お蝶は幸太郎に想いを寄せますが、
かつて夫婦の約束をした男に裏切られた過去があるため、
所帯を持つことに踏み切れずにいます。
そこへ、猿若町の座元勘左衛門や芝居茶屋の女将お栄がやってきて、
幸太郎に芝居へ復帰することを勧めます。二人は江戸に向かいますが…。
北條秀司の心情描写が冴える、儚い愛の物語をお楽しみください。

二、龍虎(りゅうこ)
激しくせめぎ合う英雄たちの闘諍

天の王者たる龍と地の覇者たる虎が姿を現します。
互いに毛を振り立てて戦いますが、勝敗は決することなく、
龍は天に昇り虎は洞窟へと去っていきます。
荘重な竹本の演奏に加え、筝曲、尺八の音色とともに展開される、
視覚的にも変化に富んだ勇烈な舞踊をご覧ください。

三、心中月夜星野屋(しんじゅうつきよのほしのや)
照蔵が切り出す心中話の真相は

元芸者のおたかは、相場で失敗し金に困った青物問屋の照蔵から
突然別れ話を切り出され、話のはずみで心中をする約束をしてしまいます。
後悔するおたかへの母お熊の入れ知恵もあり、
騙された照蔵だけが吾妻橋から飛び降りてしまい…。
飄々とした娘おたかと強かな母お熊のやりとりと、
抜け目ない照蔵の風情が笑いを誘う、世話狂言をお楽しみください。

第二部
一、東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)
今再びのお伊勢参り

歌舞伎座で起きた大事件を解決した後、相変わらず大道具のアルバイトを続ける
弥次郎兵衛と喜多八でしたが、喜多八は災難に遭い、命を落としてしまいます。
悲しみのあまり、喜多八の後を追おうとする弥次郎兵衛に、
梵太郎と政之助は喜多八を偲ぶためにもう一度お伊勢参りに行くことを提案します。
幽霊となった喜多八が後ろから見守るなか、弥次郎兵衛は梵太郎と政之助を
伴ってお伊勢参りへと出発します。幽霊の喜多八は、お伊勢参りの道中を
見守ろうと後を追いますが、さらにその後をつける怪しい影が…。
納涼歌舞伎ではシリーズ3作目となる弥次喜多。
2度目のお伊勢参りがどのような珍道中になるのかご期待ください。

二、雨乞其角(あまごいきかく)
俳諧の徳で雨をもたらした俳人

日照りが続く初夏。其角が隅田川に舟を浮かべていると、
舟遊びをする大尽らの舟が行き交います。舟上での酒宴の後、
其角の弟子たちが、近頃の旱魃を其角へ告げるためにやってきます。
そこで其角が雨乞いの一句をよむとたちまち天には雲がたちこめ雨が降り始めます。
日照り続きにもたらされた久々の雨に、皆々喜びのあまり踊り出すのでした。
夏の季節感にあふれ、ユーモラスな逸話を題材にした舞踊をご覧ください。

第三部
通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)
南北が描き出す武士と町人の不条理な現実

浪人の薩摩源五兵衛は、芸者の小万に入れ込んでいますが、
小万には笹野屋三五郎という夫がいます。
源五兵衛は元は塩冶家の侍でしたが、御用金紛失の咎で勘当の身。
源五兵衛は名誉挽回し、亡君の仇討に加わるため伯父が用立てた100両を
借り受けますが、三五郎の罠により騙し取られます。
自分が騙されたことを知った源五兵衛は、その晩三五郎夫婦が
泊まった家に忍び込みますが、三五郎と小万はなんとか逃げ延び、
源五兵衛はその場に居合わせた五人を手にかけるのでした。
三五郎は騙し取った100両を父の了心に渡します。
実は三五郎夫婦が源五兵衛から金を巻き上げたのは、
父の旧主の危急を救うためだったのです。
やがて、源五兵衛が三五郎夫婦の前に再び姿を現すと…。
『盟三五大切』は四世鶴屋南北によって『東海道四谷怪談』の続編として書かれ、
「忠臣蔵」と「五大力」の世界が「綯い交ぜ(ないまぜ)」という手法で
結びつけられています。凄惨な殺しの場など、
南北ならではの世界が展開される生世話物の傑作をお楽しみください。

納涼歌舞伎とは(リリースより)

平成2年に復活した納涼歌舞伎は、十八世中村勘三郎、十世坂東三津五郎を
中心とした花形俳優の熱意と趣向に富んだ舞台が大好評を博しました。
以来、歌舞伎座の夏の風物詩として、初めて歌舞伎を観る方や若い世代の
お客様にもより親しみやすく、わかりやすい歌舞伎を目指し、
幅広い世代の皆様に愛されてきました。その後、平成5年からは、
より気軽にご観劇いただくことのできる三部制を取り入れ、
劇界の偉才らと革新的な作品に取り組むなど、様々な挑戦をして、
その都度大きな反響を呼んでいました。第5期歌舞伎座でも、
新開場の年となった平成25年より、毎年8月の恒例興行として続いています。

中村七之助の合同ご取材会が行われました。(2018年7月12日)

―――第一部の新作歌舞伎『心中月夜星野屋』は、どんな作品でしょうか?

◆中村七之助
この作品を上演することに至った経緯としては、昨年の納涼歌舞伎の第一部で
坂東玉三郎さんの演出で、市川中車さんと
『刺青奇偶(いれずみちょうはん)』をやらせていただき、
その後の『玉兎(たまうさぎ)』『団子売(だんごうり)』では、
うちの甥っ子(中村勘太郎)も踊らせていただきました。
とても充実した第一部になったと私は感じていましたし、
お客様もたくさん入ってくださり、とても嬉しかった。
うちの父親(十八世中村勘三郎)と三津五郎のおじ様(十世坂東三津五郎)が
残してくれた『納涼歌舞伎』といえば、第一部からお客様が
いっぱい入ってくださっているイメージがあります。
その流れを続けていきたいという思いもありますので、
今回は上方落語の脚本家である小佐田定雄さんに
「歌舞伎にできる良い落語は何かないでしょうか?」とお電話しました。
候補を何作か上げてくださったのですが、その中に1つが『星野屋』でした。
第一部として楽しく観ることができるもの、そして新作ということで
お客様も注目してくださるのではないかということで『星野屋』を選びました。
この前には、中村扇雀さんの『花魁草(おいらんそう)』、
松本幸四郎さん、市川染五郎さんが『龍虎(りゅうこ)』を踊ってくださる
ことになったので、今年の第一部も、お客様も観たいと思ってくださるでしょうし
プロデュース的にもヨシヨシと(笑)。

―――落語と歌舞伎の相性は?

◆中村七之助
もちろん合うと思います。ただ1人が話をして色々なものを演じ分けて
その背景を見せる落語と、個々の役者が役を演じる歌舞伎とは全く違いますね。
落語で話をしてオチる話(物語の結末)と、歌舞伎でやって、
そのオチがちゃんと幕になるのか(オチとして成立するのか)。
これは稽古で小佐田さんと話をしていきたいと思います。
道具や衣装、鳴り物といった歌舞伎界の先人たちが作った
素晴らしいものがあるので、そういう意味ではすぐにできるんですよ。
すごいことだなと思いますね。あとは僕ら役者の役に対する
アプローチと脚本の考えがうまくいけばですね。

―――具体的に落語と歌舞伎の違いをあげるとすれば?

◆中村七之助
歌舞伎には道具があるので視覚的にも楽しませられる分、
落語より幅が狭まります。
落語は上手い人が長屋の話をすると長屋の匂いまでしてくるし、
ずっと色々なネタが出せます。舞台の場合は衣装など視覚的にも
決まっているものがあるので、「あぁこういう人なんだ」とわかってしまう、
そこの怖さはありますよね。逆に動きで楽しませたり、
掛け合いで楽しませたりできる。両方楽しいものだと思いますが、
そういう違いがあるんじゃないかと思いますね。

―――『納涼歌舞伎』に対する思いは?

◆中村七之助
良いお役を若い時にさせていただいたのは浅草(『新春浅草歌舞伎』)ですが、
この『納涼歌舞伎』は、その前の小さい時から、うちの父と三津五郎のおじ様、
福助のおじ、芝翫のおじが、三部制にしたり一生懸命何かを作ろう
という精神でやってきたものを間近で見てきました。
総合的にすごくレベルが高かったと思うし「歌舞伎ってこんなに楽しいだ」と、
お客様も喜んでくれていたと思います。
福助のおじは九月に復帰するのでとても嬉しいですが、
今回は芝翫のおじも出ておりません。
『納涼歌舞伎』を作ってきた4人の人たちが出ていないという状況下ですが、
僕個人としては、うちの父と三津五郎のおじ様の魂というか、
この人たちに顔向けできないような1か月にはしたくないという思いが
一番強い月ですね。父だけではなく、三津五郎のおじ様の思いもあるから
コクーン歌舞伎や平成中村座よりも、その思いが強いかもしれません。
「自分のことだけではなくて、お客様や演目のことも
考えていかなくちゃいけないんだよ」とお父さんと三津五郎さんが
言っていると思うようになってきました。




 

 

歌舞伎座百三十年

八月納涼歌舞伎

 

日程:平成30年8月9日(木)~27日(月)

第一部 午前11時~

第二部 午後3時~

第三部 午後6時~

会場:歌舞伎座

 

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/576

 

 

 
 

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